フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~   作:舞 麻浦

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◆前話
いかにもなところに不穏な機体が……! この情報は持ち帰らなくては! だが追手が!?
金髪従僕(エーリヒ君)「電磁投射砲を撃ちながら空を滑ってくる巨鬼(オーガ)ベースの多脚戦車(中国拳法インストール済み)とか絶対出てくる世界観間違えてる……」
百足密偵(ナケイシャ嬢)「薄羽で空を飛ぶ二又尾の蠍人……一合交えただけですが、強敵でした。私もまだまだ精進せねばなりませんね」

ちなみに後ろから迫る巨蟹鬼セバスティアンヌの電磁投射砲の弾を、エーリヒ君が前向いて走ったまま速度落とさず抜刀して〈次元斬〉で自分の後ろに斬撃を転移させて斬って逸らして、さらにその弾を百足人のナケイシャ嬢が足止めしていた雙尾蠍マリヤムに当てて、その隙に逃げたようだ。

巨蟹鬼(セバスティアンヌ)「まあ一応ローレンの “つばつけ” 相手であるし、主殿からも見逃すように言われていたからな。前よりもまた腕を上げているようであったし、そのうち再び立ち合う機会もあろう。ここでがっつくことも無いだろうさ」(戦闘欲求がそこそこ満たされているゆえの余裕)
雙尾蠍(マリヤム)「基盤となる組織もない外国で来訪一日目に仕掛けたにしては向こうも上出来じゃないか? 密偵としてはなかなかやるようだ。まあ、追手である我々と刃を交えざるを得なくなったところは減点だが」(暗殺密偵部族戦士長並感)
 


26/n 実験魔導炉と沙漠開拓と……-5(腹黒魔導師連中)

 

 なんだか一部の建物に侵入者があったとかいう報告はあったが、それはそれとして帝都から来たドナースマルク侯とウビオルム伯の視察はその翌日以降も続いていた。

 

 その長命種(メトシェラ)の男女二人(ただしお互い不倶戴天)の案内をするのは、この東方地域(ペルシア的な地域)(とつ)いできた私こと、帝国にて隧道方伯(トンネル=ラントグラーフ)にして魔導副伯(マギアフィーツェグラーフ)を拝命している、マックス・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼンである。

 傍らには、私の妻にしてこの地を治める部族の首長でもある、螫蠍神(せきかつしん)に仕える伏蠍人/蠍背人(ギルタブルル)白き(アルビノ)巫女、真珠の名を持つルゥルア・ハッシャーシュさんも居てくれている。

 見違えるほどに発展したこの地を、はるか遠い帝国の貴人たちに紹介する彼女の顔は、明るい未来を思って晴れやかだ。

 

「巨大運河の造成現場に、バザールに、ゴムタンポポの収穫に、大豆油の精製もお見せしましたし……あらかた、視察いただける場所はご覧いただけましたね」

 

 ルゥルアさんは、その背の蠍の真珠甲殻に太陽の光を反射させながら、客人二人へと言った。

 今は視察の帰り道。

 オープンカー型の魔導車両(砂塵除け/日光緩和/空調付与の簡易結界を展開中なので露出していても快適だ)に乗り込んでの移動中だ。

 

 もちろんそれぞれの従僕であるエーリヒ君と百足人(センチピードニィ)ナケイシャ嬢も一緒に乗っている。大臣(宮中伯)級/州知事(侯爵)級の貴人の視察の護衛にしては少数精鋭すぎるが、非公式の半ばお忍びでの来訪なせいもあるだろう。……ひとりずつでも十分なほどに従僕の技量が高いということでもあるが。

 翻って、案内側の私たちの方も護衛の巨蟹鬼(クレープスオーガ)セバスティアンヌ(スティー)雙尾蠍(そうびかつ)マリヤム義姉さんと一緒だ。

 まあセバスティアンヌは、その巨体のせいで魔導車両に乗りきれないので、巨蟹の下半身に収められた高効率に改造された(エラ)を生かして自力で並走しているが。ちなみに巨蟹鬼の蟹型下半身はハサミが4本、歩脚が4本、ヒレ脚が2本であり、普通の蟹よりも歩脚の密集度合いが少ないことと、関節の可動域が広いために、前後左右に自在に動くことが可能だ。

