フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~   作:舞 麻浦

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◆前話
異次元からの窃視者(ゾス星系よりのもの)Στラ☾のz㎒ィ∀ηα(ちょっと覗いただけなのに……)ѰїルÑ☉ѕらに☈ħκリ∑τα…(なんかチクッとした!!) ∂є∂ら∆§!(むかつくわぁ!) ホ√π∂閉ζ☽мϊんだ§!(穴も塞がっちゃうし!!) §∆м@㎜リルのリ≡βラ∆ЯҜαŊµм(これじゃ夏休みの自由研究が)ЁπδιπgÑαϊαル!(終わらないじゃん!!)
どうやら彼(もしくは彼女)は、学生の自由研究のノリで異界を観察していたようです。アリの巣の観察をしていたら、はぐれ蟻に噛まれた、みたいな認識かもしれません。
 
そして電界25次元の魔導的ダイソン球(にせもののたいよう)を陽導神に感知されてしまったマックスくんたちの明日はどっちだ。


===

※ AIさん(DALL・E-3)に出力してもらった挿絵あり(マス)
 


33/n すりるじゃんきー -7(『不倶戴天』 イズ ヒー リアリィ アン イヴィル・プリースト?)☆AI挿絵あり

 

 それは冒涜的な饗宴であった。

 

「美味い! このオリーブオイルとバジル、そしてプリプリとした身の風味と自然な甘みとのマリアージュが最高だ……ッ」

 

「サフラン、好し。なにより、身の旨味、至上。玉ねぎ、故郷のもの、久しき」

 

 ここは『邪視の魔宮』の最奥。

 いまだに宇宙空間めいた不可思議空間のただなかで、私ことマックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン隧道方伯(トンネル=ラントグラーフ)にして魔導副伯(マギア=フィーツェグラーフ)は、欠食児童二名── 巨蟹鬼『津波』のセバスティアンヌと、フィデリオ氏の一党の呪術師『寄食』のザイナブ女史── に、料理を振舞っていた。

 

 その料理は異界からの侵略者であった不定形の軟体生物の分かたれた肉塊から切り出した肉質を、最も上質な一番搾りで新鮮な(エクストラバージン)オリーブオイルで炒めたもので、品種改良された選りすぐりの香草(ハーブ)を贅沢に使用して、まるで王侯貴族が食する宮廷料理かのごとく味付けされている。ともに炒められた玉ねぎは、原産地である東方から取り寄せた本場のもので、同じく沙漠の香辛料であるサフランがそれにさらに複雑で奥行きのある香りと食欲をそそる(いろどり)を添えている。

 

 つまり。

 

「『窃視者(ゲイザー)の触手のオリーブオイル炒め』は気に入ってもらえたようだね」

 ゾス星系よりのもの(クトゥルフの星の落とし仔)には、やはりオリーブオイルが合うでおじゃるな!(ぐるぐるおめめ)*1

 オリーブオイル炒めだけではなく、大きく切り出した切り身にタレを塗ったグリル焼きも準備しているところだ。

 

 …………いやね? 仕方ないでしょうよ、セバスティアンヌ女史から「さっきのやつの残骸を新鮮なうちに味見したい」って言われちゃさ。

 文字通りにこの世のものでは無いから放っておくと消えてしまうかもしれないし、見た目的にもタコかイカか、という感じだから新鮮な方が良いだろうと言われては返す言葉もない。

 まあ、美食珍味の提供は、彼女との近侍護衛契約の内ということもある。

 

 そしてどうも同じくゲテモノ喰い趣m……あー、ええと、そう、食に関して非常にアグレッシブでアバンギャルドな嗜好をお持ちの呪術師の女性、ザイナブ女史からも請われては、断る選択肢もない。

 実際、彼女の『影縛り』の呪術による助力は、先ほどの異次元からの(ゲイザー・フロム・ビヨンド・)窃視者(アナザーディメンジョン)を退散させるのに非常に役立ったからな。

 功労者に報いるには、この程度は軽いことだ。

 

 というわけで私はシステムキッチンめいた機材を虚空の箱庭から呼び出して調理をしているのだ──── さきほど異相次元探査艇ダンタリオンの魔導波動砲によって飛び散った窃視者(ゲイザー)の触手の肉片をふんだんに使って。

 本体はなんとか退散させて次元の向こう側へと放逐できたが、そのときにこちらの次元にヤツが手(?)を掛けていたその触手を撃ち砕いたときの残骸は、こちらの次元に残ったのだ。

 それら残骸たる肉塊は、無重力状態で星空のような侵食空間を漂っている。

 

 異相次元探査艇ダンタリオンの部隊は、役目を終えたので虚空の箱庭に帰還させている。

 パイロットの巨蟹鬼の娘たちは予備待機だったのを無理を言って出撃してもらってるからね。

 用が済んだら帰還してもらうのが道理だ。無駄な残業は良くないもの。

 それに機体のメンテナンスと、場合によっては除染や解呪も必要だろうし。妙な残滓がくっついてて、それがあとから増殖して乗っ取られたりしたら洒落にならない。

 

