フミダイ・リサイクル ~ヘンダーソン氏の福音を 二次創作~ 作:舞 麻浦
原作書籍版5巻(特装版)の予約始まりましたね!
今回の話は全国各地で大雪が降ったから生えてきました。
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◆前話
マルティン先生と秘密の個別面談!(七日七晩休憩無し)
※マックス君がマルティン公と共有した情報は多岐に渡りますが、その全てを書き記すにはこの余白は狭すぎる(=何を共有したかは適宜設定が生えます)。
とりあえず、『超性能の新品種は一代品種なので国外流出は心配しなくていいこと』は共有されており、マルティン公は『……当面は国内だけの流通にするとして……。ただ将来輸出したときに、輸出先の国の神群の豊穣神系列が固定化してきかねんものなあ、どうするか……(でもそれより彼の話からいろいろ刺激受けたし、面倒な政治方面はいっそ家督ごと娘にでも譲って研究に専念したいなあ)』とか考えています。国内で同じく神殿による品種固定化問題が起きる可能性もありますが、そこは聖堂勢力との調整次第でしょうか。逆に『ライン三重帝国で信仰される神群の豊穣神による儀式を介せば次世代も品種を維持する』とかできれば、その儀式のための喜捨が実質的なライセンス料に当たるでしょうし、落日派の商会はその儀式に必要な品物を高利率で独占的に聖堂に卸すとかすれば利益も確保できそうです。
新年明けて、冬の帝都ベアーリン。
私がエーリヒ君とともに討伐した
帝都住民諸君は『この寒い冬にパレードとか正気かよ』とか思ってるかもしれないが、安心めされい!
天気は晴れにするし、気温も温かくするぞ!
主にこの私、マックス・フォン・ミュンヒハウゼンがな!
つまり 天候操作の魔術 を使うのだ。
私の馬鹿魔力に目を付けた帝国政府の典礼部局からの要請もあり、そういうことになった。
“ヨルムンガンドの単独討伐(公式書類上はエーリヒ君の関与は本人の意向で伏せている)が出来るなら、そのくらい出来るでしょ?” だって……!? で、できらぁっ!!
なお、これが上手くいけば今後の各種典礼の天候調整に引っ張り出されることが確定している模様。
……順調に研究以外のタスクが積み上がっている気がするな?
そのうち定式化して他人に投げないと過労死しそうだし、研究に割く時間がなくなる気がする……。
気軽に頼まれないように、料金設定を上げようかな。
まあ、都市級の天候操作の魔術自体が非常に難しいから、報酬を高額にしても許されるだろう。
天候操作魔術は、天候現象そのものがカオス理論の産物であることに加えて、その現象規模に応じて消費魔力も膨大であることから、戦略級の魔術に分類されている。
エーリヒ君との模擬戦で局所的な
まあ一般的な魔導師が広範囲の気象に大きな影響を及ぼさせようとすれば、複数人がかりで儀式を組んで魔術行使しなければならないのだが、私なら神に目を付けられるのを厭わなければ一人でも使えるのだから、魔導師数人分の報酬をふんだくるくらいで丁度いいだろう。
……なお、魔導儀式を行ったとしても、それで天候操作がうまくいくとは限らない。
何故なら空模様は風雲神の領分だからだ。
神々は魔導を嫌うが、特に己の領分に踏み込まれるのを殊更に嫌う。
大地にまつわる神々が
……それを思うと、今後、
それは魔導が世界法則への不正アクセスであるためというのが一番大きい理由だし、魔導の跳梁跋扈を放置していれば神への畏敬は魔導にとってかわられてしまい、人々の信仰心に支えられているという神々の生態上、やがては滅びの道に繋がってしまうからでもあるだろう。
それを踏まえて考えると、天候操作の魔導というのは、もろに風雲神の領分とバッティングする。つまり、かの神からの当たりが非常に強いのだ。
“魔導に頼るな、
わかります、でも勿体ぶってってわけじゃないですが、風雲神様、そう簡単に天候操作の奇跡とか授けないじゃないですかー。
え? 天はヒトの言いなりになるものではない? それはそう。分かります。
だけどまあ我らヒトにはヒトの事情があるわけで、それを押し通すべく技術は、そして魔導は進化していくのです!(だから魔導師は神々から嫌われる)
とはいえ、真正面から風雲神さまの神威とぶつかるなんてしんどすぎるので、波風立たない方法をとりたい所存。
そういった場合に、うまく行かせる道は…………実は、ある。
まず前提は風雲神の神殿と連携をとること。
風雲神さまの顔を立てて、かの神の神威の偉大さを称えるように奇跡と魔導を組み合わせることは必須となる。
必然的に、魔導は補助に回らざるを得ない。
だがそれでいい。
寧ろ神々の機嫌を損ねない範囲にとどめるためには、矢面に立つべきではない。