 

 ダカダカダカダカッ…と巨蟹鬼の歩脚の爪が舗装された道路を叩く音が響く。

 魔導車両に履かされたゴムタイヤはそれに比べたら非常にささやかな走行音しか立てないし、揺れも少ない。

 

「ハッシャーシュ首長、思いがけず多くの場所をご案内いただき、感謝します。やがては我がドナースマルク領にまで交易のための隧道(トンネル)を伸ばしてもらいたいくらいです」

 

「ええ、非常に興味深いものでした。今後とも我らが帝国と貴部族とで、末永く、良い関係を築いていきましょう」

 

 ドナースマルク侯グンダハール氏と、ウビオルム伯アグリッピナ女史が、ルゥルアさんに外交的な笑顔を向ける。

 

「特に()が感動したのは、やはりあの巨大な地虫(ワーム)を操っての運河掘削ですな。あの凄まじい速度!」

 

「はい。まさしくあれこそはこの地の豊穣の源。我が夫であるマックスさんがもたらしてくれた福音にして、地を穿つ魔」

 

「あれだけ派手に大地を掘り返して、神々の怒りは買わないのかしら?」

 

 アグリッピナ女史の懸念だが、それはまるで問題ない。

 

「土地の再生は、神々の意にも沿っておりますゆえ」 と、ルゥルアさんが体の前でヒトの手を組み合わせ、背のサソリのハサミを伸ばして、祈りを捧げるような動作をする。

 

 そもそもがこの辺りの土地は塩害で死んだ土地であったのだ。

 そこを復活させ人の生きる土地にするということは、人々の信仰心をパワーソースとする神々の御意にも適う。

 まして、いまこの地で支配的な神群は、伏蠍人/蠍背人(ギルタブルル)の氏神である “螫蠍神” と、再生こそを本旨とする “もったいないおばけ” だ。

 

 たとえ大地の神々が苦情申し立てをしたとして、押さえつけることくらいは可能である。

 ……実際はそんな横車を押すようなことはせず、この東の地で部族を纏める巫女としての教育を受けてきたルゥルアさんが、儀式や供物を捧げて大地の神々その他にお伺いを立てて鎮撫しているから、さらに問題は少ない。

 

 私もその際は、虚空の箱庭でのシミュレート結果を携えて、巨大運河などの造成が将来的に土地や気候にどのような影響をもたらすのかを奏上した。

 説得力を少しでも増やしたいし、何より妻であるルゥルアさんのサポートのためだ。

 

 ……なお、一応、天空の神にも魔導炉実験に際してのお伺いは立てているのだが、神様側の忍耐にも限度はあるので、先般のように天罰が執行されることがあるのは致し方ない。

 今のところ運河や隧道の造成や、沙漠の耕地化にあたって、神罰がくだされていないのは幸いである。

 

 

「私としてはバザールの活気が印象的でしたわ」 アグリッピナ女史は何処からか書籍を取り出してご満悦だ。

 

 そういえばバザールでは金髪の従僕(エーリヒ君)を遣いに出して、バザール中の書店からめぼしい書籍を買いあさらせていたな。書痴(ビブリオマニア)の面目躍如というところ。

 あとで迎賓館にもきっと書籍商人が押しかけてくるだろう。

 私が編纂しておいた、帝国語とこの地の言葉の辞書は、視察に訪れた当日に強奪され……いやさ我らから献上したから、長命種(メトシェラ)の高度な言語能力であれば、現地語の書籍を読むのにも問題はないのだろうと思われるし。

 

「砂漠の地の商人たちは非常に商魂たくましく。この地の噂を聞きつけて、続々と集まってきていますの」

 

