白雪聖女様と7人のオーク   作:槍刀拳

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中編 『オーク! オーク! オーク!!!』

「ぁ……っ。ぁっ……」

 

 罵倒し合いなどしている暇があれば、一か八かで逃げれば良かったと悔いる。痛む足をかばいながらも、その場からなんとか逃げ出そうと四肢を動かす。しかし腕を握りしめられている以上、抵抗は虚しく私は空中で振り子のように左右に揺れることしかできない。そんな私を見てオークは満足そうに口角を上げ、片方のトゲ付きの肩パットを外して、その肩へと乱暴に私を担ぎあげる。更に私の落としたバーボンを拾い上げると懐にしまい、瓦礫の上から他のオーク達によって垂らされた縄梯子を黙々と登り始めた。

 遠くなる地面。今、ここで暴れようものならば、私は頭から落ちて死ぬことに違いはなかった。だから、この時の私に出来たことは死ぬのよりはましと考えながらオークの身体にしがみついて、これからの事を考えるのだった。

 

「ヘイ、急に居なくなったから、死んじまったかと思ったぜ」

「…………すまない。朝日が昇ったわけでもないのに感染者共がコンビニに入って行くのが見えてな。……それで、そっちの首尾は?」

「残念ながら。流石にブレインフレーヤーのハンター、サキュラ、感染者の三つ巴の中での人狩りはうまく行きませんでした」

 

 ——人狩り!?!

 やはりこのオーク達は自分たちの子供を孕むメスを狩るために……!

 これから男と交わったこともないこの身に、降りかかるであろう境遇と興奮でガタガタと震えてしまう。そんな震えは、目の前のオーク達にしてみれば自分達を楽しませる最高のパフォーマンスしかならないとわかっているのに……! 反射的に震えが止まらない……!

 私を肩に担いだオークは縄梯子で瓦礫を上り終えると、床に私を降ろした。先ほどまで頭上からこちらを見つめていたオーク達が私を中心に円陣を組むように囲み、私の7フィート頭上で話を始める。

 見ていることが気づかれないように震えながらもゆっくりと見上げれば、本当によりどりみどり(・・・)なオークだらけだった。

 緑色で全体的に丸いオークよりも細身で、そして整えられていないくすんだ金髪モヒカンのハイオーク。

 深緑色の肌に衣服と一体化した小豆色のマント、獣の皮で出来た腰巻がずり落ち、オーク達の中で最も背丈が高い。体には黒い炎を描いたような刺青をいれたハイオークチーフ。

 ハイオークと同じく細身で青髪タイプのモヒカンで、目もサキュラの砲弾を濁らせたかのような色をさせた 肌は真っ赤に染まったフレイムオーク。

 革製の防具を纏い肩から散弾銃のショットガンシェルベルトを掛けて、禿げ頭を隠すかのようにカウボーイハットを被ったオーク傭兵。

 この場にいるどのオークよりも筋肉質かつ関取のような横幅を持ち、私と同じくらいの巨大な斧と胴体には赤いベルトで固定されている胸当てを着けた羅刹オーク。

 膿が溜まったかのような黄色の瞳に、この集団の中で唯一真面な服らしい服……くすんだ黒のスーツに茶色のワイシャツを纏ったネクタイの付けていない……赤い鞭と小型の拳銃を手にした奴隷商人オーク。

 そして私をここまで連れてきた鎧の纏ったオーク。

 ……右を見ても、左を見ても、前後左右、全て、オーク、オーク、オーク。オークだらけだ。

 そして呼吸をするたび。彼等から発せられる体臭を肺に取り込むたびに。先ほどまで死の恐怖で凍っていた芯が融かされて、また肉壺が疼きだし子宮が子作りのために広がっていくのを感じる。

 

「ハッ。ナラ戦利品はそのメスだけカヨ」

「おい。オイオイオイオイオイ、このアマ! 足を怪我しているじゃねーか! ふざけんな! 感染者にやられたのか!?」

 

 私はそんな状況ではあったが、話の雲行きは怪しい方向へと進んでいた。戦果に呆れ返る片言で喋るフレイムオーク。

 また更に私の足に関して、ハイオークの指摘と共に私を肩に担いだオーク以外のオークが後ずさりをし、各々得物を私に向けてきた。

 

 ——ち、違う。この怪我は瓦礫片で引き裂いたもので。感染者にやられたものじゃない……!

 

 弁明しようとするが声が出ない。突き付けられた、振り下ろされそうになっている得物をどのように扱われ凌辱されるのかと少し期待をしながら、ハァハァと息を荒げながらただ期待の眼差しで見つめることしかできない。

 

「…………大丈夫だ。……感染していない。……簡易チェックをした」

「本当か?! 嘘はやめろよ!? 外部からやってきた難民を受け入れた基地が、感染を隠していた難民によって壊滅した噂は何件も聞いてンだろ!」

「おいおいデカい声を出すなよ。先ほどまでドンパチ賑やかだったから、コイツが銃を撃ってもサキュラが見向きもしなかったが、今は流石に感づかれる。クールに行こうぜ。クールに。感染しているかどうかについては、俺達も再確認してみればわかる話じゃないか?」

 

 ギャーギャーと喚く金髪のハイオークに対して、カウボーイハットを被ったオーク傭兵が宥めに入る。そしてオーク傭兵の提案に他のオークも乗った様子で、お互いにお互いの顔を見合わせると今度は私を値踏みするかのようないやらしい目でまじまじと見つめてきた。熱烈な視線によって更に興奮が増していく。これが視姦プレイというものなのか。初めての経験に心臓がトキドキする。本当に、このオーク達は私をどうしようというのか。

 いや、オークの考えることだ。1つに決まっている。集団レイプだ。輪姦だ。オーク7匹、性器祭、人間の女。何も起きないはずがなく……。

 でも、いくらこれから初物レイプ強姦輪姦が繰り広げられるからと言って、私も黙って犯られるだけではなくいうべきことは言わねばならないだろう。

 やめて! 私に乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!

