ヴィランによる正義執行!   作:白白明け

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原作キャラの死亡があります。ご注意ください。

皆様の暇潰しになれば幸いですm(_ _)m




個性『ギロチン』と『ライフル』

 

浮かぶ瓦礫の上に立つ男を中心に海が()いでいた。

訪れた静けさの中にオール・フォー・ワンは“怒り”を見る。

“振動”や“赤外線”。いくつもの感知“個性”が、最大限の危機を伝えてくる。

オール・フォー・ワンは左手に持つ死柄木弔の首に向けて告げる。

 

「弔。君は逃げろ」

 

「は?なに言ってんだ?先生」

 

「その状態では戦えないだろう」

 

首だけの状態の死柄木弔にそう言い聞かせるオール・フォー・ワンの声色は、凪に劣らない静かなものだった。

それはまるで目の前に居る獣を刺激しない様に細心の注意を払っているかの様に死柄木弔には思えた。

死柄木弔はオール・フォー・ワンの言葉を目で追った後、ムーンビーストに視線を向ける。

左腕を失い脇腹を貫かれ大量の血で海を赤く染めているムーンビーストは、誰の目から見ても()(たい)だ。

 

「・・・それはあいつも同じだろう。逃げる理由がない」

 

「いいや、弔。それは違うぜ。僕は前に教えたね。手負いのヒーローが最も恐ろしいと。だが、()()()()()()()()()()()がある」

 

“怒り”とは、エネルギーだ。現代社会において不可思議な事に“怒る”を恥とする文化が生まれている。それは何故か。全てを壊してしまうからだ。

人間は本当に怒った時、そのエネルギーは遍く全てを傷つける。

持たざる者の一撃は、絶対の王すら殺す。

 

「手負いの獣が、この世で最も恐ろしい」

 

そう言いながら、オール・フォー・ワンは死柄木弔の首を空中に生み出した黒いヘドロのようなモノの中に投げる。自らの元から馴染みの深い人物の元へ送り出す個性を使い、オール・フォー・ワンは死柄木弔という“希望”を敵連合の最古参であり、死柄木弔の唯一と言っていい友人であるスピナーの元へ送り出す。

投げられた死柄木弔は不満げな表情を隠そうともしないが、首だけの状態では文句を言うことしか出来なかった。

 

「・・・神野の(あの)時と同じだ。これじゃあ、またあいつに馬鹿にされる」

 

「同じじゃないぜ。今の君の中には僕もいる。逃げろと言ったが、僕は託すのさ。弔、後は任せたぜ」

 

「・・・オッケーだ。先生。任せとけ」

 

死柄木弔の首が消えていく。

それに対しても何の反応も示さないムーンビーストに向けて、オール・フォー・ワンは両腕を大きく広げながら笑う。

 

「僕の“夢”のバトンは弔に託した。対して君は失ったな。“正義の象徴”、掲げた理想は地に落ちた。今の君は只の凡夫。その錆びたギロチンで、僕の首が断てるのかい」

 

「・・・出来るか、出来ないかの話では、最早ないのですよ。オール・フォー・ワン。“貴方を殺す”」

 

赤錆の浮かぶギロチンを掲げながら、ムーンビーストはオール・フォー・ワンを見上げた。

凪いでいた海が二人の視線が交わるのを合図に荒れ始める。

オール・フォー・ワン。この国に巣くう闇の帝王。そのチカラは言うまでも無く強大だ。

全盛期のオールマイトでさえ、彼を討つことは敵わなかった。

対してムーンビーストは今までのチカラの大半を失っている。差別無く振るわれるからこそ強大だった彼のチカラはレディ・ナガンとお腹の中の子という家族(特別)を得てしまった事で錆び付いた。

以前のように個性(チカラ)を振るうことは出来ない。

 

「貴方は死なねば、なりますまい」

 

「確かに手負いの獣は恐ろしい。けど、弱い犬ほど、よく吠えるという言葉もある。やっぱり、どっちかと言えば、今の君はそっちだな。ムーンビースト。僕は君の、ファン()()()

 

