ヴィランによる正義執行!   作:白白明け

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感想は全て読ませて頂いてます!とても嬉しく、力になります!\(^_^)/
誤字脱字報告をして頂ける方々に、この場を借りて深くお礼申し上げますm(_ _)m

皆様の暇つぶしになれば幸いです(^O^)





個性『巻き戻し』

 

 

 

死んでしまった筈の女性(ひと)を見た。その姿に目を奪われた事を、レディ・ナガンには浮気と詰られるだろう。しかし、理解していても抗えない男の(さが)

初恋の人という存在は、色褪せない。

 

()()()()()()()()

 

「――――――――え?」

 

駆けられた言葉に、茫然自失で返事をした瞬間、私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは、雄英の防衛線がムーンビーストとぶつかる少し前の事―――

 

「アレの敗北は、最初から決まっていた。レディ・ナガンという頭脳(ブレイン)を失い、周りに居るのはアレの行いを言祝(ことほ)ぐばかりの馬鹿ばかり。ヒーロー陣営に補足された時点で、勝ち目は無かった」

 

「個性『洗脳』。明らかに()()()側の個性を持ったあのヒーロー症候群罹患者を、光の側に踏み止めた功績は褒めても良い。使い方も完璧に近い」

 

「トガヒミコが個性『変身』でミッドナイトの姿に変わり動揺させ、個性『洗脳』を持つ者がミッドナイトの声真似で声をかける。個性『洗脳』の発動条件である返事は簡単に返ってくるだろう」

 

「そして、洗脳さえすれば、後はヒーロー陣営総出で囲んで叩くだけだ。それが雄英第三防衛線―『英雄』」

 

()()()()()

 

「ソレに晒され、アレは死ぬ」

 

「そんなBADENDを、認めるのか」

 

士傑高校-防音設備の整った視聴覚室にて、オーバーホールは自問自答していた。

椅子に座り、机の上に足を投げ出し、虚空を見上げながら行われる思考は、しかし、本当は既に答えが出ていた。

壊理(義妹)の生命を第一とするのなら、ムーンビーストはこのまま死んだ方が良い。

ムーンビーストが気にかけていたのはオーバーホール(自分)だけだ。

事実、以前にムーンビーストは壊理の殺害を試みている。

その時はレディ・ナガンと共に止める事が出来たが、彼女亡き今、止める事は出来ないだろう。

 

「壊理のことを思うなら、アレは死んだ方が良い」

 

口に出した確かな答え。それを真実にするために、オーバーホールは動き続けてきた。

未曾有の大災害でムーンビーストが逮捕されて以降、関西に潜伏し、ムーンビーストの信奉者(シンパ)に対抗するべく、新興宗教(奇跡の手)を立ち上げたのも、その為だ。

ヒーロー陣営によるムーンビーストの打破は、オーバーホールからしても渡りに船でしか無い筈だ。

その筈なのに、胸の内に燻る違和感は何だと顔を顰める。

その違和感の答えを出したのは、壊理だった。

オーバーホールが足を投げ出す机の上に座り、ルービックキューブを弄っていた壊理は、手元から目を離さないまま言う。

 

「廻さんは、ムーンビーストさんが好きなんだよ」

 

「・・・は?なんだ、その冗談は?」

 

「冗談じゃ無いよ。私は、正直、あの人のことが怖くて嫌い。でも、廻さんはあの人のことが好きなんだよ。だから、皆に虐められることに、イライラしているんだよ」

 

ルービックキューブを弄る手を止めること無く呟く壊理に対して、オーバーホールが何か反論を言おうとした所で、壊理は視線をオーバーホールに向けてそれを制する。

 

「ムーンビーストさんとステインさん。三人で居るときの廻さんは、組の皆と居るときよりもずっと楽しそうに見えたよ」

 

「・・・だがアレはお前の敵だ」

 

「私がどうこうじゃ無いよ。廻さんは、どうしたいの?」

 