 

 

 

 さて、料理の続きだ。

 二階建て住宅ほどもある巨体の巨蟹鬼セバスティアンヌの胃袋を満たすためには、相当な量が必要になる。

 

 巨大な触手から切り出した煉瓦のように分厚い切り身に金串を何本も打ち、中からも火が通りやすいようにする。

 下拵えに 〈見えざる手〉 をはじめとした魔法も併用して手早く進めているが、これがなかなかに大変だ。

 下拵えを失敗すると、侵食性が残るかもしれないからな……。ナマモノに火を通さなければならないように、きちんと概念的な『浄火』によって無害化して食べやすくしてやらなくては。

 

「方伯閣下自ら彼女に御料理を振る舞っていただけるとは……恐縮です」

 

「ああ、気にする事はないさ、フィデリオ殿。配下を(ねぎら)うついでだ。………本来であればもっと手慣れた専門の使用人が調理した方が美味くできるのだが」

 

 いまだにこのあたりの世界法則は乱れに乱れており、いつもセバスティアンヌのお付きにしている調理に長けた使用人たちを召喚することはできない。

 我々は何気なく過ごしているが、この空間はまだまだ邪視の力に満ち、相当程度の実力者でなければ発狂した上にヒトの形を失ってしまうような危地なのだから。

 

「本当に、うちのゼーナブにまで申し訳ない………」

 

 兜を脱いで頭を下げるフィデリオ氏に、逆にこちらの方が申し訳なくなってしまう。

 マジで、セバスティアンヌ女史に料理を提供するついでなので、気にしないでほしいのだが………。

 巨蟹鬼が食べる分に比べれば長命種(メトシェラ)一人分の食事の量なんて真実ただのオマケでしかないのだ。

 

「むしろこちらこそ、そちらのお仲間の手を煩わせてしまって申し訳ないね。おかげで料理に集中できて助かっているよ」

 

 そう言う私の目線の先には、宙に浮かんだ窃視者(ゲイザー)の肉塊に縄を投げ、肉塊同士を互いに係留しようと動いている禿頭の巨漢戦士と、鼠人の凄腕斥候の姿があった。*2

 斥候の彼、ロタル氏が縄の束を肩に背負って素早く肉塊の表面を駆け回り、縛り付ける。

 そしてそれを禿頭の巨漢、ヘンゼル氏が有り余るパワーで引っ張ってくれている。

 美事な手際と連携だ。

 

 

「そうだ! 見てのとおりまだまだ触手肉の量は沢山あるが、フィデリオ殿もどうだい? 意外と美味しいし、結構自信があるのだが」

 

「はい、いいえ、閣下。申し訳ないのですが、私はご遠慮させていただきたく……」

 

「そうかい? ああ、確かに万が一でも()たると、帰り道が大変になるか」

 

「ええ、そんな理由(しょくあたり)での全滅は避けなければなりませんから」

 

「………経験がありそうな口調だね?」

 

「お察しください、閣下」*3

 

 フィデリオ氏もこれでなかなか苦労しているようだ。

 

 

 さて、今のところ宙に浮かぶ巨大な肉片の群れは、窃視者(ゲイザー)がこの次元を去っても、消える様子を見せない。

 それに肉と目玉を捏ねてできたような、この悪趣味な要塞もまた、主を失ったというのに、いまだ崩壊の気配はない。最奥の間の乱れて宇宙のようになった空間も、多少は元に戻りつつあるもののまだ完全に復帰しきるにはほど遠い。

 窃視者(ゲイザー)がもたらしていた影響は、それほどにまで強力で強固だったということだろう。

 

 この分なら、魔宮が消滅する前に、あるいは『目』の権能を引き継いだ極光の半妖精(アウロラ・アールヴ)のターニャが魔宮を掌握し、その維持を引き継げるかもしれない。

 ターニャの師匠である探窟卿:バンドゥード卿の専攻は迷宮における世界法則変化についてであったはずだし、掌握できれば絶好の研究対象として魔導院の単位取得の助けにもなるだろう。

 まあ、こんな厄い魔宮をいつまでもそのまま残せるものではないというのは置いておいて。掌握できれば無害化も可能だろうか?

 

 

 

 さて、そのターニャだが。

 

「おかーさまー、もう少しどうにかなりませんでしたの? 『目』の権能を付加するにしても、もっと落ち着いたところでやるとか……」

 

「すまない、でもそうはいかない事情があったんだよ、ターニャ」

 

 そう言ってジト目で私を睨むのは、胃もたれしたかのように顔を青くしたターニャだった。

 我が脳髄で孕んだ娘にして戸籍上の妹である彼女には、さきほど窃視者(ゲイザー)の大目玉から純化抽出した『目』の権能を与えたのだ。

 妖精女王としてひとつの次元を治める彼女にはうってつけで、なおかつ必要なものだ。

 

「ぬー。おあー。でもおかあさま、消化不良起こしてますのよこれぜったい………」

 

「その様子じゃ触手のオリーブオイル炒めはさすがに食べられないか」

 

「ぜったい無理ですわぁー」

 