そう言いながら口元を歪めるオール・フォー・ワンが語るのは彼の根茎にあるもの。

少年時代に憧れたコミックの中の“悪”。“悪であれ”と作られた者たちの御伽噺。

 

ある海賊は勝者こそが“正義”だと真実を語った。

ある大統領は愛国心の故の行動は全てが“正義”であると言い切った。

ある宇宙生命体は地球を蝕む人間を絶滅させることこそが“正義”だと訴えた。

 

その在り方に憧れた。

コミックの世界でヒーローでは無く、(ヴィラン)に憧れた少年の完成形がオール・フォー・ワンという男だった。

 

「“復讐こそ正義”。そう言い切る君だから、まるでコミックの(ヴィラン)みたいで格好良かったんだぜ。それが、今じゃどうだい?家族の為に戦うその(ザマ)、端役も良いところの役回りじゃあないか!」

 

失望があった。超常黎明期以降、唯一己と同じ敵(オールマイト)と戦い続けた(ヴィラン)として、オール・フォー・ワンは間違いなくムーンビーストを気にかけていた。

味方に引き込めたなら、どれだけ愉快な事になっただろうと考えた日々。

そして、それが出来ないからこそ彼は美しいのだと考えた夜。

 

「太陽の光を浴びて輝いている筈なのに孤高に浮かぶ月にこそ、君という(ヴィラン)の美しさがあった筈なのに!ガッカリだぜ!ムーンビーストッ!」

 

オール・フォー・ワンの肥大化した右腕が振るわれ、個性『鋲』の銃弾がムーンビーストを襲う。それら全てを右腕のギロチンで打ち落とすだけのチカラが、今のムーンビーストには無い。

血だらけの身体を血塗れにしながら、背後にいるレディ・ナガンだけは守るムーンビーストを見下ろしながら、オール・フォー・ワンは落胆の溜息を吐く。

 

「・・・多いよなあ。ヒーローには、守るモノが多いよなあ。だから、君は不様に負けるんだ」

 

それに対してムーンビーストは疑問符を浮かべる。

 

「ヒーロー?」

 

心底、オール・フォー・ワンの言葉の意味が理解できないという表情だった。

 

「ヒーローなど、この場の何処にも居ないではないですか。よもや、貴方には彼女を守る私がヒーローの様に見えているのですかねえ。だとするなら、貴方の目は節穴だ。いえ、目すら無かったのでしたねえ」

 

血に塗れながら、錆びたギロチンを振るうヒーローなど存在する筈がないと笑うムーンビーストは血と汗と涙と海水と様々な液体により汚れ輝きを失った長い金髪を右腕で掻き上げながら、血走る金眼を晒す。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

狂気的な笑みを浮かべるムーンビーストを前にオール・フォー・ワンの脳裏にひとつの疑念が過る。傷を負い血を流すムーンビースト。彼が立つ瓦礫の周囲の海は赤く染まっている。

 

(血を流し過ぎている。アレは既に致死量を超えている。なのに、何故、彼は()()()()()())

 

血液とは肉体を動かす燃料。言うまでも無く血を失い過ぎれば人体の生存に異常をきたし、死の前に動かなくなる。血液総量の二分の一を失えば人は失血死する。標準体型の成人であればその量は約1,5リットル。

 

血に染まる海は、既にそれ以上の血液がムーンビーストの身体から失われて居ることを示していた。

 

「君は一体、何をしている?」

 

()()()()()

 

瞬間、狂気的に嗤うムーンビーストの錆びついた筈のギロチンが輝きを取り戻す。

失われた筈の力が、右腕のギロチンを中心に渦巻いている。

果たしてアレは何なのだとオール・フォー・ワンはギロチンの輝きに目を細めた。

失われた力が理由なく蘇る奇跡が起きたのだろうか。

あるいは正義に代わり怒りがギロチンという個性に力を与えたのだろうか。

どちらも違うとオール・フォー・ワンは結論付ける。

ムーンビーストは英雄として生まれたオールマイトや、かつて彼が観測したあるヴィジランテの少年(もう一人の主人公)とは明確に違う点が一つある。

 

(彼は逸脱しない)

 

ムーンビーストは主人公(ヒーロー)にはなれない。

 

