轟姓になりたくないのでヒーローになりました   作:紅ヶ霞 夢涯

20 / 21
 あ〜、新生活が大変なんじゃぁ…Wi-Fiを設置せねばヤバい。ネット環境ないのが辛すぎる…あ、更新です。どぞどぞ。これが限界。


19話

 

 違和感を覚えたのは、去年の体育祭決勝戦。轟炎司に対して、その当時の最大出力で“個性”をぶつけた時だった。

 

 私があの時に氷炎地獄(インフェルノ)を再現できたのは、轟炎司の“個性”を利用したからだ。けれど、後から考えてみると………ただ全力で“個性”を使うだけで、本当に氷炎地獄の再現が可能だったのか疑問が残る。

 

 

 

 ーーー結論から述べる。

 

 

 

 私は氷から発生した冷気さえも操ることができ、その結果………私は、こんなことも可能になった。

 

『と、飛んだああああ!!??』

 

 実況している先生の言葉と同時に、会場中がどよめく気配を感じた。新技のお披露目でここまで注目が集まると、なかなかに気分がいい。

 

(さて、とりあえず)

 

 私達を囲んでいる、B組連中を蹴散らすか。

 

 氷の剣を無数と表現できるまでに生み出していく。まぁ、流石に当たっても痛いで済むようにはしてあるけど。轟炎司と違って、最悪でも貫通しない程度に調整するだけだから簡単だ………骨折くらいは、するかもだけど。

 

「ヴァイスシュナーベル………頭上注意です。気をつけて下さいね」

 

 そして一斉に、眼下へと射出した。

 

「嘘っ!?」「避けろ避けろ!」「足動かせ!!」「流石にやり過ぎだろっ!」「言ってる場合か!!」「ヤバいって!」「棒を守れ!!」

 

 悲鳴が上がる。慌てふためき逃げ惑う者、棒の周りで防御を固める者。果敢にも私を撃ち落とそうと試みる者。B組の行動は、大まかに別れる………どうするのも、まぁ自由だけど。

 

 

 

「ーーー赫灼熱拳」

 

 

 

 轟炎司がフリーだ。

 

「フレイムヘルズナックル!!」

 

 炎が巨大な拳の形となり、B組に襲いかかる。ジェットバーンを警戒して直線上から外れた者も、それは容赦なく巻き込んだ。

 

(すっご。手加減を忘れてないといいけど)

 

 見た感じ、火力がエグい。あの技、少し前に教えた技よね………いつの間に完成させてたんだろ?

 

「包囲の一掃は完了ですね。なら、次は………」

 

 B組の頭を叩く。

 

 割りと大雑把に射出していた氷剣の切っ先を、一人の男子生徒に向けた。そして一気に片を付けるべく、容赦なく殺到させる。

 

 しかし、その大半は空中に現れた糸によって絡め取られた。そして届きそうだった何本かの氷剣は、男子生徒の傍らに立っていた女子生徒により、砕け散った。

 

「まぁ、流石に防ぎますよね。この程度で倒れられても、興醒めですが」

 

 B組の委員長、繰糸琉生(そうし るい)。副委員長の宝玉魔里香(ほうぎょく まりか)。あともう一人は………誰だっけ?あんな人、B組にいたかな?

 

(まぁ、誰でもいいけど)

 

「覚悟して下さい。今度は此方の番です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈轟炎司〉

 

 視線の先には、男風呂にいる筈のない女の姿がある。

 

「なっ!?」

 

 驚愕し、広がる光景にそこから先の言葉が出ない。普段は黒く染められている銀色の髪が月明かりに照らされ、白い肌は湯気でしっとりとしている。その美しい肢体から目が離せなかった。

 

「あっ………えっ?」

 

 ようやく目の前にいるのが、俺だと氷叢は認識したらしい。温泉の熱のせいなのか、どこか蕩けていた瞳が大きく見開かれた。そして慌てて胸を両手で隠し、しゃがみ込む。

 

「違っ、これは!」

 

 だが、氷叢が今更そうしたところで………その、何だ。もう、色々と………ばっちり、見てしまった訳で。今、氷叢が抑えている胸は小ぶりではあるが形が良くて………その先端にある桜色の突起も、見えてしまったし…って。

 

(何を考えているんだ俺は!!? )

 

 とにかく、何か言わなければと口を開く。しかし、上手く言葉が出て来ない。何を言えばいいのか分からない。あっという間に、顔を赤く染めた彼女から目を離せない。

 

 

 

「………綺麗だ」

 

 

 

 やっと出た声は掠れていて。その小さな呟きが聞こえたのか、彼女の肩が小さく跳ねる………………………俺は今、何を口走った???

 

 

 

「あぁっ、いや違う!俺はちゃんと男風呂の方に入ってだな!!?」

 

 思わず大きな声で言い訳をする。そうして今度は自分が赤面する番だった。

 

「………違うんですか?」

 

 顔は伏せられていて、表情が分からない。それでも、どこか残念そうな響きがあった。聞いたことのない声音と言葉づかいに、また息を詰まらせる。

 

 

 

(なん、だ。それは)

 

 

 

 それでは、まるで。

 

 

 

 まるで、お前が………俺のことを。

 

 

 

 

「いや、その………」

 

「いつまでも見ないでっっっ!」

 

 乱れた口調と共に、巨大な氷塊で視界が覆われた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。