フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~   作:舞 麻浦

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◆前話
東方沙漠の蠍の国ホラサーン首長国で、首長たるアルビノ伏蠍人/蠍背人(ギルタブルル)のルゥルア・ハッシャーシュに十ツ仔が生まれた。慶事だ、めでたい!
一方帝都では新機軸の繊維と染料を扱うマックスのアトリエが順調に営業し、巨蟹鬼の少女が店番したり、きのこのお店のコミュニケーション・インタフェイスが窓口を置いたりしていた。


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◆多産な伏蠍人/蠍背人(ギルタブルル)の相続問題
首長の地位は、神権政治形態であるため神官(巫女あるいは巫覡)が継承することが前提。そのため、螫蠍神(さそりのかみ)からの寵愛を第一に政務能力等も鑑みて後継者が選定される。他部族に伏蠍人/蠍背人(ギルタブルル)の女性が嫁いだ場合は、食事制限や何らかの処方により産児数をコントロールして、嫁ぎ先の経済力に合わせた出産をすることが一般的。なお今後は嫁に出した先で子供が多く生まれ過ぎたならば、経済力豊かなホラサーン首長国のハッシャーシュ本家で引き取ることも増えるだろう。

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※ AIさん(DALL・E-3)に出力してもらった挿絵あり(マス)
 


31/n 年明けの諸々-2(電界25次元はアットホームな妖精郷です!)☆AI挿絵あり

 

「………全然、国民(ようせい)が集まりませんのよーーー!!!」

 

 ギラギラと輝く一兆度の魔導的ダイソン球の下で、極光の半妖精(アウロラ・アールヴ)にして妖精女王として 〈みえざるひかり〉 の号を持つタチヤーナ(ターニャ)は叫んだ。

 

 

「どうしてですのよー!」

 

「うーん、荒ぶってるねえ、ターニャ」

 

 それを聞いた、彼女の戸籍上の兄にして実際上の母であるマックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン隧道方伯にして魔導副伯が苦笑する。

 自らの脳髄で孕んだ可愛い長女にして妹分であるターニャのことを彼はとても気にかけているのだ。

 

「こんなにたくさん魔素(おみず)があって、光波と電子(ごはん)もありますのに! 何がいけないんですの!?」

 

「それしか無いからじゃないかなあ」

 

 新たに開拓された異相次元である『電界25次元』と名付けられた、新たなる妖精郷。

 最新にして極小の、出来立てほやほやの “薄暮(はくぼ)の丘”。

 

 だがしかし、そこに広がっていたのは……。

 

 無明たる虚空であった。

 吹き荒ぶ電子風であった。

 乱反射する光波であった。

 

 

 揺らぎ、巡る、極光(オーロラ)

 虹色に輝くダークマター。

 今にも産声を上げんとする星屑の揺り篭。

 

 そして、それしか無かった。

 

「風も水もなければ、他の子たちにはちょっと暮らしづらいんじゃないかなあ」

 

 このターニャの妖精郷である『電界25次元』は、あまりに原初の風景であり過ぎるのだった。

 

「でもでも、おかあさま! 光も闇もありますのよ! 天地開闢の要素は揃っています! まずはここから……そういうものでしょう?」

 

「うんうん、そうだね。

 

 でもね、ターニャ」

 

「…………」

 

「今はもう、天地開闢の(そういう)時代じゃないんだよ」

 

「そ、そんなぁ……」

 

 既に世の理が定まって久しく。

 闇や光。夜に星。そういった根源的な概念を司る妖精というのは、天地開闢の頃はいざ知らず、今では押しも押されぬ大妖精ばかりだ。

 そんな原初概念の妖精らにとっては居心地のいいかもしれない『電界25次元』だが……。

 

「そういう強い子は、わざわざ新興で弱小の妖精郷に落ちてきたりはしないんじゃないかなあ」

 

「………私だってそんな大御所は願い下げですわ。きっと私の国が乗っ取られてしまいます。私は、もっと小さなかわいい子たちと一緒に、この妖精郷を育て上げていきたいんですのよ」

 

「その小さなかわいい子たちの住める環境(ニッチ)が無いんだよなあ……」

 

 ターニャが望むのは、まだ自我の獲得もしていないような、微小妖精たちだ。

 そういった赤ちゃんのような妖精に、この電界25次元で居場所を得てもらって、大きく偉大な概念を司るまでに成長してほしいと、そう思っているのだ。

 

 まあ実際は、ご覧の有様で、そんな力のない妖精が迷い込んだとたんに荒ぶる電子と光波に磨り潰されかねないのだが。

 というか、実際に微小妖精を拉致……誘拐……あー、勧誘してきたときには、この電界25次元の荒ぶる自然によって上書きされて変質してしまいかけて不味いことになった。

 直ぐに解放したから良かったものの……。

 

 

 つまりは環境とニーズのミスマッチだった。

 この環境に適合する原初概念の妖精たちは既に自分の地位があるため新興の妖精郷に来る理由がなく。

 新しい妖精郷に来たがるような微小妖精たちは、この過酷な環境に耐えられない。

 

 そもそも強者側の極光の妖精(アウロラ・アールヴ)の基準で考えるのも良くないということもある。

 

「ターニャ。素直に他の妖精郷と同じように、薄暮の丘をモチーフに添えた方が良いんじゃないのかい?」

 

「む、むむむむむ……」

 