壊理の大きな眼がオーバーホールをジッと見ている。

オーバーホールはその血のように赤い眼が好きだった。

自分との関係が深まるにつれて深紅に近づいている様な、血のように赤い眼。年以上の聡明さを感じさせる光を携えた眼。それで居ながら、自分に縋り付く幼さを携えた眼に見られると、思わず小さな頭の上に手が伸びる。

 

「ん。えへへ」

 

頭を撫でられて喜んでいる小さな存在は、次の瞬間には分解(バラ)される可能性など欠片も抱いてはいない無防備さ。

このか弱い義妹(モノ)を守ると決めた。

幼い頃、自分の手を引いて歩いてくれた組長(オヤジ)のように、次は自分が、壊理が真っ当に生きられる道を作る。

 

「お前の為に、ムーンビーストは死んだ方が良い。アレは決して俺たちの罪を赦さない。殺される。レディ・ナガンですら、駄目だったんだ」

 

「それでも、廻さんは優しいから」

 

はにかんだ笑顔を浮かべる壊理。その笑顔には死穢八斎會組長の面影があった。

壊理は机から降りて、ルービックキューブを床に放る。そして、オーバーホールの頭を胸に抱き寄せながら、小さな手でその頭を優しく撫でた。

 

「廻さんがお爺ちゃんの為に頑張ってくれていることは知っているよ。英雄気取り(ヒーロー)に奪われた椅子にもう一度、お爺ちゃんを座らせて上げたいんだよね?」

 

「・・・ああ、そうだ。極道(俺たち)が再び裏社会を治める。組長(オヤジ)とお前の為に、必ず実現してやる」

 

「ありがとう。でもね、私もお爺ちゃんも、それが廻さんの気持ちより、大切な事だなんて、思えないんだよ」

 

壊理にとって死穢八斎會という居場所は、決して居心地の良い場所では無かった。

組長であった祖父は確かに義理と人情に厚い昔気質の極道だったが、潰れゆく組を立て直す為に忙しい身であり、あまり壊理に構ってはくれなかった。

周りの組員たちも組長の孫娘である壊理にまるで壊れ物を扱う様に接してくれたが、故に誰一人として側に居てはくれなかった。

広い家に一人。小さな身体を(ちぢ)こませる日々が終わったのは、月の夜の事だった。

 

満月の夜。庭の鯉を見ていた壊理は暴漢(ムーンビースト)に襲われた。

暴漢(ムーンビースト)の手にある刃物(ギロチン)に震えることしか出来なかった自分を助けてくれたのは、治崎廻(オーバーホール)だった。

その姿が壊理には本物のヒーローに見えた。

 

その日から、お義兄(にい)ちゃんは色々な所に連れ出してくれた。

愉快な八人衆(ともだち)を紹介してくれた。

 

「窃野さんとゲームセンターに行くのが楽しかった。多部さんと食べ放題に行くのが楽しかった。宝生さんとの登山は、疲れちゃったけど、楽しかった。乱波さんとプロレスを見るのが楽しかった。けど、乱波さんは直ぐに興奮してモノを壊すから、一緒に天蓋さんに怒られちゃった。活瓶さんに肩車されるのは楽しくて、一緒に音本さんを困らせるのはもっと楽しかった。酒木さんは・・・何時も酔っていて何を言っているかわからないけど、楽しい人だよ」

 

「・・・奴らは、お前を気にかけろという俺の命令を聞いていただけだ。極道の復権を果たさなければ、お前に普通の友達なんて出来ない。だから、俺は・・・」

 

「確かに、同い年の友達なんて出来なかった。でも、それでも良かったの。廻さん(あなた)に出会えたから」

 

―――あの日、あなたが私の手を引いたのが打算だったのは知っているよ。

―――優しくした方があなたの研究に進んで協力してくれるもんね。

―――でも、私は嬉しかったんだから。

 

「だから、私はもう幸せを一杯貰ったよ。だから、少しくらい、我が儘になっても良いんだよ」

 

「・・・・・・・・・もう、いいのか?お前を幸せにすると、組長(オヤジ)に誓った。俺はもう・・・やり終えていたのか?お前は本当に・・・俺たちなんかといて、幸せだったのか?」

