東方竜人帳   作:G大佐

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2015年7月19日、大規模編集


vs虫の女王。騒動の終わり

 護たちがタスクと戦っていた頃、リオはビィが率いるランゴスタ達に苦戦していた。後ろから麻痺針を刺そうとしてくるのだ。裏拳で殴ろうとしても、すぐにうえへと逃げるのだ。

 

「くそっ! しつこいな!」

「修羅場を潜り抜けてきた猛者たちよ? そう簡単にやられるとは思わないで」

「そういうお前は高みの見物かい。いい身分だぜ」

「私の攻撃に、親衛隊の子達を巻き込みたくないだけよ。勘違いしないで欲しいわ」

 

 正面から、一匹のランゴスタが体当たりをしてきた。腕を交差させて身を守るリオだが、守った瞬間、紙で指を切ったような痛みを感じた。

 これは、虫の羽の中でも特に鋭い「斬羽」というものである。舌打ちと同時に血が垂れてきた。しかし、リオもこう見えて、元いた世界では弱肉強食の世界を生き抜いてきたのだ。空の王者としての誇りが、倒れる事を許さない。

 

「あらあら……。親衛隊の子達じゃ物足りなかったかしら? それじゃあ、ブナハブラも追加してあげる」

 

 赤い甲殻に覆われた羽虫が現れる。ブナハブラと呼ばれるこの虫たちは、銃を構えるように尻をリオに向けると、一斉に酸性の液体を発射し始めた。

 リオの皮膚がどんどん焼け爛れていく。

 

「ぐああぁぁっ!」

「痛いかしら? リオレウスの悲鳴を聞けるなんて、嬉しい事この上ないわ」

「舐めるなよ……。クソがぁっ!」

 

 リオは大きく息を吸い込むと、そこから大きな炎を吐き出した。その炎はランゴスタやブナハブラたちを巻き込んでいく。狙いは木の上から見下しているビィだ。油断していたビィはその炎をもろに受けた。

 

「っ!? キャアアアア!」

「飛んで火に入る夏の虫ってな!」

 

 熱さのあまり木から落ちるビィ。しかしリオは油断しない。相手は自分と同じモンスター。人間よりもタフなのだ。

 すると、うめき声を上げながらビィは立ち上がった。

 

「ううぅぅぅぅ……。殺す! 殺してやるわ!」

 

 ビィは爪を伸ばしてリオに斬りかかる。リオはひらりと避けるが、その時に爪が頬を掠った。その瞬間、体の感覚が無くなってそのまま地面に倒れる。

 

「(がっ! 体が……動かない。喋る事すらできねぇだと!?)」

「どうかしら、私から麻痺液のプレゼントよ? 私の爪は麻痺液を出す事ができるの。痛みすら感じずに殺されるのだから、嬉しいでしょう?」

「(ふざけんな! くそ、動け! 動けよ!)」

「あなたは炎の熱さに耐えられるのでしょう? ならば、焼けるような痛みを味わいなさい」

 

 ビィは手から黄色い液体をボトボトと垂らしていく。その液体はリオの皮膚をどんどん溶かしていく。痛みを味わえとビィは入っていたが、麻痺によって感覚が無い。だが肉が嫌な音を立てながら溶けていくのは分かった。

 

「(このままじゃ……。ん? 指が動くぞ?)」

 

 ビィはリオをげしげしと踏みつける。徐々にその痛みを感じるようになっていく。リオは動ける喜びと共に、馬鹿にされている屈辱に怒りが溜まっていった。

 

「あなたを殺したら、人間たちを皆殺しにしてやるわ。今や私はリオレウスすら圧倒できるのだから!」

「……ほう? たとえ麻痺状態が解けてもか?」

「っ!?」

 

 ビィの足と地面の隙間から、リオが怒りの眼差しで睨んでいた。自然と踏みつける足が止まる。その隙を逃さず、リオは足を掴んでビィを木へ投げ飛ばした。

 

「おらぁっ!」

「があっ!」

「立てよ、虫の女王。空の王者の怒りはこれじゃ治まらないぜ!」

 

 ビィの首を掴み、その力を強くしていく。その時の彼女は恐怖の顔に染まっていった。だが、まだ彼女には虫たちが残っている。総攻撃を仕掛けるように指示をしようとするが……

 

「無駄だ」

 

 首だけ虫たちへ向けると、口から炎を吹く。突撃しようとした虫たちはその炎に焼かれていった。

 

「あ、あぁ……。ああぁぁぁぁ!!」

「残念だったな。お前も、親衛隊の奴等と共にやられろ」

 

 容赦なく炎を浴びせるリオ。手を放すと、ビィは火を消そうともがく。しかし火は全身へと回っていく。

 

「い、嫌だ……。嫌d――――」

 

 彼女の言葉は途中で遮られた。炎の塊となったビィは、そのまま地面へと倒れる。

 

「リオ!」

「護か。……終わったんだな」

「そっちも終わったようですね」

「影夜も生きてたか。よし、帰るぞ。霊夢や慧音さんに報告だ」

「「おう(はい)!」

 

 3人は、虫たちの亡骸を背に森から出て行った。

 

 ビィ――――死亡

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