フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~   作:舞 麻浦

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◆前話
・マックスくんが妖精女王の魔眼(宇宙規模から人体規模にダウングレードされた『目』の権能)を得た。代償は愛の痛み。マックスくんとターニャちゃんの力関係は、名付けの呪と妖精の寵愛が複雑に絡み合っている。
・きのこのお店、ケーニヒスシュトゥール荘支店は好評営業中。マイコニド・アルファ嬢はそのうちマルスハイム支店へ異動します。
・西方辺境の土豪を蚕食する帝国工作員、密偵ロタール。とはいえどこまで思惑通りに行くのやら…。


===

今回は後始末(?)の会話集3です。ポンポンと場面が飛びますが御勘弁ください。
 


34/n マルスハイムの初夏-3(ドナドナ / ジェネリック人体 / 天幕街再開発の布石 / 足下の大穴)

 

1.ドナドナ、ただし自らの足で

 

 

「見てくださいまし、エーリヒ! 肉が歩いていますわ!?」

 

「マルギットいったい何を言って………ってうわ本当に肉が歩いてる………!?」

 

 辺境都市マルスハイムの外郭にて。

 2頭の良馬── カストルとポリュデウケス。アグリッピナ氏の従僕を辞する際の餞別として下げ渡された良血統の牡軍馬。さらに彼ら2頭は悪友マックスが餞別で寄こした馬用 〝若返り薬〟 で若返っている。── に乗って、入市のための列に並ぶのは、私ことケーニヒスシュトゥールのエーリヒと、その幼馴染である蠅捕蜘蛛種の蜘蛛人(アラクネ)の女性マルギットだ。

 

 地平線まで見えるような平野の中で少しだけ小高くなった要衝の丘に築かれた都市、マルスハイム。

 ここに一夜で造られた陣地が、かつての土豪たちと帝国との戦争の行方を決定づけ、今のマルスハイムの礎となったのだ。

 拡大する市壁がまるで段々畑のようにも見えるこの都市は、逸話によれば丘ごと一夜にして現れた城塞がその起源なのだという。大勢の魔法使いを動員した作戦だったのだとか。

 

 そしてライン三重帝国最西方のこの辺境は、今もまだ完全に平定されたとは言い切れず、かつての紛争の名残からか手が回らずに放置された遺跡や魔宮も多いという、冒険者が旗揚げするには持って来いの土地なのだ。

 

 帝都のような秩序は望むべくもなく、無秩序ゆえの活気が都市とその周辺を覆っている。

 都市を構成する建物の屋根も、色も高さもまちまちで雑然としており、市門の近くに屯する入市待ちの人々もまた、種族からして雑多で様々だ。

 

 

 そんな中でも目を惹いたのが、我が相方たる狩人マルギットが指し示す、肉の列。

 比喩表現でもなんでもなく、〝皮を剥かれて頭を落とされ、内臓を抜かれた食肉〟 が、そのままの姿で列を成して歩いているのだ。おそらくは屍霊術の手妻によるものか。

 

 鶏に、ガチョウに、豚に、牛に、羊。

 主な家畜の肉が、切り分けられる直前の姿で、赤い筋繊維と白黄色の脂肪を晒して、粛々と、整然と道を歩いている。

 

 しかも牛のシルエットだと思われる大きな肉は、何やら大きなコンテナがデンと載せられた荷車を牽いている。

 まるで2トントラックのようなその荷車の中身は(よう)として知れないが、ひょっとすれば不定形な肉塊がみっしりと詰まっていてもおかしくはない。

 あるいは腸詰がわんさか詰め込まれていたりするのだろうか。

 

 

 まるで白昼夢。ヤク中の悪夢の中からそのまま地続きに歩き出してきたような、歩く食肉の群れ。

 ちょっと正気度を失いそうな光景だ………。

 血の匂いも腐臭もしないことが、ますます我々の認識から現実感を奪っていた。

 

 だが、周囲を見回しても、騒ぎ立てようとするような輩は少ない。

 それこそ私たちのような、外様の人間がぎょっとして目を丸くしているくらいか。

 

 

 そんな私たちに声をかけてくる男がいた。

 

「お、坊主たちは()()見るのは初めてか?」

 

 カストルとポリュデウケスに乗った私が視線を下げれば、そこには鎧櫃を担いだ丸刈り頭の巨漢*1が、人好きのする笑みを向けてきていた。

 

「ええ。なんとも、その……奇怪(きっかい)ですね?」

 

「ああ、まあ不気味だよな」

 

 わかるわかる、と腕組みして頷く丸刈りの巨漢は、ヘンゼルと名乗った。

 聞けば、非常にいい馬に乗っている腕の立つのが居るのが気になって声をかけてくれたのだという。

 ヘンゼル氏はどうやら私がこれからなろうという冒険者の先達にあたるらしく、見込みのありそうな若いのにお節介するのが半ば趣味のようなものなのだとか。どうやら我々は彼のお眼鏡にかなったらしい。

 

 それはそれとして、あの歩く食肉の列についてだが。

 

