2015年7月5日、大規模編集
幻想入りした男
「ふぅ……。適当に歩いてみたが、どこだここは?」
一人の青年がぼやいていた。黒髪の青年の名は
適当に歩いていたら、やけに古い神社にたどり着いた。辺りは雑草だらけで、建物自体が苔に吞み込まれそうになっている。
「何をしておるんじゃ?」
「!?」
驚きながら振り返ると、いかにも「仙人です」というような格好をした老父がいた。ボロボロの賽銭箱に腰掛け、緑茶を飲んでいる。
「び、ビックリしたぜ……」
「すまんかったのぅ。こんなボロ神社に、お主のような若者がいるのが珍しくてのぅ」
「散歩ついでに寄ってみただけさ」
「しかし、今日は平日。普通ならば学校などがあるじゃろう。何故ここに?」
「……」
護は、自分の手を見つめる。護には不思議な力があった。その力のおかげで様々な危険から身を守ることができたが、それを恐れた人間は、彼のことを『化け物』と呼んでいたのだ。
「……俺は化け物だからさ」
「ほう? 化け物とな?」
「殴られそうになったり、刃物で斬られそうになると、俺の身体が石のようになるんだ。そんな場面をみた奴らは、みんな俺から離れていった」
「ほっほう! それはそれは」
その台詞に、護は少しカチンときた。この老人は自分のことを笑っている。思わず胸倉を掴んだ。
「ちっとも面白くねぇよ!」
「いやいや、わしはお主のことを馬鹿にしてるわけじゃない。確かにその話が真実ならば、人は異形となる存在を排除しようとするじゃろう」
「……その結果が、孤立だよ。俺が何をしたって言うんだ。俺がその場に居ないかのように振舞いやがって!」
老人を降ろした護は、俯きながら自分の思いをぶちまける。普段は気にも留めないのに、何かが壊されれば護の罪。誰かが怪我すれば、それも護の罪。ゆえに彼は学校をサボっていた。もしかしたら、護の心は限界だったのかもしれない。
「ふむ、姿が変わる力を持ったがゆえに、お主は忘れられた存在となったのか……」
「おそらく、俺を覚えてくれている人間は、家族や僅かな友人くらいだろうな」
「そうか。では聞くが、もしもお主のような人間を受け入れてくれる場所があったとしたらどうする?」
「え?」
「その場所はちょいとばかり弱肉強食な世界じゃが……まぁお主なら乗り越えられるだろうて」
「何を言って―――――」
その瞬間、強い風が吹いた。すると、神社から護の姿が消えた。それを見届けた老人はポツリと呟く
「わしはもうすぐ消え去る存在。この神社の神として出来る、最後の行いじゃ。頑張って生きるんじゃよ、青年よ……」
強い風に思わず目を瞑ってしまった護。風が止んだと感じて目を開けると、辺り一帯が森になっていた。
「ここは……っ!?」
護は後ろを振り返る。何か強い気配を感じたからだ。しかし、その茂みには何も居ない。
普通だったら安心するだろうが、そういう時が一番危ない。護はじっと茂みを睨みつける。
「出てこいよ。いるんだろう?」
低い声で茂みの奥に声をかける。すると、ガサガサッ!と何かが飛び出してきた。
それは、護の腰くらいまでの大きさで、小さなエリマキと恐竜のような見た目が特徴的な生き物だった。数は4匹。円を描くように護を囲んでいる。
「なんだ、こいつ等……」
護がそう呟くと同時に、謎の生き物―――ジャギィは一斉に襲い掛かってきた。
主人公の能力は、後々明らかにするつもりです
感想、アドバイス待ってます!