ヴィランによる正義執行!   作:白白明け

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ついにスターがアニメに登場したと知り、七期を見直しました!
やっぱりアメリカのナンバーワンはカッコいいですね(^^)

皆様の暇つぶしになれば幸いです\(^o^)/





個性『ヘルフレイム』③

 

神奈川県横浜市神野区-オールマイト像前。

 

全米№1ヒーロー-スターアンドストライプは上空を飛ぶ報道ヘリを睨みつけながら、彼女が心の師(マスター)(あお)ぐオールマイトに尋ねた。

 

「日本政府は報道規制を布いているんだよね?」

 

スターの問いかけにオールマイトは頷くが、空を見上げてしまえばヒーローと警察が共同で政府に要請したマスコミへの報道規制が十分に効力を発揮していないのは明らかだった。

都合三台もの報道ヘリが神野区の空を飛び回り、カメラで眼下のヒーローと(ヴィラン)の姿を映し出している。(ヴィラン)の中にはカメラに向かって手を振っている輩もいる始末。最早、報道規制の意味など消えていた。

 

「政府機関が麻痺している現状、マスコミには“お願い”という形で報道の自粛を通達するに止まってしまったようだね・・・」

 

Shit(シット)(ヴィラン)はマスコミに情報を流すことで勝手にやってくる“人質”を得た訳だ。随分と嫌らしい手を使うじゃないか。ムーンビーストの奴、海の上じゃ、其処まで頭の回る奴には見えなかったけどね」

 

「首台少年は良くも悪くも真っ直ぐさ。おそらくコレは治崎廻、オーバーホールの策略だろうね」

 

「最も視聴率の獲れる番組は戦争(ウォー・ゲーム)だ。人の黒い部分に精通している。悪辣さで言えばムーンビースト以上って訳か。そのオーバーホールって奴も生かしちゃおけないね」

 

「・・・キャシー。わかっていると思うが、可能な限り(ヴィラン)は生け捕りで頼むよ。此所は日本だ。(ヴィラン)にも、裁判を受ける権利と弁護士を雇う権利がある」

 

「HAHAHA、心の師(マスター)、アメリカンジョークだよ。安心してくれ。私と貴方が一緒にいるんだ。並の(ヴィラン)は皆、この触覚を見ただけで震え上がっちまうさ」

 

オールマイトの独特な髪型-二本の触覚を真似たという八本の髪束を指さしながら笑うスターの姿に、オールマイトの表情が少しだけ和らいだ。

スターはそれを見て、笑みを更に深いモノに変えて不敵に笑う。

 

「さあ、マスターの柄でもない緊張も解けたようだ。そろそろ始めようか」

 

「ああ、キャシー。ありがとう」

 

「私と貴方の仲に言葉なんていらないさ。・・・でも、まあ、一応、聞いておこうか。敵は目の前。迎撃か?回避か?」

 

 

答えは勿論、SMASH(スマッシュ)!だ。

 

 

決まり切った返事を聞いて、高揚のままに飛び出そうとしたスターに先駆けて、真っ直ぐにムーンビーストヘと向かう影があった。

 

「えッ⁉ま、待つんだ!君の出番はまだ―――

 

驚き止めようとしたオールマイトの声を置き去りに、先陣を切る一陣の風。否、()

現日本№1ヒーロー-エンデヴァーの独断専行を以て、日米ヒーロー陣営(VS)(ヴィラン)連合&灰色勢力の全面戦争の火ぶたは切られたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

―――『利用できるモノは全て利用しろ』。

 

そうしなければ勝機は無いとオーバーホールは言った。

その通りだと私も思った。オーバーホールと壊理さんの個性(チカラ)によって全盛期の姿を取り戻したオールマイト。そして、並び立つ全米№1ヒーロー-スターアンドストライプ。

日米歴代最強ヒーロータッグを前に私とオーバーホールが協力したところで勝ち目などない。チラリと隣に立つ者の姿を横目で見れば、ペストマスクを上下逆に着けるという訳のわからない失態を演じていた。

私は溜息を吐きながら、ペストマスクを付け直してあげる。

 

「・・・すまない」

 

本来、聞ける筈のない声での謝罪を無視して、前を見る。

立ち並ぶ十本の触手(オール&スター)は、(ヴィラン)にとっては絶望の光景だろう。それを見て、空を見上げて、大嫌いなマスコミの報道ヘリを見て願うのは、憎々しい彼らが偏向(へんこう)報道をしないことだ。

絶望は絶望として、希望は希望として、ありのままの真実を伝えることを私は望む。

 

「どちらが勝つにせよ、この戦いは時代の節目になります。緊張はわかりますが、()()には堂々と立っていて頂きたい。きっと彼がこの場に居ればそうであったように。・・・わかりますね?どうか私を失望させないで頂きたい」