 ルゥルアさんに限らず、この沙漠の地の為政者は、かならず壮麗なバザールに憧れるのだという。

 生産量に乏しい沙漠においては、人の行き来とともにもたらされる物資の流通こそが文字通りの生命線だ。

 商業流通の要衝であることは、発展のための必須条件だと思われているのだ。そのシンボルが、壮麗なアーケードに覆われたバザールだ。

 

「巨大運河に、広大な農地。新たな工業産品に、遥かなるライン三重帝国へ直通する隧道の玄関口。この地はきっと、もっともっと発展します。いえ、させてみせます」

 

 ルゥルアさんの語る言葉は、決して夢物語ではない。

 

()としても協力は惜しまないとも」

 “だから利益に噛ませろ、分かっているね?” という副音声が聞こえそうなドナースマルク侯のリップサービス。

 

「末永く、この地が発展しますよう。期待しておりますわ」

 アグリッピナ女史も外交的にルゥルアさんを応援し、そして私の方にも目配せをする。

 

 あー、これはアレだな。

 さっさと図書館でも作れっていうそういう催促だな。

 まあ、自分のためにも必要だから作るつもりではいるけれど。

 

 そんなこんなで数日にわたった視察も終局となりつつあった。

 

 明日にはドナースマルク侯は再び隧道経由で帝国に戻ることになるし。

 アグリッピナ女史には魔導宮中伯としての閉鎖循環魔導炉の実験場を視察してもらうことになる。

 

 

 

§

 

 

 

 塩の沙漠の真ん中。

 閉鎖循環魔導炉の試験炉の暴走によって地面がまだらにガラス化したその地点にて。

 

「それで、ウビオルム伯。指図通りにいたしましたが、アレでよろしかったので?」

 

「ああ、“戦闘機” の件ね。十分よ」

 

 周囲には何もないから何かが近づけばすぐに分かるし、そもそも魔素の汚染が天然の魔導妨害になっており、相当の実力者でなければ魔導を用いた諜報も難しい。

 内緒話にはもってこいの場所であった。

 

「グンダハールに情報を持ち帰らせれば、こちら(東方)にリソースを割かざるを得ないでしょう。その分他へ手が回らなくなる。いい加減にウビオルム領への干渉がうざったかったのよね」

 

「だからこちらに目を向けさせた、と。エーリヒ君も茶番に付き合わされて災難ですねえ」

 

 そしてまたしても何も知らないエーリヒ君(14)。

 この間、対航空艦ユニットである戦闘機の情報をエーリヒ君とナケイシャ嬢に持ち帰らせたのは、アグリッピナ女史の謀略の一環であった。

 

 今ここにその哀れな金髪の従僕は居ない。

 エーリヒ君はハッシャーシュの地にて待機させられているが、きっとドナースマルク侯の命により帰りの列車(トレーラー)から抜け出したナケイシャ嬢に拉致されそうにでもなってるのではないかな。

 この地の秘密を暴くという面ではあの晩、彼と彼女は味方同士だったが、魔導航空艦/新型魔導炉関係では、ドナースマルク侯はアグリッピナ女史の秘密を狙う敵方でもある。

 アグリッピナ女史の最も身近な側仕えであるエーリヒ君は、狙われる理由には事欠かない。

 

 そもそも “戦闘機” の件は茶番も良いところであった。

 アグリッピナ女史は、今上皇帝マルティンⅠ世陛下とともに、航空艦の未来について帝城でシミュレータを走らせたこともある仲なのだから。

 戦闘機の概念を知らないはずもなし。

 

 そしてそんなアグリッピナ女史であれば、あの戦闘機の模型が、単なる重石に過ぎないことなどお見通しだろう。

 

 武装も主機も無い単なる実寸大の模型。

 あのサイズの航空戦闘機で、実働可能なものが作れるほどには、魔導炉の工業的な小型化技術は洗練されていない。

 あれはコアユニットとして私の同位体(クローン)を搭載することで初めて真価を発揮するのだ。魔法チートによって実現されるオーパーツな魔導炉前提というわけだ。

 “冬虫夏草の使徒” と共生することにより、同位体(クローン)を子実体とみなして同期することも簡単になってきたし*1、そのうち戦闘機の方も実戦投入しても良いかもしれないが……今のところはただのハリボテなのだ。