「あれはなー、まあ、あまり詳しくは言えねーんだが、冒険で肉の魔宮を攻略した跡地を魔法使いが()利用したとかでな」

 

 ()()()、ねえ……。

 ちょっとそういう企画をしそうな輩に心当たりも無くはないというか……。いやでもまさかな……。

 

「望みの高級肉をそれ自体に歩かせて出荷したりとか、何とも知れないくず肉は腸詰っぽい何かにして卸したりだとかやってるってわけだな。防腐処理だとか、自律移動も魔法の力だな」

 

「それをマルスハイムで消費したり、さらにマウザー運河まで運んで他所に出荷したり、ですか」

 

「そういうこった。今のマルスハイムなら、誰だって肉を腹いっぱい食えるぜ? どんな肉か選ばなけりゃな」

 

 ほらそこの屋台で焼いてる極太腸詰めがそうだ、とヘンゼル氏が指し示す方には、確かに腸詰めを焼く屋台があった。

 焼いた肉の匂いは……なんだこれ、よく分からんな……。なんというか、土臭いような、ケミカルなような……。

 

「出所が気になりますが……」

 

「まー天幕街(スラム)あたりで売ってるよくわからん肉よりはマシだって評判だし、実際そう思う。一番やっすいのは、味も、豚でも鹿でも鳥でもないよくわからん謎肉で美味くもないんだが、食えないほど不味くもない。少なくとも腹を壊しはしねえしな」

 

「はあ、そういうものですの」

 

 胡乱な話に適当に相槌を打ちつつ、歩く食肉の列をマルギットと見遣る。

 

 

「あ。……あれは」

 

「あら? 見ない種族ですわね……巨鬼のような、蟹のような……?」

 

 そしてコンテナ荷車の影から現れた、歩く食肉の列を護衛する、ある意味でよく見知った異形の種族を見て、私は何処か悟ったような気分になった。

 恐らくは歩く食肉たちが略取されないように目を光らせているのだろう。その護衛らしき異形は、蟹の下半身に青肌・角・牙を持つ幼げな少女の歳の頃の巨鬼の上半身を生やした、巨蟹鬼(クレープス・オーガ)の幼生体だった。

 

 つまりは魔導院の、あの腐れ縁のイカれた魔導師にして悪友マックス何某の眷属だ。

 

 護衛戦力だけ下請けしているのか、あるいはがっつりと謎肉や歩く食肉の事業に携わっているのか不明だが、少なくともこれは魔導院落日派の魔導師が噛んでいる事業には間違いないのだろう。

 いつぞやに巨大海蛇竜(ヨルムンガンド)をマックスの作った擬巨人光体(ひかりのきょじん)に乗り込んで討伐した際にも、落日派の屍霊術の教室から派遣された研究員だか聴講生だかが、その竜の巨体を腐らせずに帝国中を見世物にして帝都まで運び込むのに力を発揮していたことを思い出した。

 歩く食肉、というか、もうフレッシュゴーレムと言ってしまっていいだろうが、やはり最初に感じた通り、屍霊術の系譜なのだろう。むしろ納得しかない。

 

 

 そして狐につままれたような心持ちで、歩く食肉の列を見送った── なんと貴族などの特別の通行手形を持つ者たち用の通用門を通っていったのだ!── 私とマルギットであった。

 

 この西方辺境マルスハイム、地の果てエンデエルデとも呼ばれるこの土地だが、なんだか想像以上に愉快なことになっているような、そんな気がしてきたぞ……。

 河岸を変えるべきか、とも思ったが、流石に割り切って直ぐに移るには未練が残る。

 

 

「やっていけるかな……なんか想像とちょっと違った」

 

「まあ、きっと大丈夫ですわ、エーリヒ。このお姉さんがついてますもの。それに長年の夢だったのでしょう?」

 

 ああ、そうだ。

 マルギットの言う通りだ。

 そうとも、私はここに、冒険者になりに来たのだ!

 

 

「じゃあ坊主と嬢ちゃんに、おっちゃんが少しマルスハイムのことを教えてやろう」

 

「ええ、是非とも」 「お願いいたしますわ」

 

 丸刈り頭の巨漢ヘンゼル氏は面倒見の良い質のようで、冒険者の先達として丁寧にこの街のことを教えてくれたのだった。

 ついでに冒険者界隈のことも様々教えてくださって、私はそれを拝聴した。

 

 悪友たる魔導師の影が脳裏にちらつくのは努めて無視しつつ………。

 

 

< 1.腐れ縁からは逃げられないッ! ────了 >

 

 

 

 

§

 

 

 

 

2.屍戯卿(しざれきょう)シュマイツァー教授の優雅な辺境研究生活

 

 

 

「ああ、まさかまた師の下で魔導の研究に携われるとは………!!」

 

「我ら追放者一同、感無量でございます………!」

 

 

