フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~ 作:舞 麻浦
◆ケーニヒスシュトゥール荘の自警団長ランベルト氏の強さについて(独自解釈)
当SSルートのエーリヒくんは、英霊召喚の魔本に折り畳まれた魔宮に潜ったりなんだりで原作エーリヒくんより熟練度を稼いでいたり、召喚した英霊体から手解き受けたりして必要熟練度が軽減されたりしているので、原作よりスキルやステータスが成長している想定です。例えば膂力はランベルト氏と鍔迫り合いで拮抗できるくらい(ただし上背がないから押し込まれる)。でもランベルト氏ってたぶん味方の数に応じてバフを受けたり、同様にデバフを与えたりするよーな
ランベルト氏「戦場には
(戦場でブイブイ言わせつつも五体満足で生き残り、引退後は田舎でのんびり自警団長して嫁さん複数娶りつつ未来の大剣豪エーリヒの師匠までこなすんだからこの人はこの人で随分な物語的パワーをお持ちな気がします)
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◆前話
雨に唄うシャープな口髭の鯔背な若紳士マックス何某が、敵国工作員を生きたままその加護の奇跡ごと
マックス何某「だってもったいないって思っちゃったらもう手が止まらなくってェ……」
(邪教扱いされるのは)そういうとこやぞ。
「はいどっかーん。祝・12拠点目!」
「グワーッ」 「グワーッ」 「グワーッ」
特製の魔導媒質を溶かした雨を降らせて封鎖して逃げられないようにして、敵対諸国の密輸/諜報の拠点を潰すこと12件目。多いんだよ。
中にいた密輸商たちや、併設されていた
「密輸拠点が多すぎる……。西方辺境
サルバドール・ダリみたいに横へ細く長く伸びた口髭が特徴的な金髪碧眼の若紳士、つまり私ことマックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン
冬の森を覆う雨音が、そんなつぶやきを流して消し込んでしまう。うむ、降雨結界術式による消音作用は健在であるな。
「しかも研修なのかキャリアパスの一環なのか、向こうさん方も結構な有望株を配置してるっぽいし」
先般コネコネして生きたまま外套に
……まあ、人員交代だとか定例報告会だとか、そういうタイミングを狙って襲撃しているから、ということもあるが。
だがそれにしても、いやに若手の有望株っぽい輩との遭遇が多い。
「これ、幹部候補に経験積ませるためのちょうどいい難易度の狩場扱いされてる可能性あるな……」
対帝国の諜報、というのは周辺諸国にとっては最重要と言っていい位置づけのはず。
だが、そんな対帝国の中で、難易度イージーな地域があったなら?
有望な若手……将来の幹部候補の
「西方辺境がスパイ天国状態なのは聞いてたけれど、これはヒドイ」
むしろブチ切れたからこそ私がここに派遣されることになったわけだが。
「いや、私個人としてはむしろ “オイシイ” 状況だけれども」
優秀な素体がたくさんゲットできて嬉しいわねえー。
「なあ、そう思うだろう、アンタも」
私は親し気に、
返答は文字通りに身を引き絞るような “圧搾” であった。
並の人間であればそのまま七孔噴血して内臓を絞り出されて死ぬところだが……。
まあ、落日派の魔導師としてはその程度でやられるほどヤワな筐体には入ってないわけで。
「ははは、そうじゃれるなよ。くすぐったいじゃないか」
『……… !』 ( #`꒳´ )
締め上げる圧力がさらに強まった。
唐突だが、『適合者しか使えない装備』とかってロマンだよね。
私はそう思う。
非適合者を殺すくらいの気性の荒い『生きた装備』とかだと尚
みんなもそう思うだろう?
