フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~ 作:舞 麻浦
◆前話
・初期試作型複製魔眼搭載兵
1.悪逆の騎士、ヨーナス・バルトリンデン
辺境の治安を乱す悪党といえば? で最初に名が挙がるのは、悪逆の騎士の異名をとるヨーナス・バルトリンデンだろう。
悪逆騎士の罪状はずばり、
ヨーナスは、かつて彼を騎士に任じた恩ある男爵その人と、その一族郎党を、一夜で皆殺しにしたのだ。
しかもその原因が、任せられた荘の苛政を咎められての逆ギレだというからたまらない。
理非にもとる悪徳による弑逆、ゆえに悪逆の騎士と人は呼ぶ。
その後、タガの外れた悪逆の騎士と彼が率いる徒党は、彼の首に懸けられた賞金につられた冒険者や傭兵はおろか、辺境伯の正規の討伐軍すら弾き返した。
二度の討伐失敗は許されぬ…と辺境伯は万全を期すために腰が重くなり、それに付け込んで悪逆騎士ヨーナス・バルトリンデンはますます跳梁跋扈することとなる。
そうしてかの悪逆騎士たちが西方辺境エンデエルデの頭痛の種となって久しい。
さて、ヨーナスに弑逆された男爵家── ヨッツハイム家は、マルス=バーテン辺境伯がこの地に転封される際に付き従った家であり、荒れた辺境を鎮撫するために、その武威を見込まれての配置であった。
それがゆえに、現地で武勇高き者との触れ込みのヨーナスを配下に加えたのだが、まさかそいつが倫理が揮発した極まった無頼漢だとまでは見抜けなかった。そんな奴を登用してしまったのは、武断のお家柄というのが悪い方面で発揮されてしまったからだろうか。
今になって思えば、ヨッツハイム男爵家はまず、無頼の輩であった時分のヨーナスをこそ、取り立てるのではなく、殺しておくべきであった。………かつてのその時であっても実際に殺すことができていたかどうかは別として。
さて、その悪逆騎士ヨーナス・バルトリンデンであるが、マルス=バーデン辺境伯の郎党・係累からは蛇蝎のごとく嫌われる一方で、旧来の土豪勢力とはそこまで悪い関係ではない。
まあ、どちらもマルス=バーデン伯とは明示的か水面下かの違いはあるが、敵対しているということもある。
とはいえ、ヨーナス・バルトリンデンは、誰ぞかに頭を垂れられるような気質はもっていない。
土豪勢力は、辺境伯側に損害を与える限りにおいてはヨーナスとその徒党を放置し、あまつさえ陰ながら支援さえするが。
それは決して、ヨーナスを自らの勢力に組み込めているからではないのだ。
「まあ謂わば 〝放し飼い〟 というわけだな」
「はあ、そうなんですか、
庭をうろつく野犬。
たまに骨でも投げてやれば、こちらに嚙みつくことはない。
それが土豪勢力から、悪逆騎士ヨーナス・バルトリンデンへの認識であった。
私としても、ヨーナスらは西方辺境の盤面における不確定要素の一つだから何とかコントロールしたいところなんだよね。
「野犬というよりは、暴れ熊の方が適当かもしれんが。単体武力的には」
「何とも物騒なことですね」
「これぞ辺境という感じがするよねえ。中央ではありえないよ」
などと呟くのは私こと、マックス・ロタール・フォン・ハシシ=ミュンヒハウゼン
お供に連れているのは、銀髪に眼帯の美女。マルスハイムで
「そんな男を勧誘に行くのですか。成功するとは思えませんが」
「まあ口での勧誘はダメで元々だが、君を連れてきてるし、魅了でなんとかできると思ってるよ」
「……どうでしょうか。もともと我が強い相手には通りづらいですし……それよりはボスの魔眼の方が上等ですし、私が居る必要もないのでは」
「表向きには
「それは首尾よく引き入れてからでもよかったでしょう?」
「そうかもね。でもこれは君の性能試験の一環でもあるから。頑張ってね」
「う。はい……」
ちなみにいま私は、辺境工作の任を命ぜられている密偵ロタールとしての姿の
ちなみに×2、この外套は辺境に潜り込んでいた外国のスパイ連中を文字通りに 〝喰わせて〟 その
作成者はもちろん私。だって外国にスパイとして潜り込んでくる奴は優秀だから、単に殺すだけじゃもったいないからね。それに、ただ殺すだけじゃ飽き足らないので彼ら彼女らの魂にはさらに地獄を見せねば……!(帝国官吏としての顕著な忠誠心の発露)
なお、対外的には密偵ロタールの姿で用いる魔法と奇跡は、このマントゥ・カニバルの機能によるものだと言っている。魔導副伯マックス何某と結び付けさせないためのカモフラージュ用でもあるね。魔導と奇跡の両刀使いって、そんなに居ないものだから。
で、まあ。
「ここがあの男のハウスだ」
「なんですその妙な言い回しは」
そんな死者の恨みつらみを吸った外套を纏って、銀髪眼帯美女を連れて、やってきました、はい、悪逆騎士ヨーナス・バルトリンデンの居館です。
お尋ね者なのにこんな立派な館を占拠できているのは……まぁ、暴力ぅ、ですかねぇ?
