投稿が遅くなり、申し訳ありません。
必ず完結はさせますので、気長に待って頂けると幸いです。
皆様の暇つぶしになれば幸いです\(^_^)/
感想の全てに目を通しています!とても力になっています!
雄英はムーンビーストに対抗するため、雄英高校校舎から周囲五キロ区切りで三つの防衛ラインを引いた。それはこれからやってくるムーンビーストに対する防衛であると同時に彼を捕らえる罠でもあった。
三つの防衛ラインは、その全てがムーンビーストを捕らえる為に十分な“戦力”であると個性『ハイスペック』を持つ根津校長は雄英高校校舎屋上から下を見下ろしながら語る。
「かつて、
根津校長にとってムーンビースト。否、首台正義という元生徒は
人間達に実験動物として扱われた過去を持ちながら、人間を恨まずに人間社会に置ける個性の扱いを問題提起した
己を人間と定義せず、
そして、その結果、動物が教育において
それが復讐心に駆り立てられなかったからこその結果だと知る故に間違いなく
「嬉しいものさ。一教育者として、それ以上の幸福はない」
前に根津校長がムーンビーストに言った言葉に嘘は無い。もし仮に彼が雄英高校に戻ってきたのなら、それを受け入れる準備を根津校長は整えつつあった。
公安と協力し自己負罪型司法取引を政府高官に認めさせる事には成功した。
ムーンビーストが許される準備は整えていた。トガヒミコという前例は既にある。
世論もムーンビーストがオール・フォー・ワンを斃した事で彼を
それを狙い根津校長はムーンビーストにスターアンドストライプ来日の情報を流していた。
「後は君が僕の小さな手を取ってくれれば、よかったのさ。ミッドナイトもそれを望んでいた筈さ」
根津校長は沈んで行く太陽を見る。夕焼けに照らされてケラチン蛋白質を含む白い毛が紅色に輝く。茜色を吸い込んでいるかのような光沢には、人間には到底出せない色艶があった。
小さくつぶらな黒い瞳は雄英高校に避難してきた人々と彼らを支える為に動くヒーローや生徒達の姿をジッと見つめていた。
「・・・彼らを危険に晒してでも、正義執行に固執することが、君の
だとするのなら、雄英は総力を以てムーンビーストを排除しなければならない。
「僕は僕を実験動物扱いした“人”という種を許した。君にもそうして欲しかっただけなのさ」
雄英教師陣だけではない。生徒に外部協力者。
それらを投じて築き上げる三つの防衛ライン。
まずはその一陣が動き出す。
第一防衛線『
「希望の名を冠した煙草があることは、ご存じですか?」
“
それからは同じ物をズルズルと吸い続けている。
「・・・そういえば、長い間、煙草を吸っていない気がしますねえ。いけないなあ。ニコチン不足だ。貴女が知る訳のないことを聞いてしまいました。
大きな瞳に艶やかで長い黒髪。大きく可愛らしい口は横一文字で結ばれている。
雄英へと進む私の前にヒーロースーツを身に纏い現れた彼女を一目見たときの感情は、安堵だった。
林間合宿以降、私は彼女と連絡が取れないでいた。もしかしたら灰色勢力で私たちと行動を共にしていたことで、彼女が学校生活で不利益を被っているかも知れないと心配していた。
しかし、彼女の後ろには“後継”を含めた雄英高校ヒーロー科生徒達の姿があった。
彼女はヒーローとして、頼もしい仲間達と共にいる。
それだけで私は嬉しい。
「お兄さん。聞かせて頂戴。本当にナガンお姉さんを、殺したのかしら」
蛙吹梅雨から出た言葉に息が詰まる。大きな瞳は私の中の罪悪感を呼び覚ます。
しかし、それを罪と感じる心は捨てると決めていた。
「ええ、殺しました。全ては揺るがぬ正義の為です。レディ・ナガンも草葉の陰で私の事を賞賛してくれているはずです」
「・・・相変わらず嘘を吐くのが上手いのね」