 無理むり無理ですわー、と言ってお腹を押さえて丸くうずくまる彼女の、そのオーロラのように虹色に流動する髪色のロングヘアは力無く垂れ下がり、一方で背から伸びている極光の蝶翅は、ジャノメチョウのような目玉模様が不規則に現れてはキロキロと周囲を見回すように蠢き、すぐに渦巻いて消えていくのを繰り返している。

 ターニャは権能の消化掌握に苦労しているようだ。

 でもまあ、妖精女王としてひとつの世界(おのれの『はくぼのおか』)を支配するのであれば、この『目』の権能は必須だろうから頑張れ。王とは()守る者であり、()張る者なれば。

 特にあの1兆度の火球を凝縮させた魔導的ダイソン球を太陽のような位置づけで運用するならばなおさらだ。太陽こそは、支配者の目の具現であるがゆえに。

 

「あまり時間を置くと純化させた結晶体とはいえ、力が強すぎてそれ単体で勝手に自律行動を始めそうだったからなあ。間を置かずに吸収してもらう必要があったんだよ。不意打ちで悪かったが頑張って掌握してくれ、ターニャ」

 

「おあー」

 

 触手肉の焼き加減を見ながらそう宣う私の声に呻き声を返し、ターニャは丸まったまま無重力に任せてどこかへクルクルふわふわと漂っていってしまう。

 頑張れ、ここが正念場だぞ、ターニャ……。

 

 

「あの、方伯閣下。あちらの彼女は介抱しなくて大丈夫なのでしょうか? 大層気分が悪そうでしたが」

 

「フィデリオ殿、心配してくれてありがとう。だがあれは彼女が自分で乗り越えるべきものだからね。そうでなければ、真の意味で権能の掌握はできない。こればかりは下駄を履かせても良いことはないんだ」

 

「話の流れからは義息女とお見受けしましたが、お厳しいのですね」

 

「どうかな。むしろ甘いと思うよ。結構、請われるままに色々と与えているし。………我が子を可愛いと思う心が私にもあったというのは自分でも意外な心持ちだが。そういう感情とは縁遠いと思っていたからね」

 

「そう、なのですか?」

 

 まあね。

 それはともかく。

 

「貴公のお仲間の彼らも、そろそろ触手肉片の係留の仕事は止めにして、皆で腹ごしらえでもするといい。私の自慢の料理をご馳走しようじゃないか」

 

「え゛」

 

「ああ、いや、あの触手料理じゃなくて、普通の食材を使ったやつだから安心してくれ」

 

 帝国を守った英雄たちには、それ相応の饗応をしなくては、帝国貴族の名が廃るというものだ。

 

 

「そして望むがままの褒美を与えよう。

 貴公らが先にあの窃視者(ゲイザー)と戦っていてくれたおかげで、私たちは向こうの手の内を知ることが出来た。図らずも最も危険な一番槍を務めてもらったわけだし、何より最後に空間の裂け目を閉じてくれたのは本当に助かったからね」

 

「はい、いいえ、閣下。当然のことをしたまでです」

 

「そう謙遜することはないさ! それにそちらが先に手を出していた獲物をなかば横取りすることになってしまったし。特にあの大目玉そのものを相談もなく自分たちのものにしてしまったからね。最低でもあれと同等のものは渡したい」

 

 実際のところ、やろうと思えば、あの窃視者(ゲイザー)を星の海の向こうへ退散させるのは、もしかしたら私たちだけでもこなせたかも知れないし、逆に彼らだけでも何とかなったのかも知れない。

 そういう意味では、お互いに共闘が必須だったわけではないはずだ。

 だが、共闘したことで個別に立ち向かうよりも何倍もスムーズにことが運んだということは間違いない。

 

 そして彼らとは一時的な戦友であるとはいえ、本来的には貴族と臣民の関係だ。

 あのようなひとつ初動を間違えば帝国西方辺境(エンデエルデ)が丸ごと肉塊と目玉でできたペーストに覆われてしまいかねないような災禍に立ち向かってくれた冒険者に対して、帝国貴族として(げき)して(しょう)することこそあれど、何一つ与えないなどということは有り得ない。

 信賞必罰は貴族として()って立つ基本にして究極の権限であるからして。

 

 で、冗談抜きに文字通りに世界を救ってくれた勇士たちへの代価は、さて、いかばかりがよろしいかね?

 金で済ますのも味気ないし、そもそも彼らほどの冒険者であれば、金に困ってはいないだろうし。

 彼らが上手い具合にちょうどいい希望を出してくれれば、考える手間が省けて良いんだが。

 

「………というわけで、褒美の件について、食事でもしながら一党の仲間たちと相談してみてくれるかい? これはねだっても無理じゃないかと思うようなものでも、意外と何とでも出来るかもしれないから言うだけ言ってみると良い」

 

 それに私はフィデリオ氏への依頼の対価に、()()()()()()()()()()()()()()と確かに言ったからね。

 ライン三重帝国で畏れ多くも方伯の位を賜る者として、一度口に出した言葉には責任を持つのは当然だ。

 貴族に二言はない、というのは、貴種の心構えとしては基本中の基本。原理原則であるからして。

 

 

(さきほど断片的に漏れ聞こえてきた “不吉な神託” の件もあるが………、まあ、なるようになるだろう。しかし、何が陽導神の勘気に触れたのやら?)