目立つところにひるがえる盾支持亜竜の血濡れた旗。これこそがヨッツハイム男爵家を弑逆して奪った紋章旗であり、いまはヨーナスの象徴に堕してしまっているものだ。
それはそれとして、さあ、行きましょうか。
「失礼しますねぇー」
「ロタール殿、ようこそ。……そちらの女性は初めて見ますね」
「連れだよ。まあ、ちょっと紹介しときたくてね。話は通ってる?」
「ええ、お連れの方がいらっしゃるとは伺っております。そのような美人だとは思いませんでしたが。さあどうぞ中へお通りください」
常日頃から土豪勢力からの支援物資を運び込んでやっているから、門番ともすでに顔パスだ。
今日は普通にアポイントも入れているしね。
ささっと奥に通されるが、いつ来てもヨーナスの詰める場所はヤな空気だ。
妙に張り詰めた空気は、ヨーナスが恐怖によって自らの徒党を支配しているためだろう。パワハラ反対。
「よく来たな、ロタール」
部屋に通された私を迎えたのは、凶相の巨漢。
傲岸不遜さと、悪性と、そして暴力が形をとり、なおも滲みだしているようなこの男こそが、悪逆の騎士ヨーナス・バルトリンデンだ。
部屋には彼の黒塗りの
もちろん、ことあらば鎧を着こむのを手伝うための小姓も、この悪党の頭領のそばに控えている。一方で私の方も、存在感は薄いが、従者の
あとはまあ、このヨーナスの部屋には大きな熊の皮の敷物が置かれているのだが……これは実に悪趣味なことに、かつて返り討ちにした
なかなかいい趣味をしている。私も
「それで何の用だ?」
「物資の納入……だけではありませんよ、今回は。勧誘です。マルスハイムで少し面白いことをやるのですが、協力してくれませんか?」
「はッ」
物理的に分厚いその悪漢は、私の言葉を鼻で笑った。
「俺に、お前の、下に付けって言ってんのか? ああ? 俺が、お前の、下にィ?」
「そうおかしなことでもないでしょう」
──── だって私の方が強いんですから。
私が言外にその思考を滲ませると、途端に空気が張り詰めた。
「密偵風情が」 吐き捨てるヨーナスは、大槌を握ろうかと手を彷徨わせる。
「〝
〈
大槌に纏わりついた、かつてのヨーナスの主家の呪詛を強化し、具現化する。
それは見た目にも毒々しい呪詛毒そのものな赤い棘となり、ヨーナスが柄を掴むのを拒んだ。
「チッ」
まあ、ヨーナスが本気になれば、そのような棘も呪詛毒も無視して大槌「祖霊熔かし」を掴むことくらいは可能だろうし、なんなら筋力が絡む判定で威力を発揮する〈剛細一致〉の特性により、物理で調伏することもできるだろう。
でもとても痛いのは目に見えてるので、ここで無理することもないと考えたようだ。ふふふ、かちこいねえ。
嘲ったのが伝わったのか、ヨーナスは大槌の周りに具現化した呪詛毒の棘を一つ摘まんで折ると、それを私の方へと指弾の要領で飛ばしてきた。
顔へ向かって飛んできたそれを、私は 〝
「勧誘が不調に終わったのは残念だ。それで、ヨーナス。気は済んだかな?」 礫を投げられてまで丁寧にしゃべる必要はないと、私は口調を崩す。
「済むわけがねえ。だからさっさと要件を終えろ。そんでさっさと帰れ、ロタール」
「はいはい。いつもの土豪連中からの支援はいつものように倉庫番に渡しておくよ」
「そうかい。じゃあもう帰れお前。さっきの勧誘だかなんだかは聞かなかったことにしといてやる」