なので実際に
今着ているこれがそれだ。
見た目は普通の厚手の黒い外套だ。
冬の寒さを遮り雨や雪も通さないように緻密に縮絨させた表地が非常に上品な感じの仕上がりとなっている。
だがこの外套の本質はそこにはない。
魔導装備である以上、極上の素材を使うのはただの前提である。
仮称『
いまのところ私はこれをそう呼んでいる。一応いまの
それでこの『
表地はまともだが、裏地の模様は常に流動するように蠢いていて、時々人面瘡のように見えることもある*1。紳士は見えないところのオシャレにも気を使うと物の本にあったから拘ってみた次第。……表地も実は髪の毛を加工したものだったりするが、まあそれは余談だ。
さて、この外套が持つ能力は、原料になった人間の持つ加護や権能を保管し、着用者がそれらを流用できるというもの。
表地と裏地の間の拡張空間に捕縛した魂を制御することで、生前の── 外套に喰わせてしまったとはいえ、犠牲者の彼ら彼女らはまだ “生きている” ので生前という言い方は正確ではないのだが── 能力を行使することができるのだ。
しかもその能力は複数ストック可能である。能力装填可能なスロットが幾つかある装備品だと思ってもらえれば良い。
なお、現在、この外套にストックされているものは、超高倍率の身体強化の加護と、隠密迷彩の加護、土中潜航の加護、空中歩行の加護その他諸々。流石、素体が素体だけに工作員が持つにふさわしい能力のラインナップとなった。ちなみに魔導レジストと自動回復はデフォルトで備わっているぞ。帝国魔導師メタなのか奇跡系の能力を修めた素体が多かったのが印象的だ。
あとは魔法使い系の素体も喰わせたので、魔導術式の行使能力もある。
つまりこの外套の適合者であれば、即席で神官 兼 魔法使いのマルチロールが可能になるという寸法よ。
いずれの能力も元になったのは、これまでに潰した密輸拠点に詰めていた手練の工作員または若手有望株が宿していた能力であったり、血筋によるロックがかかった神器の権能だったりである。
それらを、彼ら彼女らの身柄ごと外套に『喰わせて』取り込んだものだ。
「“もったいないおばけ” が私にしてくれたことの模倣、と言うにも稚拙極まりないが、まあ、
『………!』 ٩(๑`ω´๑)۶
ははは、こんだけ冒涜的なことをしておいて及第点程度の評価しかないのは納得いかない、と。
だけれど比較対象が、いまの私を作った我が神の御業だからなあ。採点が辛くなるのは仕方あるまいよ。
ちなみに『
我が神の御業による
まあともあれ、聖職者が己の身を捧げるほどの文字通りの献身の対価に、奇跡を宿す神器が遣わされるというのは実例としてありうるものだ。
仮称『
もっとも、ちょっとばかり気性が荒すぎて、適合者以外は身につけた途端に喰らい尽くすという、物騒な装備になってしまったが。
え?
私は適合者なのかって?
違うんだなあ、これが。
なので装備しているものの、現在進行形で締め付けられて圧搾されているわけで。
「ま、その程度の呪いと締め付けに負けるようなヤワな生態はしてないわけだが」
『………!!』 (#゚Д゚)
呪いの装備ではあるが、呪いを気にしないフィジカルとメンタルがあれば何ら問題は無いのだよフゥハハハァー!
ま、そのうち適合者が見つかれば譲り渡すのはやぶさかでは無い。
この呪われたマントの権能が無くても私は同じようなことはできるからね。
まあ一応、潜入工作時のカバーストーリーとして便利に使わせてもらうが。奇跡の行使も魔導の行使も、私の生来の能力ではなく、どこだかの魔宮で見つけてきたことにするこの『
なんとなくエーリヒくんとか適合しそう。根拠の無い勘でしかないが。機会があれば
よし、もし彼に適合するなら適当なタイミングで押し付けよう、絶対に。その方がきっと愉しい。
さて、密輸拠点のうち、主に外国の諜報組織の息がかかっているところを粗方潰して回って乗っ取ることができた。
おそらくまだそれら諜報組織の大元である西方の緩衝地帯の衛星諸国家たちや、あるいはさらに西のセーヌ王国には気取られていないはずだ。
そのために降雨結界で情報封鎖したし、生き残りの構成員たちは非魔導的に洗脳して、
そのカモフラージュの報告も、虚空の箱庭で演算した、“私が介入しなかった場合の世界線” をエミュレートした結果を使っているから、一貫性と整合性のある内容になっている。彼らの上役たちもそうそう違和感を覚えたりはしないだろう。
「……まあそれ抜きにしても、あと数年は放っておいても大丈夫かもしれんが」
なぜか、というと………。
「東方交易路の再打貫は、人の動きを介して大陸東西のそれぞれの流行病をシャッフルし、病害性の水平遺伝を促進した。であれば───」
