二人がどうして互いに『悪友』と呼ぶようになったか、どうして仲が良いのか。
それが、この話で明らかになります。
通算UAが5千人を超えていることに気がつきました!皆さん、ありがとうございます!
2017年11月26日 大規模編集
白斗がヤクザの車を追いかけて数分したころ、とある路地を護は歩いていた。今日は新発売のCDを買おうと思ったのだが、喧嘩をしたことにより先生から説教を受けた。それで少し遅くなってしまったので、近道を通ることにしたのだ。
鼻唄を歌いながら歩いていると、法定速度を無視した車が後ろから通り過ぎていった。そこから少し遅れて、息切れした白斗が来た。
「クソッ! はぁ……はぁ……。待ちやがれ……」
「……何があったの?」
「あ? ……なんでテメェに教えなきゃならねぇんだよ?」
「気になるから。それだけ」
「……チッ! クラスメイトがヤクザに連れてかれた。多分、借金取りだろう」
「そうなんだ……。でも、なんで助けようとするの?」
「……はぁ?」
「だって、その子も君の事を化け物っていうことで避けてたんでしょ? だったら別に助ける必要も無いじゃん」
「テメェ……とことん気にくわねえ野郎だな!本当によぉ!」
白斗は護の胸倉を掴んで持ち上げる。今の白斗は、久しぶりに頭に血が昇っていた。一方、護は相変わらずジト目だ。持ち上げられてる形だからか、見下しているような表情にも見える。
「俺が助ける? そんな訳ねぇだろ! 俺はな、たまたまアイツがさらわれたのを見ただけだ! そのまま素通りしても、後味が悪いだけなんだよ !勝手な勘違いと外道のような台詞を吐くんじゃねえぞテメェ!!」
「……良かった」
「はあ?」
「もし君が『そうか』と言って引き返してたら、君のことを俺は軽蔑してたと思う。今君がやろうとしてる事は、自分のためとはいえ勇気のある行動だと思うよ」
気がつけば、白斗は護を下ろしていた。何故下ろしたのかは分からない。白斗は、無意識にあることを口にした。
「お前、なんで俺にそう構うんだよ?」
「……前の俺を見てるような気がしただけさ」
二人は、車の後を追って全力で走っていた。「君が自分のために行動するなら、俺もそうさせてもらう」というよく分からない理由を述べて、護もついて来たのだ。
「もうそろそろかな? タイヤの跡を残すなんて、馬鹿だねぇ」
「お前、一人称は俺なのに僕っ子が使うような口調はやめろ。寒気がする」
「ちっ……。バレてたか」
いきなり口調が変わった護に、白斗は苦笑いするしかなかった。なぜ口調を変えていたのかは分からない。どうやら自分と同じ性格みたいだが……。
難しいことを考えるのが苦手な白斗は、すぐに目の前の建物に視線を戻す。そこには、いかにもな雰囲気を放つビルがあった。
ヤクザの事務所のオフィス。
「お前さんも可哀想になぁ、借金作るような親に生まれてきたんだからよ」
縄で手足を縛られ猿轡をされた女子を、ヤクザの一人が見下ろしている。
女子のほうは、最初は抵抗していたものの、仲間の一睨みで黙ってしまった。今は恐怖に満ちた目で大人しくしていた。
「今、仲間がお前の親御さんに電話してるが、もし少しでも借金を減らすことが出来なかったら……分かってるよな?」
周りを取り囲んでいる男たちは、ニヤリと笑みを浮かべる。その目は性欲にまみれた目だった。すると、モヒカン頭の男が近寄ってくる。
「親御さんは『もう少し待ってくれ』と言ってやすぜ」
「ケッ! 俺たちが言ったことを理解してぬかしてんのか、あの野郎は!!」
少女は悟った。「今からこの男たちに犯されるんだ。もう、自分の人生はおしまいなんだ」と……。
もう全てを諦めようかと思った、その時だった!