「いやまだ用はある。後ろの女性を紹介しておきたくてね」
「あん? 女は間に合ってるぞ」
密偵から斡旋された女を自分の懐に抱き込む馬鹿は居ない、とヨーナスは片眉を上げる。
そんな様子を全く意に介さず、私はエルスティア嬢を紹介することにした。
「そう言うな、ヨーナス。これから一緒に仕事をしてもらうこともあるかもしれないのだから」
「だから俺はお前の下には………」
「さ、こちらが私の部下でもあるエルスティア嬢だ」
「話聞けよテメエ」
そしてエルスティア嬢を前に出す。
当然、このやり取りの間にエルスティア嬢は、魔眼を隠していた眼帯を取って、既に準備を整えていた。
臨戦態勢だ。
じゃあ、一発かましといて。
「〝聞け、そして見よ! 我が名はエルスティア! かの灰眼王、ユストゥス・デ・ア・ダインの末裔である! この魔眼にひれ伏すがいい! 今なら我に従う栄誉をさずけようぞ!〟」
魅了の魔眼を輝かせ、吹きすさぶ魔力で空間を塗りつぶしながら、エルスティア嬢が宣言した。
部屋に満ちる魔力が重圧となり、そして彼女の言霊と魅了の視線の魔術を増幅させる触媒として部屋中の人間に作用する。
「「「 あぁ、エルスティア様…… 」」」
この部屋にいたヨーナスの徒党、英傑でもない従者連中はイチコロ。
尊い貴人を前にして思わずして感極まったかのように、目から涙をあふれさせながら跪いた。
敬
「ぐっ!? 灰眼王の……?!」
だがやはり脳筋でキレやすくてどうしようもない悪逆の騎士、ヨーナス・バルトリンデンは、そこらのチンピラとは格が違った。
一瞬だけぐらりと頭が揺れたものの、すぐに気を取り直すと、信じられないとでも言いたげな表情でまじまじとエルスティア嬢の顔を見つめた。
だが、それは悪手。
見つめ、視線が絡み合うほどに、エルスティア嬢の魅了の魔眼は深く刺さる。
「お……ぁ………」
「さて、どうかな。効いたかな」 うつろな感じに動きを止めたヨーナスを油断なく観察する。
「ボス、最大出力でもまだレジストされてるんですけどぉ!?」 魔眼を輝かせるエルスティア嬢は、ちょっとへっぴり腰だ。しかたないね。
「がんばれがんばれ、限界を超えろ。それでも魔導院謹製の実験体か」
「無責任な!? この鬼っ、あくま! 鬼畜密偵上司ィ!」
「あ、気をそらすと……ほら」
あーあ。
ヨーナスがレジストして、惚けた状態から復帰しちゃったじゃんね。
たぶん無理やり全身の筋肉を強張らせて血流加速するとかそんな感じで、無理やり抵抗判定に筋力判定を嚙ませて〈剛細一致〉の特性でゴリ押ししたな?
「う、美しい、瞳、だな。さすがは、デ・ア・ダインの血脈。ふは、は。気が変わった。欲しくなったぞ、エルスティア」
「ふーむ。完全に抵抗できているわけではなさそうだ。魅了は作用してる」
でも
「ボ、ボス。これ、魅了というか、それを通り過ぎて、執着………」
ギラギラとした目でエルスティアを見つめるヨーナス。
そこに宿っているのは、獣欲と執着心と、そして、野心。
魅了判定は
「……年寄りどもが灰眼王にいまだに忠誠を立てる理由が、理解できたぜ。確かにコレは、抗いがたい」
「へえ? 何だかおもしろそうな話だ」
じりじりと構えをとったままヨーナスが大槌【祖霊溶かし】へと近づくのを、私は許す。
………辺境に帝国の統治が浸透しない理由って、ひょっとしてそういうことなのかな?
