日本での一人暮らしにも慣れてきたと思う。
もともと日本にあった戸建ての家ではなく、大学に近いマンションに引っ越してきている。
相変わらず、両親の心配によって一人で暮らすには広いと感じるし、安全面でも完璧である。
編入準備を終え大学が始まるまでの間、徒歩5分もかからないほどにある駅前や大学周辺を散歩して地理に慣れようとした。
それに広い部屋にただ一人でいると寂しいと感じて両親に相談したところ、ペットを飼うことにした。
私は根っからの猫派である。よって我が家のペットは猫一択である。
一人で買いに行くか迷ったのだが、日本に帰ってきてから連絡を取ってない友人のことを思い出して連絡を入れてみた。
高校卒業後も芸能界で忙しいのだろうかと思ったが、案外すぐに返事が返ってきた。
ちょうど休みの日であり、予定も入ってなかったようで、
『今すぐ行く、住所教えて』と。
相変わらず唐突で強引な子だと思いながらも支度を始めた。
「ひさしぶり、元気してた?てか何この家。いつ帰ってきたの?」
矢継ぎ早に話を振ってくるが、私は無難に返事をする。
「あんじゅ、ひさしぶり。最近引っ越してきたの。大学に近いから」
「昔から思ってたけど、やっぱり過保護よね、貴方のご両親」
他の人からみてもそうなのだろうと思った。
「両親が過保護になりすぎちゃったから、こんな無自覚無警戒美少女が誕生したのね」
「なにそれ、だれのこと」
そんな箱入り娘知らない…
「まぁ、いいわ。今日はどこに行こうかしら」
そうだあんじゅを呼んだのは私の天使に会いに行くためだった。
「運命の子を探すの、ペットショップよ。さ、はやく」
「あら、そうだったの?なら早くいきましょう、車ださせるわ」
そういって携帯を取り出すと誰かに連絡して、1分も経たないうちに車が来た。そこらへんに待機していたのだろう。
◇◇◇
「きゃぁぁあ、かわいい~~~」
隣で悶えている女の子は親友である白雪月華。
いつもはミステリアスで綺麗な人形みたいな子。全国の男性が夢に見、女性が羨むような女の子。
普段は物静かであまり感情を表に出すようなことはない。
しかし、こうして大好きなもの、特に猫やお菓子の前ではこのように残念なキャラへとなり下がる。
それに私のように気が知れた間柄の人にもこのように、感情が表に出やすいのではとも思う。
「ちょっと、あんまり大きい声出してはだめよ。動物がびっくりしちゃうわ。それに、」
周りの人の視線も物凄く集めている。それはそうだ。こんな絵にかいた美少女が変な声をだして悶えているのだから。
あ、ほら。あそこの男子なんて顔を赤くして、何を想像しているのやら。
「はぁぁん、まじ天使ぃ~。好きよ、愛してる。」
「ほら、その辺にしておきなさいってば」
「あぁん、ちょっと待ってってば」
ほんともう、こんな大衆の前で変な声出さないでほしい。自覚がないってホントに大変ね。こっちが恥ずかしくなるわ。
「もう決めたの?」
「えぇ、この子にする」
そういって連れてきたのは青い瞳の真っ白なラグドール。いつの間に店員さんに出してもらっていたの。
「お店に入った時から、この子が呼んでる気がしたの!ほかの子を見ているときもずっと視線を感じて。やっぱりこの子が運命の子よ!」
そういって彼女の腕にいる子猫は熱心に体をこすりつけて甘えていた。猫って気分屋って聞くけどこんなに甘えるものなのね。
「その子お客様のことすごく気に入ってるみたいですね!普段はつんけんしてるんですけど、よっぽど貴方のこと好きみたいですよ」
そういってグルグル鳴らして、月華の指をなめている。
「ほんとですか?うれしいわ!」
そう言って店員さんに微笑む。
駄目よ、そんな無防備な笑顔を見せては。ほら店員さんも真っ赤になっちゃったじゃない。
無意識に人を誑し込む才能があるのかしら。私もその被害者だったりするのだけれど。
「このまま連れて帰れるかしら」
「大丈夫ですよ。ただ飼育するために色々必要になりますのでご案内しますね」
そういいながら、顔を紅潮させた女店員は購入手続きやら、何やらをはじめる。
(私もペット飼おうかしら。そもそも忙しくて世話する暇なんてないかもしれないけれど)
あの子の様子を見ながらもマネージャーに相談しながら検討してみようと考えた。
ご視聴ありがとうございます。
無自覚美人系主人公唯一の友達は例のA-RISEのあんじゅさんでした。
主人公はけしてボッチではありません。大丈夫です。高校も大丈夫だったはずです。