 マルスハイム行政管区の街道から少し外れた場所にある、のっぺりとした巨大な凝灰岩の塊めいた建造物の中にて。

 まるで城塞を一つ丸ごと石棺に封じたようにも見えるその建造物だが、その中にはみっちりと、何の生き物のものとも知れない巨大な肉が詰まっていた。

 実際のところ、これは肉で形作られた魔宮の跡を、外からはそう見えないようにセメントめいた石材で覆ったものだった。

 

 その肉の建物の中にて、ローブの集団が、金糸の刺繍も豪奢な中性的な美人に対して(かしず)いていた。

 

「良い。諸君らには苦労を掛けた」

 

 傅かれる側の中性的な美人── 美男美女の統計的平均値をとればこうなるだろうというような、まるで造られたかのような美貌の持ち主── が、鷹揚に囲いのローブ集団へと言葉を賜わる。

 彼、または彼女こそ、この石棺に収められた肉の城の管理者にして、ライン三重帝国魔導院は落日派ベヒトルスハイム閥にて屍霊術を専攻する教授、アンリ・リアン・マーガレット・フォン・シュマイツァー卿であった。

 

「師よ、もったいないお言葉です」

 

「全ては我らが望んでやったこと」

 

「そしてそれは無駄ではありませんでした」

 

「まさかこれほど早く、政府の手が及ばぬ研究拠点をご用意なさるとは……」

 

 そしてシュマイツァー卿に傅く彼らは、シュマイツァー卿が第二次東方征伐戦争以降に、ヒトの遺骸を材料にした動死体兵器を、ひそかに貴族たちに密売していた件の責を師の代わりに自らたちが負う形で、まるで殉教者のように野に下った、シュマイツァー卿の高弟たちであった。

 追放にあたり屍霊術を用いることを魔導制約によって封じられた彼らは、しかし倦むことなく、師であるシュマイツァー卿が「必ず迎えに行く、それまで雌伏せよ」と伝えた言葉を支えに、流れに流れてこの西方辺境、地の果て(エンデエルデ)マルスハイムくんだりまで辿り着いていた。

 

 専攻である屍霊術を封じられたとはいえ、彼らも一端の魔導師である。

 いつか来るべき再起の日まで、腕を腐らせずに生きのびることを仲間同士で誓った彼らにとって、冒険者に身をやつして日々の糧を得ることくらいは訳もないことであった。

 信仰を試す試練であれば、むしろ望むところですらあった。

 

 その過程で、地場のヤクの売人である不逞氏族── 元魔導院の払暁派の聴講生崩れが頭目を務めるバルドゥル氏族── に目を付けられたりもしたが、まあ世間知らずの追放魔導師たちとはいえ数人も集まれば独立勢力として身を立てることも能う。

 とはいえ、マルスハイムで良質な魔導触媒を手に入れようと思えば、自然とバルドゥル氏族の世話になることは避けられないので、体のいい外部委託先というくらいの関係はあったのだが。

 

 そして、師の迎えが来るまで、あるいは何かの拍子に恩赦でも出るまで、少なくとも数年は雌伏するつもりであった高弟たちの覚悟は、いい意味で空振りとなった。

 

 というのもこの春になって、待ちに待った念願の知らせが彼らのもとに飛び込んできたからだ。

 

 

 ──── シュマイツァー教授が、独自の研究拠点を構えられるのだ! と。

 しかもマルスハイム近郊にだという。

 

 

 まあもちろん、そんな情報を流したのはこっそりと彼ら追放組の元高弟たちを見張っていた、魔導副伯マックス・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン卿の手によるものだったのだが。

 やらかして市井に下った魔導師とか、いくら魔導制約を付けたとしても要監視なので。ハシシ=ミュンヒハウゼン卿は魔導副伯としての己の職責を果たすべく、不穏分子に枷を嵌めることとしたのだ。邪視の魔宮跡地に、オーパーツな魔導炉を付けることによって、彼らが自ら飼われるに足ると満ち足りるような檻を作り上げることで。

 

 

 かくして師をかばって追放された者たちは、この辺境の地で再び師のもとへと馳せ参じたというわけだ。

 

 

「しかし我らに科せられた魔導誓約はいまだに有効です。どこまでお役に立てるものか……」

 

「案ずることはない。なにせ、お前たちにやってもらうことは、屍霊術ではないのだからな」

 

「屍霊術では、ない……?」

 

 

 屍霊術とは、何か。

 定義は色々とあれど、前提として、だ。

 屍や霊を──── 死せるものを扱うこと、それが屍霊術の所以(ゆえん)である。

 

 

「であるならば、この肉の塊から捏ね上げられて絞り落とされた肉塊………精巧にヒトを模したコレは、何か」

 

 

 シュマイツァー卿が杖で肉質の床を叩くと、()()()()と元魔宮の壁から、のっぺりとして体毛のない、意識なき人体が排出された。

 高弟たちが、その精巧な人体を検分する。

 

「……肉でできているが、死体ではない。そもそも生きてはいなかった」

 

「……魂が宿らないゆえに、霊も剥がれ落ちない」

 

「良くできているが、本質的に、命がない。死もない。ゆえに屍に非ず、霊に非ず」

 

「つまり………」

 

