輝くはフォーマルハウト   作:月侍

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ハロウィンイベ、やりやすくてよかったです。可愛いねライスちゃん。それはそれとしてタマちゃんの実装マダカナー?


模擬レース、当日。②

 まず始まったのは『芝・短距離』。ゲートイン……というより、位置に着くウマ娘達を見ていく。

 

 ちらほら噂を聴くウマ娘たちはと言うと、例えばサクラバクシンオー。スプリンターとしての実力はとんでもないと聞いている。委員長でもあるらしく、しっかり者なのだろうか。

 

 例えばカレンチャン。ウマッターの民である俺でも名前や姿をSNS上で結構見たことある。実際インフルエンサーでもあり、レースの実力も上げられている動画などを見れば、かなりのものと分かる。ぶっちぎって走りつつも『カワイイ』のは流石か。

 

 そして、噂とかは置いておいて目立つのはヒシアケボノ。一際大きい体格は、小柄な印象のウマが多い中では特に目立つ。体格を活かした力強い走りで前へ前へと進むのだろうか。

 

 

『────位置について、用意……』

 

 パン!とピストルが鳴る。真っ先に飛び出したのはサクラバクシンオー。一気に加速していきながら、先頭を逃げる。

 追うのはカレンチャン。中団程度に潜みながらも、まっすぐに先頭を見据えている。

 

 ヒシアケボノは中団のウマ娘の塊を押しのけるように、その体格を活かして前へ前へと進撃していく。

 

 三者三様。勝負は最終コーナーを越えた直線へ。3人が、先頭へと並び立つ。

 

 

 サクラバクシンオーは突き放そうとするものの、カレンチャンが上手い具合に突き放しきれないようにする。そして、ヒシアケボノの体格と走りから来るプレッシャーはなかなかのもので、採集直線の競り合いはあまりにも激しいものとなる。模擬レースなんだよな、これ?

 

 

 そして、結果は。

 

『ゴール!一着はサクラバクシンオー!2着はヒシアケボノ、3着はカレンチャン!』

 

 僅かなハナ差での決着となった。とんでもないものを見てしまったような……いや、考えるのは置いておこう。

 

──────

 

 お次は、ダート。ハルウララもアグネスデジタルも気合十分。

 

 ほかのメンバーはと言うと、例えばスマートファルコン。砂上の隼、もしくはウマドル。ウマドルとしての活動もさることながら、ダート上での逃げ足は正に隼そのものだろう。

 

 タイキシャトルも話に聞く実力者。荒野を駆ける西部劇の保安官や賞金稼ぎとも言えそうな力強い走りは、大口径の弾丸だったか。

 

 

 ……スタート。

 

 

 さて、真っ先に飛び出すのはスマートファルコン。砂を蹴って先駆けていく。

 タイキシャトルはそれを追う。ダートウマは全体的に力強い印象があるのは、気のせいだろうか。

 

 さて、アグネスデジタルを見れば中団前の方から外差しを狙っているのだろうか。コース取りが上手いが、同時にスタミナもしっかりしている。

 

 

 こちらも競り合いは激しく、しかしスマートファルコンが1バ身離してのゴールとなった。あと20メートルあれば変わっていたかもしれない。

 

 

 ところで、ハルウララはどこだろうか?と思えば、最も後ろを走っていた。つまりは最下位。

 しかし、その表情は満足気な笑顔。なるほど、彼女はレースを楽しめるのか、素敵な才能だと感じる。

 

 ふとこちらを向いたハルウララが、大きく手を振ってきた。知り合いでもいるのだろうかと思ったものの、どう見ても俺に向けてだったので手を振り返せば、跳ねるように手を振った。その笑顔につられてか、近くに居た近い着順のウマ娘達も、ちょっと苦笑いした後、笑顔になった。

 

 

─────

 

 

 さて、その後中距離も終わり、一時休憩時間となる。

 昼飯は食堂まで行かなくとも、売店が近くまで出てくれている。そこで一つ、ハムトマトのサンドイッチと麦茶を購入して食べた。ちなみに、もうニンジンのサンドイッチは売り切れていた。相変わらず大人気だ。余談だが、俺はニンジンは……ちょっと苦手だ。トマトとバナナが好きだ。

 

 それはさておき、空いている端っこのベンチにすわってサンドイッチを食べる。

 これも美味しい。が、パンと米でジャンルが違うから比べるのもなんだが、朝食べたヒシアケボノのおにぎりの方が美味しかったなぁなんて思ったりする。今度、レシピでも聞いてみようか。

 

 

 そう言えば、選抜レースがあるというのに今回の模擬レースが開催された経緯を思い出す。

 確か、超季節外れの台風が近づいてるらしいからだったか。おい待て、秋ならともかく冬だぞ、今。

 

 などということはさておいて。さっきからさておきすぎな気もするがさておいて、突如周囲がざわめき始めた。

 

 

「ねえ、あれって……」

 

「来たか……」

 

「……ん?」

 

 人々が向ける視線を辿れば、漆黒のウマ娘がそこにいた。

 

 流石に俺でも、彼女のことは知っている。"怪物"ナリタブライアン。突如現れ、桁外れの才能を持つウマ娘。

 体操着で売店の菓子パンを買っているだけなのにあそこまでざわめかれているのは流石と言うべきか、彼女にとって迷惑じゃなかろうかとも思う。

 

 周囲の様子を伺うに、特にトレーナーは彼女のことを狙っているように見える。まあそりゃあ、才能あるウマ娘を担当に持ちたいって思うのは可笑しい事じゃない。むしろトレーナーとして、正常だろうよ。

 

 でも、一方的な情報と偏見だけで憧れるのはなんか違うよなぁとも思う。とりあえず今は飯だ、サンドイッチだ。

 

 

「……ブライアン、野菜はきちんと食べているのか?特にビタミン類は──」

 

「食べている、食べているから……姉貴、ストップだ姉貴」

 

 ふとそんな会話が耳に入って、改めてナリタブライアンの方を見る。

 ナリタブライアンとは対称的な、大ボリュームの葦毛のウマ娘がブライアンと会話しているだけの光景だった。

 

 確か、あの娘は昨日メガネを吹き飛ばされていた娘だっけ。ブライアンの姉だったか……ということは、確か、ビワハヤヒデだったか。

 ビワハヤヒデはナリタブライアンとはまた違い、理論をしっかり詰めるタイプらしい。野菜を摂取することの効能を事細かに話しているのを聞けばよく分かる。

 

 

 と、ぼんやりハヤヒデとブライアンの方を見ていると、たまたま視線を逸らしたハヤヒデと目が合った。

 お互い一秒目が合って、気まずくなったかすぐ目を逸らした。

 

……えっ、ハヤヒデも逸らしてたよね?




プロローグ的な何かが終わらない(デデドン)
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