東方竜人帳   作:G大佐

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護と白斗の過去話です。 時間は、護が早苗と別れてからです。

2017年11月26日 大規模編集


過去話:護と白斗の出会い(1)

 これは、護と白斗が出会った話。

 

 

 その日、とあるクラスは『転校生が来る』という噂で持ち切りだった。それと同時に、『マトモな生徒でありますように』と祈っていた。なぜなら……

 

「…………」

「「(こ、怖ぇぇぇぇぇぇ!!)」」

 

 クラスの一番後ろに、恐ろしい不良である、轟白斗がいるからだ。白斗は、「常に不機嫌・怒らせるとヤバイ・関わってはいけないパンドラボックス」などと、恐怖の対象になっているのだ。

 それで本人はというと、チラリと自分を見てはすぐに視線を逸らすクラスメイトに腹が立っていた。

 やがて教室の扉が開く。

 

「よーし、お前らも噂やら何やらで知ってると思うが、転校生の白石護だ。仲良くしてやってくれよー」

「………………」

 

 肝心の転校生はというと、ジトーっとした目で何も喋らない。この時、白斗と担任以外の人は皆、「問題児が増えた」と思ったそうだ。

 

「っ!」

「…………」

 

 この時、白斗は転校生が自分をチラリと見たことに気付いた。

 

 

 

 

 

 授業が終わった休み時間、普通ならば転校生に色々な質問をするような雰囲気が出るはずなのだが、あまりにも無口な彼に、誰一人として近寄らない。むしろ重たい空気となっていた。

 そんな空気の中を突っ走る人間が居た。白斗である。

 

「おい」

「…………」

「おい、転校生」

「…………」

「なんか喋れよコラ!」

「……良いよ。俺も君と話したいことがあったし、教室から出よう」

 

 白斗は苛立ちながら、護は相変わらずジト目で屋上へと向かっていった。その時の教室からは、一斉に安心した溜め息を吐く音が聞こえたという。

 

 

 

 

 

 場所は屋上。青空が広がり心地よい風が吹いている。しかし白斗はそんなことを楽しんではいられなかった。

 

「テメェさっきから何なんだよ。自己紹介のときもそうだったが、何気なく俺を見やがったよな? それもジト目でよぉ!!」

「……君は、俺と同じ目をしている」

「はぁ!? 何を言ってるんだテメェはよぉ!? 俺の目がジト目だとでも言いたいのか! あぁ!?」

「そうじゃない。目に光を感じない。……もしかして君は『化け物』と呼ばれてたりする?」

「っ!」

 

 白斗は思いっきり護を殴った。言っていることが全て当たっていたからだ。

 

 白斗の母親は、男遊びの激しい女だった。物心ついた時には父親と呼べるような人間は居なかった。知らない男が来るたびに別の部屋で寝るように言われて、いつも独りだった。

 ろくに相手もしてもらえず、ボロボロの自分を周りはあざ笑った。そんな時だった。「変な力」が目覚めたのは。

 気づいたら周りの連中は泣いていて、辺りは滅茶苦茶だった。当然呼び出しを受けたが……母親が来ることはなかった。それからだ。白斗が不良へと進んでいったのは。

 転校生こと白石護が言った「化け物」と聞いた瞬間、それを思い出してしまった。だから殴ったのだ。

 

 その時だ。急に視界が変わったかと思いきや、左の頬に痛みと熱さを感じた。

 

「っ!! テメェ……」

「図星だからっていきなり殴るのはどうかと思うよ……ぐっ!」

「うるせぇんだよ、お前は! ジト目のくせして偉そうに話すんじゃねぇ!」

「ジト目は関係ないだろ! すぐに暴力に走りやがって!だから周りから避けられるんだよ!」

「言ったな、このジト目野郎!」

「あぁ!? やんのかコラ!」

 

 気がつけば、どちらかが殴ればやり返す、という喧嘩が始まっていた。拳ばかりでなく、時には蹴りや頭突きといったマジ喧嘩になっている。

 この喧嘩は、教室へ連れ戻そうとやって来た教師が止めるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 下校時間。白斗はコンビニのおにぎりを食べながら歩いていた。すると、とある家の前に怪しい車が停まっていることに気付いた。

 

「(確かあそこって、俺のクラスメイトの家だったよな?)」

 

 白斗は、クラスメイトの一人に結構貧しい環境にいる女子がいるのを知っていた。父の勤めていた会社が倒産し、母親は内職をしながら、父は懸命にバイト先を探しているという。

 嫌な予感がしつつ見ていると、家から、見るからに堅気じゃない雰囲気の男と、同じ学校の制服を着た女子が出てきた。しかも女子のほうは明らかに抵抗していた。

 おそらく、ヤクザによる借金取りだろう。どこのドラマだと言いたくなってしまう。

 白斗は気がつけば走り出していた。いくら自分を避けていた連中の一人だとはいえ、このまま素通りしたのでは気分が悪い。

 

「ああクソ! 昼間の転校生といい、この現状といい、今日はなんて厄日だ!」

 

 白斗は車の後を追いかけるように、走り出した。




二人の出会いは、最初は最悪でした。喧嘩から始まり、しかも和解することなく終わってしまっているのですから。
しかし、互いのことを悪友と呼ぶようになったのは、次回あたりで明らかになります。
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