東方竜人帳の本編、最終話です!どうぞ!
2017年11月26日 大規模編集
「それじゃあ、盛り上がっていこうぜー!」
『『イエーーーーーーーーーイ!!』』
白斗の開始宣言と共に、博麗神社での宴会が始まった。護や早苗も、酒が入ったコップを思いっきり掲げる。
護たちの調子が戻り、ようやく宴会を開く事ができた。今回は、モンスター能力者全員が参加している。しかし、気のせいだろうか? 護や白斗はともかく、影夜やナナシも異性と腕を組んでいた。ちなみに異性とは、当然のことながら小悪魔とパルスィのことだ。
ここにいる全員が、幻想郷を守った英雄たちを称えていた。
宴会が始まって数時間。護は宴会場から抜け出した。そして、『あること』を伝えるために、早苗を呼んでいる。
「お待たせしました、護さん」
「すまないな。折角の宴会なのに……」
「構いませんよ。それで、伝えたいことと言うのは……?」
護は大きく深呼吸をする。「よし」と呟くと、早苗のほうへ振り返る。
「早苗。俺はお前と共に居たい。お前の側に居たい。だから……」
「―――――――――結婚してくれ」
少し不器用な言い方だったかもしれない。しかし、いきなりプロポーズされた早苗は、思考が止まってしまう。
「おい? おーい?」
「……ハッ!?」
「……返事を、聞かせてくれないか?」
辺りに静寂が訪れる。ほんの一瞬なのに、長く感じる静寂と言うのは辛いものだ。
「……よろしくお願いします!!」
「ぃよっしゃあああああ!」
護は喜びのあまり、早苗に抱きつく。早苗も護を受け止めて、嬉し涙を流す。
しばらく抱きしめあった後、互いに見つめあう。そして段々と二人の顔が近づいていき……
パシャ!
「「え?」」
「いや~、良いものを見させていただきました! 明日は大スクープですよ~。『ついに守矢神社の巫女と結婚か!?』ですかねぇ♪」
シャッター音がした方を見ると、妖怪の山で新聞を発行している烏天狗、射命丸文がいた。カメラを片手に、ニシシと笑っている。
「文、テメェェェ!」
「皆さーん! 大ニュースですよー!」
「待ちやがれぇぇ!」
逃げるように宴会場へ向かう文と、恥ずかしさで顔を赤くしながら追いかける護。早苗は苦笑いしつつも、文を懲らしめる為に追いかけるのだった。
そして、数週間後…………。
「「結婚おめでとー!」」
守矢神社で、様々な仲間達が護と早苗の結婚を祝福していた。護は袴、早苗は白無垢の姿だ。
「よう」
「白斗……」
「しっかりと早苗を幸せにしろよ?友達として、応援するぜ!」
「ははっ。お前もな。早く魔理沙にプロポーズしちまえ、このヘタレ」
「んだと、この野郎!」
護の頭をクシャクシャに撫でる白斗。すると、影夜が近づいてきた。
「護さん。おめでとうございます」
「おう。確かお前、小悪魔と付き合うことになったんだって?」
「はい。これも、護さんを初めとした様々な方のおかげです」
「え? なんでだ?」
「護さんと出会ってから、私は広い世界を知ることが出来ました。貴方と出会わなければ、私はこうやって仲間達と笑い会えることがなかったかもしれません。……本当にありがとう。お幸せに」
今度はナナシとリオが来る。みんな、ミラボレアス戦で戦った仲間たちだ。
「おめでとー!護!」
「……おめでとう」
「ありがとよ。……聞いたぞナナシ! パルスィと付き合い始めたって!?」
「えへへ~。そうなんだよ。あの後、どう告白しようか迷ってたんだけどね~。でも思い切って告白したよ」
「……俺も、少しは我侭になってもいいのか?」
「ん?どうした?リオ」
「なんでもない。それより俺から言う事は……絶対に妻を泣かせるな。お前が死んで一番悲しむのは、早苗だからな」
「……良いアドバイスをありがとよ。先輩」
三人は笑いあった。
一方、霊夢たちは……。
「まさか、早苗に先を越されるとは思わなかったわ」
「全くだぜ。しかもあの宴会の時だろ? ブン屋から聞いたときはビックリしたぜ」
「妬ましい……と言うのは、この場では無粋ね。とりあえず、おめでとうと言っておくわ」
「おめでとうございます、早苗さん!」
全員が、早苗を祝福していた。そこへ、神奈子と諏訪子がやってくる。いきなりの神の登場に、周りの人々は道を空けた。
「その姿、似合ってるぞ。……おめでとう」
「ありがとうございます。神奈子様……諏訪子様……」
「とうとう結婚か~。本でよく見る、結婚式で号泣する親って、こんな気持ちなんだろうね」
諏訪子にいたっては、少しだけ涙を流している。神奈子は優しい笑みで告げる。
「護は優しい男だ。だがそれゆえに、自らを犠牲にしてでもお前を守ろうとするだろう。そういう兆しが見られたら、力づくでも止めてやれ」
早苗は、白斗たちと笑いあう護を見つめる。彼女の心には、護を支える決心があった。
二人が結婚してから数日後。
二人は珍しく、神社の屋根にいた。とてもいい天気で、日向ぼっこするなら屋根でも気持ちよくなれるんじゃないかと思った護が、早苗を誘った。
「綺麗な空だな……」
「そうですねぇ。風も心地いいです」
「俺たちの間に子供が出来たら、きっと、この空や風に囲まれて育つんだろうなぁ」
「護さんとの子供ですか~。優しい人になると思いますよ」
「はははっ。優しいのは早苗も一緒だ」
しばらく黙り込む二人。だがお互いに顔を向い合せると、護が呟く。
「早苗……。愛してる」
「私も……愛してます。護さん」
二人は目を閉じ、静かに唇を重ねた。
その時に、護が幻想入りした頃のような強い風が吹いたが、その風は二人をさらって行くことは無かった……。
これにて、本編は終了です。……そう、本編は。
これからのことについては、次回の後書きみたいな話で、明らかにしようと思います。