フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~   作:舞 麻浦

120 / 160
 
◆前話
エーリヒくん「さらば帝都よ! (……エリザ、ミカ、セス、ヘルガ……帝都の人々とは、この交通の発展していない、ほとんどの人が己の村から出ずに生涯を終えるような世の中で、さていつ再会できるだろうか。いや、マックスやアグリッピナ氏といった貴族と会う機会というのはできれば遠い方が良いけれど……)」
 
マックス何某(なにがし)「HAHAHA、再会は意外とすぐなのかもしれませんよ?」
 
※前話は初期稿から若干追記修正入れています(大筋の展開には影響しない程度ですが多少読み口がマイルドになったはず)。

 


29/n さらば悪友(とも)よ、また会う日まで-2(僕にその手を汚せというのか)

 

 ある秋の夜。

 エールストライヒ公爵邸にて。

 

 私ことマックス・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン隧道方伯(ずいどうほうはく)にして魔導副伯(まどうふくはく)は、招待を受けて、近侍護衛である巨蟹鬼(クレープス・オーガ)のセバスティアンヌを連れてその邸宅を訪れていた。

 

 とはいえ、実は今回の招待のメインは表向きは私ではなく。

 その護衛である巨蟹鬼、ラーン部族は “津波” のセバスティアンヌが主役である。

 

 かつてこの三皇統家の一つであるエールストライヒ公爵家の御姫様、ツェツィーリア嬢の家出騒動に与力(よりき)したときの褒美の約定により、ある程度定期的にセバスティアンヌの闘争の相手を工面してもらえることになっているのだ。

 今日はその約定を果たしてもらえる日というわけだ。

 

 そしていま、練兵にも使えるエールストライヒ邸の広い庭にて、セバスティアンヌと、その相手として招集されたエールストライヒの一門衆が対峙していた。

 

 一方は、私の護衛である彼女。二対神銀の大蟹の下半身と巨鬼の上半身を持った魔導生命体である巨蟹鬼(クレープス・オーガ)。セバスティアンヌだ。

 彼女は重力操作や眷属生成、精神リンク、障壁生成、肉体賦活に再生といった生得術式を持ち、さらにそれらを意識的に拡張行使できるように東から来た仙人の下で修行中でもある。

 武装も静電妖精を呪縛した機構による電磁投射砲といった外連味の強いものから、単純に頑丈で伸縮する如意鉄棍、抗魔導や各種補助の魔導と奇跡を込めた防具まで、隙なく揃えている。

 その様は、まさにファンタジー世界に舞い降りた主力戦車(メインバトルタンク)! 硬い、重い、強ォい!!

 しかもセバスティアンヌは、彼女の出身氏族であるウラガン(大嵐)部族が練り上げた中国拳法じみた独自の武術をさらに練磨し〈剛細一致〉の境地に至った達人である!*1

 何度か脱皮を繰り返してひと回りもふた回りも大きく成長し、さらに身体組織に占める魔導金属の割合も増えて重量も増したセバスティアンヌ(スティー)を止めることは至難といっていいだろう!

 

 対するはエールストライヒの一門衆より選りすぐりのフィジカル系の吸血種(ヴァンピーレ)たちプラスアルファの小隊50名!

 この手合わせのための招待が夜半であるというのもまた、彼らエールストライヒの一門衆が最も実力を発揮できる時間帯であるがゆえ。

 彼ら精鋭吸血種は、魔導をメインに据えている無血帝マルティンⅠ世陛下とは異なり、吸血種としての種族特性を前面に打ち出した構築(ビルド)をしている。

 すなわち、人類最高峰の膂力と、無限の再生力を主として襲い掛かってくる凄腕の戦士たちの群れなのだ! 帝国の吸血種としてのトレンドは魔法ビルドらしいが、脳筋ビルドも決して下火ではない。

 そしてもちろん種族特性ゴリ押しの前衛戦士だけではなく、そこにさらに夜陰神の奇跡を扱う僧侶や、魔導の才能を生かした魔導師に、膂力と夜に紛れる種族特性を斥候方面に生かした弓兵らも加わり、強力無比な小隊を構成している。

