轟姓になりたくないのでヒーローになりました   作:紅ヶ霞 夢涯

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 あけおめ!ウマ娘とかfgoやってたら、いつの間にか年明けてました。待たしてごめんなさい、許してヒヤシンス。


7話

 職場体験。学生である自分達が、実際にヒーローの現場を文字通りに体験できる貴重な機会。

 

 数多くきた指名の中から、私は見覚えのあるヒーローを選んだ。そして実際に職場体験に赴いたのだが。

 

(………特に、何もなかった)

 

 いや別に、本当に何もなかった訳ではない。パトロール中はどんな事に注意しているかとか、敵退治以外にこういう仕事があるとか。それから毎日のように模擬戦をしてくれ、近接戦闘でのアドバイスも頂いた。

 

 しかし原作主人公(緑谷出久)らの身に起こったような、名のある(ヴィラン)との戦闘とかはなかった。ない方がいいに決まってはいるのだが。

 

(近接戦闘の腕を磨けたことが、一先ずの収穫ね。考えなしの氷結ブッパだけじゃ、勝てない相手もこの先いるだろうし)

 

 とりあえず近い将来に、轟炎司を相手にして接近戦で勝つことを目標に定めるとしよう。

 

「轟さんの職場体験はどうでしたか?」

 

 あまり興味がないから忘れたけど、確か轟炎司はトップヒーローの事務所に行っていた筈。

 

「………大変だった」

 

「そうでしょうね」

 

 それは見れば分かる。ボロボロな様子の轟炎司は結局いくら聞いても詳しく教えてくれなかったが、あの様子だとかなりキツイ職場体験だったのだろう。

 

(それにしても、夏休みには林間合宿か)

 

 その前に実技込みの期末テストもあったけど、原作軸と違って敵が活性化している訳でもない。適当にロボットを壊して終わりだった。

 

「これで終わりか。つまらん」

 

 とは、轟炎司の感想。全く同意する。こんなにイージー過ぎて大丈夫なのかと、こっちが心配になったくらいだ。

 

 さて、職場体験に続いて期末テストも終わった。となると、林間合宿までに遊んだり合宿に要る物の買い物とかに行ったりしたい。

 

 なので筆記の方で補習に引っ掛かった面々を除いて、夏休みの予定を立てることにした。海水浴に行く日と場所や、どこの夏祭りなら集まり易そうかだとかを話し合う。それから買い物の日取りも。

 

 海水浴と夏祭りは帰省する人もいて全員で集まれそうにないので、そこは集まれる者同士で都合を合わせることに。林間合宿に向けての買い物は、クラスの全員で行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 セルキーが海に潜ってから、しばらく経った。まだ彼からクラーケンを発見した旨の連絡はないし、ヒーローネットワーク(HN)にもクラーケン関連の情報に更新はない。

 

(暇だなぁ)

 

 クラーケンが見つかったら迅速に捕えるために呼ばれたのだが、見つかるまでが暇過ぎる。轟炎司から送られてきた彼の事務所の詳細を、もう三回は繰り返して読んだ。

 

(………どうしよう)

 

 八月八日に轟炎司と会えるようにするつもりだが、まだ連絡の一つもしていない。予定を聞くなら早い方がいいのだろうけど、最近は何かこう………忙しくて。タイミングがなかった。

 

「………………………仕事中かもしれませんし、今は止めておきますか」

 

 暇だからと轟炎司に送るメールを書いてみたが、保存だけして放置した。今は独立に向けて動いていて忙しいだろうし、それでヒーロー活動を休むとも思わないので流石に日中は宜しくない。

 

 ちなみに当然だが、私は携帯電話を持っていない。持っていたら雄英高校在籍時のクラスメートや、他学科の友人からも電話が来る事間違いなしだから。

 

 なのでこうした空き時間で情報収集やメール作成が出来るように、ノートパソコンを持ち歩くように心掛けている。

 

「それにしても、セルキーはどこまで行ったんでしょうか?」

 

 シリウスがまだいない以上、専用のサポートアイテムがあっても、そんなに沖マリナーから離れないと思う。なら、一度くらい戻って来てもおかしくない筈だけど………。

 

「グレイシアッ!戦闘準備をッッ!!?」

 

 甲板に出てきた船員が私を呼んだ次の瞬間、沖マリナーが大きく揺れた。宙に浮いたノートパソコンを掴み取り、海に落ちそうになった船員を船内に放り込む。少し雑になったけど、許して欲しい。

 

 ノートパソコンを防水性の鞄に入れて、甲板の隅に氷で固定した。これで心置きなくやれる。

 

 とりあえず。

 

絶対零度の槍(ランサデルセロアブソルート)

 

 右足の先に槍状の尖った氷を作り、私に向かって伸びてくる巨大な蛸の触手を横から貫き両断した。その作業を繰り返し、触手の一本に捕まっていたセルキーを助け出す。

 

 しかし吸盤が貼り付いているのか、斬り落とした触手からすぐには抜け出せそうに見えない。

 

「悪い!助かったぜ、グレイシア!!」

 

「助かった、でいいんでしょうか?自力で抜け出せそうにないなら、相棒(サイドキック)とどうにかして下さい。私は、クラーケンを」

 

「…あぁ、頼む!」

 

 ………本当なら彼の性格からして、『すぐに行く』とか言いたかったのだろう。しかし、そう言わない辺り賢明だ。

 

(邪魔なだけですしね)

 

 海に飛び降りた。着水寸前に海面を凍らせた簡易な足場に着地し、周囲の様子を確認する。

 

 沖マリナーを包囲するように展開された、蛸の足。此方の様子を伺うためか、本体の大部分を海面から上に出している。といっても、かなり離れていて近づいてくる様子もないが。

 

(でも、良かった。十分に射程圏内ね)

 

 揺れる海面に触れ、個性を発動する。間違っても逃げられることがないように、今回も少し派手にやるとしよう。

 

 

 

 

 

氷河時代(アイス・エイジ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………メール?誰からだ?」

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