フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~ 作:舞 麻浦
◆前話
この店主、この笑顔───
※孤独な反逆者ルート 補足
なお隣接世界線群の中では、セス嬢の善なるオーラに
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※ AIさん(DALL・E-3)に出力してもらった挿絵あり
33/n すりるじゃんきー -1(贅沢な悩み)☆AI挿絵あり
「最近、あんまり良い感じに魔法を使えてない気がするんですよ、ノヴァ教授」
「そう……でしょうか? 私にはマックス君は常に八面六臂、というか、縦横無尽の千人力で大活躍しているように思えますが」
帝都は魔導院にて。
一方は落日派ベヒトルスハイム閥の教授を務めるディーター・フォン・ノヴァ教授。
そしてもう一方は、何を隠そう私ことマックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン隧道方伯にして魔導副伯である。
上位階梯の存在から魔法に関する権能を与えられたものの心が折れて悪の道に堕ちたところをあえなく
その後、
そして皇帝陛下に斡旋された婚約者に逢いに東の国へと行くついでに、
婚約者であるアルビノの
ハッシャーシュの部族を核にして、帝国の友好国とするべく首長国を立ち上げ、魔法で人工大河をその砂漠に流して緑化と運河交通の発展に寄与し、砂漠地帯の開発を推進。私は帝国からは東方大使にも任命されたし、先日、無事にルゥルアさんは十ツ仔を出産して、しあわせ家族計画は進展中だ。
その間も塩沙漠地帯で魔導炉の臨界耐久試験を行うなどして、新型の閉鎖循環魔導炉の実用化に貢献。
広大な塩沙漠をライン三重帝国としてホラサーン首長国から租借しており、これからそこを研究開発都市とし、魔導院の分院も建てる計画だ。魔導副伯としての上司であるあの極まった書痴のアグリッピナ・フォン・ウビオルム魔導宮中伯からも、東方の稀覯書を集積する図書館としての魔導院分院をさっさと作れとせっつかれている。
さらに、冬虫夏草の使徒を調伏して共生させたことにより
1兆度の火球を閉じ込めた魔導的ダイソン球は今日も電界25次元の
あとは新式の魔導生命体である、
ハシシ=ミュンヒハウゼン家の紋章たる隧道鉄路上 大蠍支持 転輪飾盾の大紋章を背中に羽織った巨蟹鬼の戦士たちは、いまや沙漠の運河の守りとして、都市の守りとして欠かせぬ存在となっている。
そんな巨蟹鬼ラーン部族の頭領にして、“津波の” という号を持つセバスティアンヌは、マヌルネコ系の仙猫娘の指導のもとで、
やることは多く、手が足りないからと身体を物理的に増やしてまで対応し、しかしそのどれもが非常に充実している。
それは間違いない。
間違いないが、しかし……。
「順風満帆ではないですか。それなのに君は、何がそんなに満たされないのですか?」
プリンが足りませんか? などと宣うノヴァ教授に対して、私は気づかいに感謝しつつ “ご遠慮します” と答えた。貰ったら貰ったでご自分の取り分が減るせいか若干悲しい顔をなさるし。
「各地で超々極早生小麦の作付も広まるとのことですし、北方半島の付け根を横断する運河を始め、各地の隧道や運河も工事に着手していますよね? 成果はこれから、というところでしょうに」
他にも、写真術式の魔導具化による複写の簡素化に、高度汎用情報処理端末たる “ぱそこん” の開発と販売に、時間遡行魔導の解説書の作成に……と私の功績を指折り数える恩師のノヴァ教授。
「あとはスラムへのよろず買取店の出店に、衛生や栄養状況の改善もですか。マックス君はなかなか多才ですよね」
道理でマルティン陛下の覚えもめでたいわけです、派閥に引き入れた私も鼻が高い、という彼に、私は自分の内心を吐露する。
「全てが上手くいっているからこそ、ですよ。教授。波乱が必要だと思うのですよね、こう、刺激が足りないと申しますか……」
贅沢な悩みだと分かってはいるが、どこか物足りない───。
停滞を感じているのだ。
「ああ! そういうことですか、マックス君!」 合点がいった、というノヴァ教授は、ポンと手を鳴らした。 「たぶん、貴方のお友達で運命値が高い子と離れたからじゃないですか? ほら魔導宮中伯の丁稚だった彼、騒動の星に愛されているあの金髪の」
あ。
あーーーー(深い納得)。
なーるーほーどー。
そうか、エーリヒくんが帝都を離れたからかぁ、この割りかし平穏無事な日々の理由は。
何の根拠もないけれど、深い納得だけがそこにはあった。
運命の流れに造詣が深いノヴァ教授が言ったことだからというのも理由ではあるが。
