東方竜人帳   作:G大佐

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2015年8月9日、大規模編集


暑さの脅威

 ナナシが地底で暮らし始めてから、1週間が経った。その間、幻想郷の特徴でもある弾幕ごっこを知り、パルスィ達と弾幕ごっこの特訓をしていた。

今日も、日課である特訓をしようとパルスィの家を訪れた。

 

「パルスィー、いるー?」

 

 大きな声で呼んでみるが、何故か反応が無い。今度はドンドンと強く叩きながら呼びかけてみた。 

 

「パルスィー!! 僕だよー! ナナシだよー!」

 

 大声で叫ぶが、それでも反応が無い。普通なら「うるさい!」と怒鳴るはずなのに、出てこないのはおかしすぎる。違和感を感じたナナシは、戸を乱暴に開ける。

 

「ごめん、勝手に入るよ!」

「ハァ…………ハァ………………」

「あっ、パルスィ! しっかりして!」

 

 勢いよく戸を開けて中に入る。見ると、水を汲む場所に顔を赤くして倒れているパルスィの姿があった。苦しそうに呼吸をしていたので、額に手を当ててみる。

 

「熱っ! 風邪かな? とにかくお医者さんのもとへ行かないと!」

 

パルスィを背中におんぶして、ナナシは医者がいる大通りへ走り出した。実は彼、幼い外見に反して結構怪力だったりするのだ。

 

 

 

 

 場所は変わり、地上の守矢神社。護たちは暑さにやられてグッタリしていた。団扇をあおぐ気すらなく、早苗にいたっては巫女服の胸元を大きく開いていた。

 

「暑いぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

「護、騒ぐな。余計に暑くなるだろう」

「早苗~……。かき氷作って~……」

「申し訳ありません諏訪子さま……。氷が熔けてしまって作れないんです。」

「あ~~~う~~~~~!!」

 

 上から順に護、神奈子、諏訪子、早苗だ。かき氷が食べられなくて駄々をこねる諏訪子に、とうとう神奈子が切れた。

 

「諏訪子、うるさい!」

「だぁーっ! 大声で怒鳴らないでくださいよ、神奈子さま!」

「チルノとかを連れて来れば良いじゃん!」

「それが、あまりの暑さにチルノも湖から動けないらしいです……」

「嘘だっ!」

 

 風鈴を鳴らす風すら吹かない。まさに地獄のようになっていた。

 

 

 

 

 一方、人里にある焼き鳥屋。

 霊夢は、以前共に戦ったリオの元を訪れていた。ここまでに来る間だけでも、巫女服は汗でびしょびしょである。霊夢はカウンターに項垂れながら、調理場を掃除しているリオに話しかける。

 

「リオ、あんたは暑くないわけ?」

 

 リオは、さすがにこの猛暑だと人が動けないと感づいたのか、焼き鳥屋を閉めていた。一方、こんな暑さの中でもピンピンしているリオに、霊夢は驚くしかなかった。

 霊夢の問いに、リオは苦笑いしながら答える。

 

「あのなぁ。俺は人間たちに火竜と呼ばれてたんだぞ? 火山の空を飛んだこともあるし、このぐらいの暑さは何てこと無い」

「紫が言ってたんだけどさ、これって異変じゃないかと思ってるのよ……。地底の熱がいきなり急上昇して、その熱が地上にも影響を与えているんじゃないかだって」

「ありえるな。この間の異変と同じような強力なモンスターが黒幕ならば、こんなに大規模な事は起こらないだろう」

「だったら話は早いわ。私と一緒にさ、異変調査してくれない?」

「あ~霊夢。こんなこと言うのもなんだけど、それは無理だ」

「なんで!?」

「この暑さで里の人は動けないんだ。もし異変の黒幕の仲間が襲い掛かってきたら、誰が里を守る?」

 

 リオはすっかり温くなった水に雑巾をつけて、絞りながら理由を話す。

 

「霊夢、お前も動くの限界だろう? ……いや、睨むなって。ついさっき紫さんが来て、『霊夢には人里の防衛を依頼する』って言っていたからな」

「紫が?」

「霊夢に無茶してほしくないんだとよ。それに、地底に新しい奴が来たらしくてな……。ソイツが今回の鍵を握るんだそうだ」

「なるほどね。本当は、そんなの無視して異変解決!っていきたいところだけど……。暑さには敵わないのよね~」

「決まりだな」

 

 一応開けていた戸を見ると、陽炎が揺らめいていた。

 

 

 

 

 場所は戻って、地底。ナナシは独りでトボトボと歩いていた。パルスィはその後目を覚ました。倒れた理由は熱中症だそうだ。彼女は様子を見るためしばらく入院するらしい。

 ナナシは、額の汗を拭いながらポツリと呟く。

 

「これ、前に勇義やパルスィが言っていた異変って奴なのかな?」

 

 なんでも、地底は溶岩などがあるため暖かい場所なのだが、突然その熱が上がって猛暑のような状態になっているのだという。パルスィのように熱中症で倒れた人間や妖怪の数があまりにも多すぎて、医者達もてんてこ舞いな状態だった。

 何か大きな存在が、この猛暑を引き起こしているかもしれない。そう考えた時、小さな違和感を感じた。

 

「…………此処だけ、やけに暑い」

 

 その瞬間、強い気配を感じて上を見る。

 

「誰!?」

「ほう? 我輩の近くに居ながらも、この暑さに耐えられる者がいたとは……」

 

 そこには、赤髪に紫の髪が混じった男が、背中の大きな翼を羽ばたかせていた。そして、男の体の周りには陽炎が揺らめいている。

 ナナシの頬を、一筋の汗が伝う。

 

「この猛暑……君が原因だね?」

「ふふ。この地底にある溶岩の温度を、少しばかり上げさせてもらった。この暑さによって、人間共は悶え苦しむだろう」

「一体何のために!?!」

「答えるつもりなど無い。我輩の姿を見たが最後。貴様には死んでもらうぞ!」

 

 全身を覆うほどの巨大な炎が、ナナシに襲い掛かった!

 

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