轟姓になりたくないのでヒーローになりました   作:紅ヶ霞 夢涯

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アンケートにご協力お願いします。自分で考えろって話かもですが、決めきれないんで助けて下さいませ。


11話

 雄英高校ヒーロー科としての学生生活も、早二年目に入った。そんな私の生活には、ある一つの習慣が生まれている。

 

「ロッククライミング、かなり慣れたようですね。隣で見ていても、危なっかしさは感じません」

 

 今いる場所は、轟炎司がトレーニングによく使っているという瀬古杜岳ーーーで見つけた、崖の中腹。

 

「一年の合宿以来、これにも時間を割いていたからな。自分でも上達したと思っていたが………お前から見ても、そうか」

 

 習慣というのは、ここ瀬古杜岳で行われる轟炎司とのトレーニング。平日は流石に厳しいものがあるが、土日のどちらかは来るようにしている。

 

「これなら、次のステップに進んでいいかもしれませんね」

 

「は?次、だと?」

 

「えぇ」

 

 私と同じように崖の中腹で、若干だが口元を緩ませていた轟炎司。彼自身が言うように、去年の合宿時とは動きが別物だ。

 

 卒業までに習得できれば儲けもの、程度に考えていたが………これなら次のステップも、仮免試験までに間に合うかもしれない。

 

「まぁ、それも………貴方にやる気があればの話ですが。どうします?」

 

 半ば答えが分かりきっている問いに、やはり予想通りの答えが返される。

 

「やるに決まっている。で、どんな内容なんだ」

 

「そうですね」

 

 丁度二人揃って、崖の上に登り着いた。ぐいっと組んだ両手を振り上げ、身体を程よく伸ばす。そして轟炎司と目を合わせて、こう尋ねた。

 

「フリーランニングって、知ってます?」

 

 

 

 

 

 予定よりも早い時間に集まってしまった私達。

 

(まぁ、遅刻するとかよりはマシかな)

 

 そのままショッピングモールに移動することにしたので、とりあえず今日の最初の予定を轟炎司に伝える。

 

「とりあえず、携帯が欲しいので付き合って下さい」

 

「まだ持っていなかったのか」

 

「どの機種が良いのか、あまり調べる時間がなかったので。店のオススメでも良いのかもしれませんが、どうせならヒーロー活動中も問題なく使える物を、轟さんから教えて欲しかったんです」

 

 既に、独立間近だと聞いた。この男なら多分その辺りも考えて、色々と用意していたことだろう。

 

「………参考程度にしておけ。俺も、そこまで詳しくは知らん」

 

 とか言っていたが、頼んだ私が引きそうになるレベルで詳しかった。何より驚いたのは、冷気に耐性のある携帯を勧めてきたこと。電気カイロみたいな機構でも、組み込まれているのだろうか?

 

「では、それで」

 

 何故か支払おうとする轟炎司を携帯ショップから追い出し、当然だが自分で払う。自分の誕生日だというのに、どうして財布を出したのやら。

 

 買ったばかりの携帯の初期設定も、店員に手伝って貰いながら済ませる。店の外に追いやった轟炎司に近づくと、彼は電話をしている最中だった。

 

 聞き耳を立てるのも悪いと思い、少し離れて電話が終わるのを待ってから声を掛ける。

 

「意外に物知りなんですね、轟さんは。どれを選べば良いか分からなかったので、本当に助かりました」

 

「そうか………………………何も聞いていないだろうな?」

 

「?いえ、特に何も。盗み聞きするような趣味、私にはありませんし」

 

 仮に私が聞いてヤバい内容だったのなら、ここで話す轟炎司が悪い。

 

(いや、でもちょっと気になるなぁ。わざわざ確認したくなるくらいに、私に聞かれたくないことって何?)

 

 普通に考えれば独立関連のことだろう。流石に私がそれを聞くのは、確かによろしくない。

 

(まぁ、何でもいいや)

 

 とりあえず、携帯を出しているなら丁度いいと、そのまま轟炎司とメアドと連絡先の交換を済ませる。

 

「連絡先なら、以前に貰ったぞ」

 

「以前に教えた番号は、家の固定電話の番号なんです。今、轟さんに伝えたのはプライベート用の番号ですよ」

 

「は?」

 

「今の所で知っているの、轟さんだけですから。変に広めたりしないで下さいね?」

 

 身体を固める轟炎司に、私は軽い笑みを浮かべながらそう言った。

主人公はエンデヴァー事務所への勧誘を………

  • ①すぐ受ける
  • ②事務所としての成果を見てから受ける
  • ③副所長でないなら受ける
  • ④あくまでチームアップのお得意先
  • ⑤受けない

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