 高弟たちが答え合わせのために、シュマイツァー卿へと顔を向けた。

 

「そうだ。これは、屍でもなく、霊でもない。─── 強いて言うならば、()()だ」

 

 肉質の魔宮から産み落とされる、規格化され、量産された、骨肉の果実。

 魂の宿らぬそれは、シュマイツァー卿の言うとおり、果実のありように近い。

 人体と寸分たがわぬほど精巧に作られたソレは、しかし、命宿らぬという一点をもって、死体ではありえなかった。

 

 それは何処まで行っても、人体を模したナニカ、でしかないのだ。

 

 

「ゆえにこれを扱うは屍霊術に非ず。したがって、魔導誓約には抵触しない。これを扱うのはむしろ───」

 シュマイツァー卿がうっすらと笑み(アルカイックスマイル)を浮かべる。

「─── 我らの本懐に近い。魂なき器に他の器から魂を移すことが出来れば、死のない世界を実現するための一助になろう」

 

 

 この世から死を駆逐する。

 それこそが、落日派ベヒトルスハイム閥シュマイツァー教室の本懐。

 完全なる肉体。完全なる生命。完全なる魂魄。

 

 屍を損壊し、霊を凌辱し、魂を玩弄する。

 それはすべて、永劫楽土へと繋げるための下積みに過ぎない。

 

 今はまだ。いや、今もまだ。雌伏の時である。

 魂なき肉の器を捏ねて、死にゆく霊魂を毀損なく移すに最適な条件を研究し、知見を積み上げるのだ。

 

 

「ああ、師よ……」

 

「我ら何処までもついてまいります……」

 

「雑事は全てお任せください……」

 

 

 シュマイツァー卿の下に再び集った高弟たちは、彼らの師が研究に専念できるようにと、進んで雑事を買って出た。

 それは師の身の回りの世話であり、そしてこの邪視の魔宮跡地の運営であり、資金獲得と帝国への貢献のための食肉の出荷であり、富裕層向けの美味なる肉質の開発と品質向上であった。

 

 

「全ての死すべきものの定めを覆すために。皆、これからもよろしく頼む」

 

「「「 はいっ! 我らが教授!!(ヤボール! マイン プロフェッサー!!) 」」」

 

 

 

 

< 2.マックス何某「肉を扱わせたら右に出る者は居ないんだけど、こいつらめっちゃカルトなんだよなあ……(私もヒトのことは言えない狂信者だけどさ)。まあ暫くはジェネリック人体をいじくりまわして大人しくしててくれ」 ────了 >

 

 

 

 

§

 

 

 

 

3.天幕街更地化作戦(立案:マックス何某)

 

 

 

 マルスハイムに拠点を置く武闘派の冒険者氏族(クラン)─── 〝ロランス組〟。

 巨鬼のガルガンテュワ部族において 〝不羈なる〟 の尊称*2を戴く戦士ロランスの武威に惚れ込んだ冒険者たちが集まったクランである。

 

 巨鬼ロランス。

 彼女は自らを 〝落伍者〟 として定義する、倦んだ巨鬼であった。

 

 彼女が 〝果敢なる〟 の号を受け取ったときの同期であったのは、巨鬼ローレン。

 並んで部族会議で尊称を授けられたときは、ロランスはローレンに対して、ライバル心を持っていた。

 だがあの天才戦士は、ものが違った。

 膂力、技量、センス……全てでロランスを上回るローレンは、まさに天才であった。

 天才ローレンは、あっという間に幾つもの会戦で強敵を討ち果たして戦果を挙げ、〝勇猛なる〟 の尊称を戴くに至った。

 

 それに比べて此の身はどうだ、とロランスは自嘲していた。

 なんとか 〝不羈なる〟 の号を得るに至るも、結局それ以上にはなれなかった。

 

 天才戦士ローレンに対抗するために、二刀の技を修めたが、最後に挑んだ決闘でも勝てはしなかった。

 

 ──── 心が折れた。

 

 そして故地を離れて遊歴に出たローレンを追いかけたわけではないが、ロランスもまた故郷を離れ、ひとりライン三重帝国へと居を移した。

 

 そこでも倦み疲れたまま、冒険者として日々を惰性で過ごし、いつの間にやら周囲に自分を慕う冒険者が集まり、自分を頭目とする氏族が興り、首に下がる冒険者証は青玉の位階に達した。*3

 徐々にこの身に錆が浮いていくような、緩やかな倦怠の日々。

 あとは氏族(クラン)の者たちが連れてくる、見込みのありそうな新人を適当につつき、少しの憂さ晴らしをするくらいか。

 

 

 だがつい先日、出会いがあった。

 クランの者がいつものように連れてきた新人冒険者は──── ロランスをして認めざるを得ない極上の剣士であった。

 脆く儚いヒト種(メンシュ)の身で、よくぞそこまで練り上げたものだと感嘆すべきほどの、剣の技量。

 そして木刀による模擬戦とはいえ、二刀を引っ提げて対峙した己は、あの新人冒険者に敗北したのだ。

 

