東方竜人帳   作:G大佐

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2015年7月17日、大規模編集


協力する竜。女達の正体

 人間と一部の妖怪が共存している地帯、人里。そこにある小さな焼き鳥屋の前で、一人の男が掃除をしていた。掃除が一段落すると、男は空を見上げる。

 

「ここでの暮らしも、案外悪くないもんだな……」

 

 彼の名は火渡(ひわたり)リオ。護や霊夢たちによってボコボコにされた、あの赤髪の男である。

 目を覚ますと博麗神社にいたリオは、霊夢からこの幻想郷のことを聞いた。妖怪のことはあまり理解できなかったものの、神も住んでいると聞いた時の驚きようは今も覚えている。

 しかし、その後問題が起こった。霊夢が人里で暮らさないかと提案したときに、リオはすぐに断ったのだ。これは彼の過去が原因なのだが、霊夢ですらあまり知らない。

 とにかく、どこが丁度いいのか考えても、安全面を考えると人里が適していた。人里以外にも住む場所はあるが、その殆どが、住人達の個性が強すぎたからだ。これによりリオは、人里に住む事が決まった。ちなみに、もしもリオが人間を憎むあまりに暴れだそうものなら、霊夢や慧音による制裁があるそうだ。

 最初は嫌がっていたリオだったが、里で過ごしていく内に、人間ならではの素敵な部分を見る機会がたくさんあった。そしてリオは人間にも心を開いていき、今に至る。

 

「ここでの暮らしにも慣れたようだな」

「……護に影夜か」

 

 声のしたほうへ振り返ると、護と影夜がそこに立っていた。実は、影夜と戦ってしばらくした頃、護は自分の能力になっている生き物の事を知ってるかもしれないと思い、影夜とともにリオのもとへ訪れた事がある。

 

「何のようだ?俺の店は夕方から営業するって事、知っているだろう」

「ここ最近の虫騒動について、話したいことがあるんだ」

「……そうか。先に中に入ってろ。俺は掃除道具を片付けてくる」

 

 二人は顔を見合わせると頷いて、中に入っていった。

 

 

 

 

 全員は、焼き鳥屋のカウンターに座っていた。3人には水が置かれている。リオのちょっとした配慮だろう。

 

「それで? 俺に話したいことって何だ?」

「実は、昨日デカイ虫に襲われた」

「なっ!? 聞いてませんよ!」

「悪い、影夜。ここで話しておかないといけない気がしたからな。運よく逃げ出せたものの、またアイツと出くわす可能性があるんだ」

「ほう……。その虫の特徴はあったか?」

「緑色の甲殻に、橙色の鎌のような爪。そして大きな角だ」

「……行動とかは?」

「凄いスピードで突っ込んで来やがった。巨木に角が刺さって抜けなくなってたけどよ」

 

 するとリオは、顎に手を当ててブツブツと呟き始めた。

 

「馬鹿な、おそらくソイツは……。だがどうして?」

「やっぱり、心当たりがあるんですか?」

「おそらくソイツは、アルセルタスって野郎だ。俺がこの姿になる前に居た世界と、同じ場所に住んでる」

「「なっ!?」」

 

 リオと同じ世界からやって来た生き物。通称『モンスター』。護を襲ったのは、そのモンスターに属しているらしい。

 

「リオ。俺の能力はグラビモス、影夜はナルガクルガだったな?」

「そうだ。まさか、戦うつもりか!?」

「そのアルセルタスって奴のほかにも、蜂のようなやつとかに襲われるような被害が出ている。早めにソイツを倒すためには、同じモンスター能力で対抗するしかない!」

「……そうか。影夜はどうなんだ?」

「ここのところ虫の羽音がうるさくて、ろくに眠れていないんですよ。その憂さ晴らしです。それに……護さん手伝いも、しなければ」

「そうかい。……じゃあ決まりだな!」

「えっ? 何がだ?」

「俺も行く。戦力は多いほうがいいだろう?」

 

 二人は驚いた。人間である自分達に、リオは協力すると言うのだ。この騒ぎをしずめようとする事は、人里の人間たちを救う事になる。リオもそれは知っているはずだ。

 

「リオ。何でそんな事を言うんだ?」

「人間の子供を見るとな、思ってしまうんだよ。生まれるはずだった俺の息子も、眩しい笑顔をするのだろうかってな……」

「(リオさん……。貴方は一体……)」

 

 こうして、モンスターと、モンスターの力を持つ者が強力することになった。

 

 

 

 

 

 場所は変わって魔法の森。そこでは、あの黄色髪の女と緑髪の女が木の上から見ていた。黄色髪の女が、緑髪の女に話しかける。

 

「様子はどう、タスク?」

「……人間が3人、こっちに向かってきているよ。ビィ」

「何ですって!?」

 

 緑髪の女「タスク」は、黄色髪の女「ビィ」に様子を伝える。そのことに一瞬慌てるビィだが、すぐに落ち着きを取り戻した。

 彼女は、ランゴスタと呼ばれる蜂の女王、クイーンランゴスタである。彼女は笑みを浮かべながら爪を伸ばす。伸ばされた爪からは、一滴の液体がポトリと垂れた。すると、足元を通りかかったネズミがその液体を浴びる。

 すると、そのネズミは動きが固まり、走ることが出来なくなった。

 

「ふふふ。私たちのことを嗅ぎ付けたのかしら?でもどっちにしろ、私のこの麻痺爪でたっぷりと地獄を見せてあげる」

「ビィが満足したら、叩き潰しても良い?」

「あらあら、ゲネル・セルタスの力を試したいってこと? まぁ別に構わないわ。行きましょう、タスク」

「うん」

 

 二人は木から降りると、凶悪な笑みを浮かべながら人間・・・・護たちの方へ向かっていった。

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