フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~ 作:舞 麻浦
◆前話
・ロランス組:天幕街炎上事件のダシにした関係だが、円満解決済み。
・ハイルブロン一家:縄張りへの不干渉と、旧天幕街に建設中の街区への進出許可を約束。
・バルドゥル氏族:あいさつついでに、魔導産業同業者組合へ勧誘。設備投資のお誘い。
・聖者一党:門前払いを喰らう。ですよねー。
・魔導院出張所:落日派の同僚としてフラウエンロープ教授と旧交を温める。
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※ 原作小説版だいたい8巻に突入ですの。
1. 挨拶回り Extra:マルスハイム冒険者同業者組合
そういえば冒険者同業者組合にも定期連絡もかねてご挨拶に行っておくべきか、と思ったので、実際にやって来た私ことマックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン
ちなみに今日はお付きの巨蟹鬼セバスティアンヌはお休みだ。ロランス組に巨蟹鬼幼生体の娘たちも引き連れて稽古つけに行ってるので。なので身軽に私一人だけ。
いやね、冒険者ギルドとはだいたい常にやりとりしてるから、挨拶回りも何もって感じだし。
地下鉄道用の隧道工事現場の見回りから、地上の荷捌き場の造営の雑用まで、便利に人を派遣してもらってるわけだしね。
………いつの間にかエーリヒくんがその派遣冒険者の中にいて、現地事務所判断で事務屋として囲い込まれそうになってたのは笑ったが。それはそうよ、このご時世で事務万能って結構な高級技能やぞ。
ウビオルム伯アグリッピナ氏からエーリヒ君がもらっているだろう恩賜指輪なり紹介状なりを見せれば、家宰としてきっとどこでも引く手あまただ。
新伯爵家の立ち上げをほぼ一人で切り盛りしていたとかいうスーパー人材だからねえ、エーリヒ君。………やっぱアイツどっかおかしいよ(複数分身して何重もの
なお、今私は冒険者ギルドの受付のおばさま方に愛想を振りまきつつ上に案内されるところなんだが、そこで馴染みの顔を見つけた。
そう、件のエーリヒ君だ。
ケーニヒスシュトゥールのエーリヒ。幼馴染の
最近では、〝金の髪〟 なんて二つ名で呼ばれ始めたらしい。まんまじゃん。
向こうも私に気づいているだろうに、努めて無視しているらしい。悲しいなあ、帝都では同じアグリッピナ氏の下で働いた同僚だったじゃあないか………。
一瞬目が合って口元がひきつったのを見逃してないぞ、こっちは。絡みに行ってやろうか? おん?
あ、でも靴にはちゃんと、私の戸籍上の妹である
「さ、こちらへ、ハシシ=ミュンヒハウゼン卿。組合長がお待ちです。……どうかなさいました?」
いのちびろいしたな、エーリヒ君。
マクシーネ組合長との約束があるから、今日のところは勘弁してやろう。
「ああ、いえ。ちょっと見知った顔がありましたので」
「あら、そうなのですか?」
ご案内のおばさま(※ お姉さま)が、興味津々な眼の光を隠そうともしない。
まあ、私も何度もここに足を運んでいるし、フレンドリーさを前面に押し出しているしで、職員の皆さまとも仲良くしていただいている。
そもそも結構大量に依頼を発注する上得意のトップだし、天幕街を一掃してそこの住人だった者たちを傍から見れば何の得にもならないだろうに結構なコストかけてまっとうに更生させて街の治安の向上にも貢献している慈善家に見られてるからね。まあ印象は悪くないのさ。
「ちなみにそれがどなたか聞いても?」
「構いませんよ。………ほら、あの、長い金髪の
「ああ! エーリヒ君とマルギットちゃん! 流石、いい子たちに目をつけてらっしゃる。昇格も早いんですよ、あの子たち」
そんな私の覚えがいい冒険者が居るというなら、冒険者ギルドの職員として気になるのも当然。
エーリヒ君は帝都のころのことを大ぴらに吹聴していないみたいだから、その意を酌んで私もそんな話はしないが、だけどなんというか、エーリヒ君はそういう星のもとに生まれてるのか*1、普通にマルスハイムで仕事してる中でも関りができちゃってるんだよなあ。
「腕がいいですよね、彼ら。でも彼らには少し迷惑をかけてしまいましてね。ほら、あっちの新しい方の天幕街の関係で」
「そういえば、少し前に何かあったらしいとは」
階段を上りながらご案内のおばさまと雑談。
常駐魔導の探査術式が階下の様子を伝えてくるが、どうやら本日、エーリヒ君たちに昇格が伝えられたらしい。
最下級の
あ、そのあと、なんか威勢のいい若いのに絡まれてる! せ、青春~~、いーなー、いかにもTRPGの導入でPCが集まるパートっぽい!!*2
「ええ、エーリヒ君たちを巻き込んでしまいましてね。ほら、
「揉めて……ええ、まあ、はい。そうですね」
揉めてるどころじゃないだろうって? そうだね。拠点焼き払って構成員をほぼ丸ごと引き抜いてるからね。
「だから
ちょっかい(※ 誘拐・略取)。
「特に彼、エーリヒ君は、事務屋として割とうちの中枢に近いところにまで近づいていたので。もちろん重要書類は触らせてないんですが、そんなの
エーリヒ君、身内に手を出されるの絶対許さないタイプだからさあ……。
「そしたらなんだかんだで
いや一番悪いのは無い知恵絞った挙句に明後日の行動をかましまくって戦線を拡大させ続けた
まともに物を考えられる連中は軒並み
おかげで密偵ロタールのルートから、彼ら
戦力として
まあ、ちょうど魔導院の別プロジェクトのプロトタイプで西方辺境に縁のあるのが居たから、それを引っ張ってきたんだが。*3
「なるほど、そんなことが……」
「はい、そんなことがあったんですよ」
その辺の顛末は、マクシーネ組合長にも共有済みだからご存じだけどね。
ほら、今回は襲われたのがマルギットちゃんっていう、かなり
依頼して派遣してもらった子が襲われるってのも、まあよろしくないからね。依頼主としても再発防止とか、最低限自衛できることを条件に盛り込んだりとかしてグレード上げてもらったりとか、その辺の調整も要るし。
とかとかだらだらと諸々話しているうちに、さすがに組合長室についたので、入室することにする。
まあまあまあ、マクシーネ女史、そんな身構えずに。
ほら、今日は世間話がてら情報交換しに来ただけですから。ね?
< 1.マクシーネ・ミア・レーマン組合長「うそだぞぜったいまたやっかいごとだぞ」 ──── 了 >
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