東方竜人帳   作:G大佐

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2017年11月15日 大規模編集


地底への復讐者

 ナナシの研究所。ここでは、ナナシが中心となってモンスターの生態や対策などを研究している。だが今回はそれを中止し、『ある武器』を作ろうとしていた。しかし、どうやら行き詰っているようだ。

 

「う~ん、いっそのこと爆薬を……でも暴発するかもしれないか……」

「ナナシ~。お茶入ったからこっちに来て~」

「あ、分かったよ~」

 

 設計図を前に唸っていると、最近手伝いをしてくれているパルスィの声が聞こえた。ちょうど喉も乾いていたため、彼女のところへ向かう。

 

「やっほ~パルスィ」

「いつもお疲れ様。はい、堅米茶」

「ありがとう。う~ん、美味しい~ふ」

 

 最近人気のお茶を飲みながら、頬を緩ませるナナシ。こうやってパルスィと一緒にお茶をするのが、一日の楽しみとなっていた。

 

「モンスターの親玉に対抗するための武器を考えてるらしいわね。上手くできそう?」

「設計は出来てるんだ。材料も確保できそうだよ。でも、動力が問題で……」

「あら? 燃石炭って石をを使うんじゃなかった? それで蒸気機関って奴を動かすはずでしょ?」

「うん。でも、燃石炭だと、蒸気を発生させたりするのに時間が掛かるかもしれないんだ。ならば爆薬と思ったんだけどねぇ……」

「ば、爆薬……」

「爆発の衝撃を利用しようと思ったんだけど、爆薬の量を間違えちゃうと、兵器自身が暴発・故障しかねないんだ」

「やっぱり一筋縄ではいかないわね。でも応援してるわよ」

「えへへ、ありがとう!」

 

 パルスィは優しく微笑んでくれた。ヤマメやキスメから聞いた話だと、ずっと前までは他人を寄せ付けない雰囲気を放っていたらしい。些細なことで嫉妬して、相手を突き放すようなことを言ったりしていたという。

 だが、最近は笑うことが多くなったと言っていた。

 最初、勇義やさとりに「過去のパルスィをどう思う?」と聞かれたが、「過去のことはどうでも良い。今こうやって彼女が笑えているなら良いじゃないか」と言ってやった。二人は温かい目で「なるほど」と言ってたが。

 ふと空(地底だから天井と言うべきか?)を見上げると、何か不気味な物が空を飛んでいた。

 

「あれは……!? 馬鹿な! なんで!?」

「どうかしたの?」

「……ごめんパルスィ。ちょっと外に行って来る」

「え? ちょっと、ナナシ!」

 

 不吉な予感がしたナナシは淡々とパルスィに告げると、急いで走っていった。

 

 

 

 

 

 その頃、旧都へと続く道を4人の影が飛んでいた。リオ、霊夢、護、早苗の4人である。

 

「リオ、本当に感じたの?」

「間違いない!あのような感覚は久しぶりだ!」

「俺だけじゃない。白斗や影夜も感じたらしいぞ!」

「まさか……地底にまた龍が現れるなんて」

 

 龍。それは、神でないにも関わらず神に等しい力を持つモンスター。自然災害などを簡単に引き起こすまさに『天災』。

 最近、そのような存在は現れていなかった。しかし、護たちは先ほど地底から強大な力を感じた。大急ぎで地底へと飛ぶ。

 

「あの猛暑騒動の奴と同じ力だ!」

「嘘でしょ? あの黒幕は、ナナシや勇義たちによって倒されたはずじゃ……」

「分からん。だが、もし様々なモンスターが口にしていた『あのお方』による目的の一つなら……」

「面倒くさいことになるわね……。とっとと行くわよ!」

 

 霊夢とリオは、護と早苗を追い越して旧都へと飛んでいった。

 

「ナナシも、この事に気付いてるだろうか?」

「気付いているはずです。それにしても……」

 

 早苗と護は辺りを見回す。そこには長い尾を持ち、蛇のような顔をした鳥みたいなものがたくさん飛んでいた。それも二人を囲うようにして。

 

「このモンスター、まるで私たちを妨害しているみたいですね

「モンスター図鑑で見たことがある。こいつ等は、ガブラスと言うらしい」

「旧都に向かうためにも、倒さなければなりませんね……!」

「「「キシャアアアア!」」」

 

 ガブラス達の牙と、二人の熱線と光弾がぶつかった。

 

 

 

 

 

「(ガブラスの群れ……。それと同時に感じた強大な力……)」

 

 ナナシは走っていた。先ほど見たのは、あきらかにガブラスの群れだ。

 ガブラスは『災厄の使者』と呼ばれている。その理由は、強大なモンスターのおこぼれにあずかろうと、大量にやって来るからだ。地底にその群れが来ているということは、『あのお方』に仕えるモンスターがやって来ているというかもしれないのだ。そのモンスターが旧都にたどり着く前に倒さなければ……大変なことになるだろう。

 だからナナシは大急ぎで、ガブラスが飛んできた方向へと走っていた。

 

「絶対にやらせはしない!」

「あらぁ?何をやらせないっていうのかしらぁ?」

 

 声のした方をを向くと、青い翼で羽ばたいている女がいた。胸の部分と腰の部分だけを隠しているだけで、かなり際どい格好だ。青い髪に赤い目、そして何より……彼女の周りを包んでいる陽炎が特徴的だった。

 ナナシは、彼女から静かに放たれている殺気に、足が竦みそうになった。それでも相手を威嚇する為に、腕を片手剣に変える。

 

「君、モンスターでしょ。それもテオと同じ位の……古龍種か!」

「っ! そう……テオを知ってるの。という事はあなたがテオを……!」

 

 女は一瞬だけ驚いた顔をすると、俯きながらブツブツと静かな声で呟き始めた。

 

「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない…………!」

「っ!?」

「私の夫を奪ったお前を、ワタシハユルサナイ!!」

 

 彼女の手から炎が放たれる。ナナシは瞬時に結界を張るが、爆発の衝撃で尻餅をついてしまう。

 

「うわわあっ!?」

「テオは私の夫だった……。テオは強かった! 私はそこに惚れたの! 勿論テオよりも強いモンスターはいる! でも……たかが人間の作った武器が、人間の姿になってテオを殺したことだけは絶対に認めない!」

 

 先ほどまでの美しい顔は何処へやら。すっかり憤怒の表情に染まり、唾が飛ばんほどの勢いでナナシを罵る。

 

 爪を尖らせ顔を引き裂こうとする。ナナシはなんとか首を動かして避けたが、少し掠って血が出てしまった。

 

 ナナシは女の腹を蹴り上げ、体勢を立て直す。その顔には、冷や汗が一筋流れていた。

 

「もしかして……結構やばい奴を相手にしちゃった感じ?」

 

 

「私の名前はエンプレス! またの名を炎妃龍(えんきりゅう)ナナ・テスカトリ! テオの仇をとらせてもらうわ!」

 

 

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