(四肢に刃物を形成するだけの個性『ギロチン』が脅威なのは、彼自身の戦闘経験故のもの。個性の“覚醒”も段階を踏んでいた。けして“奇跡(ミラクル)”が起きて力を手にできる手合いじゃあ、ない。なら、あのギロチンの輝きは順当に正義を取り戻したと考えるべきか)

 

オール・フォー・ワンは目の前の男を見限りかけていた自分を恥じながら、楽し気に嗤う。

 

「君は一体ッ、何をしているんだいッ!」

 

楽し気に問われた二度目の問いにムーンビーストもまた笑顔をもって答えた。

 

「この世界には死んだ方が良い人間がいる。それは差別ではなく、区別ですよねええッ‼」

 

 

 

 

 

 

 

愛した女(レディ・ナガン)と産まれてくる子を守りたい。家族を、守りたい。

これは男として当然の願い。この世で最も古き祈りのひとつだろう。

だから、()()()()()()()()()()()()

レディ・ナガンは、幸せになって良いと。私は彼女の幸せの為に生きて良いのだと。

 

だが、私の正義は果たして、それを許してきただろうか。

殺した。大勢の人々を正義の名の下に正義執行(殺害)してきた。

殺したから、殺し返した。復讐と言う名の正義。

私はその当然の法に殉じると決めていた。

 

(守りたい。この思いに嘘は無い。レディ・ナガンは人殺しだが、公安に利用されてきた彼女には情状酌量の余地がある。なにより、産まれてくる子に罪は無い)

 

だが、私はその当たり前を許さない事で差別なき正義を掲げたのではなかったか。

私が今まで殺してきた人々の中には、家族のために殺人を犯した者もいた。恋人を救うために戦い人を殺した者もいた。罪の重みも知らぬまま無自覚に命を奪ってしまった子供も居た。

妊婦もまた、当然に存在していた。

それら全てを私は“正義執行”した。差別なく、人を殺したか否かという点のみで人間を区別した。

 

そして、彼らにも、彼らを大切に思っていた家族が居たことを私は知っている。

 

()()()()、女子供老人に至るまで“正義執行”してきた。

 

()()()()()()

 

レディ・ナガンにかけた言葉を自らの内で繰り返す。

 

怒りが()を産んだと、誰かが言った気がした。

それはそうなのだろう。私の始まり(オリジン)(そこ)には、家族が居た。

だが、其処(そこ)にはステインも居た。

父と母、弟の横には場違いな(ヴィラン)然とした(ヴィラン)が、舌を出しながら立っていた。

その光景のあまりのギャップに思わず笑みが零れる。

 

(そう、でしたねえ。私は既に貴方を殺めた時点で、答えを出していた)

 

僕の怒り(オリジン)ではない。

(ムーンビースト)原点(オリジン)―――歩むと決めた道を思い出す。

復讐は正義でも愛でもない。復讐(それ)に“正義”の意味を与える為に、私は“正義の象徴”を目指した。

 

(守りたい。だが、守れない)

 

大切な家族も、愛した恋人も、お腹を痛めて産んだ子も、人を害したなら裁かれねばならない。目には目を歯には歯を、罪には罰を、殺人には殺人を。私が社会に押しつけ続けてきた正義を、私が押しつけられる番になったからと言って、逃れ出る事を、許せるか。

 

「許せない、ですよねえ。許してくれると思うこと自体が、貴女への、侮辱だ。そうでしょう。レディ・ナガン」

 

オール・フォー・ワンという強大な敵を前に私は背を向ける。

そうしなければ、ならなかった。

背後に居るレディ・ナガンを見ないわけにはいかなかったからだ。

レディ・ナガンは泣いていた。その涙の意味は理解していた。私が少しでも迷ってしまったから、ギロチンの刃を錆び付かせてしまったから、彼女は私に失望して泣いているのだろう。

 

大丈夫。心配しないでくださいと声をかける。

貴女が愛してくれた男は、道半ばで投げ出す様な弱い男では無い。

必ずやり遂げられる。私の“正義”を信じて欲しいと伝える。

 

レディ・ナガンの涙が止まる。そして、一度目を瞑った後、笑いながらに言った。

 