 歳経た亜竜でも狩りに行くのか、隣国の砦でも夜襲で落としに行くのか!? ってくらいのガチさだが、巨蟹鬼セバスティアンヌの脅威度としてはそれに比肩する可能性は……まあ正直あるので妥当な編成と言えるかもしれない。

 

 魔法あり奇跡ありの吸血種歩兵小隊50名が、魔導や奇跡を付与された装備で完全に武装した巨蟹鬼と戦うのだ。

 たとえ血煙になっても復活する吸血種たちと、あらゆる攻撃が通用しない頑丈さと吸血種ほどではなくても驚異的な再生力を備えた巨蟹鬼。

 毎回その戦いは持久戦の様相を呈し、セバスティアンヌが吸血種たちを再生限界まで磨り潰し終えるのが先か、ゾンビアタックする吸血種たちがセバスティアンヌの各種耐性装備を剥がして装甲に隙を作って致命の攻撃を届かせるのが先か、という泥仕合が約束されている。

 

 一大スペクタクルだな!

 なおお互いに損壊する装備については私が “もったいないおばけ” の功徳を積みがてら魔導や職人的な技術で修復してあげているので心配いらない。今ではお互いに遠慮なく本気装備でぶつかっている。

 

 

「今回はこちらの白星を加算させてもらうぞ、セバスティアンヌ殿」

 

「それは重畳。楽しみにしているとも、隊長殿」

 

 

 巨蟹鬼スティーと、エールストライヒの一門衆の小隊長がバチバチと火花を散らすのを尻目に、『後始末は気にしなくていいから存分にやり給え』とひと声をかけ、私はさらに邸宅を奥へと進むことになる。

 

 上階の見やすいバルコニー席から観覧するというためでもあるが、これを機に無血帝マルティンⅠ世陛下(マルティン先生)とウビオルム魔導宮中伯アグリッピナ氏とも会談するためだ。

 

 

 

 

 邸内で私を先導するのは、長命種(メトシェラ)のメイドであり、東雲(しののめ)派の魔導の使い手でもあるイミツァ嬢だ。

 確か、マルティン先生の娘さん── 出家されているので基本的には聖堂にいらっしゃるらしく、私はまだご尊顔を拝したことはないが、名をツェツィーリア嬢と言ったはず。夜陰神の寵愛篤き乙女だとか。── と、エーリヒくんをくっつけようと画策しているとか。

 今も邸内を歩きながらの雑談で、そういった話をしている。

 

「他種族から吸血種に転化した場合は、その時の年齢で外見が固定されるんですよね。なので是非ともお嬢様には、早めにあの金髪をオとしていただきたいものです。少なくとも20年以内程度には!」

 

 ──── あんまりお爺さんになっても、いやそれはそれでカップリングとしてはアリなのですが、まあでも青年から壮年に収まる範囲の方がつり合いが取れると思うのですよね。などと話すイミツァ嬢に、私も相槌を打つ。

 実際、あの金髪の才能を鑑みれば、非定命にしてやってそして積極的に国家貢献させるべきだとも思うし。そうしないと “もったいない”。

 

「とはいえイミツァ嬢。あの魔導宮中伯の懐刀だった彼は、かねてからの夢を叶えるべく帝都を発ちましたよ? そのツェツィーリア様も、物理的に接触の機会がなければどうにもなりますまい」

 

「ちっちっちっ……、お嬢様が完全な箱入り娘でしたらそうだったでしょうけれど、都合のいいことに今は僧籍に身を置かれています。在俗僧の制度はご存じで?」

 

 在俗僧。

 聖堂に所属せず、在野にて教えを広める者たちのことだ。

 救いと安寧を求める人々のもとを渡り歩き、石に枕し流れに(くちすす)ぐ生活を送る、ある種の修行でもあり、信仰への献身でもある。野に倒れた者の遺体を背負って遠く町まで歩くこともあろうし、勤労奉仕の日々の中で悪意に触れることもあるだろう。

 だがそれでも、真に神に仕え教えを体現するためには聖堂という組織は時に枷になるとして積極的に野に下る者たちも多いとか。

 

「ええもちろん知っておりますとも。私もある意味で在野の僧でありますれば。………なるほど、ツェツィーリア様が在俗僧として津々浦々をめぐるのであれば、冒険者になる彼と道が交わることもあろう、と」

 

