ヴィランによる正義執行!   作:白白明け

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皆様の暇潰しにになれば幸いです。m(_ _)m

いつもと少し文章の書き方が違います。


『手紙』

 

『拝啓、首台正義様。

 

 

私が香山先生を通じて、あなたに手紙を送ることをどうかお許しください。

私からの手紙をあなたはきっと受け取ってはくれないだろうと考え、香山先生に協力をして貰いました。

 

学生時代。私は取り返しのつかない過ちを犯しました。

あなたへのちっぽけな嫉妬心から行ってしまった軽率な行動が、どういう結果を招くのか、考える事もできないほど、私は愚かだった。

 

同級生だったあなたが普通科からヒーロー科への編入試験を受けると知ったその日の夜、私はあなたの個人情報をネット掲示番に書き込みました。

嫌がらせのつもりでした。

あなたが少しでも困れば良いと思った。

ヒーローを志していた私に普通科での学生生活は、苦痛でしか無かった。

それでもなんとか学校に通えていたのは同級生たちが自分と同じだと思っていたからです。

同級生を自分と同じ境遇だと思い込み慰めることでわたしは安心していた。

しかし、あなたは私と同じでは無かった。

普通科にしか入学できず腐っていた私とは違い、あなたは努力を止めていなかった。

ヒーロー科の生徒達から「普通科の癖に頑張っちゃって馬鹿みたい」と陰口を叩かれて居た時もあなたは気にせず前を見ていた。

 

その輝きが妬ましくて疎ましかった。

努力をするあなたを見ていると、諦めてしまった自分が惨めで仕方なかった。

 

そんな私の身勝手な嫉妬心が、あなたの家族の命を奪ってしまった。

 

あなたの家がヴィランに襲われたと聞いた時、私は同級生たちとあなたを心配していました。担任より発案された千羽鶴を七羽この手で折ったことを、今でも覚えています。

私は自分がした事とあなたを襲った悲劇を結びつけて考えてはいなかった。

ネットにあなたの個人情報を書き込んだことは、私にとって、忘れてしまうほどに些細な嫌がらせのつもりだったのです。

 

だから、警察の捜査によりヴィランが私の書き込みを見て、遠縁にあたるあなたの家の住所を知った可能性があるとわかり、それを知らされた時、私は初めて自らの過ちを自覚して、怖くなった。

 

只の嫌がらせのつもりが、あなたの家族の命を奪う切っ掛けになってしまった。

愚かな私でもそれが償える罪ではないと直ぐに理解できました。

 

恨まれる事が怖かった。

あなたに同級生達の前で罵倒されることが怖かった。

私は悪者になることが何より怖かった。

 

そう思い震える私の元に香山先生が訪ねてきました。

 

香山先生は私に一緒にあなたに謝りに行きましょうと言ってくれました。

私がしたのは許されない事だけれど、それが謝らない理由にはならないと諭す香山先生の言葉に私は直ぐには頷くことが出来ませんでした。

何処まで行っても身勝手な私に、しかし、香山先生は教師として、私が自らあなたに謝る機会を作ることと言ってくれました。

私が自らの口であなたに真実を伝え謝罪をすると約束してくれるなら、このことを自分からはあなたに知らせないと言ってくれたのです。

元々、警察から、この件に関しては報道されないと言われていました。

私はあなたが一番信頼していた香山先生が、そう約束してくれるなら、他の先生たちもそれに習ってくれるだろうという邪な思いから、香山先生と約束しました。

 

それが嘘であった事は、こうして手紙で真実を伝えていることからも、わかると思います。

あの頃の私は罪悪感から逃げる為に香山先生を利用したのです。

そして、私は退学し、あなたから逃げた。

家を飛び出し、両親も知らない場所で、犯した罪を忘れようと必死に過ごしました。

 

そうして数年が経った頃、ムーンビーストというヴィランが現れた。

それがあなたであることは直ぐにわかった。

私は恐怖し、再びあなたから逃げる為に海外へ渡りました。

けれども、あなたの活躍は海外に居てもニュースで知ることになる。

 

“罪人よ。次は貴方だ。震えて眠れ”。

 

何時の日か、私の元へ、あなたがやってくるかも知れない。

その恐怖に震える日々の中、私はふと私を復讐対象として名指していないことに疑問を覚えました。

あなたの家族を殺したムーンフィッシュ。その悲劇を利用して有名になったコメンテーターの難家羽香出の名前はネットで調べれば直ぐに出てきましたが、私の事は名前どころか存在Xとしてすら、出てはいなかった。

 

その時に、香山先生がまだ約束を守ってくれているのだと気づき、私の心は耐えられなかった。

あなたと香山先生への罪悪感を抱えたまま、このまま生きながら苦しむことが出来ない。

したくない。私は楽になりたい。

そう考えて居た時、あなたが逮捕されたというネットニュースを見て、決心しました。

 

私は結局、自分のことしか考えられない最低な人間です。

安全な場所からでしか、あなたの顔を見ることも出来ない程に弱い。

けれど、数年ぶりに連絡を取った香山先生は、逃げ出した私を叱責しながらも、一緒にあなたに謝りに行く約束を果たしてくれると言って頂きました。

私はこれから帰国します。

そして、香山先生の力を借りて、あなたに謝りたい。

遅すぎることはわかっています。

謝っても許されないことはわかっています。

 

けれど、どうかあなたに謝らせて頂きたいのです。

 

 

 

 

この手紙は雄英高校の香山先生宛てに、あなたに渡して欲しいという内容の手紙と共に海外から送ったものです。

封筒に入れ送りますので、香山先生も内容は知りません。

 

私が言うような事ではありませんが、あなたにはどうか香山先生を恨まないで欲しい。

香山先生があなたに真実を伝えずにいたのは、私との約束を守るためだったのです。

 

香山先生が生徒との約束を破らない素晴らしい教師であることは、私よりあなたの方がずっとよく知っている筈です。

だから、どうか。香山先生との“約束”を、守ってあげてください。

 

 

                               久図 草太郎  』

 

 





ミッドナイトは九図草太郎と共にムーンビーストの面会に行こうと考え彼の帰国を待っていました。
その矢先、未曾有の大災害にて命を落としました。
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