 

 だからあの “戦闘機” は、完全に見せ札でしかなかった。

 

「ドナースマルク侯も茶番には気づいているかもしれませんが」

 

「それでも構わないわ。茶番だとバレているにしても、戦闘機の技術に見込みがあると考えれば、今後、航空艦に対抗するためにもこの地の研究成果を手中に納めておきたいと考えるだろうから」

 

「そういうものですか」

 

 となればやはり、この東方の沙漠にも彼の手が伸びてくる、か。

 だが何の諜報基盤もないところに情報網を築こうとすれば、いくら歴戦の謀略家(ドナースマルク侯)と言っても手は足りなくなる。

 私のように人造人間(ホムンクルス)を製造できるのでなければ、既存の諜報網から人員を抽出するしかないのだから。

 

 アグリッピナ女史としては、それでウビオルム領方面への謀略の手が緩めば、あるいはドナースマルク侯が隙を見せれば良し、ということか。

 

 

「まあ帝国の政府筋からも、私が上げる報告から諜報員が増員されると思うけど」

 

「別に構いませんよ。そこまでして隠すものもありませんし。既に陛下も戦闘機の概念はご存じですし」

 

 今後は帝国からの諜報員も増えるだろうが、織り込み済みだ。

 むしろ変に他国が入り込むより先に帝国には諜報基盤を作ってもらいたいまである。

 

 こちら側としても最低限の対抗策は、既にある。

 なにせハッシャーシュの部族はもともと暗殺密偵を生業としていたわけだし。

 帝国政府やドナースマルク侯の手の者が跋扈しても、ハッシャーシュの部族の業を以てすれば、重要な情報を守るのは、構成員が磨り減って衰退したとはいえ今でも可能だろう。

 

 それに私が本気になれば、虚空の箱庭に建造されている近代的大都市一個分に匹敵する生産力によって、いくらでも必要な物資や戦力を供給して盤面をひっくり返すことができる。

 そういった介入が必要ないほどの生産力も、このハッシャーシュの地が順当に発展すれば、じきに手に入ることだろう。

 ハッシャーシュの部族が、帝国の良きパートナーとして振る舞うことも将来的には可能になるはず。

 

「大陸半周分の距離の暴虐が、この地と帝国の関係を健全に保つでしょう」

 

「東方征伐戦争は2回も起こったのに?」

 

「だからこそ、3回目はコリゴリなのでは?」

 

 適度な緊張と、互いの尊重。

 地理、経済、戦力。様々な要素の拮抗と、理性的な指導者の存在。

 平和というのは、儚い綱渡りの上にしか存在しえない。

 

「帝国としても東方への陸路が安定することは利になります。遠方の統治は難しいですからね」

 

「ま、今の皇帝の治世の内は平気なんじゃない?」

 

「とりあえずはそれで充分ですよ」

 

「存外、志が低いのね。たった10数年そこらよ?」

 

長命種(メトシェラ)から見ればそう見えるかもしれませんね」

 

 

 

 さてそれでは本題に入るとしよう。

 ここ実験爆心地には、政治の話ではなく魔導技術の話をしに来たのだから。

 

「今回は視察ついでに、実験魔導炉の外力耐久性のテストにご協力いただけるとか」

 

「これから先、何が起こるか分からないから、壊し方は熟知しておきたいし、壊したときに何が起こるかも見ておきたかったのよ」

 

「魔導炉を壊さなければならない場合、というと、敵に奪取された場合でも想定していらっしゃるので?」

 

「それもあるでしょうし、他にも()()()()あるかもしれないでしょう?」

 

「確かに。何が起こるか分かりませんからね」

 

 剣呑剣呑。

 

 私は転移魔導で、稼働状態の閉鎖循環魔導炉を召喚した。

 

「召喚しました。通常出力で安定しています」

 

