フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~   作:舞 麻浦

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◆前話
同じ学閥に所属していたとしても、魔導の方向性の違いによって気が合う合わないは普通の職場と同じようにあるという話。

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※ AIさん(DALL・E-3)に出力してもらった挿絵あり(マス)
 


31/n 年明けの諸々-5(マックス何某(なにがし)七変化会議)☆AI挿絵あり

 

1.主要人格(ペルソナ)会議、はーじまーるよー

 

現況報告ー(げんきょーほぉーこくぅー)

 

「いや普通に “冬虫夏草の使徒” の菌糸経由で経験統合すれば良いだろう? 口頭で報告しなくてもさ」

 

「まあたまにはね?」

 

 

 さて異相次元に造られた拠点である “虚空の箱庭” にて。

 金髪碧眼の少年、青年が()()ほど円卓を囲んでいた。

 

 その中のひとりである私は、マックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼンである。

 

 

 そしてその他の6人も、また、マックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼンである。

 

 

 つまり全員がマックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼンである。

 

 

 

 それぞれは大元を同じくする子実体(キノコ)のようなものなので、言ってみればひとり遊びで指人形に喋らせているようなものなのだが、まあ実際お遊びのようなものだから別に構うまい。

 

 さて、集まった七人のマックス何某の、それぞれの役割(ロール)に触れていこう。

 

 

 

 まずは魔導院で研究や落日派ベヒトルスハイム閥としての活動に従事するマックス少年(研究員ロール)。

 帝都北方の貴族街にある染料と繊維の店の経営も管轄している。

 魔導師然としたローブに、大きなリサイクルマークのような聖印を首から提げている。

 適宜研究会の主催や、魔導院内の調整に奔走することが多い。そして魔導師としての技量向上のための研鑽をメインで積むロールであり、重要な役どころでもある。

 

「魔導研究はまかせろー!」

 

 

 

 

 次に、官僚のようにきっちりとスーツを着こなしつつも、魔導師らしく細かな魔法の刺繍が施された衣装のマックス少年(魔導副伯ロール)。

 魔導宮中伯であるアグリッピナ女史の補佐である魔導副伯として、宮中各所との調整に当たっている。あの金髪の従僕がいなくなったことにより、顕著に業務量が増えたロールの一人である。

 また、副業として、各地の魔法使いとのネットワーク構築を “きのこのお店” を通じて行っている。魔法使い相手の素材の通販や、さまざまな物品の買い取りの他、機関紙の発行などで会員となった市井の魔法使いたちの知識の向上とゆるい紐帯の形成を行っているのだ。

 

「アグリッピナ氏の部下とか死ねるんだが」

 

 

 

 

 三番目は、顎髭を生やした乾いた砂の香りの青年(東方大使ロール)。

 東方の広大な塩沙漠(カヴィール)の開拓と、そこで現地のホラサーン首長国から土地を租借して魔導研究都市を造成したりしている。

 その他の役目としては、結婚相手である真珠甲殻の伏蠍人/蠍背人(ギルタブルル)ルゥルア・ハッシャーシュとの円満な結婚生活を送ることが挙げられる。

 もちろん、女首長たるルゥルアの伴侶として、ホラサーン首長国の発展に寄与することもその役目のうちだ。

 

「ルゥルアさんが待ってるから手早く終わらせよう」

 

 

 

 

 四番目は、口髭を鋭く長く伸ばしたロタール青年(西方密偵ロール)。

 帝国西方の土豪たちを、3年をめどに追い詰めて、蜂起させ、一網打尽に鎮圧するための秘密工作を皇帝直々に命じられている。

 スパイとしてのバックボーンについては、西の大国セーヌに流れてその地で訓練を受けた、土豪にルーツを持つ青年ということになっている。

 現在は土豪へ取り入っている最中であり、競合するガチスパイを排除しつつ、硬軟織り交ぜて影響力を高めているところだ。

 

「土豪領域は文化が違う……」

 

 

 

 

 五番目はいかにも神官然とした少年(もったいないおばけ教の神官ロール)。

 活動の中心は “虚空の箱庭” であったり、帝国各地のスラム街だ。

 新たな布教の他に、虚空の箱庭での宗教家としての事業を色々と行ったり、修行したりしている。神官技能を伸ばすメインロールである。

 また、虚空の箱庭の代表として、そこで生産や異空間探索等の各種業務に従事し生活する人造人間(ホムンクルス)巨蟹鬼(クレープス・オーガ)幼生体、菌糸体生命(マイコニドシリーズ)のための行政も統括している。

 

「やはり我が神こそ至高。もっと宣教し、教化していきましょうね」

 

 

 

 

 六番目は、二番目と同じく官僚然とした少年だが、幾分か魔導の匂いが薄い。代わりに製図に使うインクの匂いが強いようだ(隧道方伯ロール)。

 帝国隧道(ずいどう)公団の総裁(トップ)として、無血帝マルティンⅠ世(マルティンせんせー)の意を受けて東奔西走南船北馬。その事業で発生する残土は虚空の箱庭の拡張に使われている。

