轟姓になりたくないのでヒーローになりました 作:紅ヶ霞 夢涯
主人公の名字は原作通りに「氷叢」で固定。
よって、主人公のヒーロー名を募集することにしました!これも氷をイメージできるような感じだと有り難いです。
轟炎司と初めて会ったのは、雄英高校のヒーロー科に入学した初日のこと。入試での筆記試験や実技試験では会場が別だったらしく、教室で彼の姿を見た瞬間には目の前が真っ暗になったりしたものだ。
ネットで『エンデヴァー』と検索しても何も出てこなかったから、かなり原作の前なんだなと思ってはいたが………まさか、よりにもよって同学年だとは。
(クラスが同じ、以外の関わりを彼と持つべき?)
そう少し悩んだけど、私は彼に話しかけて半ば強引に連絡先を交換した。原作に登場した時は人間性に欠点があるとはいえ、将来は確実に日本のNo.2に登り詰め、どんな形であれNo.1の座に至る男。
ヒーローとしての接点は、早めに作っておいて損はないと思った。
「これから三年間、よろしくお願いしますね。轟さん」
インターホンが鳴らされて、嫌な予感を覚えながら外を映すモニターを見る。するとそこには、ヒーロースーツから私服に着替えている轟炎司がいた。
(マジで来やがった)
「………本当に来たんですね」
『言った通りだ。お前と話がしたい………飯でも食べながら、どうだ』
渋々と応答ボタンを押せば、そう食事に誘われた。流石にこれを無下にする程、私は鬼畜じゃない。
「すぐに準備します。少しだけ待って下さい」
コスチュームを仕舞っているのとは別のクローゼットから、適当な服を取り出して着替える。
黒いTシャツの上から白い上着を羽織り、足首まである黄色のスカートを履いた。轟炎司がスーツとかならまだ考えたけど、あとは軽く化粧するくらいでいいだろう。
ハンカチやら貴重品やらを小さめの鞄に入れ、それを片手にぶら下げて玄関ドアを開けて外に出た。
「ごめんなさい。お待たせしました」
「………いや、俺が押しかけて来たようなものだ。謝罪するならこっちだろう」
そりゃそうだろ、とは言わないでおいた。代わりに夜ご飯は期待させて貰うとしよう。
〈轟炎司〉
久々に見たコスチュームでも学生服でもない彼女の髪色と、そこに留められた髪飾り型のサポートアイテムに、思わず歪みそうになる表情を押さえ込んだ。
(まだ、それを付けているのか)
彼女の髪を本来の色から黒へと変える、彼女が雄英高校ヒーロー科一年の頃から使い続けているサポートアイテム。
「ヒーローとしては銀髪ってプラスに働くかもしれませんが、普段から銀髪だと派手で目立ってしまいそうで………少し苦手なんです。それにほら、銀髪だと何だか老けて見えてしまいそうでしょう?」
そう言って、どこか儚げに笑う表情を覚えている。
そんなことないと、クラスの誰もが思った。彼女と仲の良い友人らは直接言葉にしていたし、遠回しにそう言ったり態度で示したりする者もいた。
「これから何処に?」
「…寿司だ。近頃、美味い店を見つけてな」
後部座席の扉を開けエスコートし、彼女の隣に座る。目的地を運転手に告げ、チラリと彼女に視線を向ける。
しかし視線がぶつかることはなく、彼女が口を開く気配もない。そして俺は、自分から他人に話しかけるのは苦手な部類だ。
結果、寿司屋に着くまで会話はなかった。