轟姓になりたくないのでヒーローになりました   作:紅ヶ霞 夢涯

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お待たせ!
突然ですが主人公のヒーロー名は『グレイシア』で決定です!沢山の投票、ありがとうございました!!


3話

 先に仕掛けたのは私。それは轟炎司が先手を譲っただとか、そういう訳では決してない。

 

 単に彼より私の方が、個性を発動する速度が速かったというだけの話だ。

 

「ふんッ!」

 

 しかし流石は未来のNo.2と言うべきか。

 

 彼はフィールド全体を覆わんとする氷の波を恐らくは現時点での最大火力で相殺し、私の氷の勢いが引くと瞬時に攻勢に転じた。

 

 フィールド全体に広げた炎を両腕に集約して、二本の火炎放射を放ってくる。その狙いは柱のどれでもなく、私。

 

(強気ね………だけど)

 

「甘いですね」

 

 眼前に分厚い氷の壁を作り出して防御する。 防ぐことは出来たが、予想以上に熱気が届いてきた。熱い。

 

「甘いのは貴様だッ!」

 

 気づけば氷壁を挟んだすぐ向こう側に、轟炎司の姿があった。どうやら火炎放射を放ちながら、それに隠れるようにして近づいてきたらしい。

 

 腕に炎を纏い、肘からも推進力のように炎を噴出。加速した拳が氷壁を軽々と破壊し、容赦なく顔を目掛けて振り抜かれる。

 

 それを足元から作り出した氷を踏み台に飛び上がって回避し、さらにそこから近くの柱に飛び移った。

 

「そんなに遠くまで逃げてどうした!怖気づいたか!?」

 

「まさか。私は近接戦闘もそれなりに得意です」

 

 しかしそれが轟炎司を侮る理由にはならない。しばらくはこの高さから、一方的に攻撃させて貰うとしよう。

 

「冬ざれ氷柱」

 

 大小様々な無数の氷柱を、眼下の轟炎司に向けて放つ。勿論のこと氷柱の先は丸めて、大きいのは優先的に彼側の柱にぶつけてるようにする。

 

 勝つまではいかずとも、柱を壊されることに対する焦燥感や、氷柱を防ぐことによる疲労感を与え優位に立てると考えてたんだけど………。

 

(………次々に溶かされてる)

 

 けど無数の中の数本だけある回転を加えた氷柱は、その工夫のお陰か溶けきる前に彼に直撃している。それに向こう側の柱だって無傷じゃないし、悪くない感じだ。

 

「なるほど、回転か」

 

 小さな声が届いた直後。

 

 先程よりも勢いよく吹き出した炎が、私の乗る柱とその真後ろの柱をも破壊した。

 

「回転を加えて威力を上げるというのは、どこにでもあるような発想だが………だからこそ、その効果は実証されているというもの。お前の猿真似にしか、見えないかもしれないがな」

 

 倒壊する柱とその破片を個性で凍らせ、氷で螺旋状にした滑り台を形成して滑り降りる。別の柱に飛び移っても、同じことの繰り返しになるだけだろう。

 

「ぶっつけ本番だが、この程度なら案外やれるものだな」

 

「………やりますね」

 

 使い古しの発想を、ぶっつけ本番で出来る者がどれだけいるだろうか。恐らく同年代で全国を探し回っても、そうそういない。

 

「さぁ、第二ラウンドだ」

 

 私を引きずり落とせて嬉しいのか、獰猛に笑う轟炎司。しかし、彼には悪いが………。

 

「いいえ」

 

 短く口に出すのは、勝利宣言。

 

「私の勝ちです」

 

 足元から生み出す氷で彼に攻撃を仕掛けながら、同時に後方へと移動した。距離を詰めようとする彼だが、割と勢いを乗せた氷で足止めしているので進めていない。

 

 そして。

 

氷炎地獄(インフェルノ)

 

 最大出力で個性を発動した。

 

 

 

 

 

「おい、何だその目は」

 

 不機嫌そうな眼差しを向けられそう言われたけど、いやだってこれは仕方ないだろう。

 

 この男からまさか、素直に他人を心配するような台詞が出てくるなんて。いくら原作前とはいえ、凄く意外だ。

 

「いえ、ただ………」

 

 活躍が耳に届いていると、彼は言った。ならば他のクラスメート達も同様に、私の活躍を知っているということ。

 

(なら元気そう大丈夫って簡単に終わらない辺り、皆ホントに優しいな)

 

 ………………………………………仕方ない。

 

「何でもありません。今度、皆には私から連絡を入れてみます」

 

「そうしてくれ。今日の事がネットニュースになったみたいでな、俺に連絡が殺到して仕方ない」

 

 ドンマイとしか言えないな。まぁ、私が原因なので軽く謝罪しておいた。

 

 そこからは食事を楽しみながら、お互いの二年間を話し合った。どんな敵と戦っただとか、普段はどういう活動をしているとか。その中で彼は敵退治だけでなく救助にも力を入れていると言い、私は海難系のヒーロー事務所からのチームアップ要請が多いと言った。

 

「そういえば学生時代も、救助訓練の成績は良かったですね。あれは私も驚きました」

 

「ヒーローは本来、救助・避難・撃退。これら全てを一人で行える存在だ………自論だがな。しかしお前は海、か」

 

「えぇ。私の個性は基本的に、広範囲制圧向きですから。遮蔽物もなく一般人もいない海だと、かなり派手にやることも多いんです」

 

 そんな風に会話をしている内に、腹も膨れた。デザートとか食べる空きもなかったので、会計をして家に送って貰った。

 

 その道中。

 

「噂の件だが」

 

 行きと違い、唐突に彼から話しかけてきた。

 

「噂………独立のことですか?」

 

「あぁ。俺はそろそろ、自分の事務所を建てる」

 

「そうですか。貴方がトップを務めるヒーロー事務所なら、あっという間に大手になるでしょうね。頑張って下さい」

 

 ようやくエンデヴァー事務所が設立か。相棒として就職した所からスタートしたと考えれば、かなり早い独立だと思う。

 

「………それで、だ」

 

 インターホンが鳴らされたとき以上の嫌な予感がした。彼が何を言おうとしているのか分からない、分かりたくない。

 

「………………………何でしょう?」

 

「相棒………いや。副所長として、俺の事務所に来ないか?」

 

 きっとそれこそが今日、轟炎司が私を食事に誘った本題なのだろう。

ヒーロー名

  • グレイシア(広範囲制圧)
  • コールド・グレイ(集中・収束型)
  • ホワイト・メドウ
  • シルバー・ガーデン
  • アブソリュート・フローズン
  • フリーレン
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