 

「うん。だって私は、あなたと一緒に居るのが、何よりも()()()()()

 

少女の告白を以て、もう一人の怪物の枷は外された。

 

極道の復権。その為に英雄症候群患者に協力しなければならない。

壊理の守護。その為にムーンビーストと敵対しなければならない。

 

道が違えば組長()()も巻き込んで暴走していた獣性を、義妹(壊理)の為に封じていた(ヴィラン)は、そうしてようやくに動き出す。

秩序の破壊を許された。欲望の解放を許された。

自ら、同類(友人)のために戦う事を許された。

 

「俺は、()()が、あの馬鹿が、寄って集って殺される事が許せない」

 

満月の夜。

窮地(ピンチ)に駆けつけてくれた同類(アレ)は、月を背に恥ずかしげも無く、恥ずかしい台詞(セリフ)を宣った。

 

『こんな所で捕まってはいけませんッ!貴方を殺すのはッ、この私なのですからッ!』

 

その通りだとオーバーホールは思う。

 

「ムーンビーストが死ぬとしても、BADENDはありえない。アイツは願いを叶えて、俺に殺されるべきなんだ」

 

黒マスクの下で獣のような笑みを浮かべるオーバーホールにキュンキュンしながら、壊理はようやく()()()なった思い人に思いっきり抱きついた。

 

ムーンビーストをヒーローには殺させない。

その為に、積み上げたモノ(伏線)ぶっ壊して、身につけたモノ(立場)取っ払って、オーバーホールは全力で少年に戻る(我が儘を通す)

 

此所に、正義の為に愛を捨てた(ヴィラン)と愛を知らぬまま愛された(ヴィラン)の道が再び交じる事となる。

 

 

 

 

そんな物語の転換期を見ていた者がいた。

悩んでいるオーバーホールのためにコーヒーを煎れて持ってきた所で、何やらオーバーホールと壊理の二人が変な雰囲気になったため、机の下に思わず隠れてしまい、盗み聞きしていた玄野針は呟く。

 

「・・・よもや廻が壊理さんに()とされようとは、友人として祝福すべきか迷いやすが、おめでとうと言わないと壊理さんが怖そうだ。しかし、壊理さんの話にあっしの名前が無かったのですが、もしかして友人と思われてない?」

 

壊理が玄野針のことを、オーバーホールを()とす上で、一番のライバルだと思って居たのは様々な方面に配慮して、秘密である。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そして、現在。

 

雄英第三防衛線『英雄』はムーンビーストを捕らえた。

その功労者、雄英高校普通科-心操(しんそう)人使(ひとし)は額の汗を拭いながら、安堵の溜息を吐く。

 

「上手くいって、良かったぁ」

 

心繰人使の持つ個性『洗脳』は洗脳する意思を持ってした問いかけに返事をした者を操る事が出来る。自他ともに認める(ヴィラン)向きな個性は、しかし、ムーンビーストを洗脳し動きを止めるという大金星を上げた。

それを称えながら、軽い拍手と共に路地裏から現れたのは№3。ウイングヒーロー-ホークス。

ホークスは十数人のヒーロー達を伴いながら、大金星を上げた心繰人使の前に立つと右手を差し出した。

 

「良かった。良かった。上手くいったね。流石だよ。心繰くん」

 

心繰人使は差し出された手に気恥ずかしさを感じながらも、握り返す。

 

「いえ、皆さんのサポートがあったお陰です」

 

「謙遜しない。君の個性がなきゃ、俺たち大人組はムーンビーストの前にも立てなかったんだから、この結果は君の力だよ」

 

「ッす。ありがとうございます」

 

「いやいや、こちらこそ。それと、()()()お礼を言わなきゃね」

 

そう言いながらホークスはミッドナイトの姿に変わっていたトガヒミコにも右手を差し出した。

トガヒミコは変身を解きながら、つまらなそうな視線をホークスに向ける。

 

「・・・着替えるので、向こうを向いていてください」

 