 

 

 もし仮に。

 たとえ彼らが褒美の代わりに私の命をねだってきたとしても、魂さえ保証してくれるなら命のひとつ程度は支払ってもいいのさ。

 

 私だってこれで主神級の神罰を受けるのには慣れているからね。*4

 そういう趣向になったとしても大歓迎だと笑って、華々しく逝ってやろうじゃあないか。ハッハッハ!

 

 

 

§
 

 

 

 

 

 それはそれは豪華な饗応であった。

 

「おーおーおー、こりゃまた豪勢だな!」

 

「スンスン……。別にあの大目玉だの、この肉要塞の壁や床を削り出したものってわけでもなさそうだぞ、ヘンゼル」

 

「ロタルの鼻がそう言うなら確かだな!」

 

「まあ、ゼーナブの皿は別だが……」

 

 一仕事終えた禿頭の巨漢『梵鐘砕き』のヘンゼルが揉み手しながら豪勢な食事を前に笑みを浮かべる。

 鼠人の斥候『風読み』のロタルが、己の秀でた嗅覚にかけて、ゲテモノではないことを保証する。

 

 彼らの目の前にあるのは、上品な真っ白いテーブルクロスの上に並べられた数々の料理。

 まるで王侯貴族の晩餐会のようだ。

 

 違和感があるとすれば、周囲がまるで星空のような得体の知れない空間になっていることだろうか。

 宇宙に浮かぶようにして高級そうなテーブルと椅子のセットが浮かんでいるのはなんとも不思議だ。

 まだこの周辺、邪視の魔宮の最奥の空間が、この世ならざる法則の影響下にあるのは、一目瞭然であった。

 

 だがそれを上回るほどに、並べられた食事は魅力的だった。

 ただし、同じ卓に座る黒褐色肌の呪術師ザイナブの目の前に並べられた、軟体動物めいた肉質の料理は除く。

 

「ハシシ=ミュンヒハウゼン卿からのご厚意だ。勇敢なる冒険者に捧ぐ、だそうだ」

 聖騎士のフィデリオが軽く印を切る。

 

「ひゅう、流石お貴族様だ」

 早速、好みの料理が乗った皿に目を付けるロタルが軽く口笛を吹いた。

 

「あとは、“褒美に何が欲しいか考えておくように” とも仰っていたぞ」

 

「と言ってもなあ、何を望んでも良いものやら」

 禿頭の巨漢ヘンゼルが、素早く高級そうな酒のボトルを手に取り、コルク栓に手をかけている。

 

「それもこれからゆっくりと話し合いたいんだ。食事でもしながらね。……まあ実は他にも相談事もあるんだが」

 

「なんだぁ? 大きな冒険(ヤマ)が終わったばっかだってのに、もう別の冒険(ヤマ)の兆しを拾ったってのか、フィデリオ!」

 

「それは追々、ね。料理が冷めてしまう」

 

「そうだぜ、まずは腹ごしらえだ! ゼーナブはもうかなり食べてきてるみてーだがな」

 

「美味し。旨し。うまし」

 

「そうだね、僕らも食べよう。では、日々の糧に感謝を」

 

 軽く祈ったフィデリオの言葉を皮切りに、ヘンゼルとロタルは食事に手を付け始めた。

 ただザイナブのみが、フィデリオの祈りによって降りてきた神の力、あるいは天上からの注目が、常よりも大きなことに気づき、疑問を持った。

 

 

「食べながら聞いて欲しい」

 

「むぐもが」

 

「今回の冒険についてだが、ハシシ=ミュンヒハウゼン卿は我らのことを高く評価しておいでだ」

 

「もが、ごくん。うまっ。 まあ、流石に方伯ともなればその辺の判断はしっかりできるわな、フィデリオ。………実際、さっきの大目玉はヤバかった」

 

「ごくごく、ぷはっ。ロタルの言うとおりだぜ。被害が広がる前に潰せたからよかったものの、俺らやあっちのお貴族さまご一行が居なけりゃ、この辺一帯は肉と目玉の海だか森だかになっちまってもおかしくなかった」

 

「美味し。旨し。うまし」

 

「ああ、この魔宮は、まさしく世界の危機と呼ぶに値する冒険だったよ」

 

「そんで、褒美を下さるんだっけか。そのなんとかって方伯さまは」

 

「ハシシ=ミュンヒハウゼン卿な、ヘンゼル。ちゃんと覚えろよ。無礼打ちされかねんぞ」

 

「がはは、今覚えたから心配するな、ロタル。でも、特に方伯(ほーはく)さまの依頼を受けて来たわけでもねえのに褒賞を下さるとはな」

 

「きっと真面目な方であらせられるのさ。帝国貴族はどこもそうだが、特に隧道方伯ともなれば、流通の障害になるようなものは排除せにゃならんという意識は強かろうしな」

 