 

「わかっているのです」

 

「よろしい。では、始めるといたしましょう。全てを利用した卑怯なる(ヴィラン)の戦いを―――

 

 

「ムーンビーストォオオオオ‼‼‼」

 

 

私の声を遮りながら、怒りに燃える声が聞こえた。ヒーロー陣営の一番槍は、エンデヴァーのようだ。意外な人選に疑問を抱くが、来るというなら拒みはしない。彼は紛れもなく私の命を終わらせられる可能性を秘めたヒーローだ。

 

「貴女は此所で!全ては手はず通りに!()()()()()()()()()()()()()()

 

オーバーホールは一流の(ヴィラン)だ。しかし、彼は頭脳派(ヴィラン)。戦闘能力で言えば、オールマイトどころか私にも及ばない。しかし、此所は任せる他にない。

私一人でオールマイトとスターアンドストライプを相手取るのは不可能な以上、誰かがどちらかを相手取るしかない。

私の個性『ギロチン』がオールマイト相手では切れ味の良い包丁程度のチカラしか出せない以上、私はスターアンドストライプの相手をするのが合理的だとオーバーホールは判断した。

私は彼の言葉に従い、オールマイトは彼の作戦に託す。

 

―――『俺は、勝ち目の無い戦いはしない』。

 

信ずるべきは同胞()の言葉。

唯一残った同胞との約束を果たすため、私はエンデヴァーと対する様に飛び出した。

 

「エンデヴァー!久しぶりですねえ!ご壮健そうでなによりです!」

 

飛んでくる火球を左腕のギロチンの刃で切り払う。炎が晴れて広がる視界には、憤怒を宿したヒーローがいた。常に不機嫌。ファンサからは程遠いと思われていた以前のエンデヴァーより更に近寄りがたい雰囲気(オーラ)

最近、丸くなった?と思っていた私の考えを裏切る姿に首を傾げる。

 

彼は、何をそんなに怒っているのだろうか?

 

「おやおや、どうしたのですか?口も聞いてくれないとは、寂しいですねえ」

 

「・・・ムーンビースト。俺は、俺は、俺はお前を!()()‼」

 

エンデヴァーの口から出た言葉には、正直、驚いた。オールマイトが復活したとはいえ、日本の現№1ヒーローは以前、彼だ。そんな彼が周囲を気にする事なく吐いた言葉は、決してヒーローが口にしていいモノでは無かった。

 

「何をそんなに・・・怒っているのですかねえ?」

 

「――――ッ⁉⁉⁉‼‼‼」

 

思わず口から漏れた至極真っ当な疑問に、エンデヴァーの怒りは更に()()()()燃えがある。アスファルトが溶解していく。立ち上る煙の刺激臭に顔を顰める。他のヒーローとの連携など考えない火力。オールマイトやスターアンドストライプでも無視できない熱量。

今の彼の周りには私以外、存在できないだろう。

立ち上る火柱。エンデヴァーが意図して作り出した隔離された状況。

その中で彼は私に問う。

 

「お前は、荼毘を、俺の息子を、殺しただろう。それなのに、どうして俺が怒っているのかわからないのか?」

 

「ああ、なんだ。そんなことですか」

 

「“そんなこと”だと!」

 

更に燃え上がる炎を制する様に、私は右手をエンデヴァーに向ける。

 

「確かに私は荼毘を殺しましたが、それは彼が(ヴィラン)だったからです。それも只の(ヴィラン)ではありません。人を殺した、人に殺される理由を持った、(ヴィラン)。私はいつも通り、ヒーローでは裁けなかった悪を裁いたに過ぎません」

 

それを今更、そんなに怒られても・・・というのが私の素直な感想だ。

 

「何時ものことではないですかァッハッ⁉」

 

言葉の途中で迫ってきたエンデヴァーのラリアットをギロチンで防ぐ。後一瞬、防御が遅れていれば顔面が焼けただれていた。

 

「いきなり何を⁉」

 

「ムーンビーストォオオオオ‼」

 

私の言葉を無視して、エンデヴァーはギロチンの刃が二の腕に半ばまで食い込むのも構う事なくラリアットを振り切った。

私は飛ばされ、ビルの壁面に激突する。其処へ追撃の赫灼熱拳(かくしゃくねっけん)

それは右腕一本のギロチンで防げる熱量を遙かに超えていた。

 

「これほど、とは!」

 

私が命からがら逃げ出せば、空を飛び私を見下ろすエンデヴァーの姿が揺らいで見えた。

陽炎を生むほどの熱量。否、私の眼球の水分が蒸発して視界がぼやけていた。

 