 まあ、向こうは向こうで自分が負けたのだと言い張っているのだが。

 

 勝ちだと誇ればいいものを。

 巨鬼に勝る剣鬼であると。

 

 

 ああしかし、やはり闘争の甘美なるかな。

 鮮烈な敗北の味すらもまた乙なもの。

 そんなことすら忘れていた。

 

 倦んだ巨鬼ロランスは、ヒト種(メンシュ)の剣鬼と立ち会うことで、巨鬼の本懐を思い出したのだ。

 それほどに、彼との闘争は素晴らしかった。

 積み上げた武を、立ち合いの一瞬の刹那に込めてぶつけ合うことは、何にも勝る快楽であった。

 

 その剣の鬼──── 何の冗談か新人冒険者だという彼の名は、エーリヒ。

 ケーニヒスシュトゥールのヨハネスが四男、エーリヒ。

 金の髪が麗しい青年だった。

 

 

 

「惜しむらくは、あのローレンが 〝つばつけ〟 した相手であることか……」

 

 予約(つばつけ)済みの者に手を出すことは、その予約主にケンカを売るに等しい。

 ああ、あるいは、怒りに狂った 〝勇猛なる〟 ローレンと試合う/死合う口実になるなら、それも手ではあるかもしれない。

 ローレンといい勝負するためには、ちょっとばかり此の身の錆は重く、これからよっぽど練磨せねばなるまいが。

 

 

 

 さて、配下の連中が、此の身の錆落としにちょうど良い冒険を何か見繕ってきただろうか、と。

 

 夕刻のマルスハイムの雑踏の中、巨鬼の戦士 〝二刀の〟 ロランスが定宿にしている 〝黒い大烏賊(イカ)亭〟 へと足を向けたそのときのことであった。

 

 

「………おお、ちょうどいいところに。貴公が、ガルガンテュワ部族の──── 〝不羈なる〟 ロランスだな?」

 

「────!!」

 

 

 巨鬼の雌性体の上背は、3mを超える。

 もちろんロランスの背丈も平均的な巨鬼の戦士以上のものはある。

 

 だが誰何の声は、そのロランスよりも更に上から降ってきたのだった。

 

 声音からして、同族である巨鬼のもの。

 

 僅かに腰を落として佩いている得物に手を伸ばす。

 

 

「何者」

 

「ああ、我も名乗ろうとも。

 我が名は、セバスティアンヌ。

 ラーン部族の始祖(はじまり)にして 〝津波の〟 セバスティアンヌだ」

 

 ぬぅ、と、黄昏時の路地裏から現れたのは、どこに隠れていたのか不思議なほどの巨体であった。

 その背を覆うのは、何やら仰々しい紋章が描かれた外套。蠍と転輪の意匠がちらりと見えた。

 

 

「尊称持ち……。というか、いや本当にどこに隠れていたんだ、卿は」 

 

「東の仙の気功術によるものだ。氣を散らし、姿を消す」

 

「そ、そうか」

 

 そういえば、巨鬼のネットワーク── 傭兵として隊商について各地を巡る巨鬼たちは部族会議の知らせを運んだりして同族同士の繋がりを維持している── では、嵐の系譜であるウラガン部族から独立して新たな部族が興ったという話があった。

 なんでも大蟹の下半身を持つ部族だということだったが──── まさか本当に字句どおりの意味だったとは。

 

(そういえば配下の幹部が、少し前からそのような姿を持つ幼い巨鬼の変種が街を出入りしているとも言っていたような……)

 

 心折れて倦んだ身で、同族らしきものと関わるのも億劫だからと嫌厭していたが、かすかに覚えがある。

 確か───。

 

 

巨蟹鬼(きょかいき)、クレープス・オーガ………」

 

「いかにも、いかにも。この街(マルスハイム)の冒険者に高名な巨鬼(オーガ)の戦士が居るというのでな。探しておったところだ」

 

「そして如何とする」

 

「決まっておろうよ」

 

 

 巨蟹鬼(クレープス・オーガ)のセバスティアンヌは、牙を見せて獰猛に笑った。

 

 そうだ、巨鬼とは、武の種族たれば。

 

 

「一手、手合わせ願おうかッ、〝不羈なる〟 ロランス!! フンッ!」

 

「オオォッ!!?」

 

 

 次の刹那。

 ()()()を見せない神速のぶちかましで、〝津波の〟 セバスティアンヌがロランスを大きく吹き飛ばした!

 巨蟹鬼の歩脚は4本。前2本に体重をかけている間に、後ろ2本に力を溜めて突き伸ばして飛び出すという、ちょっとした小手先の技だ。

 

 だが、受けたロランスもさるもの。

 後ろに飛んで、普通の巨鬼の何倍も重さがある巨蟹鬼セバスティアンヌの突進(ぶちかまし)をいなしていた。

 

(勢いを、殺しきれない……!? いや、身体が妙に()()───!?)

 

 しかしロランスは思う以上に飛ぶことになった己に驚愕していた。

 その彼女の身体は、まるで鴻毛のように軽くなっており、突き飛ばされた勢いで、周りの街並み家並みを飛び越えていく!