「「ちょーっとお邪魔しまーす!!」」
声がするほうを見てみると、無口の転校生と問題児がいた。しかもその顔は『イイ笑顔』だった。周りの男たちは、高校生が入ってきたことに口を開けたままだった。
「あっれー? ここってCDショップじゃなかったっけ?」
「店を間違えたかー……っとその前に、目の前のコレをどうにかしねぇとな」
ハッと我に返った一人が、凄い剣幕で二人に近づく。
「てめぇ、ここが何処だか分かってフゲァ!」
「おーっと、手が滑ったぁ!」
「てめぇ何しやがゴバァッ!!」
「こっちは足が滑ったぁ!」
モヒカン男が顔面を殴られ、サングラス男が腹を蹴られる。それをやった二人はというと、笑いながら普通に話している。一方、周りの男たちは怒り心頭だ。
「この野郎……只じゃ済まさねぇ!」
「お前ら!やっちまえ!」
ビルのオフィスが、喧嘩の場と化した。
「くたばれぇぇぇぇぇぇぇ!」
「フンッ!」
「なぁっ!?」
「野郎、ぶっ殺してやるぁ!」
「殺されてたまるかっての!」
「ブゲェェ!?」
金属バットを持った若者や、ドスを持った男が襲い掛かってくる。しかし攻撃が単直な物だから簡単に避けられる。すると、後ろから男が鉄パイプで護を殴ろうとする。白斗がそれに気づき、大声で叫ぶ。
「っ! 危ねえ!」
「大丈夫だ。何せ……」
ガギィンッ!
「な……な…………!?」
「俺は化け物だからな」
殴られた頭からは血が出ていない。それどころか岩のようなものに覆われていて、鉄パイプはひしゃげている。
「ば、化け物め!」
「何度でも言うがいいさ。ただし、言った回数だけ俺は鬱憤を晴らさせてもらう!」
「お前……」
白斗はしばらく呆然としていたが、やがて吹っ切れたかのように笑顔になる。
「何を恐れてたんだ俺は……。ハハッ、アハハハハハッ!」
「ん? どうした?」
「なんでもないさ、それより……行くぞ、相棒!」
「おうよっ!」
白斗が男たちを蹴り飛ばし、白斗を襲おうとする奴を護が潰す。時には二人同時にヤクザ蹴りをする。まさにナイスコンビネーションだ。
すると、リーダーらしき男が女子の方へ近寄り、首筋にナイフを当てる。
「お、お前らぁっ! コイツがどうなってもいいのか!? お前らは、コイツを助けに来たんだろ!?」
女子はガクガクと震える。その様子を見て二人は戸惑……わなかった。
「……はぁ?何言ってるの、お前」
「俺たちは『偶然』ここに立ち寄っただけで、別にその女子を助けようとか思って来たんじゃねぇ」
「なっ!?」
「でもよぉ……」
「てめぇの顔つきはちょっとムカつくから……」
「「大人しく殴られてくれよ!!!!」」
その後、大きな物音を聞いた住民が警察へ通報。聞きつけた警察が入ったところボロボロにされたヤクザ達と、その光景を呆然と見ている女子だけがいたという……。
「あー!!スッキリした!」
「素直じゃないよな、お前も。顔つきがムカつくからってのは建前で、本当は人質に取ったやつが許せなかったんだろ?」
「うるせぇ!」
所々アザがある護と白斗が、夕焼けの中を笑いながら歩いていた。最後に女子を人質に取った男は、白斗が「顔つきがムカつくから」という理由でフルボッコにした。
昼間は互いにいがみ合っていたのに、今となっては二人とも笑顔になっていた。
「そう言えば、お前の『化け物』と呼ばれる理由は分からなかったな……」
「見せもんじゃねえし、お前が見たにしても地味すぎるだろうよ」
「護」
「あ?」
「俺の名前は、白石護。もう、お前って呼ぶのは無しにしないかな?」
「……へへっ! 良いぜ。俺の名前は轟白斗ってんだ! よろしくな!」
「よろしく!」
二人が握手をした瞬間、互いの絆が生まれた。これが後に、白斗と白石の『白』という漢字からとって、『ダブル・ホワイト』と呼ばれるのを、護と白斗は知らない……。
二人のコンビ名を必死に考えましたが、我ながらネーミングセンスが酷いw
白石と白斗、互いに『白』という漢字が入ってるのでつけてみました。
二人は、共闘したことによって仲良くなったんですね~。ちょっとベタな展開かもしれませんが、たまには(?)こういうのも良いでしょうw