「ああ。きっとそうなんだろうね。これを放置していれば、とてもじゃないが、荷を運ぶどころではないし、そもそも帝国西方が滅んでしまうよ」

 

「美味し。旨し。うまし」

 

「で、貴族としては、冒険者とはいえ民草が目覚ましい働きを見せたもんだから、褒美の一つも渡さないとメンツが立たん、と。なるほど、だいぶ絵図が見えてきたな」

 

「そう、ロタルの言うとおりだ。─── 方伯閣下はこう仰せだ。『依頼の金品は後で冒険者同業者組合(ギルド)を通じて支払おう。だがそれとは別に、何でも望むものをひとつ与えよう』とね」

 

「もがもご」

 

「何でも、と来たか」

 

「あー、結構困る奴だろコレ。時々あるけどよー、向こうの想定より高いのを言ってもダメだし、低いのを言ってもダメなやつじゃねえか」

 

「フィデリオ。ハシシ=ミュンヒハウゼン卿は、本当に『何でも』と言ったのか?」

 

「………ああ、ロタル。もちろん、そうだとも」

 

「ふぅむ」

 

「そして卿はこうも仰っていた。『世界を救った勇士たちに与える褒美ともなれば、それこそなんでも望むがままに与えねば、帝国貴族の名が廃る』とね」

 

「………それってつまり、マジのガチで『何でも』ってことじゃねーか!」

 

 わあ、とヘンゼルとロタルが盛り上がる。

 貴族がその名に懸けてとまで発言したのだ。

 であれば、『何でも』褒美をとらせるというのは、本気も本気のマジでガチなやつということだ。

 

 ザイナブは相変わらず、白っぽい軟体動物めいた質感の肉質を食べ続けている。

 今度は煮込み料理のようだ。

 

「とはいえ目安は欲しいとこだな。………そうだ、どうせロタルのことだから、その方伯(ほーはく)さまについても何か知ってんだろ? 教えろよ!」

 

「あ? まあ、そりゃ最近目立つ御仁だからな。多少は知ってるぜ」

 

「私からもお願いするよ、ロタル」

 

「ああ? フィデリオも俺が知ってるくれぇは知ってんだろ? まあ良いが……」

 

 爽やかな食前酒のような風味のワインを、いかにも高そうな薄いガラスのグラスで飲み干し、喉を潤して唇を湿らせた鼠人が知識を話し始める。

 彼、ロタルは一党の中でも一番の事情通なのだ。

 

「まずは隧道方伯ってのは、隧道公団のトップに与えられる爵位だ。簡単にでっけえ穴を掘れる魔導生物を開発した功績ってことらしい」

 

「魔導生物、か。無血帝みてえだな。ほら、三頭猟犬とか、下水の粘液体とかよ」*5

 

「実際皇帝にかなり目を掛けられてるから、あの若さで上級貴族の仲間入りってわけだ」

 

「あん? 見た目通りの歳なのか?」

 

 ライン三重帝国では、長命種が普通に国体に馴染んでいるため、見た目というのはあてにならない。

 

「どうもそうらしいな。他にも信仰篤くて休みはスラムで炊き出ししてるとか、あちこちで見かける『キノコのお店』の元締めだとかもあるな。そういや、あの噂の魔導航空艦の開発にも噛んでるって話だったが、それもガチっぽいな」

 

「あー、さっきもビュンビュンギュンギュン飛んでたもんな。ありゃあ飛竜よりヤベえんじゃねえか?」

 

「切り札……なのかもしれないね。噂の魔導航空艦よりも随分小さいみたいだし、彼の独自開発なのか……?」

 

「………正直、あれを見たからって口封じされねえよな? ってのは一瞬思ったが。ま、まあそれはともかくだ。方伯閣下は、ここ最近の隧道や運河の拡大に一枚も二枚も噛んでて、その財力はとんでもねえって噂だ。それに、自身も魔導師として優れた腕前で、特に魔導生物や魔導具作りに長けているんだそうだ」

 

「なるほどな。そしたら褒美に貰うとしたら魔導具系が良いか? あの飛んでたやつもくれって言ったら貰えたりしてな!」

 

「いやー、さすがにそれは無理だろヘンゼル。それにそもそも貰ったって整備できねえだろ誰も、そんじゃあ意味ねえよ」

 

「まあ仮に貰うとしたらどこまでいけるのかって話だ。あの飛んでたやつでもいけるなら、そりゃもう相当なものでも望めるってことだろ?」

 

「そりゃそうだがな。………そうだ、フィデリオはよー、なんかその目安みてーなのは聞いてねえのか? 直接話したんだろ?」

 

 巨漢と鼠人に見つめられて、聖者は口を開く。

 

「そうだね………最後のときに、方伯閣下がしていたことは見えていたかい?」

 

「ああ、あれだろ? 大目玉を繰り抜いて、それを潰したかどうにかして宝石みたいにしたやつだ。やべー感じの」

 

「正直ろくなもんじゃなさそうだけどな……。神の如き力を持つ異界の生物の目玉から作られた力の結晶って、それだけで世界を滅ぼせそうだもんな」

 

