無自覚白雪姫は元アイドルを困らせる   作:つゆちゃん

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ランチデートは唐突に

 

 

午前の講義も終わり、お昼の時間になった。

今日の講義はこれで終わりだし、家に帰ってゆっくりご飯でも作ろうかと考える。

それに我が家では可愛い天使がお出迎えしてくれるのだ。

なんてことを考えていると、

 

「おつかれ、今日この後予定ある?」

 

大学内で迷子になっていた私を助けてくれた案内人の絵里が話しかけてくれた。

 

「特になにも」

「だったら、案内もかねて一緒にご飯でも食べない?この大学の学食すごくおいしいのよ!」

 

学食については気になるし、絵里とももっと話したいと思っていたので返事を返した。

 

「えぇ、私、絵里ともっと話してみたいと思っていたの」

 

素直に自分の気持ちを伝えてみると、

 

「うれしいわ!それじゃあ行きましょう!」

 

よっぽどおなかが空いていたのか、ご機嫌で食堂に向かうのだった。

 

 

 

午前の講義も終わり、食堂では学生たちがごった返していた。

絵里曰く新入生も興味をもって利用しに来るため、この時期はかなり混むみたいだ。それを失念していたと愚痴をこぼしていた。

これだけ混むのもはじめだけで、普段はもう少し空席が目立つらしい。

 

「誘っておいて申し訳ないのだけど、これだとゆっくり話せそうにもないわね」

「かなりの行列になっているもの」

「学食はあきらめて外にご飯でも食べに行く?ちょうど午後は講義も入ってないし」

「そうね、そうしましょ。私、近くで行きたかったところがあるのよ」

「あら、つい最近越してきたばかりなのによく知ってるわね」

 

休みの間、家の周りを散歩して見つけたカフェである。

パスタやサンドイッチなどメニューも豊富そうでおしゃれなお店だったけれど、一人で入るには少し勇気がいった。

それに何より気になったのは、看板メニューだというようなデザートだった。

 

「ここら辺を把握するためにたくさん歩き回ったのよ。その時から気になっていたの。」

「じゃあ、そこにしましょう」

 

なんて話ながら大学を後にした。

 

 

 

ちょうどそのお店は私の家と大学の中間くらいにあってそんなに時間もかからなかった。

お昼時ではあるが平日ということもあり、あの学食よりはスムーズに席に着くことができた。

 

「おしゃれなカフェね。一年大学に通ってたけどこんなお店があるなんて知らなかったわ」

「そうでしょ、散歩って発見がたくさんあって楽しいものよ」

 

ちゃんと家まで迷わず帰れてよかったわね、なんてからかわれながらも2人でメニューを眺めた。

私はほうれん草とキノコのクリームパスタ、絵里はあさりのボンゴレパスタを頼んだ。

少し時間がたったところで運ばれてきた料理を、お腹を空かせていた私たちはペロリと食べあげてしまった。

 

「ねぇ、絵里。デザートも食べたいって言ったら怒る?」

「全然気にしないわよ、なんで怒られると思ってるの」

「私がたくさん食べるとイメージと違うって言われたことがある」

 

向こうでモデルをしていた時、大学の人にもっと気を使ってると思ってたって言われた。

 

「そう。そんなこと気にしないわ。好きなものは好きに食べるのが一番よ」

「絵里は優しいのね。ほんとはこのお店でずっとチョコレートケーキが気になってたの」

 

散歩していた時からずっと気になっていた。そういって店員さんを呼び、デザートを頼む。

 

「チョコレート!…っんん、あなたも好きなの?チョコレート」

「えぇ、チョコというかお菓子全般?父の影響で。絵里も可愛いところがあるのね、意外だわ」

「そんなことないわ。お父様は料理が好きなの?」

「父はフランスでパティシエをしているわ。la lune(ラ・リュンヌ)ってお店なのだけど」

「有名店じゃない!フランスのチョコレート、食べてみたいわ…」

「いいよ、今度持ってきてあげる」

「えっ!あるの?」

「定期的に送られてくるから。パパは私のことほんとに大好きなのよ、お店の名前も私の名前からとったんだって」

 

チョコの噂をしていたらなんとやら、頼んだものが運ばれてきた。

ほんとにパパは私のこと大好きなのよね、一人では食べきれないほどお菓子を送ってくれる。

 

「ご両親に愛されてるのね、素敵だわ」

「そうみたい、もちろん私も大好きよ。ただ、量が量だから今度絵里にもおすそ分けするわ」

 

ありがとう、という絵里が私の食べるケーキを見ていることに気付いた。

チョコレートが好きだと話しておいて、私だけ目の前で食べるというのは気が引けてきた。

 

「絵里、食べる?」そういってケーキを掬い差し出す。

「っえ?」

「好きなんでしょ?ほら、あーん」

「あ、あーーん」

 

少し戸惑いながらも口を開け、フォークを食んだ。

絵里はなぜか顔を赤らめながらも咀嚼している。そんなに欲しかったのだろうか。

 

「……意外と積極的ね…」

「…?なにが?」

「……これで無自覚ということは本当にたちが悪いわ…」

 

絵里は何か呟いていたけれど、味の感想だろうか。確かにケーキは美味しかった。

 

 

「美味しかったわ、来てよかった」

「今度はちゃんと学食行ってみましょうね」

 

絵里はまたご飯にいってくれるみたいだ。あんじゅをのぞいてこんなに自然で楽しく過ごせたのも久しぶりだ。

 

「絵里、これからもよろしくね」

「えぇ、私も月華を放っておくことはできないものね」

 

なんて笑いながら言う。

 

「今日はありがとう、もう迷子になんてならないわ」

「それなら、それを確認しなくちゃね」

「もう。じゃあ、また明日」

 

えぇ、また。そういって絵里と別れた。

絵里には冗談だと思われたみたいだけど、本当に迷子になんてなるつもりはない。それがなくても絵里とは一緒にいたいと思った。

 




閲覧ありがとうございました。


入学早々の学食はほんとに混む。2限少し早く終わらせてくれる教授に感謝を。
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