東方竜人帳   作:G大佐

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2015年10月13日、大規模編集


現れる強豪(リオ編)

 護がオウガと、影夜はブラフと戦う数時間前、人里では不審火によって民家が燃やされるという事件が起きていた。すでに死亡者も出ていて、事態は深刻な物になっていた。

 リオはその事に関して、慧音から相談を受けていた。この里で能力を持っているのは、リオと慧音くらいだ。もし里の自警団でも手に負えない事態が発生した場合、能力者が何とかするしかないのだ。今回の事件はまさにそれだろう。

 

「(不審火って言うから、目撃者がいないんだよなぁ。野良妖怪でもないとなると……まさか、モンスターか?)」

 

 事件のことについて考えつつ歩いていると、空の方に気配を感じた。その時!

 

「うぉぉぉっ!?」

 

 上を見た瞬間、そこから炎が放たれ民家を直撃した。幸い、今の家には誰もいなかったようだが、家主が戻ってくる頃には全焼してるだろう。

 

「ちっ、あいつが犯人か! 空を飛んでるんじゃ、目撃者がいないわけだ!」

 

 リオは大きく舌打ちをしながら翼を広げ、勢い良く空へと舞い上がった。しかし放火魔に近づこうにも、向こうはリオに向かってどんどん炎を放ってくる。

 

「ぐうっ! させるかぁっ!」

 

 負けじとリオも、火球を放つ。放火魔はその火球をひらりひらりと蝶のように避ける。そして、一瞬力を溜めように見せると

 

「ぬぐああっ!?」

 

 リオの腹に蹴りを入れた。翼の動きが一瞬止まり、危うく落ちそうになる。すぐに体勢を立て直したが、放火魔の姿はどこにも居なかった。

 完全に姿を見ることは出来なかったが、それでも手掛かりを見つけることは出来た。

 

「……俺と同族か」

 

 

 

 

人里に戻った後、放火魔のことを慧音に伝えようと人里に降りた。先ほどの火事でかなり騒ぎになっているようだ。

 

「やっぱりか……」

「リオか。見ての通り、また不審火だ。今回は死者が居なかったから良かったが、こんなに頻繁になってしまうと……」

「その犯人なんだが、手掛かりを掴む事は出来た」

「ほ、本当か!?」

「ああ。だが、俺のことに気付いたのか、いきなり攻撃してきてな。何とか応戦したが、少し怯んだ隙に逃げられたよ」

「そうか……」

 

 リオは肩を竦ませて苦笑いをする。一方、慧音は不安げな顔だった。犯人は再び火を放つかもしれないのだ。無理もない。

 

「それで、手掛かりというのは?」

「空を飛んでいた。目撃者がいなかったのはそのせいだろう。そして何より・・・俺と同じ翼を持っていた(・・・・・・・・・・・)

「なっ!? まさか、リオと同族と言うことか?」

「おそらくな。しかも青色の翼だ。そいつは多分、亜種と呼ばれる個体だろう」

「亜種……。リオよりも強いのか?」

「だろうな。実際、犯人の蹴りは凄い痛かった。これから仕返しに行くつもりだ」

 

 そう言って背を向けようとするリオに、慧音は慌てて引きとめようとした。

 

「待て! まさか、一人で行くって言うのか!?」

「この人里は俺にとって縄張りみたいなモンなんだ。そこを壊そうとする奴を追い払うのは、当然だろう?」

 

 ただそれだけを言うと、緑桜剣を取る為に自分の家に戻るのだった。

 

 

 

 

《行くの?》

 

 緑桜剣を手にした瞬間、レイアの声が響いてきた。その様子は、まるで戦いに行く事を悲しんでいるようだ。

 

「ごめんな、レイア。俺にとってこの里は、人間を信じるきっかけを与えてくれた場所なんだ。何としてでも守りたい」

 

 そう答えるとしばらくレイアは黙っていたが、やがて静かに話した。

 

《リオ。絶対に、今のリオじゃ勝てないよ》

「なんだと?」

《確かにリオは長い時を生きてきたし、様々な人間と戦った。でも、もし本当に相手が亜種ならば、いくらリオでも勝てないと思うんだ。だって亜種って、上位種でしょ?》

「ぬぐっ、確かにそうだ。だが……」

《まだ人間を見下してるの?》

「そんな訳無いだろう!」

《じゃあ、誰かに協力を頼めるよね?》

 