「ありゃりゃ、失敬」

 

トガヒミコの個性『変身』は、相手の血液を摂取することで衣服や装備も込みで変身することが出来るが、その場合は着ている衣類が邪魔なため、最初から裸である必要がある。

つまり変身を解いたトガヒミコは裸であり、女子高校生の裸を見るわけにも行かないホークスを含めた大人組はトガヒミコに背を向ける。

そして、心繰人使もまた背を向けようとしたが、トガヒミコは彼に声をかけた。

 

「心繰くんは少し着替えを手伝ってください。背中のホックを閉めるのがムズいのです」

 

「え?いや、俺は・・・」

 

「あの人達よりはマシです。お願いします」

 

トガヒミコは(ヴィラン)であり、現在は仮釈放処分を受けている身ではあるが、本来なら刑務所の中に居なければならない犯罪者だ。

しかし、その外見は年頃の女子高生。同じく年頃の男子高校生である心繰人使としては、着替えの手伝いなど緊張してしまうから避けたかったが、同時に僅かな期待を孕んだ彼を誰が責められよう

。誓っていうが、彼にはやましい気持ちなど欠片も無かった。やらしい気持ちが一ミクロンだけあっただけだ。

 

「・・・分かった」

 

健全な男子高校生なら、誰もが持つ期待を胸にトガヒミコの方へ振り返った彼の目に飛び込んできたのは、ラッキースケベでは無く、ナイフだった。

 

「・・・え?」

 

「私が裸を出久くん以外に見せる筈がないのです」

 

可愛らしく舌を出すトガヒミコは、既にセーラー服を身に纏っていた。

心繰人使は直ぐには状況が飲み込めなかった。

これが()()()だと気がついた時には既に遅く、トガヒミコに背後から拘束され、ナイフで頸動脈を撫でられていた。

流れるように心繰人使を人質に取ったトガヒミコは、民家の壁を背にして背後からの奇襲に警戒する。

ヒーロー達からは怒声が飛んだ。

 

「何をしているんだッ‼」

 

「馬鹿な真似、なのです」

 

「君は自分が何をしているのか分かっているのかッ‼」

 

「何度も同じ事を言わせないで欲しいのです。殺すよ?」

 

トガヒミコの(ヴィラン)然とした眼を見て、怒声を上げていたヒーロー達の声が止む。

代わりにホークスの底冷えする様な声がトガヒミコに向けられた。

 

「馬鹿な真似は止めろ。付けられた“首輪”を忘れたか」

 

司法取引したとは言え、全てのヒーローがトガヒミコを信じていたワケでは無い。

故に彼女に付けられた文字通りの“首輪”は、かつてヒーロー公安委員会がステインに用いたモノと同じ“破壊輪”。

ホークスの持つスイッチ一つで、トガヒミコの首は鮮やかに()ねられる。

 

「どんな心変わりがあったかは知らないが、既に大局は決した。ムーンビーストはヒーローに敗北したんだ。君が何をしたところで、これは覆らない」

 

「良いんですか?私を殺したら、出久くんは怒るのですよ」

 

「・・・ムーンビーストとの戦闘で死んだことになるだけだ」

 

「そうして、第二第三の神父様を産み出すのが、ヒーローのやり方なのですね。レディ・ナガンの言葉の通りなのです。“キラキラ輝く星だけを見せられ、また誰かが真実に蝕まれる”」

 

「君は、先輩に会っては居なかった筈だ」

 

「会ったことはないのです。でも、ある日、アルバイトをしていたお店に手紙が届きました。そこに書いてあったのです。どうして神父様(ムーンビースト)が産まれたのか」

 

其処に書かれていたのは人間の負の面を押し固めた様な悪意の形だった。

 

「何故、神父様が十字架では無く、逆十字を掲げたのか。神父様はヒーロー(自分)ヒーロー(自分)達が守る人だけを、人として扱うあなた達とは違う。ヒーローも、(ヴィラン)も、自分も、他人も、()()()()殺すの」

 

