ヴィランによる正義執行!   作:白白明け

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年内最後と言ったな、アレは嘘だ!(^O^)
年内最後の夜勤を終えたテンションで書き上げてしまったのだから、投稿するしかない!

このまま全部がムーンビーストの良い様になると思ってた奴いる?
いねえよなぁッ‼

作者(わたし)はハッピーエンドが大好きなんだよっ!


短いですが、皆様の暇つぶしになれば幸いですm(_ _)m



個性『オーバーホール』⑤

 

奇跡の手(ミラクルハンド)を持つ人が居る”。

そんな眉唾な噂が流れ始めたのは、“超常解放戦線“の台頭(たいとう)と共に国に混乱が(もたら)されてから、一週間ほど過ぎた頃のことだった。

 

関西地方、江洲羽(えすは)市にある商店街で巨体を揺らしながら、たこ焼き大容量パックを片手に歩く関西の(ゆう)

柔らか重戦車の異名を持つBMIヒーロー-ファットガムは、警察関係者から手渡された資料に眼を通しながら、胡散臭そうな眼で言う。

 

「詐欺やん」

 

そんなファットガムに対して、同じ資料を眺めながらに意見を返すのは竜の爪を()した髪飾りで右目を隠した眼隠れ美人-№8(ナンバーエイト)、ドラグーンヒーロー-リューキュウ。

 

「いえ、全部が嘘という訳じゃ無いみたい。実際に“奇跡”を体験したと言う人たちの証言もあるのよ」

 

「・・・絶対に詐欺やん」

 

「ハイハイ。そう言いたくなる気持ちも分かるわよ」

 

「せやかて・・・」

 

ファットガムは眉を下げながら、手にする資料に書かれたキャッチコピーを音読する。

 

「『遂に全人類の夢!自然生命力の濃縮!健康増進!人生の華やぎ!宇宙テクノロジー?ニコラ・テスラがエジソンに対抗するために作った』・・・って、詐欺やん」

 

「・・・ファットガム。あなた、多分、別の資料を読んでいるわ」

 

「おお!?これは別件の詐欺やったわ」

 

ファットガムは慌てた様子でリューキュウが見ているものと同じ資料を取り出し、目を通すが其処には先ほどと似たり寄ったりな内容が書かれていた。

曰く『奇跡の手(ミラクルハンド)は、あらゆる傷病(しょうびょう)を治すことが出来る』と言う。

 

「・・・ナイチンゲールもビックリな詐欺やん」

 

天丼(てんどん)はやめて。話を進めましょう」

 

「せやかて工藤」

 

「リューキュウよ」

 

リューキュウはファットガムの関西人気質に若干、呆れながらも強引に話を進めて行くことにした。

 

「多分、これは治療系の『個性』のことを言っているのよ。この混乱の中で、どんな怪我や病気も治すことが出来るなんて個性(チカラ)があれば、民衆の支持を得るのは簡単だわ。それ自体は悪いことでもなんでも無いけれど、問題なのは雄英のリカバリーガールなんかとは違って、大々的にじゃなく噂という形で出回っていることよ。多分、後ろ暗いナニカがある」

 

「せやかてリューキュウ。そうとも言い切れんちゃう?このご時世やし、希少な『個性』は悪い奴らに仰山(ぎょーさん)狙われるから、顔と名前を隠しているとも考えられるやろ」

 

「なら、ヒーローに保護を申し出てから、協力すればいいじゃない?」

 

「・・・ヒーローも信用ならんと、考えている場合もあるやろ」

 

ファットガムの言葉にリューキュウはハッとした。

ヒーロー達が安心安全の代名詞だった時代は(いま)(むかし)、国に混乱が齎されて以降、ヒーロー達を信用しない、あるいはもっと直接的に悪感情を抱く一般市民は増え続けている。

テリトリー外のヒーローであるリューキュウがこうして安心して歩いて居られるのも、並んで歩いているファットガムが地元市民から絶大な信頼を勝ち得ているからであり、今の情勢で地元市民から食べ物の差し入れが止まないファットガムの好感度こそが異常と言ってよかった。

 

黄色い巨体を揺らし歩くファットガムは、たこ焼き大容量パックを平らげるとゴミを商店街のゴミ箱に捨てた後、腰に両手を当ててリューキュウに言う。

 

「まあ、ともかく警察から協力依頼が来ている以上はやらなアカン。後ろ暗いナニカがあるのなら、とっ捕まえないとアカンし、自衛にも限度がある。此処らには灰色勢力のオーバーホールが潜伏しているかもしれへん()う噂もあるんや。やれるだけのことはやるで!リューキュウ!」

 

国に混乱が齎された。それをヒーローの失敗だと責め立てる人々の声は止まない。ネット上では賢い人は既に国外へ避難しているなんてことまで言われ始めた情勢の中で、それでも意図的に変わることの無い態度で「ファーッ」と笑うファットガムがどうして地元市民から変わらない信頼を得ているのか、その答えがこの姿だった。

ヒーロー像とは“象徴“。象徴とは変わらないことに意味がある。

 

