ウマ娘 トゥインクルスターパンテオン    作:ウサぐるみ

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 ハーメルンにて初投稿です。
 ロマン最高!


エノトリトン物語
 プロローグ 如何にしてロマンは生まれたか


 

 多くのサラブレッドは北海道で生まれ、結果を残す名馬の多くは血統に恵まれる。

 血統に恵まれるということは、それだけ多くの名馬を引きつける大牧場に生まれるということである。

 しかしごく稀に、大牧場ではなく小さな牧場からとんでもない名馬が出現することがある。血統故に期待されなかった馬が凄まじい戦績を残すことがある。それこそが競馬のロマン、人々が求めてやまないドラマである。

 

 

 ーーーそこは零細といっても一向に差し支えない小さな牧場であり、経営成績は零細も零細。牧場主の経営する旅館やその他の支えがなければ早急に倒産していても可笑しくはなかった。

 牧場長は地方競馬に生産馬を送り出しており、収入はそこそこ。

 祖父の代から経営していた牧場を受け継いだ三代目であり、幼い頃から競馬に親しみ、ビジネスよりもロマンを求めてしまう男であった。

 牧場の職員達もまたそんな彼の姿に感銘を受け、彼らがかつて見た馬達の輝きを自分たちの手で生み出すことを夢見ていた。

 

 そんな木嶋牧場にある一頭の仔馬が生まれる。

 それは彼らの執念の結晶とでも言うべきか、それとも神の気まぐれというべきかは分からない。

 その馬はエノトリトン。のちに、日本競馬史上屈指の名牝と謳われる競走馬である。

 同期には、最大のライバル・ライスシャワーやサイボーグ・ミホノブルボン、名脇役であるマチカネタンホイザがいる。

 

 母・エノアンピトリテ

 父・ホーライサン

 母の父・ドクターフェイガー

 という地味な血統。父は国内産の種牡馬であり当時は冷遇傾向にあった上に未出走。

 母は川崎競馬で一勝を挙げただけのパッとしない馬であった。

 

 父・ホーライサンは後年、トリトンの活躍により、エノトリトンの父として名を馳せる。

 

 生まれてきた仔を見たとき、牧場職員は全員が驚いたという。

 なぜなら、極々稀に生まれてくる()()馬だった。

 当時、白毛の馬は結果を残さないといわれていた上にその仔馬は脚がおかしかった。

 四本全ての脚は骨が強く硬いせいか、サラブレッドというよりも野生馬に近く、馬体はやや胴が詰まっていたが華奢で首が長く、あまり見栄えはしなかった。その上、脚は魚の鰭のように出っ張っていた。これでは買取の手はつかないだろうと言われており、事実この馬を鑑定しに来た人物からは「もし走ってもノーザンテースト最後の大物であるマチカネタンホイザほどの期待はできないだろう」と評された上、牧場長の知り合いの馬主からも買い取りを拒否されるほどであった。

 

 しかし偶然にも鎌倉に立ち寄り、珍しい白い馬を見に来た中央の野原厩舎の調教師・野原雄二のみがこの馬の本当の力を見抜き、評価していた。

 彼の後押しを受け、牧場長はこの馬を走らせることを決意。

 

 野原厩舎は当時は未だ珍しい外舎制の厩舎であり、トリトンが美浦トレセンの厩舎に滞在したのはレースの一週間前のみで生涯のほとんどをトレセンの外で過ごした。トリトンがどのような調教を受けていたかを野原氏は決して口を割らず、関係者達もほぼ全員が決して答えなかった。

 彼らはただ一言、こう言った。

 「坂路調教よりも凄まじいあのトレーニングをこなせるのはトリトンだけ。あれはもうサラブレッドですらない」

 

 

 その言葉を裏付けるかのようにトリトンはめざましい活躍をした。

 日本ダービーを始めとした3カ国のダービー、シンガポールGI三連覇、そして国際競争十一レース全てに勝利し、長きに渡り故障なく走り抜いた。

 

 人々はトリトンをこう呼ぶ。

 『中央競馬最後の神話』と。

 





 競走馬や年齢の数え方って、2000年を境に変わるんですよね。
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