西暦世界においてペストが流行した遠因はシルクロード交易であった。
それと同じことが、現在進行形で起きようとしているのだ。
単に免疫のない病原体がやってくるのみならず、お互いの地域の病原体が接触することで特性が混ざり合い、凶悪化する。
それは交易路が拓かれることによる不可避の負の影響だ。
一応 私も、各地のスラムで日曜神父がてらに経口ワクチンを配ったりしているし、“きのこのお店” を通じて在野の魔法使いの間にゆるい紐帯を作ることでパンデミック時に効果的な治療術を市井に素早く流布できる基盤を作ろうとしたりもしている。
またそもそも病に打ち勝つには体力が必要だというのは忘れてはならない。超極早生小麦などのように農作物の品種改良をしたり、帝国隧道公団を結成して流通の改善に力を入れているのも、栄養状態の改善に大きく寄与し、きっと将来の病死者を少なくするはずだ。
公衆衛生の向上と、それを支えるそもそもの国力それ自体の向上。
その大方針については
国境線の密輸組織を丁寧に潰しているのも、回り回ってその辺りにつながってくる。
要は、検疫がなぜ必要か、ということだ。
密輸ということであれば、当然、関税もなければ検疫もない。
そうなれば、病原菌も入ってき放題。
水際対策が出来ないのだから当然それはそうなる。
だが、それでは困る。
こちらから出ていくのは良いとしても、それが再び戻ってくるのは防がなくてはならない。
だから、密輸ルートという検疫の穴は塞がなくてはならないわけですね。
とはいえ、陸路で繋がっている国境であれば厳密な封鎖は不可能だ。
島国と違って、港を押さえれば良いという訳では無いからな。
「西はわざわざ何かせずとも自然と疫病で混乱するだろうしな。問題はそれが逆流、再流入しないようにすることだ。
困難だが、まあ、それでも何とかするしかないか」
ちなみにいま、魔導波長を利用したレーダー的なもので国境の出入りを監視する、という構想が魔導院では検討されている。
新型魔導炉の有効活用案のひとつだ。
とはいえ結構 難航しそうな気配だ。ものになれば私も楽が出来たのだが。
そのため、私は私でサププランを進めさせてもらう。
「鳴子ではないが、有線で、踏めば感知できるという仕組みなら、簡単だ」
原理は簡単。
接触式か、上空と地下の上下方向でさらに範囲限定の近接感知であれば、既存技術で可能だ。
問題は規模になる。
国境線に魔導媒体の導線を敷かなくてはならない。
さて、総延長はいかほどか。
「だが残りが
バッと『
「
キィーと甲高い鳴き声とともに、蠢く太いミミズのような、目のない蛇のようなその魔導生物は、地面に潜っていった。
それらの掘ったあとが、自動的に魔導媒体の導線になるように、体節後半の分泌物は調整済みだ。
国境の出入りの監視と、間諜の排除はこの調子で進めれば良いだろう。
ああ、次は、土豪連中への浸透だ……。
西方辺境の情勢などについてまあ概ね独自設定・独自解釈です!
◆
いわゆる生きている装備。素体を捕食して能力を増やせる。なお描写できてませんが、森の主っぽい魔獣と遭遇したりもしており、その際、ブチ転がしたそれを『
マックス何某「その意気やヨシ! だが効かーん!」
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◆ダイマ重点!
9巻(上)の書影出ましたね! 表紙は……知らん
WEB版最新話も更新されてましたね! → https://ncode.syosetu.com/n4811fg/281/
迷いの概念が凶悪!(それでも零落しててもギリギリ使える程度の省エネ権能なのでしょうから、神様ってのはフルパワーならどんだけやばいんだろうか、っていうね) そして迷いの概念で座標が撹乱される中でボスのところにたどり着ける手段が既に手中にあるあたり、やはりエーリヒくんは
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※追記
◆
当SSルートでは、
勝手なイメージですが、各HSだと、漂泊卿(合理的な理由があれば使用するが基本はサンプル扱い)、吸血騎士(吸い尽くした瀕死体を食わせるなど割と積極的に活用)、帝都密偵(死体処理に便利なので使用)、
逆に妖精狼(不自然な存在なので破壊)、田舎剣聖(厄いので念のため斬断)、死霊伯爵(放置または然るべき聖堂の処置に任せる)、老執事(人目に触れさせることなく封印)、女性体大僧正(制作者まで含めて根切り)あたりは、着てくれないどころか破壊なり封印なりしてくるでしょう。
なお当SSのルートでは、人喰い外套をエーリヒくんに接触させるに当たり、そのマントがエーリヒくんと契約して彼の力を借りて、