 

 

軽気功付与(じゅうりょくそうさ)。もうちょっと暴れやすいところでやるとしようか」

 

「こんな手妻で……!! 〝大嵐の〟 セバスティアンヌ! これがウラガン部族の秘武術だとでもいうのか!」

 

 巨鬼の戦士の嗜みとして、部族会議に席を持つ誉れある三十一部族に属する尊称持ちたちのことはもちろん、至尊の名(最上級尊称)を戴かぬ他の部族の尊称持ちたちまで、全てロランスの頭の中には入っている。

 部族会議に認められた尊称持ちとは、優れた戦士の保証に他ならぬ。

 優れた武人とその誉れある戦績を覚えることにおいて、巨鬼の記憶力は抜群の能力を発揮する。

 

 つまり、ガルガンテュワ部族のロランスは、ウラガン部族のセバスティアンヌという、至聖の尊称一歩手前の戦士のことは知っていた。

 魔物相手を好む歴戦の戦士。

 ロランスの倍は生きている─── 生き延びている戦士だ。

 あのローレンに言わせれば、如何物(イカモノ)食いの大年増、ということだが、ウラガン部族が練磨し続けている嵐のような回転を旨とする武術は、警戒すべきものに違いない。

 

「我が身はもうウラガン部族ではないぞ! 今は荒波の女巨人にあやかった 〝ラーン部族〟 は 〝津波の〟 セバスティアンヌだ!! そらっ」

 

「がっ、また……!?」

 

 同じく軽気功(重力操作)で空へと大きく跳ねて、そのまま追いかけてくるセバスティアンヌにまた弾き飛ばされ、ロランスはさらに遠方へと、マルスハイムの街の外郭へと吹き飛ばされて運ばれていく。

 

 

 

「うぉおおおおおおあああ!!」

 

 ばふっ、と吹き飛ばされた先で巨鬼ロランスの身体を受け止めたのは、都市外部に広がる流民たちの住処─── 天幕街の中の一つの天幕であった。

 

 ちょうど夕飯時。

 天幕の中にはそこを(ねぐら)にする流民がおり、そして炊事のために火が焚かれていた。

 

 その天幕を崩すように着地したロランス。

 運の良い事に、ロランスの巨体そのものの下敷きになった流民はいなかった。

 すぐに潰れた天幕の下から、這う這うの体で天幕の持主であった流民が這い出して、帝国語ではない別の言葉で悪態をつきながら逃げていく。

 

 周囲の天幕からもあっという間にヒトや魔種が飛び出して、逃げていく。

 庇護なき天幕街で生き延びるためには、危機に敏感でなければならない。

 持ち運ぶほどの財産すら持たぬ流民たちは、身軽に逃げることこそが、災難から身を護るすべであると良く知っていた。

 

「くっ、無茶苦茶するな……。いよいよ耄碌したか?」

 

「誰が老人だって?」

 

「それとも魔物の喰いすぎで頭が……?」

 

「失礼なやつだな」

 

 すぐに空から二対のハサミの巨蟹を下半身に持つ巨体がやってきた。

 

 巨蟹鬼、セバスティアンヌ。

 彼女が着地し、そしてその大蟹の下半身で少し動き回るたびに、周りの天幕が倒壊していく。

 

 津波のセバスティアンヌは、牙を見せて戦意を顕わにした。

 

「さあ、やろうじゃないか」

 

 ことここに至れば、逃げるのは無粋。

 それに、先日の金の髪のエーリヒとの手合わせ以来、どうにも闘争心が疼いていたところだ。

 

 だが一応確認せねばなるまい。

 

「この天幕街は、漂流者協定団(エグジル・レーテ)という氏族の縄張りだ。このまま派手にやれば、面倒なことになるぞ」

 

()()()()()。そして()()()()()()()()()()()()

 

「なるほど、そうか」

 

 そうか。

 そうか。

 全て承知の上か。

 

 ならばもう是非は問うまい。

 

「奇遇だな、此の身も、ここのボロ纏いどもは気に喰わなかったところだ」

 

「これは独り言だが。そちらに火の粉が行くほどここの奴らに余裕は残るまいよ。面倒はかけぬさ」

 

「だといいがなッ!!」

 

 腰から抜いた二刀を引っ提げたロランスが、下敷きにしていた天幕を足で器用に巻き上げてセバスティアンヌの方へと飛ばし、視界を塞ぐ。

 

「いいぞ! その調子だ!! ()()()やろうじゃあないか!!」

 

「調子に乗って余裕ぶりおって……!」

 

 そして空中に広がった天幕に隠れて視界を切った巨鬼の戦士ロランスが、横へとステップして思わぬ角度から攻撃しようとする。

 

 だがそれを巨蟹鬼セバスティアンヌは、大蟹のハサミを使って弾く。

 同時に、ロランスの身体が浮き、押し出される。

 

「また身体を軽くする術か!」

 

「うむ、戦場は広く使わねばな。ハハハハハ!」

 