ファットガムの柔らかな巨体に安心感を覚える人々が数多くいるのだろうと思うリューキュウも実を言えば少しだけお腹を触らせて欲しかったが、流石に大人の女性としてそんな事を言うわけにもいかず、「そうね」とクールビューティーに答えて隣を歩くに(とど)めた。

 

「・・・やっぱり、少しだけ」

 

「なんか言うたか?」

 

「なんでもないわ」

 

 

 

 

 

 

ファットガムとリューキュウが“奇跡の手”の捜索を開始してから数日が過ぎた。

捜索は難航していた。“奇跡の手“と実際に会い怪我を治して貰ったという人に会うことも出来たが、その人が言うには”奇跡の手“はマスクで顔を覆い隠している上に大きなマントを着用しているので背格好も定かではないと言う。

情報は未だに噂の域を出ず、何かしらが無ければ進展が得られない行き詰まりを迎えた所で“何かしら”は車で6時間の道をかっ飛ばし関東から出張して(やって)きた。

 

「お久しぶりです。ナイトアイ事務所、サー・ナイトアイです」

 

「ファーッ、お久しゅう!元気そうでなによりや!」

 

サラリーマン風の挨拶として名刺を差し出してくるナイトアイの背中をバンバンと叩きながら、ファットガムが再会を喜ぶ。

リューキュウは背中を叩かれる度に不機嫌な様子に代わっていくナイトアイにハラハラとしながらも、個性『予知』を持つナイトアイの合流が“奇跡の手”の捜索に進展を齎すと確信していた。

 

未来を見通す頭脳(ブレイン)-サー・ナイトアイ。

柔らか重戦車-ファットガム。

竜種(ドラゴン)姉様-リューキュウ。

 

三人の合流は同時に各ヒーローが雄英高校よりインターンを受け入れていた生徒三人の合流を意味していた。

 

「わあっ!環!波動さん!一緒に頑張ろう!」

「・・・うん。・・・頑張ろう」

「ねえねえ知ってる?天喰は昨日から通形に会えるってソワソワしてたんだよ?」

「波動さん!?」

 

雄英高校三年生にして雄英BIG(ビッグ)(スリー)と称される生徒達。

能力だけならプロヒーローに匹敵すると言われる彼らの合流を(もっ)て、設定上強化しすぎて使い辛い奴(ムーンビースト)の居ない関西の地で一つの物語が開幕する。

 

曰く『あらゆる傷病を治すことの出来る“奇跡の手”』。

 

神野の悪夢にてムーンビーストの逮捕後、活性化した(ヴィラン)達に紛れて地下で勢力を広げてきた()()()で顔を隠した謎の新興宗教の正体は、言うまでも無く()()()なのだが、その正体を知った時にヒーロー達は一つの切り札(ジョーカー)を復活させることになる。

 

誰もが考えていた。

しかし、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()物語(せかい)が封じた“ご都合主義”。

 

個性『オーバーホール』。

個性『巻き戻し』。

 

この世界を物語と捉えた時、個性『治癒』とは比べものにならないほど、人体を治すことに特化した個性(チカラ)

その内の一つが(ヴィラン)側であり、本来であれば死柄木弔により葬られたことにより実現不可能だった可能性。

人体にのみ作用すると言う性質上、本来であれば個性調整(コントロール)の訓練が気軽に行えずにいた個性(ソレ)が、ヤクザな手段で集められた犯罪者達を実験体(モルモット)調整(コントロール)可能になっていたら。

 

恐怖に寄る支配が、より強力な家族愛(もの)に変わっていたら。

人を壊す(ことわり)と名付けられた名前を、呪詛を祝福と捉えられるまでに、少女が男の側に居たいと願っていたら。

 

あり得ない乖離が産んだご都合主義(ぶっ壊れ)

(ヴィラン)よ。いつからお前達が圧倒的に優位だと錯覚していた。

 

この物語の結末として、“(オールマイト)”は、帰ってくる。

 

 




沢山の感想をありがとうございます。\(^_^)/
全てに目を通しています。時間があるときに少しずつ返信出来ればと思っています。
とても励みになっています。本当にありがとうございます。m(_ _)m



”奇跡の手”。
あらゆる傷病を治すことが出来る。ムーンビースト逮捕後に関西地区の地下で勢力を拡大。国の混乱に乗じて表舞台に姿を表す謎の存在。
いったい誰と誰のことなんやろなぁ(スットボケ)



奇跡の缶詰(テスラ缶)
詐欺やん。



”雄英BIG3”。

サー・ナイトアイのインターン生徒、通形(とおがた)ミリオ。ヒーロー名ールミリオン。
フィットガムのインターン生徒、天喰(あまじき)(たまき)。ヒーロー名、サンイーター。
リューキュウのインターン生徒、波動(はどう)ねじれ。ヒーロー名、ネジレチャン。

オーバーホールを灰色勢力にした時点で、サー・ナイトアイ生存の世界線を書くことにわくわくしていて、サー・ナイトアイ登場の話の素案は大分前に殴り書きしていた。
それを清書している時にそういえば”ルミリオン”が居ないじゃんッ!?と思い生えてきた存在ではない。
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