苦手な人は目をつぶってみてください。
『海未』という絵里の高校時代の後輩とたまたま出会い、一緒にお出かけすることになった。
2人で話しているときの絵里は、大学にいるときと違ってすごく優しい表情をしていた。二人の様子からすごく大切な仲だったのだろうと感じ取れる。
絵里がお姉ちゃんのような顔もすれば、怒られたときのような表情、私のしらなかった絵里の新しい顔が知れて、私はなんだか嬉しくて温かい気持ちになった。
2人が話している間に、
『仕事終わったから、今から会わない?』というような連絡が入った。
いつも突然で強引な彼女のことだから、きっと何を言ってもこっちに来てしまうだろう。
その時ちょうど、絵里たちも今からどうするか、ということを話していたので、強引な彼女も含め四人で遊ぶことを提案した。
わがままなあの子を修めることもできるし、私のしらない絵里やその大事な人について知れて一石二鳥だと思った。
そんなこんなで、門の前に三人で待っていると、いつものあの白くて長い車が大学の前にとまる。
周りにいる学生はもちろん、隣にいる二人はもっとびっくりしているようだ。
そして助手席から人がおりてきて、
「ハローー、元気してた?…って、えぇ!」
いつも通りテンション高めな彼女だが、今日はさらに高めみたいだ。
「あ、あんじゅに二人のこと伝えるの忘れてた」
あの連絡に『いいよ』としか返してなかったことを思い出した。
「月華!どうして、デートだって言ったじゃない!しかもこの二人…」
デートだなんて言ってないし、聞いてない。それに二人がどうかしたのかと思ってると、
「「あんじゅさん!?」」
絵里も海未も同時に彼女の名前を呼ぶ。
すると有名人であり、派手な登場をした彼女にさっきよりも人が集まってきていることに気が付いた。
「ともかく、何かある前に車に入っちゃって。話は後よ」
そういって私たちは強引に車に詰め込まれた。
◇◇◇
広い車に詰め込まれた私たちは、月華さんとあんじゅさんが隣にすわり、その正面に私と絵里が座っている、という図になる。
聞きたいこと、言いたいことがいっぱいなのですが。
「ねぇ、二人っきりのデートだっていったじゃない。それなのにほかの女連れてきて~」
「絵里と海未のこと言い忘れてたのは謝るわ。ごめんなさい。でもデートなんていってないってば」
そういって月華さんを横から抱きしめ、胸元に顔をぐりぐりと押し付けながら文句をいっているあんじゅさん。
それを受け止めてなだめている月華さん。その様子を正面から見せつけられて困惑する絵里と私。
月華さんが言っていた友人がA-RISEのあんじゅさんだとは驚いたが、その人がこのようなことになっていることにもかなり驚いている。
もぞもぞとあんじゅさんは月華さんにくっついて動いている様子です。
「絵里、海未、ごめんなさい。…ひゃっ、彼女がわ、たしの友人の…っん、優木あんじゅよ…っ…」
「ねぇ、私と一緒にいるのに他の女の子と話すんだ…ふぅ~~」
「あ、んじゅ、耳元で…ぁっ、しゃべらないで…、んぁ…」
破廉恥ですっ!あまりにも破廉恥です!
なんて心の中で突っ込んでいるけど、言葉には出せません。なんだかあちら二人の世界という感じがしてます。
隣の絵里の方を見てみると、顔を真っ赤にしています。けど目が離せない、というような感じでしょうか。
(あれ?でも。すこし怒ってます?)
「ふぅ、まぁ冗談はここまでにしておいて、優木あんじゅよ。挨拶の必要はないかもしれないけど」
冗談だったんだろうか、結構本気っぽかったです。
月華さんなんて息切らして、よ、よけい色っぽい、感じに……
それでも、ほんとに久しぶりにお会いしました。私たちは高校生の時にラブライブを目指して共に戦い合ったのですから。
「そうですね、おひさしぶりです。あんじゅさん」
「…え、みんな…知り合い…だったの…?」
息も絶え絶えに月華さんが驚いている様子です。
普段、というほど普段を知っているわけではありませんが、第一印象のクールで綺麗な雰囲気がなんとも……、破廉恥です…
「えぇ、まだ言ってなかったけれど私と海未は高校でμ’sっていうグループでスクールアイドルをしていたのよ。ラブライブっていう大会で優勝したり、海外でもライブをしたり、結構有名な自覚あったんだけど…」
「その様子じゃ、私たちのこと知らなかったみたいですね」
「まぁ、知ってたら私とあんな出会い方しないわ」
どのような出会いかはわかりませんが大学生のほとんどの方が把握していることだと思っていました。
知らない人がこんな近くに…
いえ、知らないからこそ絵里がこんなに近づいてるのでしょう。
「それでそのμ’sのライバルが、私たちA-RISEだったってわけ」
「それは知ってるわ、あんじゅ達の応援していたもの」
「あたりまえよ、あなたもA-RISEみたいなものだったんだから」
「そうだったの!?」「そうなのですか!?」
でも、一度もA-RISEと一緒に見たことはない。こんな綺麗な人がいたら忘れるわけがない。
「衣装作りやダンス指導とか曲作りなんかを手伝ってただけじゃない」
「私の心の癒しも担当してくれた、私だけのA-RISEメンバーだわ!」
そういって、あんじゅさんはまた月華さんを抱き寄せる。
今度はこちらを、というか絵里に対して見せつけるようにしている。気がする。
「さっきのことは、今度埋め合わせするから。もう離れなさい」
あのA-RISEのあんじゅさんをこんな風に扱えるのはきっと彼女だけなのではないかと思う。
「ところであんじゅ、この車どこに向かってるの?」
「事務所。事務所のカフェテリアでお話でもしようと思って」
「なんでそんな勝手に」
「私あんまり気軽に外でれないし。それにカフェのお菓子がおいしいのよねぇ」
「!?」
明らかに月華さんが何かに反応した。もしかして甘いものが好きなのだろうか。
「ごめんなさい、あんじゅが勝手をして。でも海未とも絵里ともゆっくりお話しできそうね」
なんていって笑顔を向けられる。表情が乏しい人だと思っていたけれど、そうでもないのかもしれない。
彼女の笑顔に少しドキリとしてしまった。
閲覧ありがとうございました。
少し破廉恥ですが漂う回でした。私の中の優木あんじゅはこんなイメージ、かも。
次回もよろしくお願いします。