「あんた誰?」
細い目がこっちを軽く睨んでいる感じがした。
「都築節郎です。」
「都築節郎って…1年A組か。」
女の子…鶴見詩船は淡々と喋る。
なぜ初対面の子の名前を知ってるのかって?それは彼女が有名だからだ。クラスは1年F組と離れているが、詩船を知らない人はいない。
昔は男が強いという時代にしては珍しい強気の女の子で、男女問わず彼女に強く出れることはない。
小学生の時に男の子を言葉だけで何回も泣かせたことがあるという伝説もあり、今はスケバンをやっているのではという噂もある。
そんな彼女に1つ疑問がある。
「なんで俺のクラス知ってんの?」
俺は特別目立つ人物ではない、かと言って陰キャ中の陰キャではないけどね。そんな俺と詩船とは接点がないはずだが。
「みんなあたしのことを知ってるのと同じで、あたしも名前とクラスを覚えているの。さすがに顔までは分からないけどね。」
あまり表情を変えずに喋る。どうやら自分を睨んでいるわけではなかったみたいだ。
「それであんたはなんでアコギを持ってるの?」
あまり聞かれたくないこと聞かれた!
まぁ気になるわなそりゃ。恥ずかしいけど隠すまでもないから話すけどね。
「あはははは!それはあんたが悪いわ!」
「そ、そこまで笑わなくてもいいんじゃない?」
「ほんとに作り話みたいなことあるんだ〜。あ〜お腹痛い。」
前言撤回やっぱり話さないほうがよかったわこれ。
「えーっとそれで鶴見さん?」
「詩船でいいよ。」
「詩船もギター買ったんだ。珍しいね、女の子がギターなんて。」
「悪かったね女がギター持ってて。」
「あ、ごめんそういうつもりじゃ。」
「まぁあまりギターを持ってる女はいないから不思議に思っても無理はないか。」
詩船はギターを取り出すと何やらコードなどを繋ぎだした。エレギって結構準備大変なんだ。
「言っとくけどあたしは今のブームに乗っかって買ったわけじゃないよ。ガキのころギターに一目惚れしたあたしを両親がお試し感覚で買ってくれたんだ。そこから10年ぐらいギターに命を捧げているよ。」
そんな過去を過ごした詩船もすごいけど、お試しで何万もかかるギターを買ってあげる両親は太っ腹だな。
「あたしは本気で音楽界に飛び込むつもりだよ。ブームに乗って満足しているその辺のやつらとは一緒にしないで欲しいよ。」
「う"っ!」
種類が違えど、その辺のやつに俺も含まれるから刺さるんだよねそれ。
「本当は出て行ってもらいたいところだけど、あんたならいいや。」
「え、いいの?」
「いつも使っているけど別に予約しているわけじゃないから。早い者勝ちだからな。それにアコギ持ってるやつはライバルだと思わないし。」
「うん多分後者の理由が一番なんだろうな。」
「それにあんた初心者だろ。よかったらあたしが教えてやるよ。」
なんでって聞くまでもないか。10年もギター弾いていれば音を聴いただけでもわかるか。
「じゃあお願いしようかな?」
「ほんと感謝しなさいね。」
そういえばなんであなた居座っているの?そりゃ後から入ってきた人が追い出すなんて非常識だよ?でもスケバンの噂があったからそうなると思ってたからそこは意外だった。でもなんの違和感もなくいるけど俺には追い出す権利あるからね?
まぁギター教えてもらえるからいいけど。
「あんた握力なさすぎだろ?あたしでもこれぐらい握られるよ!」
「ご、ごめんなさい…」
「まったく情けないな!」
なるほど。これはメンタル弱いとすぐ心折れるわ。
泣かされた男の子に少しだけ同情しました。
オーナーの学生時代の性格はもちろん本作では分かりません。なので美竹蘭と巴さんとるいるいを足して割る3みたいな感じでやっています。
そして早速お気に入り登録、評価、感想ありがとうございます!ほんとにモチベーションが上がって助かっています。それでは次回もお楽しみ