というわけで、じゃあどうするかというと、エーリヒ君が得意とする、小規模な魔導を連ねて物理法則を援用しつつ大きな結果を招く方式を真似させてもらうのが一番だろう。
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バタフライエフェクトとは、非常に小さな初期条件の観測誤差が、最終的に全体に大きな影響を与えることを指す。長期間の予測になればなるほど、その差は大きくなっていく。
完璧な初期観測が不可能な以上は、完璧な長期予測は不可能ということだ。
西暦世界では『ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきがテキサスで竜巻を引き起こす』などと言われるやつだ。
だが数か月の長期間の予想が難しくても、期間を絞れば、天候のシミュレーションはそこそこの精度で可能になるはず。
私が試みたのは、同時多発的に遠隔地の気流を少しずつピンポイントで操作し、それを以て帝都周辺の気象を改変しようという試みだ。
ピタゴラスイッチ的なイメージで大体あってる気がする。
この術式については、運命系の研究に明るいノヴァ教授の全面的な監修を得ている。
一応は魔法チートの術式によるシミュレーションを先に行い、それをベースに気流を動かす地点や規模や方角を割り出してみたが、それとは別系で答え合わせをしないと不安だったからね。
失敗して変に大荒れになったら、それこそ困る。神々に気取られない範囲での気象操作というのは繊細なのだ。
それでまあ、前夜からコツコツ準備して、いよいよパレード本番がやってきて、仕上げだ。
「ミュンヒハウゼン卿、準備は宜しいか?」
「もちろんです、お任せください」
典礼部門のお役人さんが確認を取ってくるのに対して、私は自信満々に頷いた。
空は微妙に曇り模様。だが、これでいい。
晴れだと放射冷却がきついから、夜の内は曇りの方が良かったのだ。それに曇りから晴れた方が変化が分かりやすいしね。
「では手配どおり、貴兄の号砲を以て、パレードの開始といたします。……期待しておりますよ」
「はい。仕上げをとくと御覧じろ、です」
ライゼニッツ卿に用意してもらった騎士風の晴れ着を翻し、私は杖を掲げる。
そして口から唱えるのは、風雲神を讃える聖句だ。
ライン三重帝国の神官は、一通りは他の神の聖句も唱えられるという。どこに巡行しても、どの信徒に対しても、冠婚葬祭を執り行うことが出来るようにということだ。
ならば、と、私もそれに
何せ私は
正体がバレないように溶け込むためには、本物以上に本物らしく振舞う必要があるのだからして。
今のところ私に神罰が下ってない以上は、神々は私に気付いていないか、取るに足らぬと目溢ししてくれているか、あるいは
今回の凱旋パレードに向けては、代理人を介してだが風雲神の聖堂にも教えを請うて万が一にも神々の逆鱗に触れないようにと気を配った。
この演出をするに当たっても許可を得て監修をしてもらって、及第点を頂いている。
いよいよ私は朗々と風雲神へ捧げる祝詞を唱えあげ、上空へ向けて花火を放つ。
もちろん風雲神の聖印の模様を模すようにした花火を、だ。
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PON! PON! と空に風雲神の聖印を象った光が広がると、その花火によって発生した気流がドミノ倒しの最初の一枚となって、周囲の風を大きく動かし始めた。
ぎりぎりで均衡状態を保っていた気象のバランスが崩れ、急激に雲が動き、陽光が差し始める。
「おお……!」 「空が」 「急に晴れて……!」 「風雲神様の加護ぞあれ!」
大規模な魔導を使ったわけではない。
ただ普通に花火を上げたのと同じだけの規模の現実改変だ。
あとの流れは、既に整えられていたものが動き出しただけ。
それも前日までのささやかな気流操作の積み重ねであり、準備の方にだって大規模な魔導は用いていない。
ほぼあるがままの流れに任せたものだ。
それゆえに神々はこれをお目こぼしせざるを得ないし、咎めもしない。
最小限の魔法で以って、天候を大きく変えるという職人技じみた試みは、果たしてうまくいった。
それに風雲神の領分を多少侵したとしても、だ。
これだけの配慮をしていれば、神罰も下るまい。
風雲神に捧げる祝詞を唱え、空にその聖印を描き、帝都の民に “風雲神の加護で雲が晴れたかのように” 印象付ける。
ここまで来れば、あとはこの流れに乗った方が、神々としても権威を高めるのに繋がるでしょうよ。
現にほら、風雲神の聖堂の僧らが追加で請願した奇跡が通り、さらに雲を散らすのを加速させている。
それに張り合ったのか、陽導神の聖堂の僧ら── おそらくは絢爛派か?── も奇跡を請願し、陽光を強め気温を上げようとしているようだ。
じゃあ私もそれに乗らせてもらおう! 追加プランだ!