「ご苦労。ああ、そろそろ工業的な量産に向けて、製造手順の効率化・安全化と工程指導用の人材を用意しておくように」

 

「御意。ではどうぞ」

 

「どうも。さてどんなものかしら」

 

 アグリッピナ女史お得意の特異点(ブラックホール)ビット群が、低く唸りをあげる実験魔導炉へと殺到する。

 

 魔導炉が自律展開する防衛用の魔導障壁を削り、アグリッピナ女史の操る黒い球(マイクロブラックホール)が炉の筐体に接触。

 幾許もなく筐体に刻まれた封印隔離用の魔導が破綻。

 即座に、増大し続ける熱量と、熱力学的法則を狂わせる歪曲魔導が、基底現実へ漏出。

 

 高温域で安定する歪曲魔導が、際限なく熱量を増幅しながら広がろうとする。

 

 一方でアグリッピナ女史の重力特異点魔導は、それらの熱の全てを吸収し圧潰させんとする。

 流入する熱と魔素が降着円盤を形成し、天頂方向に熱線(ビーム)が放出された。まるで本物のブラックホールさながらだ。

 

 増大し続ける熱量と、圧し潰される空間が拮抗した。

 

「おお、流石ですね。私は〈奇跡〉によってでなければ、抑えるのは無理ですよ」

 

「完全に抑え続けるのは……疲れるわね。こちらの術式自体が歪曲増大されるせいか、その制御に割く負荷が大きい」

 

「ですよね! いっそ一度爆発させてしまう方が後処理は楽ですよ」

 

「まあ、だいたい分かったわ」

 

 珍しく眉を顰めていたアグリッピナ女史が、追加で特異点魔導を投入した。

 

 そしてそれでお終いだった。

 

 拮抗していたバランスは崩れ、漏出した熱量が黒に喰われていく。

 

御美事(おみごと)です」

 

「大したことではないわよ。さて、実際に打ち破ったら幾つか課題も気づいたから、帰って筐体や術式の改良の打ち合わせでもしましょうか」

 

 どうやら残してきた丁稚の方も、拉致襲撃が一段落したようだし。と呟いたアグリッピナ女史は、転移魔導で姿を消した。

 私も彼女に続いて転移する。

 

 

 実験魔導炉としての完成度も高まってきた。

 次のステップとしては、魔導炉の工業的観点からの改良や、その出力の応用方法の模索のために研究拠点都市を形成したいところだ。

 私一人だけが職人的にやってても、先が続かないからね。

 

 それに私だって他の研究や、我が信仰の布教伝道に、隧道方伯としての各種調整にと、やることは盛り沢山だ。

 もちろんこの東方の土地を発展させ、ルゥルアさんを首長として盛り立てたり、子供が生まれればその養育をしたりもしたいし、世界各地を見て回ったりもしたい。

 魔導炉ばかりにかかずらってはいられないんだよねー。

 

*1
◆子実体化するクローン:冬虫夏草の使徒との同化が進むことで、本体から派生したクローンを、魔法チートの権能を損なわずに子機のように扱うことが可能になった。子実体(キノコ)と、その親株である菌糸の関係に近い。クローン全部が同期しており、端末でもありかつ本人でもある判定がされている。通常の人間の魂の規格では発狂するが、使徒と同化することで変質しつつあるようだ。エミュレータ内に意識体をコピーしたりしてたことも、そっち系の変質を促したと思われる。神の奇跡ってすげー! というかむしろこれはそういう生態の茸人間(マタンゴ)のような気もする。




 
◆そのころエーリヒ君
アグリッピナ女史の言いつけで片っ端から書籍をバザールで購入したり、迎賓館まで売り込みに来た商人らとの調整や、彼らの商品の目録作成をしていたところ、いつもの仏頂面で「ああ、探していたのです」と友好的な雰囲気で近づいてきた百足人(センチピードニィ)の少女に襲われる。昨日の友でも今日は敵。この日も丁稚のダイスは荒ぶっていた。
 
 
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