「・・・君の罪を、俺たちは(ゆる)した。それを裏切ることが、君の答えなのか?そんなことをしても、緑谷くんが悲しむだけだ」

 

「うん。出久くんは怒るよね。でも、それは私と彼との話なのです。あなた達には関係ない」

 

「・・・平行線だな。トガヒミコ、これが最後通告だ。人質を解放しろ。()()()()()()()()()()()()()?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「そうか。残念だよ」

 

 

“破壊輪”のスイッチが押される。“首輪”はその役目を完璧に果たし、機能は問題なく作動する。

トガヒミコの首が刎ねられた。

 

その瞬間、トガヒミコが背にしていた民家の壁を分解(バラ)しながら、赤いペストマスクを付けた男が、(カラス)のように飛び込んできて、トガヒミコに触れた。

個性『オーバーホール』。手で触れた対象物を一度分解し、瞬時に修復することが出来る個性。ムーンビーストにして“強個性”と言わしめたそれは、持ち主が医学方面に秀でた知識を持つ故に“死亡した直後であれば対象を蘇生することが可能”である。

 

一度、分解されたトガヒミコの身体が首を繋げて修復される。

生き返ったトガヒミコは、もう人質には用はないと心繰人使をヒーロー達の方へと蹴り飛ばした後、命の恩人に向けてジト眼で失礼なことを言った。

 

「なんです、そのマスク?カアイクないですよ」

 

「・・・黙れ」

 

オーバーホールが黒マスクからペストマスクに変えたのは、彼なりの覚悟の表れだったのだが、開口一番にそれを貶されたオーバーホールの額に青筋が浮かぶ。

 

トガヒミコの窮地(ピンチ)にオーバーホールが現れたのは、勿論、偶然では無い。

雄英防衛線が作戦として立案された時、トガヒミコはそれをオーバーホールに伝えていた。

そして、その時から彼らは()()()()()

お互いに、何を思い、相手が此所に居るのかは知らない。

だが、共通目的がある。

 

「死穢八斎會若頭ッ!お前も裏切ったのかッ!何故だッ‼」

 

ヒーロー達が怒声を飛ばしながら、向かってくる。

オーバーホールは地面を分解・修復して壁を作り、ヒーロー達の行く手を阻みながらトガヒミコに指示を出す。

 

「“首輪”は外れた。さっさと馬鹿を連れて撤退するぞ。馬鹿」

 

「バカバカ言わないで欲しいのです。バカという方がバカなのです。カーバ。フフン、私はバカと言ってないのでバカではないのです」

 

「得意げになってないで動け。急がないと彼氏が来るぞ」

 

「むぅ、今は、それは少しだけ困るのです」

 

トガヒミコはムーンビーストの元に駆けだした。

心繰人使の個性『洗脳』は心繰人使の意思で自由に解除できるほか、操られている本人にある程度の衝撃を与えれば解除される。

つまりはムーンビーストの頭を叩けばいい。

 

駆けだしたトガヒミコの前にホークスが立つ。

トガヒミコの裏切り。オーバーホールの乱入。二転三転した状況下に置いても冷静さを失っていないホークスは、この場で何よりも優先すべきことを見失わない。

 

「子供が上げた大金星を、大人が台無しにする訳にはいかんでしょうがッ!」

 

トガヒミコのナイフ捌きを卓越した刀捌きで圧倒する。№3は伊達では無く、不意打ちを得意とするトガヒミコとホークスの鍔迫り合いは、直ぐに決着した。

ホークスの刀がトガヒミコのナイフを弾き飛ばす。

 

「残念だが、緑谷くんには名誉の戦死と伝えておくよ」

 

返す刃は、トガヒミコの首を刎ねる起動を描く。

この瞬間に置いても、全ての罪をムーンビーストに被せられる様に動くことの出来たホークスの冷静さと冷徹さは賞賛する他にない彼の素質だった。

 

“ヒーローが暇を持て余す社会。必ず手に入れてやる。俺の出せる最高速度で”。

 

掲げた理想に嘘は無く、彼は心の底から(ヴィラン)の存在しない社会を願っている。

 