「そういうわけです。私からもばっちりおススメしておきました!」

 

 ドヤ顔するイミツァ嬢。

 皇帝の一粒種から『在俗僧になりたいのです』なんて言われたであろう、帝都の夜陰神聖堂首座の胃が潰れるような音が聞こえた気がしたが、きっと幻聴だろう。

 

 さて、私の知るあの金髪の為人(ひととなり)などをイミツァ嬢にリークして話が弾むうちに、バルコニーの方に辿り着いた。

 既にバルコニーの向こうからは、戦吠えと戦闘の音が響いている。おそらく実戦想定のアンブッシュから済し崩しに手合わせが始まったのだ。堪え性のないことで。

 

「では今宵の “鍵” はこちらです。時間もお間違えのなきよう」

 

「はい、確かに受け取りましたとも」

 

 私はイミツァ嬢から、魔導的な認証鍵となっている割符を受け取った。

 皇帝陛下(マルティン先生)魔導宮中伯(アグリッピナ氏)と会談するとはいえ、実は一堂に会するわけではなく、〈空間遷移〉の魔導で空間に窓を開けてそこを通じての会議となる。要はリモート会議的なあれだ。

 物理的に同じ場所で会ったという形跡を残さないことが密談向きだし、マルティン先生は分刻みのスケジュールだし、アグリッピナ氏は出不精だしで、こういう形で打合せすることも多い。

 

 三皇統家の邸宅の一角からであれば、魔導的な防御を施されている帝城へ接続するに当たっての認証プロセスの一部をホットライン的に省略できることもあって、今宵は都合がよかった。

 

 上質な黒茶が用意されたバルコニーのティーテーブルに着くと、階下の練兵場じみて広大な庭から響く戦闘音を背景音楽に、遠隔会合のための術式を走らせた。

 割符、定められた時、そして事前に承認された接続経路と、これまた事前登録された本人の魔導波長による認証。そして使い捨ての合言葉。

 何重もの認証プロセスを経て、中空に二つの “窓” が開いた。

 

 

 

§

 

 

 

「良き夜だな。ウビオルム伯、ハシシ=ミュンヒハウゼン方伯」

 空間を穿つ “窓” の向こうに現れたのは、銀髪の吸血種(ヴァンピーレ)。現皇帝であるマルティンⅠ世陛下だ。

 

「陛下におかれましては、ご機嫌麗しく」

 もう一方の窓から響いた鈴を鳴らすような美声の持主は、目の覚めるような美貌の長命種(メトシェラ)。言わずと知れたウビオルム魔導宮中伯アグリッピナ氏だ。

 

「御招集いただき幸甚でございます」

 そして最後に神妙に挨拶する私。今回の会合は、魔導副伯というよりは、隧道方伯としての参加になる。

 

 

 そして議題だが………。

 人目を忍んで、会ったことすら悟らせないように魔導で夜半に遠隔開催する時点で察してほしい。

 

 まあ要は──── 悪巧みだ。

 

 

 マルティン先生が口火を切る。

 

「東方交易路方面は、そこなマックスくんのお陰で安定の兆しが見えたところだ。方針としてはこれまでと変わらずで行くとしよう」

 

「はい、陛下。マルティン先生。私が婿(とつ)いだハッシャーシュの氏族を中核として首長国連邦として東方領域をまとめ上げ、帝国の重要な交易相手として、東方交易路及び大陸横断トンネルで結びつきを強めていく方針で動いておりますので、引き続きそのように」

 

「大変結構。君が存命の間はコントロールも利くだろう。期待している」

 

「は。努めます」

 

 まずは東方方面の確認から。

 先帝である竜騎帝アウグストⅣ世の御代に帝国は結構な犠牲(※2割が未帰還)を払いながらも東方交易路の再打貫を成し遂げたが、それによって東方の事情は大荒れとなった。東方の諸部族の被害は、帝国側の比ではなかったからだ。

 そのため今後も安定的に交易路を確保するための大戦略として、安定的でかつ帝国に友好的な国家の樹立は必須であった。

 

 だがそれも私ことマックス・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼンが、自身の婿入りした先のハッシャーシュの氏族を強力に後援(バックアップ)して地域の雄とする方向で動いており、おおむねその大戦略どおりに進んでいる。