 昼と夜の()()()たる薄暮の時間に固定された領域というのが妖精郷のスタンダードだ。

 

「もちろん、ターニャのコンセプトも分かるよ? 薄暮の一瞬を切り取るのではなく、極夜と白夜の混淆(こんこう)による永い夕暮れをイメージしたとかさ」

 

 斬新でとてもいいと思う。

 でも、斬新ってことは、受け入れられる者も限られるってことなんだ。

 

 

「いえ、いいえ、おかあさま! それでも私はこの道を行きますわ!」

 

 既に力持つ原初概念の妖精の中でも、新興勢力を選び、半妖精の女王に従うような変わり者か。

 あるいは微小妖精でもこの荒ぶる環境に耐えられるほどの才能を持ったエリートか。

 厳しい篩い分けをしてでも、極光の半妖精にして 〈みえざるひかり〉 の号を名乗るターニャは我が道を行くと決めたのだ。

 

「そうかい? でもそれなら、少しだけ助力したいんだけど、許してくれるかな」

 

「ええ、もちろんですわ、おかあさま」

 

「それじゃあ失礼して………」

 

 

 

電子的模造現実揺籃術式(おさなごころのきみがくだけぬように)

 

 

 

 マックス何某の魔法が、世界を切り取る。

 魔法的ダイソン球から漏れ出る激しい電子風と揺らめく光波を動力源とし、仮初の世界を構築する。

 ごくごく狭い範囲の、現実再現。シミュレーテッドリアリティ。

 

 

「これは……いわば電子的な揺り篭ですの……? 虚空の箱庭と同じような、いえ、どちらかといえば仮想現実(バーチャルリアリティー)とでも言うべきなのでしょうか」

 

「そうそう。入門編ってことでさ。電子のまやかしで再現した、この前庭で、そこでまずは慣れてもらえば良いんじゃないかな」

 

「……確かにこれなら、樹も草も風も水も、わたくしの権能の範疇に収まりますわね。生まれたての妖精たちでも、この前庭で過ごすのであれば、塗りつぶされて狂うこともないでしょう。

 流石です、おかあさま」

 

 理不尽。解せぬ。これだからおかあさまの権能は……。と顔に書いてあるようなターニャだが、有用であることに異論はないのか、反抗期的な心を妖精女王としての利益を思って抑え込んだ。

 

「まあちょっとおせっかいが過ぎたかもしれないけれど。許しておくれ。………そうだな、蠍の子たちの誕生祝いにオーロラをプレゼントしてくれたから、その返礼ということで」

 

「………弟や妹の誕生を祝うのは当然でしてよ、おかあさま。何人かは妖精(わたくし)好みの金髪碧眼に育ってくれそうでしたし。ああでも、だからこそ、薄暮の丘への誘いには乗らないようにしっかり言い聞かせておいてくださいまし」

 

「それはもちろん。まあでもそれ以前に、あの子たちは螫蠍神(さそりのかみ)さまの寵愛も篤いみたいだから、大丈夫じゃないかなあ」

 

「そうであれば良いのですけれど……」

 

 本能に忠実な妖精たちが、どこそこの神のお気に入りだとかいうのを気にするかというと、少し怪しいかもしれないが。

 マックス何某は子供たちに妖精除けの護符(タリスマン)の類を持たせるつもりであるし、きっとそうそう妙なことにはなるまい。

 

 

 

 

「ああそういえばターニャ」

 

「はいなんでしょう、おかあさま」

 

「いつぞやのグレムリンを勧誘(リクルート)する、という話はどうなったんだい?」

 

「それがあの子、隠れてるのか見つからないんですのよ。おかあさまも、見つけたらとっ捕まえてくださいますか?」

 

 少し前までは首長国の情報処理端末 “ぱそこん” にちょっかいかけてきてたみたいだったが、設計見直しやグレムリン除けの紋章を部屋にも刻むのを徹底したらそれも減っていったのだ。

 

「了解したよ」

 

「まあ案外、このおかあさまが作ってくださった電子仮想的な前庭に惹かれてやってくるかもしれませんけれど」

 

「もしそうなら楽でいいな」

 

 複雑にして精妙なるを狂わせることに長けた、故障の妖精(フェルファンクション・アールヴ)グレムリン。

 そんなグレムリンにとってみれば、この電子的に仮想空間を構築した術式は、格好の餌食だろう。

 ()き寄せられてやってくる可能性は十分にあるはずだ。

 

「来たら捕まえて、臣下に勧誘するんですのよ! あれで能力は十分ですし、もとは静電気の妖精ですから、わたくしのこの電界25次元にも適応するはずですの!」

 

「手に余るようなら協力しよう」

 

「もう、おかあさまは過保護ですわね!」

 




 
故障の妖精(フェルファンクション・アールヴ)グレムリン「いやなよかんがする」

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毎年恒例? いいふうふの日(11/22)のHS2.0、死霊伯爵とスタール夫人のイチャコラの更新だ! https://ncode.syosetu.com/n4811fg/286/
ヘンダーソンスケール2.0(メインシナリオの崩壊。キャンペーンの終了)の世界線なので、相当にあり得ない可能性を辿った世界線のはずだが、今のところ他のどのHSよりも子供の数が多いという。奥様は長命種(メトシェラ)なのにね! この調子だとそのうち半妖精のエリザやライゼニッツ卿の協力を得て、霊的な交歓により非実体生命を生み出す術式でも編み出しそう、なあんて思ったり。

 
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