 巨大な使い魔である穿地巨蟲(ヴュラ・ダォンター)の生産や保守管理を行うとともに、大陸横断トンネルの管理や、巨大組織に成長しつつある帝国隧道公団の経営を行っている。ついでにその途上の黒海に浮かぶ白銀灯台・氷床メガフロートの運営も。

 

「明らかに業務過多なんだが? マルティン先生の無茶振りも大概なんだが?」

 

 

 

 

 七番目はマックス何某の素体となった魔法チート転生者の肉体の、その生まれ故郷の女呪医(ヘクセ・エールツティン)(つが)った青年(田舎の若旦那ロール)。

 微かにハーブの匂いを纏って、穏やかな笑みを浮かべている。なんというか、他のロールに比べると表情に険がない。

 もうすぐ二歳になる息子がおり、妻である女呪医(ヘクセ・エールツティン)とともに子育てを頑張りつつ、村の貴重な医療従事者・魔法技能者として地域コミュニティに貢献している。

 魔導副伯ロールのマックスが構想している『魔導産業同業者組合(仮)』の前身である “キノコのお店” ネットワークが発行する機関誌の編集手伝いや、品種改良された作物の育成と草の根展開などを行っている。また、魔導と奇跡の研鑽にも在野の者の視点から貢献している。

 

「2歳の息子の世話があるから手短に行こう」

 

 

 

 

 

 他にももちろん色々な業務を行っているロールは数多くあるし、上記で紹介したロールについても1個体で行っているとは限らず、必要に応じて複数名の子実体クローンを配置している。

 特に魔導副伯と隧道方伯のロールについては、明らかに一人で行える業務の範囲を超えているので、活動場所が違う複数の個所で同時に存在することはザラだ。なお一応、同じ場所に複数の子実体クローンが存在しないようには配慮されている。

 

 

 7つの役割(ロール)のマックス何某がそれぞれの近況を報告し合う。

 

 

「魔導院の方だが、技巧品評会の方は無難に終了。同じ派閥の教授陣とも交友を深めたよ。もちろんミカくんやアヌーク、ヘルガ嬢、ゾフィとも時々交流を持っている。ターニャは電界25次元の方が忙しいみたいでこちらに顔は出せていないけれどね。バンドゥード卿やパピヨン卿が心配していたから、少し話をしておいた」

 

「あとはいつだかの褒美で魔導院の書庫の閲覧権限も上げてもらったんだったか。良い資料があればその解析や研究も進めよう。特に概念系や抗魔導系。時間操作系も」

 

「それと東方塩沙漠(カヴィール)に築く魔導研究都市のために、魔導院の各分院の設立関係の資料も欲しいな」

 

「はいはい了解。つっても魔導副伯の方でもその辺の資料は集めてくれよ。帝国政府の方に残ってる資料も多いだろ」

 

「まあね。パソコンっぽい例の便利な電子系魔導具の売り込みと合わせて、帝国政府内と古い貴族家へのコンタクトを進めてる。伝来の魔導具を見せてもらったり、魔法王国時代の遺跡の情報を教えてもらったりっていうのもそろそろお願いできるだろうさ」

 

「情報網の構築も大事だからね。隧道・運河事業の方でも、そういった便宜で立て替えてもらえるなら色々と捗るんだがな。流石に公団の事業としてやるなら、そこまであからさまに個人への便宜というのは対価にしづらい」

 

「帝国貴族としての常識の範囲での便宜なら構わないだろう。ああ、運河掘るついでに領内での布教許可とかもらえると嬉しいんだけどねえ」

 

「聖堂との調整が必要だろう、どのみちな。……そのあたりはどう進める? 今のところはこちらも聖堂(むこう)も静観しているが。陽導神・夜陰神の神話体系に組み込まれるつもりはないんだろう?」

 

「偽装としては輪転神の眷属神というカモフラージュをしても良いかもしれないが。虚空の箱庭での信仰体制は堅固だ。基底現実側での信仰については影響は少ないだろう」

 

「とはいえ帝国はもとから多民族・多宗教国家だ。必ずしも既存の聖堂勢力に合流する必要はないだろう」

 

「開闢帝リヒャルトの手腕は凄いよな、国民国家としての意識づけができているのは異常だ」

 

「そのお陰でか、帝国臣民としての帰属意識さえあればある程度は異端の信仰でもお目こぼしされているようだが」

 

「そもそも魔導師の存在が大っぴらに許容されているのだから今更では?」

 

「あからさまに領分を侵さなければ、そして治安を乱さなければ問題ないだろう。我が神は、複数の信仰を持つことを否定なさらない。布教したとして、帝国の民にこれまでの信仰を捨てさせる必要は無い」

 

「経口ワクチン飴や、きのこのお店(コンビニエンスストア)との抱き合わせに、技能の再整理などの、現世利益重点だよ、やっぱり」

 