 

「となれば次は西、でしょうか」

 アグリッピナ氏が確認のために口を開く。

 

「然り。

 北の蛮族も邪魔だが、調伏したところで北方の生産性はたかが知れている。海水鉱山のおかげで税収は増しているし、従来の半分の日数で育つ超極早生小麦を普及させることは続けるがな。

 穿地巨蟲(ヴュラ・ダォンター)を使った各地の運河の開削と拡張も従前に策定された計画通りとする。

 南は順次、方伯の方で企画している山脈貫通のトンネルを掘るように通常業務の範疇で進めてもらえば良い。

 それよりは、いい加減あの面従腹背の西の土豪どもを片付けたい」

 

 ああ、なるほど。気持ちは分かる。

 生産性の高い土地を占有しているのが、サボタージュしがちな潜在的敵対勢力とか、そんなのさっさと一掃したいに決まっている。

 

「とは言っても、名分はいかがいたしますか? 面従腹背とはいえ、“従” であることには変わりないのでしょう?」

 

 帝国西方辺境の土豪たちの厄介なところは、その(したた)かさだ。

 そして名分というのは常に大事だ。

 特に、一旦帝国という国家のその懐に入れてしまったのであれば。

 

 

「………なるほど。名分がなければ作ればいい、ということですか」

 

「ウビオルム伯、そなたの言う通りだ。謀略(はかりごと)により暴発させる」

 

 わあ、悪巧み。

 

「それは……しかし制御できるのですか? 察するにですが、面従腹背の土豪どもが旗幟を明らかにせざるを得ないくらいに追い詰め、しかしながら纏まれば帝国に一撃を与えることができると希望を持てる程度に、戦力を調整する必要があると推察しますが。他国の干渉も誘発するでしょうし……」

 

 追い詰めて追い詰めて、『もう無理! 改心して帝国に心から従う!』と心を折れればそれで良し。

 追い詰めた結果として、各個では対抗できないから『連合を組んで蜂起する!』であれば叩き潰せば良し。

 そして面倒な信用置けない味方を一掃したいという発端を考えれば、基本的に後者に誘導するべきだろうか。そのためには土豪連中の希望のよすがになるような『秘密兵器』のようなものが必要になるだろう。

 

「追い詰めるのは、魔導航空艦と、そして帝国各地を繋ぐ高速幹線トンネルの噂があれば十分でしょうね」

 

 大戦力の簡単な機動展開を可能にする魔導航空艦と、兵站を強力に保証する地下トンネル網による高速鉄道。

 前者はアグリッピナ氏が担当しており、後者は私の担当だ。その幹線隧道は、まず帝都とエールストライヒ領のリプツィ*2、そして帝都とウビオルム領のケルニア*3をそれぞれ繋ぐ計画になっている。帝国の他の諸都市を効率的につなぐルートも順次策定中だ。

 

 魔導航空艦と幹線隧道網。そのどちらも、『それが整備されれば今後の独立抵抗の目は無くなる』と土豪側に覚悟させるのには十分だろう。

 

 アグリッピナ氏が他にも『ついでに新式の侵入者探知術式を備えた国境要塞に新式魔導炉も付けて運用実績を積ませるというのも、いい威圧になるやもしれません』とか言ってるが、まあ確かにそれらもまとめてこなしても良いかもしれない。西からの密輸は土豪の生命線の一つであろうから、それを塞ぐのに意味はあろう。

 

「そうだ、時を奪う。こちらは淡々と計画通りに航空艦と隧道網や運河の整備を進めればよい。要塞もこの際ありだ。そして、土豪らに選択を迫る。“蜂起か、然らずんば死か”、と思い込ませる」

 

 帝国にズルズルと呑み込まれ、先祖の悲願である捲土重来を果たせなくなることは、土豪どもにとっては死に等しい。なお、ここで言う “死” とは肉体的な死ではなく、矜恃や在り方の問題だ。

 戦うまでもなく制するのが帝国としては上策だが、それは土豪としては受け入れられない話だろう。

 

「ですが追い詰めるだけでは、ひと固まりになって蜂起するのではなく、面従腹背を続けかねない……ですよね。流石に彼らも勝ち目がなければ──── いえ、()()()()()()()()()できねば、大規模な蜂起には至らないでしょう」

