「ぜりゃあああああ!」
影夜はナイフを投げた後、ボレアスに飛び掛った。腕のブレードでボレアスを斬りつける。
その速さにはボレアスも驚き、とっさに両腕で攻撃を防いだ。
「(ナルガクルガにしては異常な速度……まさか…………)」
「まだまだぁ!」
影夜は攻撃の手を緩めない。白斗のように爪を尖らせ、顔面を引き裂く。
「ぐぅぅぅ……。貴様、希少種の力を手にしてるな」
「何のことだか分かりません。あなたの世界には、同じ迅竜でも個体差があるようですね。ところで……」
「?」
「後ろ、良いんですか?」
「なに!?」
「はぁぁぁぁ!」
後ろを振り返ると、霊夢が大量の札を投げてきた。札? いや違う。札のような光弾だ。その光弾が、ボレアスを狙い撃つように放たれていた。再び驚かされたボレアスだが、すぐに別の行動に移す。
「盾になってもらう!」
「しまっ……! があぁぁ!」
「か、影夜!」
ボレアスは影夜を掴み、盾にして弾幕を防いだ。そして影夜を投げ捨てると、拳から炎を出して霊夢に近づいた。
「リオレウスの男だけが、炎を操れると思うなよ?」
「くっ!『夢想封印』!」
ボレアスの拳が霊夢に触れる寸前に、霊夢の十八番である『夢想封印』を唱える。辺り一面に光弾や弾幕用の札が現れる。
これは本来、遠くに敵がいるときに唱えるスペルカードだ。しかし霊夢は、あえて近距離で唱えた。そうすることで、より正確に狙いを定めることが出来るのだ。
「こんな弾幕……ぐああっ!?」
「ふふっ、貴方も道連れよ!」
ボレアスは抵抗しようと翼で弾幕を打ち消したが、それでも完全に消すことは出来なかった。大量の弾幕がボレアスに襲い掛かる!
しかし、弾幕は霊夢とボレアスを囲むように展開されたため、霊夢も自分の光弾に当たってしまう。
自分の弾幕の威力を味わいつつ、霊夢は地面へと落ちていった。
「無茶するんじゃねえよ。馬鹿たれが」
霊夢が感じたのは、痛さではなく暖かい人肌。目を開けると、リオが空を飛んで、霊夢をお姫様抱っこの形で受け止めていた。
「リオ・・・」
「あいつは結構ダメージを受けたみたいだ。お前は一旦下がって、息を整えろ。その間は俺と影夜でやる」
ゆっくりと地面に降りて、抱きかかえていた霊夢を降ろす。そして、影夜のもとへと走っていった。
「影夜!やれ!」
「ガアアアア!」
影夜とリオのコンビは、ボレアスと戦っていた。リオが空中から火球で攻撃し、影夜は火球の間を掻い潜ってナイフで斬りつける。
「甘いわ、小童がぁ!」
「うっ、ぐうううう!」
ボレアスの足元から、青い炎のようなものが円状に広がる。影夜は思いっきり吹き飛ばされるが、空中で身体を回転させて上手く体勢を立て直した。今度はリオが、緑桜剣を振り下ろす!
「最大火力だ!」
《くらえええええ!》
フランドールのレーヴァテインのように、緑桜剣に炎を纏わせて斬りかかる。ボレアスが炎を使うだけあって、与えるダメージは僅かだろう。しかし、そこをリオは狙っていた。
「『夢想封印 散』!」
「『朧月の蓮撃』!」
霊夢が、光弾を辺り一帯に放つ。しかしそれは適当にばら撒くのではなく、全てがボレアスに狙いを定めていた。
影夜は、目に追いつけないスピードで斬りかかる。ボレアスが影夜のいた場所を見るときには、そこには光弾が。
「ぐぬっ! ぬぐぁあああああああ!」
ボレアスは素早い攻撃に翻弄される。そんなボレアスに狙いを定めているのは・・・リオだ。
「霊夢、影夜、離れろ!『飛竜炎斬』!」
「「っ!」」
二人は急いで後退する。その瞬間、炎の斬撃波がボレアスに命中した。その威力は凄まじく、土煙でボレアスの姿が見えなくなった。
「(……何だ、この嫌な予感は)」
段々と土煙が晴れていく。そして見えてきたのは……
「Gu……Gyaa…………Guaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」
紅い甲殻に身を包む、ボレアスの姿だった。
「早苗。お前は戦えるか?」
「はい! だけど護さんは無茶しないでくださいね?」
「おうよ。白斗もいけるな?」
「勿論だ!」
「私も大丈夫だぜ!」
「よし……戦線復帰だ!」