「そっか。アンタは私を、ちゃんと()れるんだね」

 

「ええ、殺したくない、守りたい。だから、私が殺す事には意味がある。復讐という正義。差別なき正義を確立させる。私の大切な人たち。私自身。私が信じる善に属する全てを代償に、(いわ)く正義などではない、天秤の傾きを正す権利を得る」

 

私の持つ最も重い重しを除き、私は正義(復讐)の為に命を奪う権利を得る。

世界全ての人々の正義(復讐)の為に、ギロチンの刃を落とす者となる。

 

「あんたは本当に、それでいいの?」

 

「それが、正義の代償だと言うのなら、私は貴女を、貴女たちすら、利用する。全ては正しき社会の為に」

 

「・・・そう。あんたが決めたことなら、私はそれでも構わないよ。元々、重荷になるのは分かっていた。自分じゃ決断出来なかったって、だけだからね」

 

「・・・申し訳ないと思う気持ちで一杯です。許されるのなら、貴女にはもっと長く生きていて欲しかった」

 

「いいよ。私の男の趣味が悪かったってだけ、だからね。それに、私はあんたのそういう所に惚れたんだ。公安で利用されていた私の前に現れた光。吐き気を催すような綺麗事を、嗤いながらに叫び続けるあんたは、いつの間にか、誰にも縛られない私の憧れになっていた」

 

「・・・」

 

「オール・フォー・ワンは、私の妊娠を告げることであんたから“正義”を奪おうと画策したけど、やっぱりあんたは誰にも何も奪わせなかった。社会のルールも、誰の思惑にも縛られないあんたの隣に居られて、私は幸せだったよ」

 

レディ・ナガンの笑顔を見た。

それはきっとこの世界で最も美しいものだった。

“麗しき”レディ・ナガン。私が愛した只一人の女性(ひと)

その美しい花を自ら手折るからこそ、意味がある。

 

「ありがとう。私から再び、無意味に家族を奪わないでくれて。私と、貴女の、最も大切な命を、私に、奪わせてくれて・・・、ッ・・・、ありが、とう」

 

そして、私は比類無き正義へと(·)(·)(·)

 

海を染める赤い血が二人分、増えている。私は振り返りオール・フォー・ワンを見上げる。

既にギロチンの刃の赤錆は完全に落ちて、刃は真白く輝いている。

ギロチンの刃は貴婦人の血で雪がれた。

蒼も入らぬ真の白。個性『ギロチン』は、此所に完全なる完成を迎える。

 

見上げるオール・フォー・ワンが小さく見える。

それはそのまま今の私と彼の力量の差を表していて、スターアンドストライプとの戦いで疲弊している彼に今の私と伍する余力がないことは明らかだった。

そして、それはオール・フォー・ワンも理解して居るだろう。

しかし、それでもオール・フォー・ワンは愉快げに嗤っていた。

 

「僕という(ヴィラン)の最後に、君という(ヴィラン)が居てくれて本当によかった。僕は一つのゴールに対していくつものルートを作っておく性質(たち)でね。だから、弔だけじゃなく君にも気にかけていた。そして、今、僕の予想を超えて君は芽吹いた。比類無き真の(ヴィラン)へと落ちたんだッ!」

 

オール・フォー・ワンは天を仰ぎながら、両手を広げて嗤う。

 

「もうヒーローなんて目じゃないぜ。所詮はギガントマキアの(君が殺した首無し)死体にすら苦戦する様な連中さ。世界の命運を握るのはヒーローじゃなく、君と弔。どちらが勝っても僕の夢見た(ヴィラン)の世界だ」

 

そして、私に問いかける。

 

「聞かせてくれよッ!愛した女もッ、己の子もッ、費やした君が目指す社会ってなにさッ!君は僕を殺し、弔を殺した後に何をするんだい!真逆、自殺って訳じゃあ、ないんだろう!」

 

「貴方たちを殺すことは、最早手段であり目的ではありません。それだけで今の私の中の天秤の傾きは直らない。レディ・ナガン達の命の重さが、貴方たち程度と同じで有るはずが無いからです。故に私は―――

 