 こうして、リオは見事に論破されてしまった。気を取り直して彼が向かう先は……博麗神社だ。

 

 

 

 

 博麗神社に着くと、境内の様子がおかしいことに気がついた。灯篭は倒れ、石畳は所々血に染まっている。その匂いに一瞬ニヤリと笑みを浮かべてしまったが、すぐに頭を振って掻き消した。みると、近くにまだ新鮮なモンスターの死骸があった。

 

「これはジャギィか? これだけの死骸を見るとかなりの数だが、なぜここだけ?」

 

 考えていると、遠くから爆音が聞こえてきた。おそらく弾幕に使われる光弾が着弾した音だろう。リオは爪を鋭くして、音のしたほうへ向かう。

 駆けつけると、霊夢がジャギィやジャギノスの群れを相手に弾幕を展開していた。幻想郷ではかなり強い部類に入る彼女だが、長い時間戦っていたせいか疲労の色が見えた。それを見たリオは、手の平に火球を作り出す。

 

「霊夢! 一旦下がれ!」

「リ、リオ!? 何でここに!」

「良いから早く下がれ! 爆発させるぞ!」

 

 そう言うと、作り出した火球を見せた。それを察した霊夢は、すぐに群れの間を掻い潜ってリオの元へ駆け寄った。

 

「どぉらあっ!」

 

 その火球を勢い良く投げつけると、3匹くらいに命中した。その爆風で吹き飛ぶのもいる。やがて仲間が焼かれる姿を見た恐怖か、その場から背を向けて逃げ出した。

 

「さっきまでは連携してたってのに、どうして簡単に……?」

「こいつらはジャギィ。俺の故郷にいた奴らだ。こいつ等は火を嫌う。仲間が火だるまになったのを見て、本能が出たんだろう」

 

 さすが、モンスターの世界で生きているだけあって、詳しかった。

 だが、解説が終わると、リオは何か不審を感じているかのような表情になった。

 

「なるほどねぇ……ん? どうしてそんなに難しい顔をしてるのかしら?」

「いや、少しこの様子がおかしくてな……」

 

 リオはこの状況を不審に思っていた。霊夢に話した内容はこうだ。

 ジャギィたちは「鳥竜種」と呼ばれるモンスターで、小型で群れをつくるタイプの場合、今霊夢の前で燃えてる固体よりも大きな体格のリーダー、「ドス」と呼ばれるものが居るらしい。

 

「だが、ドスジャギィは全く姿を見せなかった。一体―――――」

「リオ、避けて!」

 

 霊夢とリオは、空から強い気配を感じてすぐに散開する。神社に当たる事は無かった。二人は空を睨む。

 見ると、翼を広げた何者かがこちらへ向かっていた。霊夢が結界を広げて突進を防ぐ。

 

「ちっ! まさかここまで来て邪魔をするか」

「え? リオが二人……?」

「ふん。人間に敗れた挙句、その人間を守ろうとする腑抜けと一緒にされたくないわ」

 

 リオにそっくりな顔立ちをしている男は、霊夢を見下した目で見ている。そこへリオが口を開いた。

 

「てめぇが、人里で放火をしている犯人だな? え? リオソウルさんよ」

「私には、主から貰った『蒼炎』と言う名がある。気安く私の名を呼ぶな、この腑抜けが」

「へぇ……言ってくれるじゃねぇか、テメェ……!」

 

 リオの目が、モンスターの目つきになる。それと同時に口に炎があふれ出そうになっている。どうやら、かなりご立腹のようだ。

 一方、霊夢も蒼炎を睨んでいた。それもそうだろう。神社を燃やされかけたのだから。

 

「俺はテメェに蹴り落とされそうになったんでなぁ。たっぷり返させてもらうぜ! そして、人里の人間を焼き殺した罪も償わせてやる!」

「私のほうも、家を燃やされそうになったからその罰をくらいなさい!」

 

 すると蒼炎は、大きく笑い出した。

 

「ふっ……ふふふ……はっはっはっ! 人間と火竜の恥晒しが私を倒すだと? いいだろう。焼き殺してくれるわ!」

 

 そして、博麗神社での戦闘が始まった!

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