博麗神社の宴会場。虫騒動が解決されたお祝いという事で、宴会は大いに盛り上がっていた。護は早苗に、影夜は紅魔館メンバーに、リオはルーミアやチルノといった幼・・・子供達に絡まれていた。
「だ~か~ら!私にも相談せじゅに戦いに行くなんて、無茶にも程がありましゅ!」
「お、おう……。だが早苗、お前酔ってるだr―――――」
「言い訳は聞きましぇん!」
「アッ、ハイ」
体を包帯や絆創膏で覆われている護は、頬を膨らませた早苗に怒られていた。しかも早苗は呂律が回ってないし、近くには酒瓶が転がっている。これはもう、酔っている事が確定だ。
どうしてこうなったと言わんばかりに奥を見ると、神奈子と諏訪子が早苗を見て大笑いしていた。
「まさかあの二人、こうなる事を分かっていて酒を飲ませたな!?」
「護さん聞いてますか!? 私は怒っているんですよ!」
顔をつかまれて、無理矢理早苗と向き合う形になる。しかし……
「ち、近い! 近いぞ早苗!」
「近づけてるんですよ~♪ うふふ♪」
怒っていたかと思ったら、今度は笑顔だ。満面の笑みを浮かべながらこっちを見つめる。
酔っている事と周りが少しだけ暗いこと、そして早苗から酒に混じった良い匂いがするため、護は顔が熱くなる。
「良かったです。こうやって生きていてくれて」
「まあな……」
「私、護さんがこうやって居てくれるだけでとっても嬉しいんです。だって私、護さんのこと……が……」
段々早苗の声が小さくなっていく。そしてとうとう、護の膝の上で寝てしまった。
「早苗? ……寝ちゃったか」
杯に注がれた酒を飲む。今まで酒を飲んだこと無い護にとって、まだこの香りは少しキツイ物があった。だが、それも何故か悪くない気がした。
リオと影夜は、酒の飲み比べをしていた。影夜は、レミリアから「みんなを心配させた罰として私達を楽しませろ」と言われて、何をしようか迷っていた。その時にリオと出会ったのだ。すると、人里で寺子屋の教師をしている上白沢慧音から、飲み比べが提案された。そして今に至るのである。
「プハァッ! ……どうした、影夜。そんなもんか?」
「そういうあなたこそ、随分と顔が赤いですよ? 降参するなら今のうちです」
「竜の底力舐めんなぁ!」
「紅魔館の執事の名は、伊達じゃない!」
二人とも杯に酒を注いでは、グイグイと飲んでいく。それをみんな楽しそうに眺めていた。中には良いぞもっとやれという声も聞こえてくる。
咲夜は、影夜が倒れた時のために準備をしていると、レミリアが近づいてきた。
「影夜が負けると思ってるかしら?」
「はい。リオの誘いに乗って、最初から飛ばしてるんです。あれじゃあ一気に酔いが回ってしまいますわ」
「そうね。影夜の負けは確定ね。でも、良いんじゃないかしら? ああやって頑張る姿を見れるだけで満足ですもの」
そう言って影夜が居る方に目を向けると、影夜が目を回し居て倒れていた。リオはガッツポーズをしている。
……が、すぐに倒れた。その場に居る全員が二人へ拍手を送る。
「咲夜」
「はい。それでは」
短い会話。しかし、咲夜が一礼すると、すぐに影夜の近くに現れて肩を貸してあげる。ちなみにリオは、霊夢に介抱されていた。
「ふ~はははぁ! 俺は若造ににはまだ負けんぞぉ!」
「はいはい、喜ぶのは良いからとっとと寝る!」
そんな光景を、遠くから見つめている者がいた。
「ふふっ。あの二人のおかげで助かったわね」
「ですが紫様。あの虫たちの卵が至る所に残されました。繁殖力も高く、最悪、幻想郷の生態系に影響が出るかと」
「……おそらく、それらを退治する職業が生まれそうね。霊夢や早苗に頼んでみようかしら?」
「暇を持て余している妖怪に仕事を与えるのも、良いかもしれません」
「まぁ、その件は後にしましょう? 今は楽しむべきだわ」
九尾の狐こと八雲藍とスキマ妖怪の八雲紫は、これからのことに警戒しつつも宴会を楽しむことにした。