「まあこちらとしても、捨てられるべきものが再び拾い上げられる世の中になるなら、それだけで十分だ」

 

「聖堂関係はまあそんな感じで()(くず)しを狙うということで」

 

「西の土豪連中は? 浸透と工作は順調かい?」

 

「主戦派を煽りつつ、慎重派の力を削ごうとはしている。あとは時流世論の操作だな。ユストゥス・デ・ア・ダインの末裔のお姫様がいるとかなんとかいう噂もあるが……」

 

「そんなもの幾らでもでっち上げられるだろう。まあ、旗頭の有無は重要か」

 

「マルス=バーデン辺境伯の統治にはできるだけ被害を出さないように動きたいがな」

 

「とはいえ土豪の方に己たちが優勢で勝ち目があると思わせるにはある程度は被害を出さざるを得んだろう」

 

「目指す絵図としては、あれだ、関ヶ原の戦い」

 

「ふむ。主戦派には多数有利を取っていると思わせ、一方で親帝国派には合戦の際に主戦派を裏切らせる、と」

 

「裏切り筆頭は、密偵ロタールになるわけだがな」

 

「その親帝国派も見極めなければなるまいよ。その未来の会戦で帝国側として轡を合わせるにしてもな。最終的な問題は、彼らが帝国臣民としての国民意識を持てるかどうかだ」

 

「地場と切らねばどうにもなるまい。陛下から、それら西方土豪のうちで親帝国派を東方沙漠への領地替えするよう打診されることも視野に入れておこう」

 

「いや流石に所領安堵の約束がなければ親帝国派としても寝返りはすまいよ」

 

「その意気を挫くために、3年後の会戦では圧倒しなくてはならないということだろうさ」

 

「魔導副伯の方では、航空艦の実戦投入は間に合いそうか?」

 

「間に合わさせられる、と言った方が正確だろう。デスマーチは確定的だな」

 

「最悪、筐体だけ作ったもの(モックアップ)に子実体クローンを融合させて、主機と管制をこちらで全て賄うことになるだろう」

 

「まあ、魔導航空艦の視覚効果は、土豪の心を折るには必須条件だろうからな……」

 

「首長国の方は?」

 

「十ツ仔が生まれたおかげで一気に婚姻同盟関係が動き始めた。そこを足掛かりに同盟関係を深めて、やがては首長国連邦として安定させたいな」

 

「そちらのほうで運河造成の実績を積んでフィードバックしてくれたおかげで帝国内の運河造成も捗っている」

 

「なにせ水と食料を押さえられているのがデカい。どうにでもなるだろう。……ルゥルアさんとの関係は良好かい?」

 

「ああ、それはもちろん。良縁だったとつくづくそう思うよ。陛下の流石の慧眼だ」

 

「東方は内政をルゥルアさんの神官団に任せられるのは大きいよな」

 

「でも十ツ仔は流石に大変ではないのかい?」

 

伏蠍人/蠍背人(ギルタブルル)の赤子は、ヒト種(メンシュ)の赤子ほど手がかからないぞ。それも乳母任せだがな」

 

「マジか。こっちはいま、魔の2歳児期に差し掛かって大変なんだが」

 

「お前のとこだけ田舎でスローライフしてるよな」

 

「この中で一番の勝ち組の疑惑がある」

 

「処す? 処す?」

 

「まあ待て、話せばわかる。というか全員同根の同一人物だろうが」

 

「これやはり口頭報告は失敗なのでは。変に子実体クローンの意識が独立化しかねんぞ」

 

「いやこの後すぐ大元に接続して同期して差分を平準化するから。………ほらきた」

 

 

 ぷすっとな。

 

 

「「「「「「「 あ゛ぁ゛ーーーー────…… 」」」」」」」

 

 

 

〈1.『マックス何某「あ゛ぁ゛ーーーー────……」(菌糸を刺してシロシビン(幻覚成分)併用で術式と奇跡で自我境界を崩して経験の共有と意識の混淆を行っている)』──── 了〉*1

 

*1
◆マックス何某7変化:実際は7どころではないロールがあるが、主なものとして現在7つ。

 

【挿絵表示】

 

基本的には常に同期しているため同一人格として振舞う。まあ、肉体ごとに末梢神経が覚えて最適化された動作とかあるので、各地の個体ごとに思考の癖だとか手技の技量だとかは若干の違いがあるようだが。とはいえそれも大元の本体からすれば右手と左手で器用さが若干違う程度のものである。個体ごとの自認はともかく、魂はすべて繋がっているので。




 
◆祝連続更新3回突破記念 キャラクター人気投票 結果発表!!!
第1位 マックス何某 「みんなありがとう」
第2位 マックス何某 「フン」
第3位 マックス何某 「神に感謝」
第4位 マックス何某 「くっ マックスに負けた…」  
第5位 マックス何某 「順当な順位ですね」


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今年もよろしくです!
 
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