「・・・流石は英雄的暴力(エンデヴァー)。どうやら私は貴方を舐めていたようです。驕って居た事を、心の底から恥じましょう。貴方のその炎、復讐の炎は、私を殺し得る」

 

「貴様・・・その左腕(うで)は、失ったのではなかったのか?」

 

右腕一本だけでは死んでいた。

オーバーホールの個性で再生した左腕がなければ、私は此所でエンデヴァーに殺されていた。

 

左腕(コレ)を、貴方相手に見せる気は無かった。スターへの隠し球だったのですが、仕方がありません。全力で、お相手しましょう。エンデヴァー」

 

オールマイトが全盛期の姿を取り戻したように、私も左腕を取り戻している。

しかし、だからといって私がオールマイトに敵うと言うことにはならない。

 

「フン・・・それでいい。全力の貴様を、俺は全力で(ころ)す。あの世で燈矢に、いや、これまで殺してきた者たち全てに詫びろ!ムーンビーストォオオオオ‼」

 

そして、私がエンデヴァーに敵う理由にもならない。

 

「しかし‼誰よりも私が復讐の獣(ムーンビースト)であるが故にッ!復讐心(それ)で私は殺せぬよ‼エンデヴァァァアアアアアアアア‼」

 

 

「赫灼熱拳ッ‼プロミネンスバーン‼」

正義の十字執行(ジャスティス・クロス・ジャッチメント)‼」

 

 

眩しい程の激しい発火、放たれる熱線を、十字を切る信仰を以て相殺する。

熱量は四散し、私の身体を焦がすこと能わず、市街地を火の海に変えるに止まった。

遠くからヒーローと(ヴィラン)達の悲鳴が聞こえたが、私には関係がない。

オーバーホールが此所に集めた(ヴィラン)連合の(ヴィラン)達は、死んでも構わない者たちだ。集ったヒーローにも私は半ば失望している。

その上、余波で死ぬ程度のチカラしか持たずに未だにヒーロー(づら)をしているというのなら、ステインではないが粛正対象として見なしてしまいたくなる。

 

「しかし、私と貴方は違うでしょうに・・・エンデヴァー、ヒーローである貴方が、周囲への被害を無視して必殺技を放つなど、それ程までに荼毘の死は、貴方の心を苛んだのですか?」

 

「アイツは・・・泣いていたんだ。泣いていたんだぞ・・・」

 

「人殺しの涙に湧く情など、私は持ち合わせぬ故に、言葉に共感は出来ませんねぇ」

 

「両腕を落とされ、這いずりながら逃げるアイツを、燈矢を!俺の息子を!お前は殺したんだ‼逃げる燈矢を追いかけて殺したんだ‼捕らえることも出来たはずなのに‼」

 

叫びと共に振るわれる拳には真っ当な怒りがあった。息子を殺された父親は抱くべき当然の怒りがあった。それを躱すが、拳が纏う炎が私の肌を焼く。痛みに表情が歪む事は無い。

しかし、エンデヴァーの頬を流れ蒸発した涙の跡を見て、僅かに胸が痛んだ。

 

「わかっている‼燈矢は許されないことをした‼だがッ、そのケジメを付けるのは俺だった筈だ‼燈矢が最後にッ、俺をッ、俺を呼んでいたのにッ‼‼‼その手を握れなかった‼アイツの側に居てやれなかった‼貴様の所為だ‼貴様のッ、貴様がッ、俺の罪をッ、貴様が勝手にッ、裁くなアアアア‼‼‼」

 

私の正義の歪み。

流れた涙の跡。

僅かに生まれた隙に、エンデヴァーの拳が私の腹部へと突き刺さった。

 

「私の正義(復讐)が、他者の“復讐(それ)”を奪っているという、矛盾。これは・・・効きますねぇ。しかし、()()()()()

 

私の腹部へと突き刺さったエンデヴァーの拳。

其処から炎が産み出されることは二度と無い。

肘から切り落としたエンデヴァーの右腕が地面に落ちた。

 

「私の正義は、逆十字は、揺るがない」

 

「―――ッ⁉たかが、腕一本!まだッ!」

 

()()()()‼」

 

エンデヴァーの延髄に蹴りを叩き込み、意識を飛ばす。

そのつもりが、エンデヴァーの頑強な身体に耐えられる。

首を切り落とすつもりなら、足にギロチンの刃を形成していれば殺せた。

しかし、エンデヴァーは素晴らしきヒーロー。殺すつもりは無い。

意識を保つ彼を嬲りたくはないが、仕方が無い。

私は蹴りを繰り返す。

 

()()、私は道半ば。依然、“正義の象徴”は遠く、“平和の象徴(憧れ)”は尚も不動のモノとして(いただき)にある。故に私は諦めない。殺してきた命に誓って、私は私の夢を諦めない」