「嘘などと、決めつけないで頂きたい。私はレディ・ナガンを殺害した。これは“真実”です。故に最早、誰を前にしても“
私の前に立ちはだかった雄英高校ヒーロー科の生徒達に問う。
「先生方はどこにいるのですか?よもや、子供だけに“希望”を託した等と言いませんよねえ」
「私たちは、お兄さんを止めるために此所にいるわ」
「あは、アハハ。アハハッ、貴方たちだけで出来るとお考えで?」
「私たちは、ヒーローよ」
希望が失望に変わるとき人は絶望するという。
私の心に暴風雨が吹き荒れる。それを表に出さないのは、目の前の彼らに感情をぶつけても仕方の無いことだと分かっているからだ。私の敵は彼らではない。
彼らは私に託される者たちだ。
この世界の全ての人殺しを殺害した後、できあがった新世界を彼らに託すと決めている。
そういった意味では彼らは確かに次代への“希望”だ。
しかし、私が見たかった光景はコレでは無い。
戦いに命を賭ける
私が見たかった光景は、私を止める為に戦う
「・・・尊敬を、取り戻したかった、のですがねえ。それが出来ぬと言うのであれば、良いでしょう。最早、
果たして彼らは私の期待を一身に背負うことが出来るだろうか。
その答え合わせを始める為、私は右腕にギロチンを形成した。
「さあ、期せずして少年漫画の王道のような展開です。現実でも、子供だけで世界を救えるか否か。答え合わせと行きましょうかねえエエエッ‼」
雄英第一防衛線『
その要は、奇しくも誰よりも
戦闘開始直後、蛙吹梅雨が
蛙っぽい事が出来る個性は、当然の如く彼女に人並み外れた跳躍力を与えている。
そこから繰り出されるドロップキックを、ムーンビーストは事もなさげに避けて見せる。
「遅い、ですねえ」
「・・・屈辱だわ」
常人なら反応できない速度。しかし、超人なら避けるのは容易い。それにムーンビーストは蛙より遙かに速く跳ねる兎を知っていた。故に思わず零した言葉は本心であり、蛙吹梅雨を貶める気など欠片もなかった。
ムーンビーストを相手に人並み外れた程度の速度は通用しない。
それは蛙吹梅雨もまた理解して居た。故に零した言葉とは裏腹に、冷静な目で相手を観察し、次の一手を打つ。
伸ばした舌による足払い。それを飛んで避けたムーンビーストに殺到するのは、雄英高校ヒーロー科1年A組・B組が誇る近接戦闘の実力者達。
合計七名。
迫り来る彼らの名を、残念ながらムーンビーストは
「・・・梅雨さんからの内部情報。体育祭は録画で見ました。申し訳ない。今の私が覚えているのは、六人だけ。つまり、残る全ては
蛙吹梅雨の初撃から、追撃を任された七名は言うまでも無く近接戦闘に置ける成績上位者。
ムーンビーストの逃亡という最悪の
つまり次代を担うトップヒーロー候補。その七名を文字通り
しかし、そこにあるものは絶望ではない。
わかっていた。七名それぞれがムーンビーストを相手取るには、修練が十年程、足りていない。
雄英高校へ歩みを進める
雄英第一防衛線『希望』が発令されるにあたり、その作戦に従事する生徒達全員に嘗て雄英高校普通科に在籍していた生徒の過去が明かされた。
ヒーローに成りたかった少年。
そして、
「「アアアアアアアアアアアアアア‼」」
それに釣られて残りの五人も力の限り、声を上げる。
「「「「「止まれエエエエエエエエエ‼」」」」」
放たれる言葉に殺意は無かった。敵意はあった。しかし、涙声すら混じっていた。
それが弱さ故の涙で無い事など客観的にも明らかだった。
怪物の前に立てる者に臆病者など居るはずが無い。
故に、優しさ故に流された敵意の涙に対して、ムーンビーストは心の底からお礼を言った。
「私などの為に・・・ありがとうございます」
ギロチンが七回振るわれる。
七人の生徒達は吹き飛ばされて意識を失った。
近接戦闘による包囲網は破られた。なら、次は遠距離部隊の出番だ。
