これ読む位なら蚯蚓が這った跡見てる方が楽しい、と言う自己評価を忘れず取り組んで行きたいと思っております。
あらすじにもあります通り、失踪必至なのでご注意ください。
思いついた話とか投稿して行って合計十話を目指します。
『世界の泡』=謂わば世界線、そうなりえた可能性の姿を映す夢幻泡影。
(基本世界線と言う認識をしてます)
拝啓、妻よ。
世界の泡に潜り込んだと思ったら殆ど知らない世界に来ました。
「う~ん、自然が盛りだくさんや、なぁ~。」
暗い世界で高い木の頂点に足を付け辺りを見回す男。
雰囲気からして自分が知る世界、又はその世界の泡では無い事は容易に理解した。
「なんやったら、デルタも同行してたはずなんですがね?」
デルタ。桃と水の髪色を持った小柄の少女。その外見は『黒と桃』『黒と水』の大きな角、『黒と桃の機械的で鋭利な尾』を持った凡そ人間とは言えない身体的特徴を持った娘である。
デルタ自身が数多ある世界の泡に興味を持ち、適当な泡に潜ろうと共に飛び込んだ、はず。
なのに付近に姿が見えない声が聞こえないのであれば簡単、この世界に来た際に自分とは別に、遠くに飛ばされただけの事。
自身は死ぬはずないし、デルタもとても強いので死ぬ心配も無い。
「ゆっくり合流するしかないんかな、まずは建造物がそこそこ多い場所に出たい。」
独り言を淡々と吐きながらも端末機器を取り出しこの世界の地図を調べる。
「デルタの気配自体は感じる、感じるんやけど離れすぎて明確な位置が分からへん。」
そう零している内に遠くに町がある事が判明した。ついでに普通に地球だって事も分かった。
分かるや否や即行動、建物の屋根や屋上を跳躍で移動しつつ適当にデルタの気配を探る。
「やっぱり近づかんけ。怠いなぁ~。県一つずつ虱潰しせんといかんかぁ?ダルっ」
ダルダルイングリッシュやんけ等愚痴を言いつつも目的を立て行動を再開する真喜。
「ん"?」
建物を点々と移動していると、ふと感じた別の気配。負の塊。通常感じるはずの無い負の濃度、あからさまに可笑しいのが理解できた真喜はその負の塊の場所へと移動する。
然し。
「な、んも居ない?無い?え~っと?」
確かに負の塊を感じる。二棟のビルの隙間、路地裏から誤魔化し様の無い負の塊。圧倒的な負の濃度。
本来人類が持つ負の濃度は水すら被っていない豆腐みたいに薄い、其れはもう薄すぎて不味い位に薄い。
が、この路地裏から感じる濃度の負、負の塊は人間一人には到底収まりきらないもの。
簡単に言えば絵やドラマ、アニメ等で見るお父さん雪だるまの胴体。大きさを可視化するなら其れ位の塊、濃度で言えばキッコーマンの醤油を直飲みする位極端に大きいし濃い。
「あぁ、多分不可視なんな?っつか負の塊でか過ぎて近いと明確な位置掴めんぞ。」
ここにきて初めて知った負を感知する際の粗。別に知りたくなかった。
「負の塊かぁ...これ単純な負の塊か?」
何か違う気がする。負がこれだけ濃密に凝固?凝縮?されてるなら別の何かに変貌してても可笑しくない。
「陳腐だけど呪い、よなぁ~?」
負の塊と言えば呪い。誰かを心底恨む人間が藁人形を神社の境内に生えた木に打ち付ける行い。陳腐ではあるモノの負の塊足りえると思う。
「せやか、んだら何か素質がいるんな。幽霊を見るなら霊感が居る様に、負の塊の正体が見たいなら相応の素質がって奴な。」
案の定自分は素質無し、所謂落ちこぼれ組。実際は此れがどういった存在なのか知りさえすれば、それ自体を認識し視界に映す事は出来る。
まぁ、この存在の正式名称が分からないので不可能だが。
「まぁ、良いや、どうせお前良くない存在なんやろ?負の塊やし。おいたんが消滅させたろや、出血大サービスやぞ。」
失血レベルのなと冗談を言いつつ、負の海の中で確かに感じるひと際濃い負に手を伸ばし、消滅をイメージする。ただそれだけで、真喜自身を覆っていた濃密な負の塊は消えた。
「この世界に居る人類の敵ともいうべきか。」