 

「狂人、め・・・。貴様に、正義など・・・な、い」

 

「信じて貰えずとも、結構。元より、正義とは信じるモノではなく、()()モノ。私は成しますよ、エンデヴァー。全てを利用し、オールマイトと同じ“超人”に、私は成る」

 

そうして築き上げた“正義の象徴”をきっと誰かが、仰ぎ見る。

 

「肉親を殺された痛み。抱く憎しみ。そして、世間は言う。彼は()()()()()()()()()()()()と」

 

「―――ッ⁉」

 

エンデヴァーの息子の死を悼み、流れた涙は本心だ。

私は荼毘を殺したが、家族を失う痛みは知っている。

 

「わかりますとも、痛いほどに。貴方の息子の死に、きっと世間は歓喜した。私も同じでした。大切な誰かの死は、簡単にお茶の間の話題に変わってしまう。私が狂っていると、貴方は言いましたねぇ。しかし、真に狂っているのは、どちらでしょうか?人の死をエンタメに変えてしまう世界こそが、狂っているとは思いませんか?」

 

そんな世界を変えたいと思った。

世界を変えるために何をするべきかを、既に先達(せんだつ)が示してくれていた。

オールマイトのような世界を照らす象徴が必要だった。

“正義の象徴”が、必要だった。

 

「家族が死に、その死を辱められ、復讐心を抱かぬことなど、私には出来なかった。貴方に、出来ずとも構いません。しかし、“正義の象徴”。この私の名が象徴として語られる日が来たのなら、何時の日にか、きっと、()()()()()()()。振り返り、復讐心から振り下ろす凶器を持った手を、止めることが出来る者が現れる。“正義の象徴(ムーンビースト)”に殺されるかも知れないという、恐怖心からでも構いません。()()()()()()()()()()()()なら、どんなに素晴らしいでしょう」

 

そのきっかけに、私は成りたかっただけだ。

 

「―――」

 

エンデヴァーからの返事はない。気を失ってしまっていた。

私は彼を捨て置き、歩みを進める。“象徴”は直ぐ其処だ。

最早、止まる理由はない。

歩みを進める私の前に最大の壁が現れる。

 

「演説は終わったかい?」

 

風に靡く八本の髪の束。金髪に筋骨隆々。女性でありながら、身体が私よりずっと大きく見えるのは純粋な体格差以上に風格があるからだろう。オールマイト以外に出会うとは思わなかった“画風”が違うと言える存在。

正しくアメコミのヒーローだと、思わず微笑む。

 

「待っていてくれたのですか?見た目に似合わず、いえ、見た目通りに優しいですねぇ。()()()ー」

 

名前を呼べば、彼女-スターアンドストライプの表情が、分かりやすく歪んだ。

 

「アンタに名前で呼ばれる謂れはないよ」

 

「貴女の個性『新秩序(ニュー・オーダー)』に関しての知識は得ています。貴女も私の名を呼ぶのでしょう?なら、私も貴女の名前を呼んでも良いではありませんか」

 

Shit(シット)、確かにアンタの言う事は筋が通ってはいるけれどさ。アンタ、気持ち悪いね」

 

「アハハ、年上美人に罵倒されるなど、ご褒美ですねえ‼」

 

「・・・ホントにキモいね」

 

「ガチなのはちょっとへこむので止めて頂きたい」

 

「あー、すまないね」

 

「いえいえ」

 

「しかし、エンデヴァーをああも手玉に取るとはね。あんなに勝手な真似をして、負けたんだ。彼のヒーロー生命は絶たれた。あれも、オーバーホールの策略かい?それともアンタかな?」

 

「何をいっているのか、わかりませんねえ」

 

「そう。わからないなら、いいさ」

 

最大の壁を前に私は笑い、彼女も笑っていた。

そして、全米№1ヒーローとの戦いが始まった。

 

 

 





原作キャラ、エンデヴァー。

息子を殺された復讐か。自らの贖罪の場を奪われた憎しみか。立場を捨てて主人公に挑んだヒーロー。
しかし、その炎では届かなかった。
敵を倒すのは、いつだってヒーローだ。ヒーローでなければ、ならないんだ。


原作キャラ、荼毘。

ヒーローとしてのエンデヴァーを終わらせたヤベー奴。
彼の掌でダンスしていたことを、ムーンビーストが気づくことはないだろう。


オリキャラ、ムーンビースト。

荼毘の掌で踊らされていたヤベー奴。


原作キャラ、スターアンドストライプ。

全米No.1のヤベー奴。前回はなあなあで終わったが、今回はムーンビーストを完全にロックオン。
おいおいおい、死んだわ。あいつ。


原作キャラ、オーバーホール?

「私はオバホなのです」。





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