ムーンビーストは地面に半ばまで埋まっていた紫色のブヨブヨしたモノを踏んづけた。
まさか、この場面で犬の糞でも踏んだかと青くなったムーンビーストだったが、それが個性の産物だと気づいた時にはもう遅かった。
踏んづけたモノにより地面と右足がくっ付いてしまっている。
動きを封じられた場面で襲い来る都合、十余名の攻撃を前にムーンビーストは思わず飛ぶ斬撃を解禁する。
身動きの取れない状態での対処法はそれしか無く、しかし、飛ぶ斬撃という性質上、峰打ちなど出来ないからこそ、その迎撃には生徒達の血飛沫が舞う。手加減はしていた。命に別状など有るはずが無い。
しかし、それでも苦虫を噛みつぶした様な表情を浮かべたムーンビーストの隙を
これより先、迫り来る六名の顔と名前をムーンビーストは知っている。
それは
それを前にムーンビーストは思わず叫んでしまった。
「
その言葉が出たことに、いち早く反応したのはヒーロー科一年A組-芦戸三奈。
彼女は誰よりも
ムーンビーストを知ることで日常の中で笑っていたその先生が内に秘めていた後悔と懺悔を知った。
心に傷を負いながらも、生徒達の前では先生であり続けたその人は、彼女にとって誰よりも素敵な大人の女性だった。
「そんなミッナイ先生が言ったのッ‼私たちにッ、託すって‼」
芦戸三奈。個性『酸』。
あらゆる金属がそうであるように、ギロチンの刃もまた酸化し錆びる。
右足を捕られて居る状態。上空から巻かれる酸性雨を避ける術はない。
「それがアナタのことを言ったんじゃ無いって分かってる!でもっ、私は託されたいって思ってる!だから、
降り注ぐ酸性雨の中、視界を奪われることだけは避けるため、右腕で顔を覆うムーンビーストから笑顔が消えた。形成したギロチンが次第に錆びていく中でムーンビーストの心にあったのは芦戸三奈に対する明確な苛立ちだった。
何を言っているのだ。あの小娘はと、ムーンビーストは思った。
信じていた。自分は限界ギリギリまで、それこそ数週間前までムーンビーストはミッドナイトのことを信じていた。あの『手紙』を受け取るまで、少なくともムーンビーストの心の中にいた一番大切な女性はミッドナイトだった。
信じていたのに裏切られた等と、女々しいことを言うつもりは勿論、ない。
ミッドナイトはどこまでも大人であり、ムーンビーストはどうしようもない
ミッドナイトが許せと言った久図をムーンビーストは許せなかった。
常識的なのはミッドナイトなのだろう。
一般的なのはミッドナイトなのだろう。
正しいのは許すことなのだろう。
美しいのは赦すことなのだろう。
「それでもゆるせなかった」
酸性雨の影響を受けるのは、ギロチンだけではない。
ムーンビーストを拘束していた紫色のブヨブヨも溶けてくずれていた。
ムーンビーストは地面を踏み砕き、気がつけば叫んでいた。
「貴女に何がわかるッ‼家族を殺された者の前でッ、軽々しく
咆吼と共に放たれた斬撃の風圧は芦戸三奈の身体を切り裂いた。命に別状は無い。
しかし、浅くない傷が血を散らす。その痛みを感じながら、芦戸三奈はムーンビーストの敵意が確かに自分に向けられていることを喜んでいた。
(アナタは私達の事を敵視しない。それは、見ていないのと同じ事。どんな言葉をかけても、アナタの心に私達の言葉は届かない)
だから、切っ掛けが必要だった。復讐と言う正義の
レディ・ナガンが居ないのなら、最早それが出来る人物は
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単行本派なのでようやく若かりし頃のオール・フォー・ワンを見ることが出来ました!
想像通りのイケメンでとても満足しています!
そして、やはりトガちゃんがカワイイヤッター‼\(^_^)/