「二人とも流石。よく見ているね」

 

「で、フィデリオ。それがどうしたってんだ?」

 

「ごほん。方伯閣下はこうおっしゃった 『獲物を横取りする形になったのは忍びない。だから、少なくとも私たちが得た結晶(これ)に匹敵するくらいのものは褒美として望んでもらわないとね』、と」

 

「「 ………はぁ??? 」」

 

 理解不能な顔をした二人に、フィデリオは「だろうね」と思う。

 

 なお、ザイナブはひたすらに食べ続けている。

 ………もう彼女自身の体積以上に食べていないか? 気のせいか? 少なくとも胃の容積は超えているだろう。

 

「おいおいおい? なんだ、そしたら世界を滅ぼせるようなもんが、上限じゃなくて下限ってわけか!?」

 

「イかれてる。逃げたくなってきた……。っていうか、家族を逃がしたくなってきた」

 

「気持ちは分かるよ、ロタル。僕も早くシャイマーに会いたい」*6

 

「やべーのは、そういうレベルのものを褒美に渡せるくらいに自分で持ってることだろ……。あの飛んでた機械を見た後だと、下手したら自分で作れるって可能性もあるぞ? やべーだろ」

 

「ほーん。戦闘魔導師だと思えば不思議でもなさそうだが」

 

「そりゃマルスハイムが吹っ飛んでも生きてそうなお前は平気だろうけどな、ヘンゼル。普通はそういう規模のものを素で代価に差し出せるようなやつは怖いもんなの」*7

 

「そんなに褒めるなよ、ロタル! まあ別に世界を滅ぼすようなもんじゃなくて良いんだろ。それに匹敵するようなものってこたぁ、世界を救えるようなもんでもいいし、世界とおんなじくらい大事なもんでもいいわけだろ?」

 

「ああ、まあ、そうなる、か?」

 

「とりあえず普通に欲しいモンを貰っときゃいいだろ。難しく考えすぎなんだって、お前ら」

 

「………ヘンゼル、君は美味しいご飯をくれる人だからって、いい人認定してないかい?」

 

「間違っちゃねーだろうがよ。旨い飯くれる奴は良いやつだ。シャイマーのとこのおやっさんみてえにな」*8

 

「はあ。まあそうかもな」

 

「ロタルはそしたらアレなんかねだってみたら良いんじゃねえか?」

 

「アレ?」

 

「ほら、いつも言ってるだろ、『何でも入る背嚢が欲しい』とか何とか。前の冒険でも泣く泣く置いてった戦利品があったしな。いけんじゃねえか、『何でも入る背嚢』」

 

「あ? いや無理だろ……ってわけでもねえかもしれねえのか………それ、アリなのか? いやだが……」

 

 ぶつぶつと考え始めた鼠人のロタルはさておき、フィデリオがヘンゼルに尋ねる。

 

「そういうヘンゼルは、何か欲しいものはあるのかい?」

 

「んあー、そうだなー……無限に酒の出る樽とかか? あー、いや、でもなあ………あ。髪の毛とか」

 

「え?」

 

「いやいやまあ俺はこれは剃ってるんだがな? ほらなんというか、こう、将来に備えてつーかな? もし万が一にも役に立つことはあるかもしれねえし? それにもし他人にも使えるようなものならそれこそそういう奴らにとってはまさに救世の光ってわけで世界を救うに等しいものなわけで……って、誰が光って眩しいって? あン?」*9

 

「誰もそんなことは言ってないよ、ヘンゼル」

 

「そうか? それなら良い。すまなかったな」

 

 陽導神の奇跡でも、自然にかくあるべくして禿げたなら、それを治すことはできないのだ。

 魔導でも天然自然に禿げてしまったものを戻すのは難しいのだが、褒美にねだってみるだけならタダだろう。

 

 なおそんな話を聞いているのか聞いていないのか、呪術師ザイナブはいまだに食べ続けている。

 

「美味し。旨し。うまし」

 

「………さっきから気になってたんだがよ、ゼーナブのやつ喰いすぎじゃねえ?」

 

「確かに……。なあ、ゼーナブ! それは食べ過ぎじゃないか? 大丈夫なのかい?」

 

 もにゅもにゅと咀嚼しながら、ザイナブは合間合間にタイミングよく口を開いて会話する。

 

「問題無かりし」

 

「……本当に? なんだか凄い勢いで料理が無くなっていっているんだけど……」

 

「問題無かりし。旨し。旨し。消化助く術式、覚えしゆえ」

 

「へえ、そんなの覚えてたのか、ゼーナブ。でも今までは使ったことなかったよな?」

 

「うむ。覚えし、先ほどゆえ。(わらわ)、褒美これ(なり)

 

 実は既にザイナブは褒美をもらっており、それは食べたものを消化する術式の理論であった。

 それは胃の中の食べ物を魔術で分解し、そこから発生したエネルギーでさらに食べ物を分解することで、無限に食べられるようにするという術式だ。

 余剰エネルギーは亜空間に外部貯蔵され、術者の拡張魔力タンクとして機能するという。

 

