ヴィランによる正義執行!   作:白白明け

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皆様の暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m




個性『オーバーホール』③

真に賢しい(ヴィラン)は闇に潜む。それはむやみやたらに現れず、現れた時には目的を果たしているという事だ。

その点で言えばアマテラス製薬は一流の(ヴィラン)と言って良かった。

死穢八斎會の組長の孫娘。治崎壊理が持つ個性『巻き戻し』という奇跡を、アマテラス製薬の主任技術者である矢張(やはり)芭香那(ばかな)は求めて止まなかった。

人体にのみ影響を及ぼす『巻き戻し』の力は、薬学の分野に応用すれば文字通りの“万能薬”を作り出すことが出来だろう。身体が機変(きへん)(きた)す前に戻してしまえばいいのだから、簡単だ。

少なくとも薬学分野の天才である矢張からすれば簡単なことだった。

 

万病の特効薬という“全人類の夢”は、矢張の手の届く所にあった。

 

しかし、矢張にとって面倒であり、人類にとって悲劇だったのは“核”となる少女がヤクザ者に囲われているという事だった。

黄金よりも貴重な『個性』を持つ少女がヤクザ者達の手にある事に対して、矢張は憤慨し、矢張の協力者たちは嘆いた。

 

「“全人類の夢”は、手を伸ばせば届く所にあるのッ‼なら、我々は手を伸ばさなければならないわ‼それが、天才の義務なのよ‼」

 

矢張の堂々とした言葉に彼女の協力者であり、“万能薬”を望む人々は呼応する。

 

難病を抱えた男は警察官としての職権を行使して死穢八斎會の組長宅の周辺で情報を集めた。

不治の病を患う娘を持つ母親は笑顔で素顔を隠しながら近所のおばちゃんとして死穢八斎會へと近づいた。

余命三年を宣告された恋人を想う青年は善良な一般市民を演じて縁日に現れた死穢八斎會の人間が怖いとヒーローに訴えた。

 

天才・矢張の描く作戦の段階(フェイズ)は速やかに密やかに進行した。

そして、最終段階(フェイズ)。矢張はその手に“核”である少女を手に入れる。

 

雄英の体育祭の当日、世間がそちらへと関心を寄せる日を狙い矢張は動いた。

 

その日、アマテラス製薬による襲撃を予想して壊理の元から離れることのなかった治崎は死穢八斎會の本部から離れなければならなくなった。

始めのアマテラス製薬の襲撃により、銃撃されて入院している組長の容体が急変したとの一報が届いたのだ。

 

 

《大変だ!若頭ッ、アンタの『個性』で組長(オヤジ)を助けてくれ!》

 

「どういうことだ!組長(オヤジ)の容体は安定してたんじゃないのか?」

 

《ああ、銃の傷は大丈夫だったんだ。ただ医者が言うには、なんかの感染症にかかっちまったんじゃないかってッ、ともかく早く来てくれよ!若頭の『個性』なら、組長(オヤジ)の身体も治せるんだろ!?》

 

「…わかった。直ぐに行く」

 

 

治崎は壊理を鉄砲玉・八斎衆の数人に任せて病院へと向かった。幸いにして組長の容体は其処まで悪いものではなく、治崎が“修復”することで治った。

しかし、それこそが天才・矢張の最終段階(フェイズ)

全ては治崎という怪物を壊理の元から遠ざける為に仕組まれたことだった。

 

警察官の男が遊び盛りの年頃である壊理が最近は外出していないという情報を集めたのも、近所のおばちゃんがタイミングよく開催する縁日について書かれた回覧板を持ってきたのも、青年がヒーローへ通報したせいで治崎達が慌ただしく会場を後にしなければならなかったのも、全ては繋がり治崎を壊理の元から引き離す。

もし縁日で壊理が嫌な思いをせず、壊理に外へ出たくないという気持ちが無ければ、治崎は壊理を連れて病院へと向かっていただろう。

しかし、壊理はお留守番を希望して、治崎は壊理の気持ちを尊重した。

 

