編入と出会い
日本に戻ってきてはみたけど、特にやりたいことがあるわけじゃない。
フランスの大学へ入学したときは、パパやママの勧めとUTX高校の推薦があったからだ。フランスの大学では、芸術・芸能がメインだったこともあって日本では、全く別の外国語学部のある大学に編入してみた。
二回生からの編入もできるようだったし、両親の影響もあり、フランス語や英語も問題なく話せる。
そういった点もあってスムーズに有名私立大学星宮大学というところに通えるようになったのだけど…
「手続するとこ、どこだろう…」
高校とちがって大学ってすごく広い。ちょっと方向音痴な私には辛い。
(うちの高校だって他とは少し違ったけど、それとは段違いだよ…)
大学は、というか世間一般的に今の時期は春休みという期間である。
まばらに人はいても私と同じような新規の入学生ばかりなのはないだろうか。
ちらほらと在学生のような人たちも見受けられるけど、話しかけるような勇気は持ち合わせていない。
それになんだか周りの人がこちらを見ている気がする。そんなに浮いて見えるのかなこの格好。
「ねぇ、君。なんか困ってる感じ?」
さっき、遠巻きにこちらをみて話していた集団の一人が話しかけてくれた。
「え、えぇ。」
「新入生かな?俺らが案内してあげるよ、そのあと大学内とかも色々説明できるしさ」
男子三人のグループで、一人は背中になにか楽器を背負ってる。なにかのサークルの人かな?
「じゃあ、よろしくおねがいし「ちょっと待って!」ます……?」
案内してくれるという親切なひとについていこうと思ったら、背の高い金髪の女の人が間に入ってきた。
「貴方たち楽器もってるし、サークルしにきたんじゃないかしら?私もちょうど彼女の行き先に用事があるから私がついていくわ」
「えっ、ちょっ!」
結構強引に女の人が手を引いて歩いていく。後ろを振り返るとさっきの集団は何か話している様子だった。
「あとちょっとだったじゃん、あ~~惜しかった~」
「てかあれ、絢瀬さんじゃね?」
「まじ?うわ、ほんとだ。近くで初めて見たかも、まじで美人だわ」
なにが惜しいかはよくわからなかったけど、この金髪の女性は絢瀬さん(?)というようだ。
さっきからずっと黙って手を引かれるままに歩いているけど、しっかりと目的地にはつくのだろうか。
さっきの人たちが見えなくなるくらいまで歩くと、
「急にごめんなさい、少し見ていられなくて間に入ってしまって」
申し訳なさそうに話す彼女に対して、
「いえ、案内、ありがとうございます」
「迷ってそうだったのはわかるけど、明らかにあの男の子たちについていくのは良くないと思ったわ」
(…?)
そうだろうか、案内しようとしてくれて親切そうだったけれど。
「分からないって顔してる。危ないわよ、可愛いんだからほいほい人について行っちゃ」
「でも案内してくれるって言ってて」
「それを利用しようとする人もいるでしょう?」
「分かりました、気を付けますね」
あんまり分からなかったけど、絢瀬さん(?)はいい人みたいだ
「それで、入学手続きしに来たのよね。ここでできるはずだから」
編入も入学も大して変わらないだろうと思い、訂正する必要は感じなかった。
「はい、ありがとうございました」
「じゃあ、私は戻るわね」
あれ、さっきは用事があるからといっていたけど…きっと私を助けるために嘘をついてまで付いてきてくれたみたい。
あの人は本当に優しい人みたいだ。
◇◆◇
春休みだけど用事がありたまたま大学に来て、帰ろうとしていたら何やら困っている子がいた。
銀色の髪に金色の瞳、色白でモデルのような女性がキョロキョロして立っていた。
その整った容姿にどこか人形みたいだと思っていたら、男子の集団が彼女に話しかけたようだった。
あれだけ目を引く容姿をしていれば声もかけられるだろうけれど、
「あれではさすがに下心が丸見えよ」
よっぽどでない限り、誘いに断るだろうと思っていたが、彼女は断ることなくついていくようだった。
そして私は、放っておけなくなり少し強引に彼女を連れ出し、歩いていた。
私が引いて歩いている間も特に警戒心もなくついてくる様子に、本当に大丈夫だろうかと心配になった。
(でもさすがに、とやかく言うのはおせっかいかしらね。)
彼女の目的地に着いて、話をしてみるとやはり彼らの考えには気づいてはいないようだった。自分の魅力にも無自覚で周りの反応に興味も示していないのだろうか。
無感情かのような容姿も相まってやはり、人形の様だ。
それがこの出会いでもった彼女への印象だった。
コロナがない時の大学はきっとこんな感じなのでしょうか?
ご視聴ありがとうございました。まったり更新です。
次回もよろしくお願いいたします。