 貯蔵できる魔力はほぼ上限なし。

 食べまくってエネルギーを蓄えて、大出力を扱うのに適切な術式を得ることができれば、それこそ大陸を沈めることも不可能ではないだろう。

 

「じゃあ、あとはフィデリオか。何か欲しいモンあるのか? あ、そうだ、絢爛派のでっかい豪華な教会とかか?」

 

「絢爛派の教会なんて辺境に建てたらあっという間に金剥ぎに遭いそうじゃないかい? そもそも僕は絢爛派じゃない在俗僧だし」

 

「んで? 決まってたりすんのか?」

 

「ああ、まあ決まってはいるんだけどね」

 

 

 フィデリオは真剣な顔をして、テーブルに肘をつき、顎の前で両手を組んだ。*10

 

 

「──── 神託が下ったんだ。『大敵あり』と」

 

「そりゃあただ事じゃねえな」

 

「美味し。旨し。うまし」

 

「その大敵は、『にせもののたいよう』を創り出して、さらにそれを本物に近づけようとしている。太陽は二つも要らない。それはまさしく、ともに同じ天を戴かず……不倶戴天と呼ぶにふさわしい」

 

「それが次の冒険か。いいじゃねえか、陽導神に挑戦する大敵(アークエネミー)退治か! 腕が鳴るぜ!」

 

「………こればかりはいつものように付いてきてくれとは言えないさ」

 

 なにせ……。

 

 

 

「なにせ、その大敵というのが、他ならぬあのハシシ=ミュンヒハウゼン卿だというのだから」

 

「僕は陽導神直々に、神罰の地上代行者として指名された。いまも、文字通りに溢れんばかりの神威が、天上に坐す主から注ぎ込まれ続けている。神託を果たせなかったときのことは……考えたくもないね」

 

「無肢竜退治の折りに代官屋敷に怒鳴り込んだときとはわけが違う。方伯殺しともなれば、帝国法では族滅されて文句は言えない」

 

 

 

「フィデリオ、お前……そうしたら、シャイマーやおやっさんは……」

 

 

 

「もちろん死なせたくはない。だからこそ、だ。僕の褒美は、その罪を僕一人に限るように、ということにするつもりだよ。君たちにも類は及ばせない。要は決闘権になるかな?」

 

 

「………おいおいフィデリオ。黙って聞いてりゃ何をバカなことを」

 

「ロタル」

 

「方伯殺しはヤベえし論外だが! それ以前に、だ。神さまの力を注がれてるか何だか知らねえが、何をテメエは自分を勝つこと前提で考えてやがんだ?」

 

「うぐっ……」

 

「見ただろう、お前も。あの得体の知れない飛行機械の大軍に、あの大目玉をぶっ飛ばすとんでもない魔法! 神が大敵と呼び、殊更に力を注ぐってことはだな、そうでもしないと勝てないかもしれねえってことだろうがよ。きっとギリギリの戦いになる」

 

「………そう、かも知れないね。でも他にやりようが………」

 

「ふん。力で以て打ちのめすだけが冒険じゃねえだろう、そんなことも忘れちまったのか? その胸で揺れる冒険者証は飾りかぁ~?」

 

 

 

 

 

 煽る口調をおさめて、ロタルが真剣な顔で言う。

 

「言い忘れていたがな、思い出したことがあるぜ。方伯の噂だ。あの方伯は、なんでも身体が一つじゃないらしいぜ」

 

「それはどういう……?」

 

「同じ日付の同じ時間に、離れた街で説法したり炊き出ししたりって噂だ。ほかにも真偽定かならぬ噂はある。もしそのうちの幾つかでも本当なら……持っていき方によっては、神意も果たせて、全員生きて帰れるって道もあるだろうさ。きっとな」

 

「そう、だろうか」

 

「いくらお前が試練神に愛されていたとしても、だ。神もこんな八方ふさがりの試練なんてよこしゃしねえだろうぜ。神は乗り越えられる試練しか与えない、だったか? つまり、考えれば、抜け道はあるもんさ」

 

「がははっ、それにイザとなれば、そのような神など捨ててしまえばいいのだ! 己の大切を守ってくれぬ神など、祈る価値なし!! 俺を見ろ! 梵鐘を砕いた程度で加護は召し上げだ! まあ、そんな狭量な神などこちらから願い下げだったがな! だがそれでもどっこい生きている。──── なんとでもなるさ、そうだろう? フィデリオ」*11

 

「ロタル……、ヘンゼル……」

 

 笑う仲間に、フィデリオはなんだか救われたような気持ちになった。

 

 

「んむ、もぐもぐ。妾の術、証拠など残さぬ。随時、頼るがよい」

 

「あーもー、ゼーナブ! そうしないようにこれから考えるんだっての!」

 

 

 ザイナブとロタルの遣り取りを見て、フィデリオの口から笑いがこぼれた。

 

「ははは、そうだな、みんなで考えよう。今回も力を貸してくれるかい?」

 

 

 

「水くせえこと言うなよ、フィデリオ! そもそも最初に冒険に誘ったのは俺だしな。いまさら見捨てるかよ」

 

