東方竜人帳   作:G大佐

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2017年11月26日 大規模編集


日常:十六夜影夜の日常

 私、十六夜影夜の目覚めは早いです。この紅魔館の主であるレミリア・スカーレット様にお仕えする以上、様々な仕事をこなさなければなりませんから。

 しかし、そんな私の目覚めは……義理の姉である咲夜姉さんよりも早いのです。なぜなら……

 

 

 

「何やってんだ姉さぁぁぁぁぁぁぁぁん!?」

 

 

 

 咲夜姉さん(以降、姉さんと略します)が、今日も下着姿で私の布団に入っています。そう、『今日も』です。

 仕事の時や公衆の面前ではクールビューティーな雰囲気を見せる姉さんですが、私の自室や、私と二人っきりの時は凄くデレデレになるのです。これは、世間で言う「ブラコン」という類なのでしょうか……。

 

「あら、おはよう。影夜♪」

「言ってるよね!? 『俺もいい歳だから勝手に布団に潜り込むのはやめて』って昨日の夜も5回ぐらい言ったよね!?」

「あら? 私には『毎朝下着姿で』って言ってるかと……」

「言ってないよ!? 下着の『し』の字すら言ってないよ!?」

「大声を出すのはやめなさい影夜。お嬢様を起こすにはまだ早い時間よ」

「その原因を作ったのはアンタだろうがぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 私、お嬢様や妹さまの前では敬語(のつもり)ですが、自室だと口調が変わってしまうんです。内弁慶ですかね?

 とにかく、こんな感じで朝が始まります。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、今度はパチュリー様のところへ紅茶をお願い」

「はい」

 

 お昼です。瀟洒モードに戻った姉さんの指示で、私はパチュリー様のいる図書館へ向かいます。

 

「失礼します、パチュリー様。紅茶をお持ちしました」

「……ご苦労様。もうちょっとしたら読み終わるから、少し待っててちょうだい」

「かしこまりました」

 

 ふと見ると、司書である小悪魔さんが抱えていた本の山を崩しかけている!? 私は迅竜の能力を使って、素早く崩れ始めた本を受け止めました。

 危なかったです。埃を被ってる本を崩したら、喘息気味のパチュリー様に害となるところでした。それに小悪魔さんも怪我をするところでしたね。

 

「大丈夫ですか?」

「いえ! だ、だ、大丈夫です!」

「なら良かったです。気をつけてくださいね?」

「はい!」

 

 小悪魔さんの顔が妙に赤いですねぇ。紅霧異変で共闘して以来、小悪魔さんは私に会うたびに顔を赤くします。

 その反応に、もしかしたらと思ってしまいます。しかし私も正直分からないのです。小悪魔さんが恥ずかしがりやなのかもしれません。ですが彼女のアプローチを無視するわけにもいきません。

 

 ……そもそも私は、お嬢様に拾われる前までは、人として愛されたことなどありません。

 

 いや、たった一人だけいましたが、私を認めない人間によって……。おっとっと。危なく昔の感情が蘇るところでした。一言でいうならば、私は『他人を愛する心』が分からないのです。

 さて、暗い話はここまでにして、小悪魔さんにも紅茶を差し入れなければ。

 

「どうですか? パチュリー様も読書を終えたようですし、少し休憩なさっては?」

「……良いんですか、パチュリー様?」

「……時には休憩も必要よ」

「ありがとうございます!」

 

 小悪魔さんはパァァァと笑顔を輝かせ、紅茶のもとへひとッ飛び。喜んでくれて何よりです。

 ……そろそろお掃除の時間ですね。

 

「私はこの辺で失礼いたします。カップなどは後で片付けておきますので」

 

 私は重いドアを閉めて、長い廊下を歩くのでした。

 

 

 

 

 

 

 

 今の時間は夜です。特に語ることも無いので、この時間までの行動は省略させていただきました。

 私は今、お風呂にいます。『従者は常に清潔であれ』という姉さんのお言葉のもと、1日の汗をここで流します。

 

「ふぅ~……。やはりお風呂は良いですねぇ」

 

 ガラガラガラ

 

 ……ん? なぜ引き戸が開いたのでしょう? いくら姉さんといえど、私のシャワータイムには乱入しないはずです。

 

「あれー? 誰かいるー?」

「り、鈴姉さん!?」

 

 もう一人の姉とも言える人、美鈴姉さんが入ってきました。普段は丁寧な口調ですが、やはり私の時だけタメ口です。

 それよりも! なぜ鈴姉さんが入ってくるんですか!?

 

「まだ入ってなかったんですか!?」

「今晩担当の妖精に任せておいたから、今の私はお風呂タイムなのだ~」

「なるほど……って、何気なく私に抱きつかないでください!」

 

 自然な流れで、私の腹に手を回す鈴姉さん。背中には豊満ともいえる女性の象徴ががががががが!

 

「当たってます! 当たってますって!」

「当てているのだ~」

 

 むふー、という声を発して私にその……胸を押し付ける鈴姉さん。私の身体は恥ずかしさで熱くなっていきます。

 

 ガラガラガラ!

 

「やらせないわよ、美鈴!」

「ね、姉さん!」

 

 これはチャンスです! 姉さんに助けを…………

 

「影夜に抱きつくのは私よ!」

 

 救いの船は沈んだよチクショウ!っていうか抱きつくのは私って、アンタは毎朝抱きついてるだろうがぁ!

 

「毎朝、咲夜さんは影夜に抱きついてるじゃないですか! 咲夜さんばかりズルイです!」

「うるさいわよ! その無駄な脂肪の塊をぶら下げて誘惑するんじゃない!」

「そんな発言をしてるから、一時は霊夢にPADを勧められるんですよ!」

「言ったわね! 人が気にしてることを!」

 

 私の存在を忘れて、(主に胸で)口喧嘩をする姉さん二人。っていうか、何気なくメタ発言っぽいことを言いましたよね?

 とりあえず、この隙に逃げましょう。三十六計逃げるにしかずです。

 

 

 

 

 場所は変わって私の自室。私は寝る前に、護さんから借りたある漫画を読んでます。

 

「……ふぅ、明日はこの続きを読むことにしますか」

 

 私は、時を止める吸血鬼が主人公に向かってナイフを大量に向けるシーンで、本を閉じました。いつか私も、ナイフを持ってあのようなポーズをしてみたいですね……。

 きっと明日も、姉さんが潜り込んで私が叫ぶことから始まるでしょう。ですがこれで良いんです。私にとっては幸せな日常ですから。

 

 では皆さま、おやすみなさいませ。

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