 軽気功付与によって重力を無効化されたロランスが、地面とほぼ水平に吹き飛んでいく。

 もちろん、密集する天幕を引き倒しながら。

 

 悲鳴と怒号と、ものが壊れる喧騒が、天幕街に広がっていく。

 

 ──── そして、火の手。

 

 夕飯時で炊事をしていた者たちも多かった。

 竈で焚いていた火の上に天幕が落ち、あっという間に燃え広がっていく。

 

 炎が夕暮れの代わりに辺りを赤く染めていく。

 

 

斯様(かよう)仕儀(しぎ)、死人が出るぞ!!」

 

「心配することはない。けが人は出ても、死人は出ぬさ。()()()()()()()()()()()

 

「それも仙術とやらか!」

 

「さて、な」

 

 巨蟹鬼セバスティアンヌは、ちらりと己が背負う外套の大紋章を見遣った。

 鉄路上に立つ蠍が車輪の飾りが描かれた盾を支える紋章。隧道鉄路上 大蠍支持 転輪飾盾の紋章だ。

 

 そのような紋章を身に纏えるのは、ライン三重帝国においては貴族と貴族が認めた縁者だけ。

 まあ風紀のゆるい辺境マルスハイムにおいては歌舞いた商家や冒険者氏族が箔付けに貴族めいた紋章を掲げることもあるから一概には言えないが、このようなあからさまに金のかかった生地に刺繍、そして魔導と奇跡の気配を漂わせる外套を、そこらの商家や氏族が準備できるはずもない。

 

 機微を解するロランスは、いよいよ自分が、どこかの貴族が企図した大きな作戦に巻き込まれたのだと確信を持った。

 目の前の巨蟹鬼セバスティアンヌは、その走狗に過ぎないのだ。

 

 

 巨鬼同士がぶつかれば、当然のように天幕街など崩壊する。

 流民たちがそれを不満に思っても、巨鬼に対してではどうせ彼らは何もできはしない。

 そのような気概を持ったものは天幕街でくすぶっていたりはしないのだ。

 

 だからロランスを利用したのだろう。

 多少不自然でも、多くのものが納得できるような、適当な上っ面の理由作りのために。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と流民たちが諦められるような理由作りのためだけに。

 

 

「そらそらそらッ」

 

「本当に見境もないし、加減も知らぬときた……!」

 

「振り切ってしまえ、ロランスよ! 建物を壊すのは爽快だぞ!(はでにやろうじゃないか!)

 

 

 こうやってここの何もかもを失くして焼いて、そして更地にして。

 

 そのあとどうするかは知らないが。

 どうせ善人面して賠償だとか言って、漂流者協定団(エグジル・レーテ)の代わりに何もかもを差配でもするつもりなのだろう、セバスティアンヌが背負う紋章の持主のお貴族様とやらは。

 

 怪我人病人火傷の瀕死人を介抱して。

 炊き出しをして流民を手なずけて。

 天幕街をマトモにしようとでもしているのかもしれない。

 

 辺境伯の依頼か、あるいは逆にマルスハイムに食い込もうとする別勢力が橋頭堡でも築きたいのか。

 

 まあいい。

 ロランスは思考を打ち切った。

 

 考えても仕方ない。

 貴族関係は特にだ。

 あとで巻き込んだ落とし前はつけさせたいが、さて。

 

 いまはそれよりも、目の前の巨蟹鬼だ。

 

 

 

 倒れ掛けの天幕の支柱を蹴って、巨蟹鬼セバスティアンヌの背後から回転しながら斬りかかる。

 障害物だらけの戦場は、舞のように身軽な動きを生かすロランスに利を与えてくれる。

 それを流れるような円転の動きでいなし続けるセバスティアンヌもまた達人であった。

 

「いいぞ、その調子だ、ロランス! 楽しもうじゃないかッ!」

 

「ハッ! そうだな、全ては斬り合いのあとに考えれば良い!」

 

「ゴオオオオオッ!!」

 

「ハアアアアアッ!!」

 

 炎の中、巨大な二人の美しい鬼が、武の舞を踊る。

 

 

 

< 3.その後、頭目が戦っていることを聞きつけたロランス組の冒険者たちが天幕街に突撃してきたり(「姐さんついにカチコミっすか!!?」)、露払いと避難誘導のために天幕街に入り込んでいた巨蟹鬼幼生体と彼らが衝突したり、流民その他が戦闘や火に巻き込まれて致命傷を負う前にマックス何某が陰から個別付与した保護障壁や救急癒術で確保したり、再利用できそうな資材を緊急避難名目で燃える前に接収したりもしたが、最終的に天幕街はやはり焼け落ちた。

 マックス何某「作戦通り☆ミ あぁ次は再開発だ……」 ────了 >

 

 

 

 

§

 

 

 

 

4.土豪ヘイルトゥエン家の城館すぐ目と鼻の先にて

 

 

 

「久しいですな、ダグビャルトゥル殿」

 

「ロタール殿か。随分急な訪問だが、どうした」

 