「まあ、ああいう運命値の高い者の近くではいろいろと面白いことが起きるものですからね。統計上の外れ値というやつです。もし刺激を求めるなら、その彼の近くに行くというのも面白いでしょう」
件のその彼の居場所はご存じで? などと世間話で振られたのでそれに答える。
彼の故郷は帝国南部で、その後は帝国西方で冒険者をするつもりらしいのですよ、と。
「なるほど。西ですか……確かマックス君も西で任務がありましたよね?」
「……その任務情報は秘匿されているはずですが。まあ、運命の流れを見れる方に言っても詮無いことですか」
「まあまあ。特に言いふらすつもりはありませんよ」
「それなら良いのですが。………もうご存じのようなので隠しませんが、私の任務はマルス=バーデン辺境伯家が治めるマルスハイム領に巣食う癌、土豪たちを一掃するための下ごしらえです」
「それであれば、その
「ははは、流石に冒険者というのは難しいかと。形骸化しつつあるとはいえ、“冒険者は国家間紛争に関与できない” という神代の制約はいまだに有効です。分身体を一つ登録して、もし万が一でも、全ての分身体がその制約にひっかかるようなことになれば、私は今後、帝国の
これでも戦闘魔導師の称号も狙っているのですから。などと嘯く。
実際、
もし仮にマルスハイムでの私のスパイ任務がそこそこ上手くいき、西方辺境の土豪どもが蜂起したならば、それらを撃ち払う際にはきっと魔導師としての私にも出番があるだろう。
まあ最上の結果は、そもそも蜂起すらさせないことだが……しかし、蜂起をさせずに因縁を醸成させるよりは、血を流してでも清算するべし、というのが今回の西方辺境域における工作任務の方針だ。
優先度で言えば、流血は二の次。
獅子身中の虫である土豪たちを除くのに、帝国は多少の出血は厭わないこととしたのだ。外科手術でしか除けないのであれば、それをためらっていてはやがて手遅れになるがために。
まあとはいえ、獅子身中の虫を除くためとはいえ、駆虫薬で済むならそれでよし。
それでなくとも、麻酔をかけて内視鏡手術で済むなら、わざわざ腹を開かずともよし。
取れる手段は幾つもあり、それらを組み合わせることで、
このマックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼンの、密偵ロタールとしての任務もまた、無血帝マルティンⅠ世陛下の打った布石の一つに過ぎないのだろう。
方伯などという己の身には過ぎた位に任ぜられようとも、今の私はまだ、政治の世界の怪物たちには全くもって及ばない、盤上のコマの一つに過ぎないのだ。
指し手になるなど、とてもとても。
「………かなり頭が整理できてきました。そうか、そうですね、刺激を受けるために、スリルを味わうために、西の辺境に焦点を当ててみるとしましょう。ありがとうございます、ノヴァ教授」
「なんのなんの。スランプに陥った教え子を導くのも、師の務めですよ」
ふふふふふ。
ははははは。
師弟で笑い合いつつ、私は遥か西へと思いを馳せる。
帝国最辺境。
西の果て。
もちろん帝都でのあれこれや、帝国各地の隧道掘削や運河開削に、はるか東の蠍の国の開発を疎かにするつもりは全くないが。
きっと波乱が待っているとすれば、それは西の果てでのことなのだろう。
◆つまり今回は今までの振り返りかつ導入フェイズだったわけッス
魔法チート転生者マックス君(密偵ロタール)
「こんど皆で冒険しようぜ! 息抜きにさ! さあ行こう、ターニャ! スティー! ルゥルアさん!」
〈みえざるひかり〉
「それならついでに生まれたての微小妖精を捕まえたりしたいですわ! どうせすぐ生まれたり消えたりする微小妖精なら女王も気に留めないはずですし! 人口はパワーですもの、レッツ富国強兵! おいでませ、電界25次元へ! あ、あとフィールドワークで点数稼がないと、妖精郷に入り浸り過ぎて、ちょっと魔導院の成績が危ういかもですのよ……」
「最近は護衛としての仕事もできていなかったしな。滅多に食べられない食材が手に入ればなお良いな。いつ出発する? もちろん私も同行しよう。ついでに強者にも巡り合えれば最高だ」
真珠の巫女姫
「そう、ですね。首長国の運営も軌道に乗ってきましたし、ぶらりと帝国を旅するのも良さそうです。マックスさんと一緒であれば、なおのこと。時々は十ツ仔の様子を見に転移で首長国の
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◆ダイマ!!
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……この表紙の娘さん方五人衆、チーム名は