負の塊を一時的にそう決めつけ再度デルタ捜索へと行動を移す真喜。
「出来れば一夜、無いし一朝で終わらしたいよなぁー。」
折角旅行気分で世界の泡へ飛び込んだのにさして知らん世界にぶち込まれるのは非常に気分が宜しくなかった。何よりデルタに対して申し訳ない気持ちもある。
「然し、呪いかぁ~...ん?呪い?.....あぁ、大分前に誘拐してきた毒親の姉妹が言ってた気がする!」
今や高校生位に成長しており、その姉妹が本来居た世界の学び舎へ通わせるべく、泣く泣く帰したのを思い出す。誘拐を行ったのは恐らく一桁歳の頃、あの時は語彙も稚拙であまり情報を得られなかったが、十歳を超えた今なら聞けるかもしれない。
この世界に居るか知らないが。
「適当にホテル見っけて落ちよ。」
未だ夜の街を飛び続けるのも疲れると考えた真喜は近場のホテルを検索し、一泊することにした。
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翌日、朝
あれから何も起こる事無く無事に就寝した真喜は前日に立てた目的を達成する為動き出す。
「はぁ~、あれや。一辺負の塊感知すっとさぁ、すんげぇ遠くにも昨夜みたいな濃度の負を感じるようになったのぉ。」
今後、脳が頻繁に疲れないか心配になる真喜。何時までも放置するのは気分的に嫌だと思った真喜はデルタ捜索をメインターゲットに、濃密な負の塊の消滅をサブターゲットに据え、行動指針を立て直す。
「前方約九百六十地点に負塊を検知、忠地に消滅させてまいりまぁ~す。」
前方の最寄りの古びた建造物に一つの濃密な負塊を感じた真喜は其れを排除しに行く。
「えーっと、此れは工場け?使わへんなら潰せよ、とは言うモノの簡単じゃないのが現実だもんな、現実はクソ。」
人類の真理を再認識した処で古びた工場跡に入って行く。
「う~ん、でかいのに隠れて小さいのもまちまちとある。ボス敵と雑魚敵って感じな。」
親しみのあるゲームに例え、状況を整理し、ボスより比較的小さく薄い負塊を消滅させて行く。
「雑魚は全部で四なんで割と数は少ない、多くても困るけどな?」
人類の負の塊が大量にあっても対処に困るし、何より純粋に怖い。
人類が人類の負の塊によって滅びるとか普通に笑えないし、顔が青くなる話。
「うん、こういうのは多からず何処かに負の塊を消滅させる役割の人類が居るはずやねん。」
濃密な負の塊がこの古びた工場跡に存在すると言うのに呑気な考察をする真喜。完全にゲーム脳である。
「やっぱり正式名称が欲しい。呪いで良いんかこれ?」
昨夜なんとなくで呪いでは?と考えては見たものの答えは無く、自身の回答に強気に出られずにいた。呪いと勝手に決めつけてはいるものの、この世界特有の概念だったらどうしようか、何もできない。だってなんて概念か知らないし。
「まぁまぁまぁ、ひとまずは負の塊って事で。俺自身も負の塊だって認識してるし。」
一日の献立を決める感覚で決めつけ、ついでと言わんばかりに濃密な負の塊を手で仰いで消滅させる。
「もう一つは?誰か消したんけ?」
この古びた工場跡から五百二十離れた場所に在った負の塊が消滅している事に気づいた。
「やっぱりそう言う役目の人類が存在するんやろなぁ。」
自身の回答に少し自信が沸いた真喜は負の塊があったはずの場所に向かう。
あわよくば消滅させた本人と会話して少しでも負の塊の正体乃至正式名称を聞き出したい、デルタ捜索はそれからでも遅くない。
真喜はそう判断した。
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「いや、自分の足で戻れるから気にするナ。」
寄り道もしたいと一言据えて、スーツ姿の人間に同行を拒絶する人間。否、メカ。
人類と遜色ない形をしており、唯一目立つ違いは剥き出しの歯と茶色の全身。
「それじゃあ、寄り道でもするカ。」