 

 破れかぶれに蜂起する少数は居ても、真に思慮深く、そして腹背の志を持つ者は、きっとそれでは釣り出せない。

 蜂起に至る流れを作らなくてはならない。

 

 よくあるのは他国からの支援であろうか。

 武器や糧食の支援、秘密部隊の派遣など。

 だがこれは帝国的には、というかマルティン先生としては望ましくない。

 内政ターンに行きたいのであって、外征する方向に行きたいわけではないのだ。他国の支援は排除すべし。

 

 

 

 と、マルティン先生とアグリッピナ氏が、こちらをじっと見ているのに気付く。

 

 ………あの、まさか。

 

「土豪連中の蜂起の拠り所、秘密兵器となる何か。それを最初からこちらが制御できていれば問題はない」

 

「ちょうど胡乱な商会を立ち上げているようだし、そこから幾つかの商会を噛ませて、適当に戦略級の何かを流してしまいなさいな。西からのモノにでも偽装できれば一番ね」

 

「だがそれの最終的な制御権はこちらで握っておくことが必須だ」

 

「いっそのこと自爆機構でも隠蔽化して組み込んでおけば良いのではないかしら」

 

 あのあのあの。

 

 それ、私にやれって言ってます????

 

*1
◆特性〈剛細一致〉:エーリヒくんの〈艶麗繊巧〉の膂力版。判定行為にかかる複数のパラメータを任意に〈膂力〉で代替できるようになる。(追記:代替可能なのは〈膂力〉がもともと絡む判定の場合のみ。例えば攻撃が、膂力×器用で判定される場合は、それを膂力×膂力で判定可能になる。できない例でいくと、〈図書館〉判定はたぶんもともと膂力が絡まないのでゴリ押しはできなさそう(血流をパンプアップして脳の回転を早める秘技を併用した! とか無理やり〈膂力〉をからめる理屈を捻り出せれば可能)。とはいえ、おそらく、パワープレイするときはだいたい当てはまる、はず。)

*2
◆都市リプツィ:おそらく西暦世界のライプツィヒに相当する都市。

*3
◆都市ケルニア:おそらく西暦世界のケルンに相当する都市。




 
web版のマルスハイム動乱の帝都側背景の想像。帝都側の最上(ベスト)としてはたぶん、蜂起に至るまでの道を敷いて、しかし実際には蜂起させずに関連する檄文だとかの証拠を十分に集めて、反乱未遂の段階で邪魔な土豪たちの頭だけ闇から闇に潰すつもりだったんじゃないかな、と。無血帝マルティンⅠ世の異名のもとになっただろうこれまでの政治手腕的に考えると。もちろんそれは上首尾に行けばの話で、最悪の場合は、ある程度の西方辺境失陥とそこからの決戦は見込んでいたのでしょう(土豪の気質的に、白黒つけるための決戦ありきのほうが今後の統治に後腐れはない可能性すらある)。プランは常に複数走っているものですから。当SSでは隧道公団に帰還兵を吸収させていますが、原作WEB版ではその帰還兵のぶつけ先としてのマルスハイム動乱という面もあったとかいうことなので、決戦は決戦でアリという判断をしていたようです。
……で、WEB版ではそこに出奔した元魔導院教授が噛み合わさって、アクシデントで魔導炉が奪われーのと、最悪の想定ルートの若干斜め下あたりに落ち着いてしまった感じかなーと。ただこれ、魔導炉なり屍戯卿相当のポジションなりが、完全に帝国側の制御下にあったのなら、逆にかなり帝国側に都合のいい盤面になるのですよね、きっと。なのでマックスくんは、『西の大国のエージェントを装って、土豪勢力に信用されるように仕向けつつも蜂起を煽り、裏では反乱計画の情報を全部蒐集して帝都に流しつつ、さらに肝心かなめの時に梯子を外す』という役どころ(ポジション)を拝命することになりそうです。下手したらまた妙な爵位を投げられるまである(土豪地域の奥の奥の適当な城伯とか)。
 
うむ、これでマックスくんが西方辺境編に関わる道筋ができたな! ヨシッ! あ、でも屍戯卿も何処かで関わってもらうことになるとは思います。

 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。