東方竜人帳   作:G大佐

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2015年10月3日、大規模編集


現れる強豪(影夜編)

 灰色の空の下、影夜と咲夜は買出しに出ていた。今はその帰りで、霧の湖付近の森を歩いている。

 影夜は腕に力を入れてリヤカーを引っ張っていた。後ろの荷台には大量の食べ物が乗せられていて、空いているスペースに咲夜が座っている。

 

「ほら、しっかり引っ張りなさい。紅魔館まであと少しよ」

「ふぐぐぐぐ……!」

 

 歯を食いしばって更に前へ足を進める影夜。なぜこんな事になっているかと言うと、昼の出来事が原因だったりする。

 昼食が終わり、食糧の確認をしようと影夜が見に来ると、氷精チルノがキャベツを凍らせてパキパキと壊して遊んでいたのだ。何とか追い出そうとしたが、「弾幕で追い払えないなんて、弱っちい!」と言うチルノの挑発に乗ってしまった。こうして弾幕ごっことなり、結果、食糧庫はボロボロ、食べ物もめちゃくちゃという散々な結果になってしまったのだ。

 それを知ったレミリアと咲夜は大激怒。影夜は罰として買出しに行かされたのだった。ちなみに咲夜は監督役である。

 

「くっ! あのバカの挑発に乗ってしまうなんて……!」

「まだまだ未熟ってことよ。さぁ、ラストスパート!」

「ぐぬおおおおお!」

 

 さらに力を入れる影夜。その時である。

――――ガサガサッ!

 

「「っ!?」」

 

 二人は茂みが揺れる音を聞いた。動きを一旦止めて警戒する。その場を静寂が包み込んだ。

 

「……気のせいね。さあ、引っ張る!」

「ね、姉さん。出来れば降りていただくと……」

「何かしら?」

「申し訳ありませんでした! 引っ張りますからナイフをしまってください!」

 

 影夜は顔を青くしながら、再びリヤカーを引っ張り始めた。このとき、影夜はおろか咲夜さえも木の上から様子を伺っている男に気がつかなかった。

 

「オレの相手は十六夜影夜か。しかしあのメイド、隙が無いな。別の奴を利用させてもらうか」

 

 

 

 

「はぁ~。疲れたぁ…………」

 

 影夜はそこらへんの床にどっかりと座り込んだ。食糧庫は、影夜たちが買出しに行ってる間に美鈴が修理していたので詰め込むだけで終わった。その後はレミリアに報告し、土下座して謝罪する事で罰は終わったのである。

 そこへ、一人の女性が声をかける。

 

「お疲れ様」

「あ、パチュリー様。この時間帯に図書館から出られるとは、どうしたのですか?」

 

 普段は紅魔館の地下にある大図書館で読書をしているはずのパチュリーが、なぜここに居るのか? 彼女は誰かを捜しているような表情をしていた。

 

「小悪魔を見なかったかしら? 裏にある薬草畑へ水やりに行ってから、帰ってこないのよ」

「小悪魔さんが? いえ、見てないですけど……」

「そう。全く、どこへ行ったのかしら……?」

 

 パチュリーはブツブツと呟きながら、廊下を歩き始めた。影夜はこのあと、特に大切な用事はない。夕食の手伝いにはまだ早いし、それなら小悪魔を探そう。

 影夜は立ち上がると、紅魔館内を捜すことにした。

 

~それから数時間後~

 

「おかしい。いくらなんでも遅すぎる……」

 

 小悪魔は一向に戻ってくる気配が無い。もうすぐ夕方だというのに、紅魔館全てを回っても居なかった。当然、図書館にも居ない。

 顎に手を当てて考えていると、窓ガラスを突き破って何かが入ってきた。すぐの場を飛び退き直撃を免れた影夜。見ると、それは木の枝を鋭く尖らせた矢のような物だった。それには、何か手紙のような物がくくりつけてある。

 

「これは…………っ!?」

 

 その手紙を読んだ瞬間、彼の顔は驚愕に染まる。すぐに影夜は考え込む。何かの罠ではないかと。敵の挑発に易々と乗ってはいけない。それはもう既に思い知った事だった。

 しかし、彼は止まらずにはいられなかった。すぐにその手紙を投げ捨てると、

 

「………ごめんなさい、皆さん」

 

 そう呟いて、窓から身を乗り出し、そこから飛び降りて森へと走っていった。このとき、投げ捨てられた手紙にはこう書かれていた。

 『貴様の大切な者を取り返したければ、一人でその窓から見える岸辺へ来い』と……。

 

 

 

 

 日が西へ沈み始めた頃、影夜は指定された岸辺へとやってきていた。

 

「確かこの辺りですが……」

「ようやく来たか」

 

 声のしたほうへ振り向く影夜。そこには、顔に大きな傷がある紫髪の男が居た。そこには、服がボロボロになっている小悪魔も居た。彼女は気を失っているようだ。

 しかし、彼は彼女の姿を見て絶句してしまった。彼女の服はボロボロだ。ボロボロなのだが、それはまるで強姦されかけたかのように。

 

「貴様、小悪魔さんに何をした!」

「あ? なぁに、人質として利用させてもらおうとしたが、あんまりにも抵抗するもんだからな。少し良い気分にさせてやろうと思っただけだよ。ま、光弾をくらって腹が痛くなったから気絶させたけどよ」

 

 その時、影夜の頭の中で何かが切れた。身体が熱くなっていく。腕のブレードが現れ、目が赤く光る。

 

「……てめぇはここで殺す。この俺、十六夜影夜が相手だ」

「オレの名前はブラフ。てめぇは所詮人間。俺に勝てると思うなよ!」

 

 ブラフは笑みを浮かべると同時にキックをしてくる。それに応じるかのように、影夜の蹴りも炸裂した!

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