そのメカは肩を回し乍ら、少し散歩でもして帰ろうと歩き出す。
そして、その後ろから。
「はろーえぶりわん、メカ。」
男の聲、其れを聞いたメカは瞬時に振り返り掌の砲口を男に向ける。
「何者だ貴様。」
「おあぁ、待て。怪しいが敵じゃない、断言する。」
大人しく両手を上げて抵抗する気はないとアピールする真喜。
其れを見たメカも徐に、警戒しつつ真喜に向けた砲口を仕舞い、手を下す。
「もう一度聴く、何者だお前ハ。」
「おいたんは、えぇ~っとぉ...異世界から来たおっさんです...。」
「.....はァ?」
至極真っ当な反応である、誰が異世界から来たとか信じるか。純粋無垢な少年じゃあるまいし。
「あっ其れを証明する手段あるよ!」
「何ダ。」
先の一瞬だけで糞程にも信用出来ないであろう奴が何を今更と心の内で悪態をつくメカ。
「あの不可視の負の塊や!あれ、俺見えないんよ。」
「負の塊だト?」
「えっす、大きくて濃い負の塊、人類複数の負が凝縮?して出来たあれ。」
「お前は其れをどうやって知覚していル。」
「えと、そもそも負として知覚してます。」
「・・・」
ますます目の前の男が嘘臭くなってきた。負として知覚とは何なのか、メカには分からない。只、メカにはメカの知覚方法はあるのだろう。
「こっから五百二十離れた地点にある古びた工場跡、其処で濃密な負の塊を排除した。」
「それが終わった頃に此処の負の塊も消滅してた、自分がけしたんちゃうのん?」
まるで分っているかのような顔。自分の発言は間違いではないと分かっているかのような自信のある声色。
「あぁ、そうダ。それも負を知覚していたから解ったのカ?」
「しょーゆ―事、だからあわよくば、負の塊の正体とかその正式名称を知りたいなぁ思て、面貸した次第ですわな。」
当てずっぽうではあったもののひとまず安心し、心を落ち着かせる真喜。
その真喜を静かに見つめるメカ。
「俺も此れから帰路につク、移動しながらで良いカ。」
「えぇ、もう全然それで!」
「そうカ、なら着いて来イ。」
お前の事も学長に報告しなければならないしナと零しつつ歩くメカ、とそれに付いて行く真喜。
真喜がふと思い出す。
「せや、名前聞いてなかった。おいたんは無量塔真喜。自分は?」
「俺は究極メカ丸ダ。」
「せやか、もう一つ聞きたい事聞いて良い?」
「何ダ。」
「何故怪しさ満点の俺をそう許して同行を許可したん。」
「本来非術師なら負の塊等とは言わなイ、人類複数の負が凝縮した等ともナ。」
未知ではあるモノの利用価値があると見られたのかと判断した真喜は成程と頷く。
メカ丸も何だかんだ嘘臭いと思いつつも、今まで非術師から聞いた事の無い言葉に自身のみでは判断できないとし、より上の者に判断を仰ごうと決めたまで。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
京都に存在する一つの学び舎。
京都府立呪術高等専門学校、通称京都校。
真喜はメカ丸に同行し其処に訪れていた。
「んぇっと、此処は?」
「正式名称は京都府立呪術高等専門学校、通称京都校ダ。」
「んぅ、京都校ね...ん?じゅじゅつ?って事はあれは呪いって事け?」
「お前が負の塊と呼んでいた奴カ?それの事なら呪いだナ。」
「あぁ、マジか。」
自分の予想が確りと当たっていて安心した真喜。聲にあからさまに安堵が見られたメカ丸は言葉を添える。
「今からお前の事を学長に伝えてくル。この部屋でじっとしていロ。」
「あ~い、了解でぇす。」
「全く、緊張感のない奴だナ。絶対に余計な事はするなヨ?それでお咎めを食らうのは俺なんダ。」
「分かったって、さっさ行ってきなすって。」
何処までもマイペースな態度に呆れを覚えるメカ丸は、そのまま学長の元へ歩を進める。
「然し、この部屋俺が居ては駄目なのでは?」
畳が敷き詰められた和室、襖を開けば外。
此処でふと考えがよぎる。もしかしてワンチャンス此処、教室的なあれでは?