だからできてしまった明確な隙を突き、アマテラス製薬が抱える汚れ仕事を請け負う闇の部隊は死穢八斎會本部を強襲した。

治崎が事態を聞きつけて戻った頃には、大勢の組員がやられていて、八斎衆の半分も(たお)れていた。そして、壊理は攫われた。

 

()()()()()()()を治崎は奪われた。

それでも彼の冷静さは失われない。傷つき斃れた八斎衆を修復(なお)しながらに問う。

 

(ウチ)の看板に泥を塗った馬鹿は、アマテラス製薬で間違いないんだな?」

 

頷く彼らに治崎は言う。

 

「なら、助けに行くぞ。俺の役に立て。お前たちはその為に集めた“駒”だ」

 

治崎と八斎衆のやり取りを聞いていた組員たちは治崎の事を冷たい奴だと思っただろう。

組員たちは八斎衆が命懸けで壊理を守ろうとしていたのを見ていた。力が及ばなかったが、労いの言葉くらいは駆けてやるべきだと治崎に言う。

しかし、八斎衆の面々は違う。彼らの大半にとって最も恐ろしいことは治崎に役立たずだと思われることだ。彼らは社会に捨てられた者たち。表の世界で絶望して、人生を捨てた者たち。生きる価値を見出せなくなっていた彼らに治崎は“駒”として生きる道を示した。

 

それは一見すると洗脳に近い。しかし、社会には道を示されなければ生きていけない人間がいる。

誰かに必要とされなければ人は生きてはいけないとするなら、彼らには治崎の様な救世主が必要だった。

 

自分達は“壊理を守れ”という命令は果たせなかった。

しかし、それでもまだ治崎が自分達を必要としていることに涙すらも零しながら、彼らは治崎の後に続く。

 

(これ)が発端だった。

世間が雄英の体育祭に沸く中で人々の目に触れることなく、この国の犯罪史に残る組織は誕生する。

後に名付けられた名は『死穢八斎會・残穢(ざんえ)』。

それが、この国の最後の侠客と呼ばれる者たちの始まりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「壊理がさらわれた。これから助けに行ってくる。組長(オヤジ)は何も心配しなくていい」

 

《勝手に決めんじゃねェ。入中をそっちに寄こすから、それまで待ってろ》

 

「間に合わなくなるかもしれない。それにまた組長(オヤジ)が狙われるかもしれないから、兵隊は動かさない。助けには俺達だけで行く」

 

《おめェ、偶には俺の言うことを聞かねェか。勝手は許さねェぞ》

 

「大丈夫だ。壊理は必ず無事に連れ帰る」

 

《そういう話をしてるんじゃねェんだ。壊理の為におめェが無茶して、豚箱に放り込まれるような事になれば同じじゃねェか。俺は、おめェの事も家族だと思ってるんだ》

 

「…やっぱり組長(オヤジ)みたいな人間が、上に立つべきだ。その為に迷惑はかけられない。壊理の事は任せてくれ」

 

《切るなッ!俺には部下が勝手にやった事だなんてッ、ダセえ台詞(セリフ)を吐かせるんじゃねェぞ。わかっ−−−

 

 

 

 

 

糞ったれな世の中ではあるが、社会の上に立つべき人間はいると治崎は思っている。

それは決して危険思想を振りまく狂人ではなく、周囲を英雄症候群に罹患させるような特別な人間でもなく、ひと昔前なら探せば町のどこかに居たような人間。

義理。人情。仁義や侠義。古臭いと打ち捨てられたものを抱えながら、羨望(せんぼう)せずには居られなかった偉大な親分(おや)の背中。

その背中を押したいと思うから、極道(彼ら)はなんだってやってのける。

 

まだ日が高い正午、どこかの臆病な獣とは違い闇に紛れる事などせずに堂々とアマテラス製薬の余子浜支部までやってきていた。

 

電源(マーク)のタンクトップを着た筋骨隆々の巨漢。活瓶(かつかめ)力也(りきや)が鉄砲玉・八斎衆の先陣をきり、ドアを叩く。

 

「昼間から大人数でぇ…お邪魔しまーす‼」

 