ホークスが平和な社会のために行うトガヒミコへの二度目の殺害。

しかし、トガヒミコは再び救われる。

少女の窮地(ピンチ)に緑色の稲妻が奔る。

 

()()()()()()()()()()()()()()?」

 

鳥肌が立つ程の怒気が込められた声がホークスに向けられる。此所でムーンビーストを追っていた第一防衛線のメンバーが追いついた事が、トガヒミコに向けて刀を振るうホークスを目撃した緑谷出久がOFA45%(半ギレ)でトガヒミコを助ける為に跳んで来た事が、後の世界の命運を別けた。

 

 

トガヒミコとホークスはムーンビーストの側にいた。

其処に緑谷出久がトガヒミコを助ける為にやって来た。

 

OFA45%の衝撃に晒されて、獣は目を覚ます。

 

「・・・アハ、アハハ、アハハッ、アハハッッ‼ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああアアアッ‼‼‼」

 

空気を揺らす程の大絶叫。ムーンビーストの視線がホークスを捕らえる。

殺害を予告した相手を前にギロチンが月の光を反射して輝く前に、オーバーホールがムーンビーストの肩を掴んだ。

 

「なっ⁉離して―――

 

「今は退くぞ。ヴオェエエエ」

 

―――って、突然、吐いた⁉大丈夫ですか⁉」

 

覚悟ガン決まりであろうと友人が当然、目の前で嘔吐すれば誰だって慌てるだろう。

オーバーホールのペストマスクの間から零れ落ちる()()()()()に目を白黒させたムーンビーストだったが、直ぐにそれが吐瀉物でない事に気がついた。

しかし、既に()()は始まっている。

 

「出久くん!助けてくれてありがとう!大好き!出久くんも一緒に行きましょう!」

 

「えっ?ちょ、待ってよ、ヒミ―――

 

「オーバーホール!これはどういう―――

 

ムーンビースト救出作戦は成功し、雄英第三防衛線は失敗に終わった。

それを画策し水面下で動いた二人に対して、事情が分からない者が一人と、巻き込まれた者が一人。

ムーンビースト。緑谷出久。トガヒミコ。オーバーホールの四人は、その場から姿を消すのだった。

 

残されたホークスは、自らの失態に舌打ちをする。

 

「やられた。緑谷くんが攫われ、灰色勢力は(ヴィラン)連合と合流した」

 

 

 

 

 

 





治崎壊理。原作キャラ。

おそらく原作より年上設定になっているべき少女。
「お兄ちゃん」→「廻さん」→「あなた」の三大進化を成し遂げた正統派ヒロイン。
年の差なんて些細な問題。いいね?




玄野針。原作キャラ。

壊理がライバルと目していた治崎廻の幼なじみ?治崎廻を「廻」と呼び捨てにして居た所為で壊理にライバル視されていた。壊理にとっては一緒に居て楽しいけど、廻さんと一緒にいるとモヤモヤする人。



心繰人使。原作キャラ。

悪用できる個性№1を持ちながら、ヒーローを志した光の側の人間。『変身」と『洗脳』でムーンビーストを無力化する事に成功したが、年頃の男子高校生だったので人質になってしまった。彼は悪くない。悪いのは何時だって純情をも手遊ぶ悪女だ。



ホークス。原作キャラ。

ムーンビーストに殺害予告されながらも、彼が出てきたのは、もしもの際、トガヒミコを処刑するため。大勢の命と未成年の命を天秤にかけて引き金を引けるヒーローは少ない。
彼はそれが出来る人間だったので選ばれた。しかし、だからといって彼が冷血漢だと言うわけでは無く、流石に恋人の前で殺すのは躊躇ってしまったため、大変な事になった。



ムーンビースト。オリキャラ。

洗脳中の記憶はある。罠に嵌りとても恥ずかしかった。ごまかすために叫んでいたら、転送された。転送先で、ひと悶着あることは確実だろう。



やっぱりゴタゴタでハチャメチャを書くのが楽しいですね\(^_^)/

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