思考に波が立つことは無いが、一つ小さな恐怖が灯る真喜。何事も起こるなと只管祈るばかり。
「んん~~あ"ぁ".....。だ、誰ですか貴方は!?」
「うぇ....こういった事を願えば願うほど、真逆の展開になるんよなぁ~。」
「えっと、無量塔真喜です。道端で究極メカ丸君と出会い、紆余曲折あって此処でじっとすることを命じられております。」
「は、はぁ...?」
彼我に気まずい空気が流れる。一刻も速く来てくれ、メカ丸。
「え、えと!私、三輪と申します!宜しくお願いします!」
ちゃぶ台の前で正座し、綺麗に礼をする三輪。其れをみて思わず目を剥いて呆けてしまう。
「あっはい。あの、別にあれよ?此処の生徒になるとかではないんで、ね?」
「あれ、そうなんですか?」
「うん、メカ丸曰くおいたんが本来、非術師ならしない発言をしたために学長に判断を仰ぎに行った...と思われる。」
「成程。で、その発言とは!?」
「いやもうお前元気一杯やな、見知らぬ男やろうに。」
元気一杯な三輪の返事に少し引く真喜。単純に事の経緯が気になって仕方ないのだろう、今まで起こりえなかった事態だから?知らない人が来たから?経緯を聴く理由は真喜の知りえた事ではないが、答えない理由も無かった為、嘘偽りなく話した。
「ふむふむ、つまり凄い方って事ですね!」
ビシッと真喜を力強く指差す三輪、真喜はその行動に薄く笑い応える。
「いや、この世界の凄いは知らんけどもや。信じてええんか?そんなん。」
「はい!嘘を言っている様には聞こえなかったので!」
「三輪、良い娘やなぁ....。」
「えへへ///そうですかねぇ?」
「おっさんお前なんや騙されそうで怖いわ。」
「んな!?詐欺なんて引っ掛かりませんよ!」
「いや力強っ。」
何だかんだで暇を持て余すことなく中身の無い会話が続く両名。
然し、其れもそう長くは続かなかった。襖の開く音がした。
「戻ったゾ。余計なことはしていないナ?」
「御覧の通りよ。」
「ふむ、お主がメカ丸の連れて来た謎の男か。」
「いや謎て、いや謎か。」
メカ丸が連れて来た老齢の人物、まぁ大方先に言っていた学長何だろうと言う事は想像に難くない。
その人物とメカ丸もちゃぶ台の周りに腰を下ろし、話を始めた。
「して、その負の塊を知覚するとはなんじゃ。」
「いや、負の知覚ね。人類が抱える小さな負を知覚してるってだけ。」
「本来なら水も纏ってない豆腐位には薄いんよ?負も、けどこの世界で俺が見たのはあからさまに複数の人類の負が凝縮だか凝固だかしたモノ。其れを負の塊って呼んでる。」
「成程、それでお主は其れを視界に捉えることは出来ないんじゃな?」
「そう、見えないけれど確かに存在は感じるって感じ。...そない警戒しなさんな。」
警戒しなくても敵対はしないってと事軽く言う真喜。
「まあ、俺とか俺の家族の命狙うんなら殺すけど。」
「で、それは置いといて。その負の塊の正式名称を知りたいわけよ、おいたんわね?」
「負の塊の正式名称か、それは呪霊じゃな。」
「じゅれい、呪いの幽霊的な?」
「まぁ、漢字を当てるならそうなるのぉ。」
「えっと、学長。この方はどうなるんでしょうか。」
話を静かに聞いていた三輪が学長に質問を唱える。其れを聞いた学長は静かに短く唸りひげを撫で、口を開く。
「お主、此処の生徒にならんか。」
「あぁ~、複数ある可能性の一つ....っすねぇ~。」
「学長!?良いんですカ!こんな得体の知れない男ヲ!?」
「でも、悪い人じゃありませんでしたよ?さっき、学長とメカ丸が来るまでお話してましたし。」
「何?それは本当カ!?」
二名からの思わない答えに聲を上げるメカ丸。三輪は何もされていないから大丈夫とメカ丸を落ち着かせようとするも、すぐには落ち着き切らない模様。
「これ、落ち着かんか。」
「ん"ん"っ、すいません学長。」
「それで、何故この人を生徒に?」
「簡単な事じゃ、目を見れば解る。此の男は態々ワシ等を騙して迄悪事を働く様な男でないとな。」
「え、爺様の目凄すぎね?素直に尊敬するわ。」
「ふん、つけ上がるなよ。」
「あっす...。」
「あぁ、そうじゃ。聞き忘れていたことがある。」
「ん?なんす?」
「お主はその負の塊に、呪霊に、対抗する手段はあるのか?」
「はい、全然ありますとも。」
「ならば良い。こちらで手筈を整えよう。」
学長曰く呪霊自体を認識出来ていなくても、別の形で呪霊を認識出来ている事。
それに対する抵抗手段が確立されている事、呪術界は人手不足が常、一人でも多くの手練れが欲しい。故に真喜を京都校に招いた。
「あれ?結局俺生徒になんじゃん。」
「仲間が増えましたね!」
「何だろうナ...。素直に喜べなイ。」
「別に無理やり歓迎しなくてええからね。」
無量塔真喜(むらたまさき 旧姓:森本)
既婚者。世界の泡に飛び込んだと思ったら異世界にダイビングインしてた。
呪霊を呪霊として認識してるのではなく、濃密な負の塊として認識してる。
又、呪霊そのものが見える訳ではないし、当然呪力も無いので呪霊が見える眼鏡も効果は無い。只負の塊其の物を消滅させてるだけ。
負の塊(ふのかたまり)
負の塊=呪霊
真喜にとっては負の塊と言う概念を消滅させてるだけでも、呪霊と認識し見ているものからしたら、急に全身が爆発四散して死に消えたように見える。