なお、そのドアは大企業に相応しい自動ドアであり、そのノックで自動ドアの硝子はけたたましい音と共に破壊された。

 

フロントに散乱する硝子の破片。突然、訪れた来訪者にその場にいた一般従業員たちの思考が停止する。筋骨隆々の巨漢である活瓶の後に続いて社内に入ってくるのは、明らかに堅気ではない男達。

非日常的な光景に固まる他にない彼らに向けて、つばの広い帽子にコートを羽織り眼鏡をかけたインテリ風の男。音本(ねもと)(しん)が懐から拳銃を取り出しながらに言う。

 

「”この場に、壊理さんの誘拐に関わったものは?”」

 

「「「「いいえ」」」」

 

音本の質問にその場に居た従業員の全員がハモリながら応える。

音本の個性は『本音吐き』。彼の問いかけに人は真実を答えずにはいられない。

 

一般従業員は壊理の誘拐に関わっていないという確証を得た音本が治崎に向けて言う。

 

(わか)、どうやらやはり誘拐は一部のモノの犯行のようです」

 

「やはりか。なら、部外者に用はない。叩きだして、お前と活瓶は此処に残りやってくるヒーロー共を中に入れるな。精々、30分だ。できるな?」

 

「はい!まかせてください!」

 

治崎の命令を受けて音本が拳銃を天井に向けて発砲する。銃声という衝撃(ショック)を受けて、固まってしまっていた一般従業員たちは我を取り戻し、悲鳴を上げながら次々に建物の外へと逃げていく。

 

建物の入り口は押さえた。治崎たちは二人を残し建物の中へと進んでいく。

壊理の捕らわれている場所の大体の見当はついていた。アマテラス製薬による組長襲撃から、今回の誘拐までの間、治崎たちはアマテラス製薬について調べていた。

四国に本社を置くアマテラス製薬が所有する建物の中で此処、余子浜支社は関東県内で最も大きな研究設備をもつ場所であり、壊理の『個性』研究をするならここ以外にはあり得ない。

そして、その研究設備は地下室にある。

 

地下に向かう階段を見つけた所で鉄砲玉・八斎衆、最強の男である乱波(らっぱ)肩藤(けんどう)が突然、立ち止まる。

そして、辺りの臭いを気にしながら、満面の笑みで言った。

 

「強い奴の気配がする!なあ、治崎‼()ってくるなッ」

 

「…好きにしろ」

 

「止めないのかッ!お前、良い奴じゃねーか!殺すのは今度にしてやるッ」

 

乱波は「わーい!」と、はしゃぎながら何処かへ走っていってしまった。地下闘技場出身である彼の独自の感性が強敵を察知したなら、間違いはないのだろうから、好きにさせておくのが一番いいと判断する治崎は乱波の子守役として糸目で和装の男に声を掛けた。

 

天蓋(てんがい)、乱波についていってやれ」

 

鉄砲玉・八斎衆の中で乱波を物理的に止めることができる天蓋(てんがい)壁慈(へきじ)は頷いた。

 

「心得た。道中、気をつけて」

 

天蓋はゆっくりとした足取りで乱波の消えた方向へ歩いていった。

 

 

 

地下に降りた治崎たちを待ち受けていたのは、ピンクの長い髪をポニ―テールにして大きな眼鏡を掛け、サイズの大きい白衣を羽織った小柄な女性だった。

 

「私の名前は矢張(やはり)。待っていたわ。死穢八か―――

 

 

やはりの言葉はそれ以上に続かなかった。彼女が喋る最中に鉄砲玉・八斎衆の一人である窃野トウヤが発砲した。金髪に細いルックスの最近の若者である窃野はあからさまに敵である相手の言葉を待たない。

しかし、銃弾は矢張の身体をすり抜けた。

 

よく見れば矢張の姿は空間に投影されたホログラムだった。

 

―――なにすんのよ!まだ天才である私が話してる最中じゃない!バカ!》

 

「若頭。矢張とかいうこの(アマ)が主犯ですかね?」

 

「…矢張芭香那。聞いた名前だ。たしかアマテラス製薬お抱えの薬学者だったか。危険性のある薬物を作っては闇に流している奴だ」

 