いつの間にか、昇っていた月を見上げながらに言う。

 

―――世界を回り、全ての殺人者を殺す。老若男女。軍人。革命家(テロリスト)。大統領。独裁者。そして、ヒーロー。(ヴィラン)。故意で有れ、事故で有れ、差別なく人を殺した者を殺し尽くし、私が最後の殺人者となった後、処されましょう。その時に、最後の殺人者で有る私が死したその時に、()()()()()()()()()()()()()()

 

「・・・ク、クク、」

 

「何故、笑うのですか?どこかおかしいですかねえ」

 

「いや、おかしくは無いね。理論としては完璧さ。でも、その後は?支配に興味は無いのかな?君が維持し続けなければ、完璧な世界は崩れてしまわないかい?」

 

「貴方と同じにしないで頂きたい。私は引き際くらい、弁えているのですよ。後のことは後継や梅雨さん。未来有る少年少女に委ねましょう」

 

「未だに信じると?ヒーローの卵を?君が殺した死体にすら、苦戦する様な連中だぜ」

 

「信じますとも、貴方がなんと言おうとも彼らは強い。必ず立派なヒーローに成ってくれる筈ですからねえ」

 

「そうかい。それも君の自由。自分勝手が(ヴィラン)の本領さ。僕もそうしてきたんだ。好きにすると良いよ」

 

「言われずとも、そうします。それでは、もう話すこともないでしょう」

 

「うん。満足したさ」

 

真白になったギロチンの刃をオール・フォー・ワンに(かざ)す。

最早、刃を振るう動作も必要なく、ギロチンの刃は月明かりに反射し輝く光だけで、罪人の首を断つ無慈悲な閃光へと成り果てた。

 

「貴方は、もういい。もう眠れ。“魔王”」

 

「また、いつか地獄で語り合おうぜ。“魔王”」

 

オール・フォー・ワンの首が飛ぶ。亡骸が空中から落ちて、海の底へと沈んでいく。

私はオール・フォー・ワンの首だけを拾い上げて、レディ・ナガンの乗っていた水上バイクへと向かう。其処に横たわっていたレディ・ナガンの死体に上着を掛け、抱きしめながらハンドルを握る。オール・フォー・ワンの首は邪魔なので水上バイクに備わっていたボックスの中に放り込んでおく。

 

「さあ、帰りましょう。レディ・ナガン。まずは貴方の遺体を、ステインの身体を埋めた教会に運ばねばなりますまい」

 

そう言いながらレディ・ナガンの髪に顔を埋める。血の匂いと共に花の香りがした。

気がつけば涙が頬を伝っていた。見上げれば、月も鳴いている。

 

 

泣きたくて泣いている訳じゃ無い。生きているから、涙が出る。

 

 





“レディ・ナガン”。
この文章の中の彼女は常にムーンビーストの判断を受け入れる覚悟を持って彼の側に居続けていました。
そして、同時に自分の存在が何にも縛られないムーンビーストを縛ることを恐れてもいました。オール・フォー・ワンとエンカウントした後、自らを隔離したのもそれを恐れてのことでした。絶対に彼の負担には、なりたくなかったのです。
彼女はムーンビーストのすべてを受け入れる。
だから、きっとムーンビーストが“弱くなり”、正義を捨てて生きる事を選んだとしても、一人の女性として、ずっと側で添い遂げる。
ムーンビーストはそれを強い責任感を持つレディ・ナガンは許さないと思い込んでいましたが、誰も居ない場所で“三人”で暮らす。
そんな未来も確かにあったのです。



“オール・フォー・ワン”
この文章内でのキャラ付けはコミックの中のヴィランに憧れた子供の完成形。彼の望みはヒーローではなく、ヴィランの跋扈する世界。故に現在、死柄木弔が勝とうとムーンビーストが勝とうと彼の望んだ世界がやってくる一人勝ち状態です。
だから、ヒーローが勝たねばならない。


“ムーンビースト”
家族の死を悼み怒った少年はもういない。親友を殺害した時、正義は愛に勝るという結論を出してしまっていた。
忘れてはならない。彼が危険思想を持ったイカれたヴィランであることを。

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