赤髪の男をと戦ってから1週間が経った。つい最近、護はお気に入りの場所が出来た。外の世界の道具などが売られている店「香霖堂」だ。
弾幕を上手に撃てない以上、手ぶらで歩いていたら危ないだろう。能力もまだ完璧に使いこなせるとは言えない。
だから香霖堂にちょくちょく寄っては、手ごろな武器は無いかチェックするのだ。
「いらっしゃい、護」
「どうも。今日は何か入ってるかな?」
「新商品は特に無いなぁ。そういえば、紅魔館のメイド長が君の事を探していたよ」
「紅魔館って、あの霧の湖の近くにある?」
「そう。この間霊夢たちと共闘して弾幕ごっこをしただろう? それを偶然見かけたらしくて、ぜひ主に会わせたいそうだ」
「だったら直接、神社に行けばいいのに……」
呆れる護に、香霖は苦笑して答える。
「妖怪の山は、今は危ないんだろう? 野良妖怪が活性化してるらしいじゃないか」
なるほど。確かに最近の妖怪の山は物騒だ。モンスターの気配に刺激されたのか、目の前のものを食うことしか知らない野良妖怪が、最近活発化してきているという。
「ああ~、そうか。だったら仕方ない、行ってみるか」
護は、頭をガリガリと掻いてそう呟いた。
早苗に事情を説明した護は、紅魔館に来ていた。今は館の外門にいるのだが、真っ赤な館からは凄まじい威圧感が放たれていた。
「(凄い威圧感を放つ館だな。俺は冷や汗をかきそうなのに、この人は平気なのか?)」
「白石護さんですね? お嬢様から話は聞いています。門番の紅美鈴といいます。今、門を開けますね」
「はい。よろしくおねがいします」
「(お嬢様の命令とはいえ、お客様が来るのを『あの子』に言わなくていいのかな?)」
美鈴が不安そうな顔をしている事に気付いた護だが、何故そんな顔をするのか分からなかった。
すると、突然目の前に銀髪の女性が現れた。護は突然の出来事に、声は出さないものの驚いた。
「お待ちしておりました。私はここのメイド長をしております、十六夜咲夜と申します」
「よ、よろしくおねがいします」
「ここから先は、私が案内いたします。それじゃあ美鈴、今日も居眠りしないようにね」
「はい!」
「それでは、参りましょうか」
こうして、咲夜の案内で紅魔館を歩くことになった。しかし、入ってみて唖然とした。どこもかしこも赤、赤、赤。その光景に目をやられてしまい、護は目を擦る。
「申し訳ありません。どこもかしこも赤色で、目がチカチカするでしょう?」
「いえ、大丈夫です」
紅魔館の説明を聞きながら、廊下を歩いていく二人。やがて咲夜が足を止める。
「申し訳ありません。お嬢様の紅茶を用意しなければなりませんので少々お待ちください」
その時、咲夜がニヤリと笑ったような気がした。
「分かりました(いま、笑わなかったか?)」
一瞬だけ見えた不気味な笑み。美鈴の事といい何かがおかしい。しかし咲夜は、疑う暇すら与えずに、護の目の前から一瞬で消える。大人しく、廊下に飾られた美術品を眺めて待つしかなかった。
「遅いな……」
かなりの時間を待っているのだが、あまりにも遅すぎる。さっきから感じる違和感といい、さっきまで居た妖精メイドが居ないことといい、嫌な予感がする。
その瞬間、殺気を感じた護は大きく飛び退いた。
ドカカッ!
さっきまで護がいた場所に、ナイフが数本突き刺さった。遠くを見ると、執事服を着た黒服の青年がナイフを構えて護を睨んでいる。
「勝手に館に入るとは……何者ですか?」
「ここの執事は物騒だな。いきなりナイフを投げた挙句に『何者か?』とはな」
「最近は図書館の泥棒も多いし、貴方も霧雨魔理沙の仲間ですか?」
「図書館で泥棒って、アイツは何をしてるんだ?」
「やはりご存知でしたか。ならば……」
さっきよりも倍の数のナイフが、護に襲い掛かる!
「排除するしかありませんね」
「なんでこうなるんだよ! 本当に物騒だなオイ!?」
「申し遅れました。私の名前は