《私を知ってるなんてアンタはポイント高いじゃない!でも、そっちのバカは駄目ね!天才の私を無視する奴なんて死んじゃえばいいんだわ!》

 

矢張のホログラムの後ろから、黒い軍服を着た八名の男達が現れた。軍服の男たちの手には銃火器が握られている。

彼らはアマテラス製薬が抱える闇の実行部隊。死穢八斎会を襲撃し壊理を攫ったのも彼らだ。窃野たちにとっては一度、負けた相手。

しかし、窃野は堂々とした口調で言う。

 

「ここは俺らで足止めしますわ」

 

「お前たちに出来るのか?」

 

窃野はニヤリと笑う。

 

「襲撃の時は多部(たべ)がトイレに行ってたから、三人そろってなかったんです。俺達三人の連携があれば、時間稼ぎくらいは出来ますって。なあ?」

 

窃野の言葉に彫りの深い顔立ちにスキンヘッドの男、宝生(ほうじょう)(ゆう)は頷いた。

窃野の言うもう一人である多部(たべ)空満(そらみつ)はお腹をグゥグゥと鳴らしながら、何度も頷いていた。

 

「なら、任せるぞ」

 

任せたからには振り返らない。治崎は窃野たちを残して先に進む。元より治崎の眼には壊理しか映っていない。鉄砲玉・八斎衆は治崎にとって壊理を救う為の駒でしかない。

それを天才な頭脳で悟った矢張のホログラムは残された三人を憐れみながらに言う。

 

《アンタら、捨て駒にされてるわよ。バカにはわからないのかしら、可哀想》

 

それを聞いた窃野は笑い。宝生は言う。

 

「俺達は元々、人生を捨てたゴミだ。捨て駒で結構。ゴミにはゴミの使い道を示してくれる。そんなあの人が、俺達は好きなんだ」

 

《ふーん、アンタらは思考放棄が得意のバカなのね》

 

「何とでも言えばいい。あの人はアレで、期待してくれてんだよ。なあ、窃野、多部」

 

「その通りだ!」

 

「………はらへった」

 

誰に何を言われようとも彼らは彼らの役目を果たす。

 

《バカには何を言っても無駄ね》

 

矢張のホログラムが消えたのを合図に窃野と宝生、多部の三人と黒い軍服の男達がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

 

アマテラス製薬、余子浜支社の地下三階。ご丁寧に『天才・矢張のけんきゅーしつ』とプレートの掛けられた部屋の前までやってきた治崎は側近である玄野と鉄砲玉・八斎衆の最後の一人である酒木(さかき)泥泥(でいどろ)をその部屋の前で待たせて、扉を開けて中に入る。

 

研究室の中には革張りの椅子にふんぞり返って座る矢張と巨大な水槽の中に数十本ものチューブに繋がれて浮かぶ壊理の姿があった。

 

「…壊理」

 

治崎の声に答える声は無い。壊理は意識を失っていた。

治崎は蔑む視線で矢張を見ながらに言う。

 

「…傷つけないようにしていた。…恐がらせないようにした。全ては、壊理の”覚醒”を促す為だ。その為に、壊理にとって『個性』が忌み嫌うものであっては駄目だった。………俺の計画を、台無しにしてくれたな。矢張」

 

「やはり、アンタはポイント高いじゃない。一目見て分かったわ。私とアンタは同じ穴の狢よ。自分の夢の為に、他人に犠牲を強いる正しさを知っているのね」

 

矢張は椅子から立ち上がり、治崎の元へ近づいていく。

 

「妹が攫われたのに、アンタからはそのことに対する怒りが感じられない。感じるのは邪魔をした私に対する苛立ちだけよ。()()()()()()()()()()()()()?なら、いいじゃない。私と手を組んじゃいましょうよ。この子をぐちゃぐちゃになるまで研究して、お互いの夢を叶えましょうよ‼」

 

