東方竜人帳   作:G大佐

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2017年11月26日 大規模編集


「ただいま」

「ようやく退院かぁ」

「長い感じがしましたね」

 

 妖怪の山の中を歩いている二つの影・・・護と早苗は、守矢神社へ向かっていた。

 

 ……あの戦いから数日が経った。

 

 ミラボレアスが死んだ後、護たちは安心したのか、糸が切れた操り人形のように倒れた。それと同時に護たちの場所に到着した紫は、護たちを永遠亭に運んだ。ミラボレアスの強い気配が消えたのを感じたので、紫はやってきたのだ

 「ナナシが回復弾を撃ち込んでくれたおかげで、数日間治療をする程度で良かった」と、後に永琳は語る。

 ようやく退院することが出来た英雄達は今、それぞれの帰る場所へ向かっていた。

 

 

 

~守矢神社~

 長い階段を昇り終えた護と早苗。鳥居の下には二つの影がある。

 

「神奈子様、諏訪子さま。ただいま帰りました!」

「……お帰り。護、早苗」

「お帰りなさ~い!」

 

 神奈子と諏訪子は、二人の帰還を喜ぶ。自分達にとって家族に等しい存在でもある早苗。そんな早苗に支えられながらも、早苗や自分を守るために強くなろうとする護。

 永遠亭で治療を受けてるということを紫から聞いたときは、内心、慌てたものだった。それが、今こうして目の前で「ただいま」と言ってくれることが、何よりも嬉しい事だった。

 

「よく頑張ってくれたな。今日は私と諏訪子で、ご馳走を作っておいた。まずは神社に入ろう」

 

 神奈子は、母親を感じさせる笑顔でそう言うと、神社へと入っていった。諏訪子もその後に着いて行く。

 護と早苗は一瞬だけ顔を見合わせると、クスリと笑って、神社へと入っていった。

 

 その夜は、守矢神社から笑い声が耐えなかったという。

 

 

 

~紅魔館~

「ようやく……ようやく帰ってこれた」

 

 紅魔館の門に立ち、館を見上げながら涙ぐむ影夜。すると、複数の足音が聞こえてきた。

 

「影夜さーん!」

 

 小悪魔だ。手を振りながら影夜へ向かって走ってきている。その後ろを、美鈴と咲夜が歩いてきた。勢いよく抱きついてきた彼女を、影夜は受け止めた。

 

「ただいま。小悪魔さん」

「約束、守ってくれたんですね……。私、嬉し過ぎて……涙が…………」

「小悪魔さん……」

「え? ……んむっ!?」

 

 影夜は、片手で抱き寄せてキスをする。最初は驚きのあまり目を見開く小悪魔だったが、やがてゆっくりと目を閉じる。

 咲夜たちはその光景を、両手で目を隠しつつも、指の隙間から見ていた。

 

「ふふっ……。私が見たものとは違うけど、結果的に結ばれた訳ね。おめでとう、影夜」

 

 レミリアもバルコニーから眺めながら、影夜の帰還と、二人が結ばれたことを祝福していた。

 

 

 

~魔理沙の家~

 魔理沙と白斗は、魔法の森にある自分達の家の扉を開けた。そんなに長い時間は経っていない筈なのに、どこか懐かしく感じた。

 

「なんつーか、凄い懐かしい感じだな」

「白斗もか? 私も、自分の家を長くほったらかしにしてた気分だぜ」

 

 明かりを点けると、暗かった部屋が明るくなる。白斗の目には、魔理沙の姿がハッキリと写る。

 

「……魔理沙っ!」

 

「おわぁ!?ど、どうしたんだよ。いきなり抱きついて……」

 

 いきなり抱きついてきたことに、驚く魔理沙。すると、彼女の手の甲に涙が落ちた。

 

「俺たち……生きてる……。魔理沙もちゃんといる……」

「白斗……。あぁ。私たちはちゃんと生きている……」

 

 静かに泣く白斗を、魔理沙はそっと抱きしめた。私たちは生きているということを、実感させる為に……。

 

 

 

 

~地底、旧都の入り口付近~

 パルスィは、ナナシの帰りを待っていた。しかし、中々来ない為に少し苛立っている。

 

「遅い……。なにやってるのよアイツは…………!」

 

 すると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。パルスィの胸は、苛立ちから喜びに変わる。

 

「パルスィ~~~~! ただいま~~~~!」

「お帰りー……って、誰よアンタ!?」

 

 目の前にいたのは見たことの無い青年だった。髪の毛が白い所などはナナシとそっくりだが・・・やはり何か違う。主に身長とか、身長とか、身長とか。

 青年はむっとした表情をする。頬を膨らませる姿は、どこか子供っぽい。

 

「いくらパルスィでも、その言い方は無いじゃん~。僕だよ。ナナシだよ~」

「……はぁ!?」

 

 そのおっとりとした話し方や怒り方は、確かにナナシだ。でも、未だに信じられない。

 

「そんなに疑うんだったら、コレを見てよ」

 

 そう言うと、右腕を剣に変化させた。パルスィの中は、疑いから確信へ変わった。パルスィは、ナナシの胸に飛び込み、叫んだ。

 

「遅いのよ……! 身長も伸びて……! でも……お帰りなさい」

 

 

 

~リオの家~

 リオは、人里の人たちに歓迎されながら家に帰ってきた。慧音や妹紅にも感謝されて少しくすぐったい感じがしたが、そういう感じも悪くなかった。

 家に戻り、緑桜剣を置いて、グラスに黄金芋酒を注ぐ。

 

「……今日は祝杯だ。聞こえてるだろ?レイア」

《うん。乾杯♪》

 

 レイアは飲めないが、それでも「乾杯」と言ってあげたかった。リオはグイッと酒を飲む。そして大きく息を吐いた。

 

「……美味い」

《ふふふっ。リオ、今は幸せ?》

「あぁ。全員無事生きて帰ることが出来て、こうして酒を飲めることが出来るのが―――」

《霊夢と結婚したら、もっと幸せかもね♪》

「ぶぶふぅっ!? い、いきなり何を言ってるんだお前は!?」

《だって、リオって霊夢と一緒に行動する事が多いでしょ?霊夢もリオのこと気になってるそうだし……良いんじゃない?》

「お前はどうなんだよ?」

《ふっふっふ~♪一夫多妻じゃなくても、一夫二妻かぁ。悪くないかも♪》

 

 すっかり話を聞かないレイアに、リオはすっかり諦めた。

 

 しかし、彼は知らない。緑桜剣の妖力が強くなってきている事を……。

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