東方竜人帳   作:G大佐

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2015年9月7日、大規模編集


誘拐された魔理沙

 魔法の森。多くのキノコが自生しているこの森で、魔理沙と白斗はキノコ狩りをしていた。二人の探すキノコは、アオキノコ。不気味なほど青い色をしているキノコで、魔理沙がこの間たまたま採取した物だった。

 ある実験で、薬草を煎じた物に間違えてアオキノコを入れてしまったのだが、高い治癒力を発揮する事が偶然にも明らかになったのだ。もっと詳しくこのキノコを調べるため、二人はこうしてキノコ狩りをしているというわけだ。

 

「はぁ~。中々見つからないな~」

「いくら青色でも、殆どが毒キノコだしな」

「だけど、絶対見つけてやるぜ!」

「凄い意気込みだな……」

 

 その時、近くの茂みがガサガサと揺れた。二人はすぐに険しい表情になり、辺りを見回す。遠くの川の水が流れる音と、ジメジメしたこの環境を好むカエルの声だけが聞こえていた。

 

「白斗……」

「あぁ。何か居る」

 

 白斗は爪を尖らせ、魔理沙はミニ八卦炉が入っているポケットに片手を突っ込む。その時、白斗の正面の茂みが大きく揺れた。白斗がそこへ向かってキックをすると、茂みから大きな猪が出てきた。

 

「そこだ!」

「ブギィィィィ!?」

「助太刀するぜ、はく――――」

 

 白斗と言おうとした瞬間、後ろから何者かが布で魔理沙の口を塞いだ。何とか抵抗しようとするが、段々体から力が抜けていく。布を持っている男はニヤリと笑うと、そのまま魔理沙を担いで静かに逃げて行った。

 

 

 

 

「くっそ、やけにタフな猪だったぜ。魔理沙、終わった……ぞ? 魔理沙?」

 

 魔理沙の姿が見えない。さっきまで一緒に居たのに、突然その姿を消してしまったのだ。嫌な汗が吹き出てくる。まさか今の猪は囮のモンスターで、自分が相手をしているうちに魔理沙を浚ったのだろうか? 足元を見ると、魔理沙の居た場所に別の足跡があった。さらに木の枝には、何故か泥がついている。きっと木に飛び移りながら移動してるのだろう。

 白斗は自分の不甲斐なさに悔しくて、思わず地面に拳を打ちつけた。ティガレックスの力を込めていたので、クレーターが出来てしまった。

 

「くそ! 絶対助けてやる。待ってろよ、魔理沙!」

 

 その時の彼には、自分の頬に現れる鱗が赤くなっていることに気付いていなかった。

 

 

 

 

「うぅ…………」

「お、目を覚ましたみたいだね」

 

 魔理沙が目を開けると、そこは薄暗い洞窟だった。ランタンの光が微かな暖かさを出しているようにも見えた。

 

「(手が動かない……。もしかしてこれ、かなりヤバイんじゃないか?)」

 

 全くその通りである。今の魔理沙は手足を縛られている。幸いミニ八卦炉は奪われていないようだが、この状態では取り出すのは難しい。

 そして、目の前にいる者が怪し過ぎた。男か女か分からないその者は、白い髪に白い服を着ていた。前髪が長くて、目は見えない。

 

「クンクン……。うん。やっぱりボクは当たりを引いたみたいだね」

「おい! なに匂い嗅いでるんだよ! お前は誰だ!」

「ハハハ。ボクの名前はシロ。少しだけ君に興味があって、ここに連れて来たのさ」

「……目的は何だよ」

 

 すると、シロの笑みが三日月の弧を描くように歪んだ。

 

「ボクの子供を産んでもらうんだよ」

「…………はぁ!?」

「子孫を今のうちに増やしておいて損は無いからねぇ。ボクは雌雄同体だから、女にも男にもなれるよ? ま、ボクは男のつもりでいるけど」

「くっ! ふざけるな! 触ろうとするんじゃねえ!」

「駄目だよ抵抗したら。少し大人しくしてもらおうかな」

 

 シロが指先から青白い光を発する。それを魔理沙の身体に当てた瞬間、身体が痺れて動けなくなった。

 

「……っ! ………………っ!」

「ふふふっ。大丈夫。身体が痺れているから痛みは感じないし動けない。当然、喋る事もできないよ」

「(やばいやばいやばい! このままじゃ本当に……)」

 

 ゆっくりとシロの手が伸びてくる。その時魔理沙は、いつも一緒に居るあの男のことを思い出していた。

 色々な薬の作り方を聞いてきたり、外の世界の話を教えてくれたりするあの男。たまに戦うその姿はとても惚れ惚れする物で、その力強さに……段々惹かれていった。

 

「(嫌だ……嫌だ……! 助けて、白斗)」

 

 心の中で彼の名前を読んだ瞬間、洞窟が大きく揺れた。シロもビックリしている。

 

「な、なんだ!?」

「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 洞窟の奥から聞こえる怒号。だが、魔理沙はその声を聞いた事があった。愛しいあの人の声。モンスターの力を持っていながら、優しい笑みを浮かべるあの男。

 

「は、白斗!」

「なぁに魔理沙に手を出してんじゃああああああ!」

 

 そこには、怒りの表情をあらわにしている白斗がいた。

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