矢張は溌溂とした笑顔で言う。自分の夢の為に他人を犠牲にする正しさを説く。

それを否定することは誰にもできないだろう。なぜなら、誰だって少なからずやっていることだ。人類が夢想(ユメ)という分不相応なものを抱いてしまった瞬間から、競争は始まっている。

誰かよりも強くなりたい。

誰かよりも金持ちになりたい。

誰かに好かれたい。

誰かに負けたくない。

 

誰よりも幸せになりたい。

 

「私の夢は全人類の夢よ!万病の特効薬を作るのよ‼大勢の人が救われるわ!ねえ、アンタの夢を聞かせてよ!治崎廻‼」

 

矢張はクルクルと回る。まるで少女のように無邪気に世界を救うと言ってみせる。

それは治崎にとっては虫唾が奔る程に耐えがたい光景だった。

 

「………病人が」

 

「何か言ったかしら?」

 

「自分が何かを成せるなんて、本気で考えている。病気だよ。断言してやる。お前の妄想(ユメ)は叶わない。なぜならそれが、他人(壊理)の力を拠り所にしたものだからだ。他人の力で叶う自分の夢なんて、ある筈がないだろう」

 

「………アンタがそれ言うの?アンタもこの子の『個性』でクスリ作ってたんでしょ?」

 

「ああ、作ったさ。だが、それは手段の一つとしてだ。”極道の復権”、それは俺がこの手で完遂する」

 

「詭弁ね。結局、それもこの子の『個性』なしじゃ出来ないんでしょう。なら、同じじゃない!アンタもこの子を利用してるのよ!綺麗事を言わないでよね!」

 

矢張の指摘はもっともだった。客観的に見ても治崎は壊理を利用している。”極道の復権”という治崎の夢も壊理の『個性』から作り出される個性を消失させる薬あってのものだった。

 

そう、”だった”。過去形だ。今は違う―――治崎は巨大な水槽に浮かぶ痛々しい壊理の姿を見た。

 

「…確かにお前は天才だ。お前の言うことは間違ってない」

 

突然、治崎の口から出た褒め言葉に矢張は驚きつつも満更でもない顔をする。

 

「え?なになに?私のことを褒めてくれたの!?えへへー、嬉しくなんかないんだからね‼」

 

「俺には、()()()()()()()()()()()

 

水槽に浮かぶ壊理の身体が、小さく揺れた。

 

「一つ間違えば、俺はお前のように壊理をモルモットにしていただろう。その自覚がある。全ては組長(オヤジ)の為に、孫娘を分解(バラ)すことも、組長(オヤジ)自身を分解(バラ)すことも、躊躇しなかったかもしれない」

 

「ほらッ、やっぱりアンタは私と同じ穴の狢なのよ!天才的なマッドサイエンティストだわ!私達、お似合いね!アンタは顔も悪くないし、どうしてもっていうなら付き合ってあげても―――

 

「だが、今は違う」

 

―――なにがよ」

 

「俺が大切だと思えないものを、大切にしている人がいる。そして、その人は俺の事も大切だと言ってくれた。だから、もう壊理を使うのは止めにすることにした」

 

 

 

―――おめェは、あの子の傍に居てやるだけで良い。

―――治崎よ、おめェがあの子の帰る場所に成ってはやれねェか?。

 

 

 

「…組長(オヤジ)から望まれていたのは、簡単なことだったんだ」

 

義理。人情。仁義に狭義。古臭いと笑われるそれを捨てずに抱えて生きている人がいた。

その人に手を引かれて歩いた時、治崎は生まれて初めて嬉しかった。

 

「俺はその恩に報いることにする」

 

「え?なんでよ、意味わかんない。誰かに何か言われたからって、自分の夢を諦めるの?今までの努力を無駄にするの!」

 

「”極道の復権”の夢は諦めない。ただ計画は変更する。今までの研究も無駄にはしない。個性消失弾は完成させる。完成させて、それを壊理に使って壊理の『個性』を消すことにする。そうすれば二度とお前のような馬鹿は現れない。壊理は、”自由”だ」

 

「意味、わかんないッ‼」




こんなに長くなる予定ではありませんでした(-_-;)

次回、オーバーホール編は終了!(予定
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