「魔眼だ。年寄りども、いまだに灰眼王に〝支配〟されてやがるのさ。ユストゥス・デ・ア・ダインの〝支配〟は、今もまだ、生きている」
「確かにユストゥス・デ・ア・ダインの首級は、いまだに魔導院の書庫にて腐りもせずきれいに保管されているが」
「どおりで。……年寄り連中は、よく言ってる。かの王は、あの方の灰の眼は、まだ生きている、とな」
あー。なるほど。かつて受けた支配の術式がまだ途切れていないのが、眷属には本能で分かるのか。
そりゃまあ、そんな状態じゃあ、このへんの奴らは帝国の統治には靡かんわな。
ユストゥス・デ・ア・ダインの首は、その強力すぎる魔眼の作用で、いまだに生前の状態を保っているんだからね。それだから支配も魔導も生きている、と。
さすがに命令の更新はされてないだろうけど、逆に言えば、『帝国に抗え』というのが土豪たちの王だったユストゥス・デ・ア・ダインの最後の意思だったとすれば、それがずっと命令として魂に焼き付いているわけだろうし。
「反帝国の意思に地域ごとに濃淡が激しいのも納得だ。その差はつまり、直接ユストゥス・デ・ア・ダインの〝眼〟を見たやつらかどうか、というわけか」
場合によっては支配の魔眼の術式の残滓が子々孫々に感染しててもおかしくはないというか、村内の教育という意味では術式残滓抜きにしてもある意味遺伝してるんだよな。それに加えて本当に術式の残滓が感染して遺伝してたとすれば……。
うわっ、めんど~~~~~!!
「だが、そこの女、エルスティアが居れば、話は変わる………」
「はぇ?」 ギラギラした目で見つめられて及び腰のエルスティア嬢が珍妙な声を上げた。
「ダインの
なーるほど。どおりで野心まみれの眼をしているわけだ。
「ぐっ。負け犬のクソ男爵の怨霊ごときが、邪魔すんじゃねえ」
むんずとヨーナスが、いまだに呪詛毒の棘に覆われたままの大槌【祖霊溶かし】の柄を握る。
筋力によって、呪詛への抵抗も、棘という障害も、すべてを凌駕し、ヨーナスは得物を手にした。
握った腕に呪詛が浸透するが、それすらも、高揚した今のヨーナスにとっては、心地よい。
「エルスティア、俺と来い。ともに覇道を
「へあぁっ?!」
ヨーナスからの熱烈なプロポーズを受けて、エルスティア嬢が素っ頓狂な声を上げた。
……魅了の魔眼を持ってる割にというか、持ってるが故にというか、魔眼に操作されてない自由意思での告白に対しては初心なとこあるよね、君。
まあ、ヨーナスの場合は、根底に刻まれた魅了の影響込みだし、おおむねは打算と野心と獣欲だが。
「ふむ、ヨーナス。それは君が私の部下としてエルスティア嬢と一緒に来てくれるということかい?」
「んなわけあるかボケクソカスの密偵野郎がよ俺が王になるつってんだろ手前は死ね」
「部下の引き抜きは困るのだがね」
そんなやりとりが開戦の合図となった。
びゅうと空気を裂いて迫る大槌を、硬化させた
そのまますごい勢いで屋敷の壁を貫いて外へ。
「馬鹿力め。………? 追ってこないな」
ヨーナスが追ってくるかと思ったがそんなことはなかったので、普通に歩いて壁に空いた穴から戻る。
戻った先では────。
「何してるんだい、エルスティア嬢」
「ボ、ボス~~! 助けてくりゃはい!!」
気絶したヨーナスと大槌【祖霊溶かし】に押しつぶされて動けなくなっているエルスティア嬢がいた。
大方、私を排除したヨーナスが、短絡的にそのままエルスティア嬢を手籠めにせんと襲い掛かったのだろうが。
実は普通にヨーナスよりもエルスティア嬢の方が筋力値は高いのだよな。
彼女の魔眼を通じてあふれる魔力が常時、身体強化してるから。
で、返り討ちにして気絶させたのはいいが、勢いで押し倒されるのは防げなかったというところだろう。
「パニックになってないで、そのくらい自分で跳ねのけられるパワーはあるだろう」
「絶妙に力入れられない感じに潰されてるんですぅ~~」
「はあ、仕方ない」
簡単に 〈見えざる手〉 の魔導を使って、上に乗っかってる気絶した巨漢と大槌【祖霊溶かし】をどけてやる。
「ありがとうございます、ボス……」
「少し体術の練習もしてもらった方が良いかもなあ、きみ。せっかくの高い身体能力が宝の持ち腐れだ」
「はい……頑張ります……。でもそれなら事務仕事減らしてくれませんか、ボス?」