概ねの雲が晴れた時点で、さらに主な神々の聖印を模した光の軌跡を宙に描く。
次に描いた聖印の光の紋を動かし、次々と眷属神の聖印も増加させて帝都の空を覆う。
そして最終的には、陽導神と夜陰神の聖印を中心とした
それと合わせて帝国のシンボルを各所に配置。
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ドヤァ……。
典礼部局の役人にドヤ顔を晒したら、笑顔でサムズアップをいただけた。
どうやらご期待には応えられたようだ。
まあ腹の内ではきっと “しめしめ、聖堂勢力に貸しを作れたぞ” とか考えてらっしゃるのだろうが。
さあ、それでは凱旋パレードの始まりだ!
暫くすると功労者である私を乗せた山車が帝城前から市街へ向けて動き出す。
私の配置は隊列の真ん中あたり。
先頭はヨルムンガンドの大迫力の頭部を乗せた山車。その後に輪切りの胴体部と騎士隊の列がしばらく続き、私、という配列だ。後ろには騎士隊と、肉が削がれて剥製にされたヨルムンガンドの後半部分が続く。
ターニャやヘルガ嬢らは、何処かで帝都のミュンヒハウゼン男爵家の面々と一緒に見てくれていると聞いている。
血の繋がりがないとはいえ、私もミュンヒハウゼン一門として恥ずかしくないように務めねばな!
次回もパレードの様子になる予定。誰か別視点からの話にしようかなあ。
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◆才能限界についての補足(独自設定)
才能の違法増築をしても特に副作用のないエーリヒ君の権能は卓越してるなあという一方でマックス君の場合はまだ
それでもマックス君が自分で前衛張りたいなら魔剣:
※螺旋剣:装備すると剣の腕がめっちゃ上がる。でも斬りつけた分の痛みが自分にも襲い掛かる魔剣。魔導院禁書庫収蔵。
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◆エーリヒ君の苦悩2
1.君も『もったいないおばけ教』に帰依しよう! その2
エーリヒ君「へえ、熟練度振り直しの奇跡ってのは <再建の奇跡> を極めたら可能になるのか……。しかも別に対象は自分自身に限らないっぽい……? ならマックスが習得したら、必要な時に私に使ってもらえばいいか。さすがにフォーセリアでファラリス神を信仰するみたいな縛りプレイは勘弁だし、それだけ目当てに信仰するのは失礼だし。あと振り直しができるようになるまでに必要な熟練度も馬鹿にならないから、外注できるならそれがいいな。
それに振り直しの時に幾らか熟練度が失われるかもしれんし、そもそも、最初から後悔がないようにビルドすれば良いだけだからな!
…………。
── いや待て待て待て? 他人を対象に熟練度振り直しの奇跡が使えるってそれヤバくないか? そこらの人間捕まえてリビルドしただけでも技能特化型の尖兵があっという間に出来上がるぞ?? やっぱりこれ
※熟練度振り直しを他人に施す:ステータスリセットNPCがやってくれるアレ。
あるいは魔王とか邪神が 「新たな力を授けてやろう! フハハハハ!」 とか言いながらやってくれるような感じのやつ。新たな
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原作web版も更新されてるぜ!
https://ncode.syosetu.com/n4811fg/223/
巨鬼は強えなあ……! あとヨルゴス氏は巨鬼の社会的には、流浪の女騎士ポジに相当するはずなので、こう、エモいよね……!
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◆独自設定関係の追記 20220121
(次の話の前書きに入れるか迷いましたが、こちらに追記します)
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Q.この奇跡で対象の熟練度をゴミスキルに突っ込ませることは可能?
A.ちょっと無理っぽい……。というのも、どうもそれをやろうとしても “もったいない” から奇跡の請願は通らないようです。教義に反するようですね。一方で、政治能力を剣技にコンバートするなど、別方向に有用なスキルに転換することは可能かもしれません。ただ、基本的には周辺技能や余分な特性を、既にある程度伸びてる技能に集中させて上積みするのが、奇跡を遣わす側の “もったいないおばけ” としても楽みたいですね。より
◆マックス君の
個体値を32段階(
・体術系:
・生産系:
・魔導系:
体術も凡人まで行かずとも多少の
なお余談ですが未来仏の権能を以てしても運命転変系の特性を獲得できないらしいエーリヒ君の幸運値の個体値も