東方竜人帳   作:G大佐

70 / 76
2017年11月26日 大規模編集


決戦!ミラボレアス(4)

「GuruAaaaaaaaaaaaaaaaaa!」

 

 龍の姿であるボレアスが大きな咆哮をあげる。それだけで空気が震え、霊夢たちは耳を塞いで目を閉じた。ゆっくりと目を開けると、彼が人の姿に戻っていた。髪は燃えるような橙色で、瞳は黄色く輝いている。

 

「身体が熱い……。だが不快ではないな。むしろ心地良いくらいだ」

「じゃあその心地よさを、苦痛に変えさせてやりますよ!」

 

 影夜は一瞬でボレアスに詰め寄り、ブレードで切り裂こうとする。

 しかし影夜が次に感じたのは、自身の皮膚が焼かれたことによる痛さだった。

 

「あああぁぁぁぁ!?」

「おぉ……素晴らしい! これほどの力とは!」

 

 ボレアスの拳から炎が放たれている。影夜は、彼が拳を振るうのを見ることが出来なかった。否、見えなかった。

 モンスター能力者は、能力を発動する際、強大な力と引き換えにモンスターの苦手とする属性も反映される。ナルガクルガの弱点は雷だが、体毛も関係してるのか炎も苦手な属性なのだ。

 

「霊夢、畳み掛けるぞ!」

「分かったわ!」

 

 リオと霊夢が飛びながら弾幕を展開し、ボレアスへと近づく。

 一方のボレアスは、右腕を大きく振るった。すると青白い衝撃波がリオたちを襲った。

 

「がぁぁぁぁ!」

「ぐぅぅぅ!」

「良いぞ……良いぞ! この力さえあれば我らモンスターの繁栄は可能となる! はっはっはっはっはっはっは!」

 

 大きく翼を広げ、空へと飛ぶボレアス。そして再び人差し指を空へ向ける。

 

「まさか、また隕石を落とすつもりですか!?」

「拙いわね……。この状況だと、私の結界でも耐え切れないわ」

「だったら、俺が止めてやる!」

「リ、リオ!? 待ちなさい!」

 

 霊夢がリオを止めようとするが、リオは大きな翼を広げて、ボレアスへと向かってしまった。

 

「(能力かどうかは分からないが、恐らくあの隕石は創られた物。ボレアスを怯ませれば、暴発して逆にチャンスが作れるかもしれない)」

 

 緑桜剣を構え、力を注入していくリオ。緑桜剣に再び炎が宿る。そして斬りつけた!

 

「っ!」

「どうだ!?」

「…………フンッ!」

「なっ…………ぐああああああ!」

 

 渾身の一撃もむなしく、リオは地面に思いっきり叩きつけられた。バゴォン!という音が、衝撃の強さを思い知らせる。

 

「リオ! リオぉ!」

「(霊夢、すまねぇ。お前の忠告を聞いていれば……)」

 

 涙目になりながら駆け寄る霊夢に、心の中で謝罪しながら、リオは意識を落としていった。

 

 

 

 

 

「あ……あぁ…………」

 

 ナナシがやられた。ナナシだけではない。護や白斗といったモンスター能力者やリオ、魔理沙や早苗までやられた。

 残っているのは霊夢だけ。

 

「……無理よ。あんなのに……あんな龍になんて勝てない………………」

 

 霊夢の心は限界だった。ボレアスから放たれる殺気。そして、見せ付けられる圧倒的な力。それらが霊夢の心をへし折るには、十分過ぎた。

 

「ふん。素晴らしい瞳をしていたというのに、これでは失望だな」

 

 指先で火球を作り、霊夢に放とうとするボレアス。もう駄目だと悟った霊夢は、ゆっくりと目を閉じる。

 

 

 

 

「諦めてるんじゃないぜ、霊夢!」

 

 

 

 

「ば、馬鹿な!」

 

 霊夢は目の前の光景が信じられなかった。いや、ボレアスですら驚いている。なぜなら、倒れたはずの護たちが勇ましく立ち上がっていたからだ。

 

「な、なんで……?」

「へへっ。あいつが怪我を治してくれたんだ」

 

 魔理沙が指を指すところには、一人の青年がいた。

 歳は、見た感じは護たちと同じくらいに見える。しかし背は小さい。白髪に赤目の青年は、影夜とリオに何かを撃ち込んでいる。

 何かを撃ちこまれたリオは、ゆっくりと目を開けた。

 

「ぐっ……何だ? 傷が癒えていく……?」

「目が覚めた?」

「……おい、嘘だろ。お前まさか……」

 

 

「えへへっ! 僕ことナナシ、ここに復活!」

 

 

 青年ことナナシは、ニカッと笑っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。