「さて、それでどうしたものかな。こいつ」
「ボス? ボス? 聞いてますか、ボス?」
私は何か言っているエルスティア嬢を無視して、気絶するヨーナスを見遣る。
この館の使用人たちは、少なくともこの部屋にいる奴らは全員、エルスティア嬢の魅了の魔眼の影響下だからどうにでもできるとして。
問題は
「適度に辺境を荒らしてもらうためには、まだ殺すわけにもいかんし。それに私が殺すと、土豪連中への説明が面倒だ」
「………はあ。でも放っておくと、普通に私目当てにマルスハイムに攻め込みそうですよね」
「それな。………ふむ、そうだな、とりあえずもうちょい呪われてもらうか」
さすがは悪逆の騎士。
恨みの念には事欠かない。
大槌【祖霊溶かし】に、血濡れの盾支持亜竜の紋章旗。
この館にもいろいろわんさと、血を吸って恨みを溜めた器物が山盛りだ。
例えばこの部屋の敷物にされちまっている、熊体人の毛皮とかね。
これらの怨念をそのままにしておくのは、いかにも
そしてついでにそれらの怨念を憑かせた装備を通じて、ヨーナスに首輪をかけられれば……。
「呪詛系の器物を統合して、ある程度意思に介入できるようにして、ついでに相乗効果を発揮させてやりたいとこだな」
いわゆる同系装備コンプリートボーナス的なやつだ。
本人を身体的にも精神的にも苛むが、その分、身体強化とかにボーナスを発揮するような感じの呪いの装備としての完成度を上げてやれば……。
「………あの、ボス。館中から人が集まってきてます………」
「エルスティア嬢の魅了の魔眼で足止めしといて~。できるだけ早く済ませちゃうから」
「は、はい!」
あんまり長居もできないか。
さてそれじゃあ。
呪詛への介入用に、この私の〝
見た目は誤魔化したいから、敷物になってる熊体人の毛皮を取り込ませて熊皮の外套に仕立てて……。
それをヨーナス愛用の黒塗りの
そして、大鎚【
紋章旗にこびりついた念を筆頭に、館に漂う呪詛の気配を集めて、これにぶち込んでやって………。
仕上げにちょちょいと魔法を使って………。
〈
はい、熊皮外套付き総身鎧&呪詛大鎚のセット装備の出来上がり~~。
精神侵蝕効果と常時疼痛効果を代償に、理外の筋力強化をもたらすセット効果が発揮されます~。
自動着用機能を発動。毛皮マントつきの鎧がひとりでに蠢いて、気絶したヨーナスを覆う。もちろん呪いの装備だからもう外すことはできないぞ。
あと、着用者が暴走したとき用に、そのときは私からの魔導指令で着用者を食い尽くして吸収する機能も付けてます。
いざというときはこれで殺せるわけだから、帝国の密偵としても安心だね。
「これでよし。勧誘は上手くいかなかったが、首輪はつけられたし、西方辺境の盤面の不確定要素がなくなって結果オーライかな。じゃあ帰ろうか」
「ようやくですか……」
「あ、エルスティア嬢、君は帰ったら反省会と訓練追加ね。熾火計画としては、ヨーナスくらい魅了して骨抜きにしてくれないと困るんだから」
「そんなぁ……」
訓練強度増加を言い渡されてしょんぼりと肩を落とすエルスティア嬢は哀れっぽいが、手加減はしないつもりだ。
エルスティア嬢に魅了されてぼーっと立ち尽くす、ヨーナスの徒党の人間を放置し、私たちは館を後にした。
< 1.悪逆の騎士は、呪われてしまった! ──── 了 >
8巻ミドル戦闘のボスのヨーナスと、10巻クライマックス戦闘のボスの錫銀の乙女シリーズ……の型落ち1番機では、やはり格が違った。というわけで、ヨーナスの方にはテコ入れです。
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★オーバーラップ文庫「TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す 11 上 ~ヘンダーソン氏の福音を~」のネタバレ感想(途中まで。続き部分はそのうち)を活動報告に上げました。リンクはこちら。今回も面白かったぜ! 次がまちどおしい!
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※お待たせしました! 前回から……四か月ぶり? うわぁ、お待たせしました……。