「まったく、仕方ないやつだな、フィデリオはよ。ふん、勘違いすんなよ、俺は、俺や家族が連座にならないように知恵を貸すだけだぞ」

 

「もにゅもにゅ。ごくん。………では暫時、聞かれぬように結界を降ろす。存分に話し合うべく」

 

 聖者フィデリオの一党。数多の冒険を経てきた彼らの絆は強かった。

 

 

 

*1
◆クトゥルフ系料理:クトゥルフの星の落し仔にはオリーブオイルが合うという。さすがに生は冒険しすぎなので無難に炒め物に。なおローグライクゲームElonaでは、クトゥルフ系モンスター(イス系種族)を素材にしたイカ焼きならぬ『イス焼き』という食糧アイテムがある。なお食べると当然ながら発狂する。ねうねう♪

*2
◆触手片同士の係留作業:大まかにマックス何某の魔法で集められたものを互いに係留していく作業。マックス何某だけでも魔法で何とかできるが、手伝いの申し出を断るほど自分でやりたいわけでもない。

梵鐘砕きのヘンゼル「すまんフィデリオ……だがそちらの対応は任せたぜ」

風読みのロタル「あそこに残って方伯様からあんなイカモノ御料理を勧められたら堪ったものじゃねえからな……」

*3
◆お察しください:フィデリオ氏一党は、きっと多分おそらく、ザイナブ女史のゲテモノ趣味に巻き込まれてポンポンペイン状態(食あたりもしくはタチの悪い呪い、あるいはヤバい級な寄生虫の類)のままどこかの迷宮を這いずりまわった非常に苦い経験があるに違いない。でも奇跡がある世界だから、ポンポンペイン神に祈らずとも、陽導神に祈れば腹痛も治ったのかもしれない。一方で、「こんなバカみたいな理由で神の奇跡にすがるのはむしろ徳が下がる」とかで奇跡を請うたりはしなかった可能性もある。………そんな中でも梵鐘砕きのヘンゼル氏だけ、ありあまる体力( C O N )で比較的軽症だったりしてるかもしれない。

*4
◆神罰には慣れているマックス何某:腐朽の神の使徒(冬虫夏草の使徒)を取り込んでは使徒を差し向けられ、トンネルを掘っては大地の神の怒りに触れて使徒を差し向けられ、砂漠で魔導炉の実験をしているときも現地の天空神からの天罰で消滅し、と、マックス何某は経験豊富。

*5
◆(追記)無血帝マルティンⅠ世の功績:市井の認識としては比較的近年の魔導生物系の功績は無血帝のものみたいなフワッとした認識があるように想定しています。実際は細かく言うと開発や普及、あるいは助言に関わってはいてもメインの研究者ではなかったりするのですが……。まあ、専門でない世間の認識はそんなものではないかと。あとたぶん、即位にあたって、読売(かわらばん)で無血帝の過去の功績の特集が組まれたとかでヘンゼル氏も聞きかじっていたのかと思います。

*6
◆シャイマー:フィデリオ氏の奥方。猫頭人。らぶらぶ。

*7
◆ふつうは怖い:助けたおじさんが『お礼を上げよう。最低でも核兵器レベルからね』とか言い出して、しかもガチでお礼にあげられるくらいたくさん持ってるっぽいという恐怖。逃げなきゃ(使命感)。

*8
◆シャイマーの父親:猫頭人。『子猫の転た寝(うたたね)亭』という宿屋の主人。フィデリオにとっては義父にあたる。

*9
◆髪の話:ヘンゼル氏が気にしてるというのは捏造設定です。

*10
◆真剣な表情のフィデリオ氏:ゲンドウのポーズ

*11
◆梵鐘砕きの由縁:もとは寺院に勤めていた、みたいなのは捏造設定です。信仰に対してフラットな態度なのも含めて。原作ヘンゼル氏は本当はもっと敬虔な人間なのかもしれません。




 
◆そのころ天上では
夜陰神「この直情ボケ! 後先考えずに神託降ろすから有望な信徒に逃げられそうになってるじゃないか!」(ムーンサルトキック!)
陽導神「ぐえっ!? む、むしゃくしゃしてやった。いまははんせいしている。でも、方伯だか何だか知らんけど、別次元にとはいえ、にせもののたいようを作っちゃうような奴を放置はできんだろう」
夜陰神「それはそう」
陽導神「そんな時に近くに有望な信徒が居たら、ね?」
夜陰神「分からんでもない。だがそれにしても軽率に過ぎるんだが???」
陽導神「はい。反省してます。でも下してしまった神託はなかったことには出来ないぞ?」
夜陰神「もちろん。神に二言はないのは当然だもの。そして一方で、下界の信徒が知恵を搾って神託を解釈するのもまた自由」
陽導神「そういうことだとも。そして、何処までやれば神託を果たしたことになるか、それを決めるのは私だが、罰の重さもまた私の胸先三寸だ」
 
でもまあ、信仰と家族とどっちが大事か迫ってくるのは神話でもよくあるからね。聖書のヨブとか。

 
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