 

「チッ。おい、アマ! 木偶のぼうからだ! でくのぼう!

「……え?」

 

 ハイオークが鬼のような形相で私に詰め寄り、唾を顔面に浴びせかけてくる。唾は歯磨きなどしていないオークらしく黄色に変色し薄汚かったが……飛ばされた唾が、唾液が口の中に入った時、それが甘く。もっと舐めたいと……。

 でもなんか、この流れはおかしいようなそんな気がしてならない。

 え? ところで、なんで、私罵倒されているの? 世紀末な性器祭なレイプは? え? え?

 

「『え?』……じゃねーよ! しりとりだ! しりとり! 俺達が到着するまでの間。コイツとやったんだろ!?」

 

 え? しりとり? ……えっと、今、ハイオークその甘い唾を私に吐きつけながら、背中に多彩な武器を背負ったオークを指さしている。

 そういえばさっきの会話の流れで、簡易チェックがどうとか……言っていたような気が……。

 ……。……あ。さっきのやり取りって……。

 

「次はねーぞ! 答えられなかったら、オメーをここでぶっ殺す! でくのぼう!」

「う、烏合の衆?」

「ウサギ」

「銀色」

「ろうそく」

「クリスマス」

「スラッシュ・アックス」

「すずめ」

「メスブタ」

「立て板」

「竜田揚げ」

「下駄」

「対魔忍……あっ」

 

 しりとりが一巡したところで私を助けたオークがまた対魔忍で締めた。ひとまず、1周のしりとりが繋がったことで、私が感染者ではないことを検査していたらしい。

 あ、あぁ……なるほど? 確かに彼等のやり取りは理にかなっている。感染者へ変貌するまでの時間は、平均48時間で変貌を遂げるが、もしも私がわずかにでも感染していれば思考力が低下し、満足に『しりとり』もできなくなってしまうような人の形をした獣へとなっていたはずだ。

 

「テメー、いつも対魔忍で締めルヨナ」

「…………すまない。……最後に『た』が付くと、反射的に対魔忍って言葉が思いついて……な」

「感染はしてねーみたいだが、そもそもの話! またオメーは勝手に貴重な物資を使って治療しやがって! これが感染していたら、その物資はこの前みたいに無駄になってたっつーの! 学習能力はねーのか!? 馬鹿がァ!?」

 

 ハイオークが私の足を指さす。気が付けば、私の足には丁寧に包帯が撒かれ、止血が施されていた。先ほど乱暴に足を掴まれていたと思っていたが、アレは私を逃がさないため……などではなく治療のために掴んでいたことに今気が付く。

 

「す……すまん……」

「こればかりは儂の部下を咎めることはできないな。主はいつも単独行動が多すぎるぞ。儂達は一つの部隊だ。もっと報連相をしてだな……」

「…………」

 

 ハイオークやフレイムハイオークを取り纏めている様子のハイオークチーフにもくどくどと説教をされ、私を助けて手当してくれたオークはシュンとしょんぼりとした顔をした。

 ……私としては、レイプ魔で生殖猿で有名な悪名高いオークもそんな顔をすることにただ驚くばかりだ。……外見から言ってしまえば言えば鎧を着たオークの方が強そうだが、やはり “ハイ”オーク“チーフ”と色々オプションが付いていることもあって、総合的な能力を鑑みた場合にはこっちの方が強いのだろうか?

 

「まぁまぁまぁまぁ。現状、彼女は感染者ではなかったようですし、物資も無駄にはならなかったのですから、物資の事で彼を責めるのはお門違いではありませんか? 確かに仲間に何も知らせず、勝手に居なくなったことは罰則に値するかもしれませんが……」

「……チッ」

「とにかく。今日のところはこれ以上感染者を寄せ付けないように彼女を拭いてあげて、例の基地へ向かってみましょう。君が彼女を手に入れたのですから、彼女の事は君が責任をもって基地まで連れて帰るように」

「……おう」

 

 膿が溜まったかのような黄色一色の目をした奴隷商人オークの仲裁の言葉に、ハイオーク達は悪態をつきつつも彼に詰めよるのを止める。それから、私が誰の所有物であるのか明白に他のオークへ知らしめるように話した。

 オークは私を『妙な真似をしたら突き落として殺す』と言わんばかりに崖の端に立たせる。それから他のオーク達からは見えない形で、少しの沈黙ののちにオークらしく血の付いた服をぶっきらぼうに脱ぐように指示してきた。もちろん、正面のオークの所有物となった私は恥じらいながらもそれに従い、下着を含め全ての衣類を脱ぎ捨てる。すべての服を脱ぎ終えたところで、少しオーク側が困ったような顔をした後、一旦、背後を振り返って奴隷商人オークの指示を煽っていた。

 ……しばらくの間ののちに、歩み寄ってきた奴隷商人オークとオークが言葉を交わす。それから私の方を見てオークに怪訝な顔をしながら血の付着していない下着は付けるように促してきた。下着をつけたあとは私の着ていた血に濡れていない肌着を水筒の水で濡らし肌に付いた血を拭き取り始め。

 最後には彼が持っていた大きな布で私と私の荷物を包み込み、プラスチックの紙で飴玉を包むような形で私を拘束するとショルダーバッグのように背負い他のオーク達と合流して、その例の基地とやらがある方向へ歩みを進め始めたのだった。

 

 

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