「急な来訪の無礼にはお目こぼしをいただければ……。本日は、とても良いものをお見せしようと思いまして」

 

 

 そう言って、マックス何某の子実体クローンのひとつである密偵ロタールは、特徴的な横に長く伸びた口髭を触りつつ、不吉なにおいのする外套(マントゥ・カニバル)を翻して、下を指差した。

 つられて有力な土豪ヘイルトゥエン家の当主の弟、ダグビャルトゥル・ヨクルトゥソン・ヘイルトゥエンが下を見る。

 

 

「地面に何かあるのか?」

 

「いえ、()()()()()()()()()()?」

 

「は???」

 

 

 次の瞬間、彼ら二人の足元の地面が消えた。

 

 正確には。

 地面に偽装されていた魔導障壁が消え去った。

 

 代わりにそこにあったのは、非常に巨大な、底が見えないほどの穴だった。

 

 野太い悲鳴を上げて落ちゆくダグビャルトゥル氏へ、密偵ロタールが飛行術式で追随しながら話しかける。

 セーヌ出身の密偵にはとてもできないような、非常に見事な()()()()()で。

 

 

「ヘイルトゥエン家は親帝国派だと裏が取れましたので、帝国貴族へ転向されないかとお誘いに参りました」

 

「きさっ、貴様は、セーヌ王国の密偵ではなかったのか?!」

 

「はて、セーヌの方から参ったとは申しましたが……セーヌ出身だとは一言も申しておりませんよ?」

 

「詐欺師かッ!」

 

「ええまあそんなものです。本当は帝国の密偵なんですよ、私」

 

 

 それを聞いてダグビャルトゥル氏の顔色が落下のためのみならず蒼白になる。

 

 いまや土豪の連合の企みのほぼ全ては、この密偵ロタールが知るところであるし、それどころか物資や戦力の大半は、この密偵ロタールの紐付きときている。

 そうであれば万が一にも土豪の蜂起が成功するはずもない。

 始まる前から終わっている。この冷血にして周到なやり口は────!

 

「無血帝の手の者か!! こ、ここで俺を殺す気か?! だが俺を殺してもなにも────」

 

「あ、いえいえ違いますよ。これは落とし穴ではありませんからね。とりあえずそろそろ落下も止めますか。〈浮遊術式(レビテーション)〉、そして〈灯明術式(ライトアップ)〉」

 

 

 密偵ロタールが浮遊術式を付与し、ダグビャルトゥル氏を浮かせる。

 魔法の明かりが、下方を照らす。

 

 

「今日は、ほら、この通り、ご友人に朗報をお持ちしたのですよ」

 

「こ、これは……!」

 

 

 地下へと続く大穴の先に見えてきたのは、巨大な物資集積所であった。

 ダグビャルトゥル氏は知識不足で判別がつかなかったが、そこにあったのは鉄道基地だった。

 非常に巨大な掘削用の使い魔の一部が露出し、ゆっくりと蠕動しているのも良く見えた。

 

 

「ライン三重帝国は、帝国貴族として旗幟を鮮明にした者を守り、便宜を図ることを約束いたしましょう」

 

 静かな声色で密偵ロタールが語り聞かせる。

 

「地下を通って展開可能な大兵力。途切れぬ兵站。それが周囲の土豪からヘイルトゥエン家を守るでしょう。孤立する心配は無用ですとも」

 

 ─── さあ、返答やいかに。

 

 

< 4.直下の地下に基地形成済みとか脅し以外の何ものでもない ────了 >

 

*1
◆丸刈りの巨漢:よく効くお薬(頭皮限定若化薬)のお陰で禿頭ではなくなった。

*2
◆〝不羈なる〟:ガルガンテュワ部族においては、「剛毅なる」、「勇猛なる」、「不屈なる」、「不羈なる」、「果敢なる」の尊称が、戦績や実力を考慮して与えられる。当SSにおいては、巨鬼の尊称は、勲章と軍階級を合わせたようなものと解釈しており、それぞれ元帥級、将官級、佐官級、尉官級、准士官級として想定。ロランス女史は「不羈なる(尉官級)」の尊称(勲章)を持つ。なお、エーリヒに唾つけしたローレン女史は「勇猛なる(将官級)」の尊称が付く。あと、巨蟹鬼になる前のセバスティアンヌ女史(オリキャラ)はウラガン部族で「大嵐の(将官級)」と呼ばれており、変異後はラーン部族の「津波の(将官級)」の号を戴いている。とはいえ、尊称はあくまで目安に過ぎない。戦闘に絶対はないのだ。

*3
◆冒険者の位階:下から煤黒(インフラレッド)紅玉(レッド)琥珀(オレンジ)黄玉(イエロー)緑青(グリーン)青玉(ブルー)瑠璃(インディゴ)紫檀(ヴァイオレット)。紫檀よりさらに上の白妙(ウルトラヴァイオレット)があるかは不明。なお在野最上位は青玉。瑠璃以上はほぼ名誉称号の運用である。つまり、ロランス姐さんは青玉なので在野最上位である。倦んでてそれかよ……!(驚愕)




 
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