「なぁ、都築さ最近鶴見さんと一緒にいること多くね?」
「そうかな?」
なんの特別もない放課後。クラスの中でもそこそこ話すやつに声をかけられる。
「いや、鶴見さんとは中学で同じだったんだけど、あいつ女子ですら近づきたくないオーラを放っていたんだよ。」
「えぇ…男子ならわかるけど女子までも?」
「正直お前すごいよ。」
そこまで恐れられる詩船とはいったい…
「それでそのうち付き合ってヒューヒューとか!?」
「いやいやないない。そんな下心晒すとボコボコで済むかどうか。」
「それで済むならいいね。」
怖いこと言うなよ…
ところでこの話を聞くに、詩船は友達がいないのかな?あとで聞いてみるか。
「なぁ詩船ってぼっちなの?」
「うるせぇぼっち野郎が。」
いつもの空き教室でのギター練習で質問ぶん投げたら速攻ピッチャー返しされました辛い。
「もうちょっと聞き方ってもんがあるだろ。」
「確かにそうだけど、俺はぼっちじゃないよ!」
「否定は認めている証拠だよ。」
「いや確かに特別仲がいいやつはいないけど、クラスで孤立しているわけじゃないからね?」
ほとんどの友達は別の高校に進学したため疎遠になっている。
高校のやつらも悪いやつではないけど気が合うかって言われたらそれは嘘になってしまう。これってぼっちだな…
「そうか…あたしみたいに完全に孤立しているわけじゃないんだな。」
「ご、ごめん。じゃあ続きでもやろっか。」
何もない教室で哀しくて下手くそなギターの音が響く。
なんかやる気が湧かないなぁ…
「……なぁ、あたしの過去の話、聞いてくれるか?」
「え?い、いいけど」
そうか。詩船のギターが響いていないから寂しかったのか。
「あたしこう見えても昔は大人しかったんだ。」
「……別に見栄を張らなくてもいいんだぜ?」
「張ってないよ!と言っても信じられないか。」
いつの間にかケースにギターをしまいながら続ける。
「そんなあたしでも親友と呼べる友達がいたんだ。そいつも気が弱くてな、小学生のころはよく2人でいじめられていたんだ。」
「いじめってそれは男子に?」
「そんな深刻なものじゃないさ。あたしは耐えていたけど、友達はいつも泣いていた。泣いていたけど、あたしは何もできなかった。」
「そうなんだ…」
「だからあたしは強くなろうと、男子に舐められないぐらい堂々としようと。」
「だから今の詩船がいるのか。それでその親友ちゃんは?」
「どっか行っちまったさ。」
「えっ!」
「そんな性格に変わっちゃったから、きっと逃げられたんだよ。いじめていた男子もそのうち引っ越ししていなくなったけど、残ったのは怖い女の子というイメージだけ。それからギターも引けば余計に怖くて近づかないよね誰も。」
夕日に反射する顔はどこか泣いているように見えた。何か言葉をかけようも、何もかける言葉が出て来なかった。
「あーもうパッとしないな!カラオケ行こカラオケ!」
「行こって今から!?夕日沈みかけてるけど…」
「明日休みだしいいじゃん!」
「わ、わかったよ。小遣い足りるかな…」
ごめん、気が利くような言葉かけられなくて。
「どうよあたしの歌は?」
「お世辞で言って上手いよ。」
「ちょっとストレートすぎない?」
「そうか?少し変化球も入れた褒め方だと思うけど。」
「余計に辛いわ!」
詩船の歌は特別に下手というわけじゃない。ただ平凡っちゃ平凡。歌なら詩船よりも上手い人は学校に何人かはいるでしょ。
「だったら節郎も早く歌いなよ!」
「いいけどオードソックスなやつしか歌えんよ?」
「なんでもいいわ!バカにできる材料さえ手に入れれば。」
「あんた性格悪いって言われたことあるだろ。」
そこから2時間という時間はあっという間だった。
俺が歌えば詩船が合いの手を入れるし、ギターで少しアレンジしてくれる。詩船が歌えばマラカスなどで俺が盛り上げる。間に2人でデュエットに挑戦したりと楽しい時間を送った。
『あと10分で終了です!延長はどうですか?』
「もうそろそろ終わりだって、どうする?」
「まだまだ歌いたいけど、もう夜だし帰ろっか。」
「そうだな。終了で大丈夫です。」
『かしこまりましたー!』
夜はもう暗くて、都会にしては星がよく見える。
「じゃああたしはこっちだから。」
カラオケでのあーだこーだ話していると、すぐ家の近くになる。
「いいか?家まで送るよ。」
「大丈夫さ。どーせ怖くて誰も近づかんわ。」
「そ、そっか…」
多分自虐ネタだろうけど素直に笑えない。
「じゃあな。」
「詩船!」
「?どした?」
「また学校でな!」
「おうよ!」
照れくさくて誤魔化しちゃった…けど、俺はあんたがどんなに怖くても、誰も関わらずに離れようとも、俺は絶対に友達なんてやめないからな!
久しぶりに2次創作書いて楽しいと思える自分がいる。ところでオーナーがヒロインの小説って2次創作なのかな?
なんでもいっか笑